- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822289973
感想・レビュー・書評
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失敗から学ぶことは多い。同社の、なぜ倒産、も興味深かったが、こちらの方がわかりやすく、体系的。
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有名企業25社の倒産までのストーリー、倒産に至るターニングポイントが簡潔に解説される。
有名企業ということはかつては大きく繁栄した会社である。それが何故、倒産の道を進んだのか。事業が傾くターニングポイントは何だったのか。 大きな部分で共通するのは、「経営者が戦略的ではなく短絡的な行動を取ることが誘因となり事業がうまくいかなくなる」ということ。
しかし、結末を知らずその時代を取り巻く環境・状況に置かれた時、私もきっと本の内容と同じく短絡的な判断をするだろう。 今後似たような状況に陥りそうな時の参考にします。 -
有名企業25社の倒産という切り口から、失敗事例の言語化へのアプローチは興味深かった。
本書では、倒産を戦略とマネジメントの問題に分け、更に5つのパターンに類型している。
現在から振り返れば、倒産に至るまでに間のターニングポイントに明確なミスがあっても当時その立場に自分が経営者としていたとして避け得ただろうか。
当事者として、変わりゆく環境、与えられた職務、ノルマ、責任を負うべき社員やその家族たち…それを考えるとそこに至るまでに考えるべきことがあったのだろう。
そしてそれは自らのまさに今の行動にも起きている事象である。
著者も述べている通り、考える論点の数の担保と時間軸の長さこそが戦略的に行動するために必要な要素であり、日々の現場にも通じる行動だと思う。
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どれもこれも有名企業の有名な事案。でも、鈴木商店の存在は知らなかった。。
それぞれ後付けでは、「なぜ??あんなバブルだったのに」と言われてしまうが、その時は、誰もバブルだとは気づかないから、バブルと言われるわけで、、、 -
この本は素晴らしい教科書だと思います、私の持論に、成功例は応用できないが失敗例は他のケースにも応用できる、があります。企業が急成長した例、個人が資産家になった例等は、本当に肝の部分は隠すか、気づかないでいるため、殆ど役に立つとは思っていませんが、失敗例・倒産例は、同様な考え方・方法をすると失敗する確率がかなり高いと思います。
この本には、大きく戦略上・マネジメント上の問題に分けて、合計で25の実際に起きた例を、社名を取り上げて紹介しています。中小企業診断士である私にとっても大いに参考となる情報が詰まっていると思います。この様な本の続編が出ることを期待しています。
以下は気になったポイントです。
・千葉そごう以降の20年間は、水島社長が出店場所とタイミングさえ決めれば良かった、新人として入社した社員が40歳を過ぎるタイミングという長期間、そういった状況に慣らされていた社員たちは、現状を疑い、建設的に議論する力を培う機会がなかった(p26)
・そごう倒産に学ぶポイント、1)自分たちのビジネスはどのような「前提」で成り立っているか考える、2)その前提はズレてきていないか議論する、3)強固なビジネスモデルを持ち持続的に成長している事業ほど危険という認識を持つ(p28)
・既存の技術体系を持つ大企業において、革新的技術のオーソライズが取れない理由の一つに「存在しない市場は分析できない」、分析できないものは意思決定できないという考え方にとらわれると、未知のものに対応できない、変化に弱い人材となる(p37、38)
・ポラロイド倒産に学ぶポイント、1)既存事業と同じ尺度で新規事業を図る危険性を理解する、2)市場にない新しいビジネスは分析できない、3)新しいビジネスこそ、実践を通じて学習していく姿勢を大切にする(p39)
・GMには1950年前後に仕掛けられた「組合との協定」という時限爆弾があった、UAWと賃金、年金、終生の医療費負担の提供など、極めて労働者に優位な協定(デトロイト協定)を締結した、この前提にはコストが問題になれば価格を上げればよいという目算があった(p56)
・コダックはフィルムの浸透を図るために、価格面においては「レーザーブレード戦略」を採用した、髭剃り本体を安くして、替え刃で儲けるビジネスのようい、カメラを低価格にして、フィルム販売で儲けるようにした(p74)
・コダックには、銀塩周りの写真品質にこだわる技術者、現像に関わる販売店など、従来のコダックのビジネスモデルによって潤う人たちはたくさん存在した、これが技術的転換点において問題となる(p78)
・アマゾンは仕入先を強化するために、5000万ドルに近い違約金を支払い、トイザらスと手(契約:2000年に10年間の契約)を切った(p86)
・ルールの変更に気づくためには、使い慣れたレンズをいったん手放して、新しいレンズを通して世の中を見つめてみる必要がある、3年後の世界から、異業種から、過去事例から等(p89)
・ウェスティングハウスは、二コラ・テスラを雇い、交流送電システムを開発し、エジソン率いるゼネラルエレクトリックが提案する直流システムと対決し勝利、多極電動交流機の開発により、現代アメリカの電力システムの基礎を作った(p95)
・鈴木商店に深刻な打撃を与えたのは、1922年ワシントン海軍軍縮条約による軍艦建造の中止命令、傘下である、神戸製鋼所、播磨造船所、鳥羽造船所等の残留船腹が不良在庫化した(p107)
・鈴木商店がダメになり、三井・三菱・住友がそうならなかったのは、事業構成(ポートフォリオ)および資金調達(ファイナンス)にあった、中核に鉱山業を持ち安定的な収益がある、グループ内に銀行がある、これは戦争終了や関東大震災よりも大きな問題であった(p108,109)
・1803年当時フランス領だったルイジアナをアメリカが買収する際の両国の仲介、ファイナンスを担当したのが、ベアリングス銀行であった(p115)
・1985年、5200億円という巨額な負債を抱えて会社更生法を申請した、三光汽船であttが、日本航空の墜落事故の翌日だったので世間的な注目を受けなかった(p150)
・1989年に大蔵省は、営業特金の解約(具体的な運用方法を決めず、証券会社に運用をまかせるもの)と、事後の損失補填の禁止する通達を出した(p172)
・エアバックのタカタは、わずかな水分も入れない密閉した容器設計と、製造工程で徹底した湿度管理を実現して、欠点(温度により体積変化、吸湿しやすく安定性に欠ける硝酸アンモニウム)を抑え込むことに成功した、他社は「硝酸グアニジン」という容量がかさばるコストの高い化合物を採用した(p266)
・戦略的とは、「考える論点の多さ」x「考える時間軸の長さ」これが十分でないと「短絡的」=極めてわかりやすい短期的な数字の引力に考えを奪われる(p285)
2020年4月11日作成 -
失敗を5つに分けて、説明している。
成功は理由もなく、うまく行くが、失敗は全て理由がある。リーダーの資質が全てだと思う。
そう言う意味でリーダーになりたい人、なっている人は読んでもらいたい一冊だ。 -
「できるだけ多様性が出るようにする」「対象企業に直接は取材はしない」「”企業の幸福度”という客観的基準のない数字で変遷をチャートで示す」というコンセプトはその狙いがうまくあたっている。古今東西独自の切り口で倒産事例を学べる。「時代の変化についていけなかった」「景気の悪化の煽りを受けた」「政府の無作為に翻弄された」そんな単純なものなどないのではないか。倒産するにはそうなるだけの理由がある。倒産とは経営の失敗であり、マクロな事象である。だが、そこに至るまでは個人レベルの(とりわけ経営者の)不作為、ミス、不正などミクロな原因が積み重ねられている。倒産は突然やってこない。危機の原因は常に発生している。問題はその連鎖をどこで抑えられるかだ。
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背景は戦略問題とマネジメント問題の2つ
戦略
過去の成功しがみつき型、脆弱シナリオ依存型
マネジメント
焦りからの許容範囲逸脱型、アバウト雑で大雑把型、経営と現場の距離感遠すぎ機能しない型 -
ビジネスにおける失敗事例を気軽に知れる本はないかと思いこの本を選んだ。
読み手にわかりやすいように倒産事例をカテゴライズしている点、あくまで公開情報を元に著者の批判的な意見が薄くなっている点が、入門編としては非常に読みやすかった。
また1人のビジネスマンとして、日々変化していく市場でどのように生き残っていくのか、日々どのように意識をして過ごすべきなのかきっかけを与えてくれる一冊。
【印象に残ったポイント/気付き】
・国や利権など複雑な仕組みで非合理的になっている業界はチャンス
・ブロックバスター事例から知るネットフリックス台頭の歴史(1997年創業!!)
・コダック事例に学ぶ自身のキャリア形成における危機意識の麻痺
・戦略的とは「考える論点の多さ」×「考える時間軸の長さ」という著者の理論を基に、流動的な事象の転換期における「短絡的」な思考の怖さ。
・航空会社(スカイマーク、コンチネンタル航空)や貿易・海運会社(鈴木商店、三光汽船)などの事例に見る、イベントリスクに対する「守りの戦略」の重要性
・リーマンブラザーズ事例に見る、集団的な思考停止状態の怖さ
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過去に倒産した25の企業について、なぜ倒産したのか?倒産から何が学べるかをまとめた本。
会社経営の失敗なのでかなり難しい内容かと思ったが、初心者でも分かりやすく要点をまとめられており、非常に面白くためになった。
どの企業も過去の成功を引きずる、イケイケで調子にのる、リスクを想定せずに計画を進める、現場を軽視するなど当たり前の事が多いが、それが人間の本能なんだろうと思う。
この事例を再発させない様、気を引き締めたい。 -
ちゃんとしてそうな会社でも、結構乱脈経営だったりするよね
ガバナンスだのコンプライアンスだのってホント最近の話なんですかね。まそれで必ずしも経営がよくなるわけでもないと思うけど。 -
倒産は教訓と知恵の宝庫である
日欧米の25社の倒産事例をタイプ別に紹介 -
戦略的とは考える論点の多さと考慮する時間軸の長さ。
どれも結果が出たあとだから言えることだと思いますが、倒産してしまった企業はどこも短絡的な部分があったということかもしれません。ただ、どんな優秀な人でもミスはあると思います。それは仕方ないことだと思いますが、この本を読んで「ゲームのルールを見誤ること」「短期的な事象しか考慮しないこと」は致命的なミスに繋がる確率が高いと学びました。 -
浅く広く。(イメージとして)頻出しそうな業界専門用語も少なく、経済や経営の門外漢にもわかりやすく読み進められた。
その分、がっつりとした情報を読みたかった読者には物足りないだろう。 -
倒産のストーリーの描き方が面白くてすぐ読んでしまった。
倒産に至った原因分析も切り口が面白い。 -
大手企業、メーカーが倒産に至る経緯や内容を、各社毎に数ページでまとめている本。ケースワーク好きの私にはもってこいの本物のでした。
この本を手に取ったのは、私自身が組織の崩壊に興味があり研究していますが、自分以外にまとめている本などあれば読みたいと思っていました。
たまたま最近の売れ筋?で出てきたので読みました。
倒産の分類を5つにまとめられております。なので、導入がわかりやすく感じられました。
私は、特に5つ目の
「現場と経営の距離感の遠さ」(←書籍中では違う言葉です)
に興味があります。
特にタ◯タ社の件は、当時かなり衝撃を受けたため記憶に新しく、メーカー経験者としては共感する事もあり。
全体的にざっくりまとめられているので、もっと詳しく知りたいとも感じましたが、そこは難しいのでしょうかね?
また、事例によって深さが違うのは、取材?の限界なのでしょうか。
本は大きめで分厚め。これは、文字が大きく行間も広いためかなと。もっと薄くて軽い本だと保管も持ち歩きも楽なのですが、最近はこういう本のほうが売れるのでしょうか? -
25社の"倒産"した企業の事例を通し、そこから得られる示唆が短くまとめられている。
ある企業の倒産について、決定打を語られることが多いが、倒産の要因はその一つだけとは限らず、複数あることがほとんど。且つそれらは後から振り返ってみればこう言えるということばかりで、倒産前にその兆候に気付ける人がどれだけいた(いる)のだろうか。
「好調の時こそ襟を正す」「戦のルール・前提を理解する」「攻めと守りのバランスを考える」
会社レベルでも、個人レベルでも大事な教訓だと思う。 -
さらっと総花的。あまり深い内容までには至っていない。