人間の尊厳と八〇〇メートル (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社
3.23
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本棚登録 : 135
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488404123

感想・レビュー・書評

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  • ブックオフにて日本推理作家協会賞の文字に惹かれて手に取った一冊。
    短編集としてバラエティのあるラインナップ。作者に海外経験があるようで、欧州を舞台にした作品が二作あります。
    特に良かったのはその内の「北欧二編」。北欧を旅するバックパッカーが旅先で出会う日常の謎、な物語です。あとがきや解説でもその文体にスポットが当てられていますが、物語としてもすっきりとした構成で評価できるもののように思います。そこにあの文体が合わさって、芥川の「上海游記」を現代に写したような印象も受けたりしました。
    機会があれば作者の別作品もチェックしたいと。

  • 読みやすいが意外性はそれなり。表題作のタイトルの奇抜さで勝負ありか。6.5

  • 何故、見ず知らずの相手と夜中に競争しなければならないのか?
    100メートルでも1キロメートルでもなく、中途半端な800メートルを指定する理由は?
    これらの根拠を、量子力学を基に医学や文学にまで言及しながら説明していくのですが( ^ω^ )

    読んでる最中は、「成る程ね〜突飛な発想だけど一応筋が通ってるわ〜」と感心しきりだったのですが、よくよく読み返すと牽強付会も甚だしいですな(笑)。でも、初読の時は凄く鮮やかな論理展開に感じられたんですよね〜( ^ω^ )

    男が持論を述べる上記の部分が面白かったので、賭けの対象に話が及び始めた後は、若干失速したような印象でしょうか。ラスト付近で出て来た人物が、ホームズ役となって男の魂胆を推理した時も、「うーん蛇足感…←」という印象だったのですが、最後の最後で示された「人間の尊厳」に、思わず「やられたわ( ^ω^ )ぎゃふん←」と嬉しくなってしまったのでした。

    他数編も毛色の違う「意外なラスト」を楽しめます*\(^o^)/*
    北欧二題の前半部と、完全犯罪〜が特にオススメかな〜( ^ω^ )


    ◎人間の尊厳と八○○メートル…「俺と八○○メートル競争しないかい」ーー初対面の男が私に持ちかけてきた、奇妙な賭けの謎。

    ◎北欧二題…硬貨と紙幣を交互に店員に差し出す客の謎と、閉館時間15分前にやたらと退館を促す係員の謎。

    ◎特別警戒態勢…お盆の期間中に犯行予告状を出した犯人の真の目的とは?

    ◎完全犯罪あるいは善人の見えない牙…非の打ち所のない完全犯罪の計画を破綻させたのは、非の打ち所のない「彼」の善意だった。

    ◎蜜月旅行 LUNE DE MIEL…新婚旅行に出た夫婦。旅慣れた夫は、新妻に良いところを見せようと奮起するが…

  • チョットした小話が5つ(各話40ページほど)

    「人間の尊厳と800メートル」
    義足の人に5万円を賭けた800m競走を持ちかけた男が、ゴツイ人も参加すると言われ退散する。(ゴツイ人も実は障害者だった)

    「北欧二題」
    1.おもちゃ屋でカード決済出来ない国王が、お札の顔で本人確認する。
    2.館員が閉館後に友人と会う約束のせいで、博物館から閉め出される。

    「特別警戒態勢」
    お盆に皇居を爆破すると予告した犯人の目的は、父が警官でお盆に家族旅行したくなかったから。

    「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」
    善人すぎる夫を投薬で殺害するが、夫が死後全身を医療提供する契約をしてたのでバレる。

    「蜜月旅行 LUNE DE MIEL」
    新婚旅行で海外へ行き、タクシーでカツアゲに会うが、妻がレストランで盗んだナイフで撃退する。


    <感想>
    5編とも小さな謎に、多量のウンチクという体裁で、内容が薄いとしか感じず。
    巻末の解説が、日本推理作家協会賞の選考委員だった人で、大掛かりなトリックとかどんでん返しはあまり好きではないとのこと。

  • 140406読了。26冊目、今月2冊目
    初めての深水さん。
    読みやすいし、表現を工夫する探究心みたいなものが見えて印象が良い。
    他の作品も読みたい。

  • 日本推理作家協会賞短編賞受賞作(表題作)を含む短編集。
    ひとつひとつはさほど長いものではないが、ロジカルな短編から、純粋なミステリとは言えないものまで、内容がバラエティに富んでいて、どれを読んでも楽しめた。
    完成度という点では、矢張り、短編賞受賞作の『人間の尊厳と八〇〇メートル』かな。

  • 2014/2/21 Amazonより届く。

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著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。2014年、『最後のトリック』(『ウルチモ・トルッコ』を改題)がベストセラーとなる。2015年刊『ミステリー・アリーナ』で同年の「本格ミステリ・ベスト10」第1位、「このミステリーがすごい!」6位、「週刊文春ミステリーベスト10」4位となる。

「2021年 『虚像のアラベスク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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