いま、地方で生きるということ

著者 :
  • ミシマ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908281

感想・レビュー・書評

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  • Linker No.10
     人間環境学府修士2年
     なーにゃさん

     鹿児島の地方で生まれ育った私が、本屋さんで見つけて思わず買ってしまった本です。
    3.11の震災以降、「どこで生きるか」を考え直した人は多いのではないでしょうか?この本は著書の西村さんが、「いま、地方で生きるということ」をテーマに東北・九州を巡る中でお会いした約10名の方のインタビューが綴られています。
     地方には東京ほどモノはいっぱい溢れていないかもしれませんが、そこには豊かな自然があり、お金で買えない豊かな生活があり、そこに誇りをもって生きているキラキラした人々がいる。地方で生きることは決して恥ずかしいことではないのです。
     この本を読んで、今自分がいる場所について再考してはどうでしょう?

  • いろいろ考えさせられます。
    私自身は、
    かつて憧れのニューヨークに住んでみたとき、
    結局はどこへ行っても、自分は自分でしかないこと
    に気付かされました。
    911テロが起こってしまい、街が炭疽菌テロにおびやかされ、
    ちょうど資金も底をついて、
    東京へ帰ってきたときには、ニューヨークのような
    親しみやすさをどこにも見つけられなくて
    一時はひどく落ち込みました。

    でも、そんな中で少しずつ、自分のほっとできる場所、
    安定してものづくりできる場所を探していったら、
    やっぱり私には東京がふるさとだとわかった。
    もちろん、森や自然への憧れや、
    そういう場所でモノ作りしてみたいという気持ちは
    あります。
    でも今後、創作のフィールドを他所に
    広げていくことはあっても、
    やはり東京というふるさと(地方)は愛しているし、
    大事にしたい。
    大地震が来るぞと言われれば言われるほど、
    ここを守りたいなって思う。
    ほかの地方で力強く根っこを張って生きている人の
    自然や生きものとの豊かな交歓にも学びつつ。

    そんなことをあらためて考えました。
    それが私にとっての「いま、地方で生きるということ」かな。
    この本をきっかけにして、たくさんの人が
    震災以降の自分と、
    そんな自分がこれからイキイキと生きていくところ
    とはどこなのかと、考えたり、
    振り返ったりできると思います。

  • 「お金が要る,という重力」

    あとがきにかえてに書いてあった言葉。
    多分そういうことに自分は縛られているんだなぁ・・・
    と読み終えて思った。

    前半部分に出てくるたくさんのボランティアやNPOなどの
    行動力はまねできないと思った。

    後半部分のいわゆる地方で生活する人たちのインタビューは
    大変興味深かった。

  • 読み終えた今の心境はとてもニュートラルです。
    僕もギアを「D」に入れれば、いま住んでいる場所を離れて生きることが出来る気がする。
    一方で、しばらく「P」でもいいような気もする。そういう意味では本文中の秋田の矢吹さんの話はとても示唆に富む内容だった。

    『この場所とやれることを、まずは最大限やることが大事』

    地元に戻って、見えてきたものもあるので、まずはここで出来ることを探してみようかという気になった。

    もう少し時間的に長いスパンで考えてみようと思います。

  • 予備知識なく読んでみたら、知っている人が登場していてビックリです。だからこそ、登場する人の話が正しく伝わっていることが実感できました。

    この本に出てくる人はみんなカッコいいけど、まだまだ物質の呪縛が抜けない僕には、いま実は東京が魅力的に見えてしまう。静岡県という半端な地方に住み、東日本大震災の被災地からも遠いと、こういう感覚が鈍っていくのかな。でも、東京も東日本大震災を経て、ある意味地方になった。
    集中や依存のアタマに、ゆり戻しをかけたい。

    そういうことは、制度に頼って生きてきたオッサンたちより、若い人には、むしろ言わなくてもわかっていることかもしれません。いろんなことを自分で決めるってこと。

  •  話題のミシマ社からの1冊。クリエイティブ系の人の文章は掴みにくいことが多いのだが,波長が合えば楽しい。「公共」とpublic/commonとか,重力異常図とか,イロコイの民主制とか,震災と日本の狩猟化とか,東京/地方とか,色々な気づきのある本だった。
     インタビューに応える人の中で,同世代である田北雅裕の「自分の幸せを考えたこともないですね」というスタンスには非常に親近感を覚える。だからこそ,彼の「本気にならないと,駄目だろう」は自分にとってとても,重い。

  • 読み手の経験によって、感じ取り方がまったく異なる本だと思います。

  • 自分は横浜で生まれて、社会人になってしばらくして、職場に近い都内に越して、それ以降東京に住んでいるけれど、それは成り行きの範疇であって、本当の意味で自分の意思で住む場所を決めたことはないので、いつかそういう日が来たらいいなというか、そうしなければいけないな、と思う。

  • 3.11があってから、「場所」の価値観が変わった。
    依存することはリスクがある、という一節がとても印象的だった。

    私たちは「どこで」「何をして」「いきる」のか。
    地方で生きることはなんなのか?

    企業に就職して働くだけがすべてじゃない。
    誰のために、なんのために生きていくのか
    ということを考えるキッカケになった一冊。

  • どこで生きるか? どこでもいい。重要なのはそこじゃないし。

    きっと自分らしく生きているか?何をしているか?が重要なんだけど、それを成すには、地方の方がやりやすい、見つけやすいということ。

    でもそんなタイトル的な内容よりも、
    公・共・私のことに興味あり。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築設計の分野を経て、つくること・書くこと・教えることなど、大きく3種類の仕事に携わる。デザインオフィス、リビングワールド代表。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(以上、弘文堂)、『かか
わり方のまなび方』(筑摩書房)など。

「2011年 『いま、地方で生きるということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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