日本の反知性主義 (犀の教室)

  • 晶文社 (2015年3月20日発売)
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「日本の反知性主義」というテーマで、
・内田樹
・白井聡
・高橋源一郎
・赤坂真理
・平川克美
・小田嶋隆
・想田和弘
・仲野徹
・鷲田清一
などが論じたもの。内田樹と名越康文の対談も収められている。
「反知性主義」のもともとの意味は「知的な生き方を否定し、それを極小化しようとする傾向」のことだが、単に「日本人の知的レベルの下降」について、平たく言えば「なぜ日本人はこんなにもバカになったか」について論じているものが多い。
その中にあって、白井聡の文章だけが反知性主義の原義から解きほぐしていく本格的な論考で、それゆえに一番読みづからかった。ここで止まっていたために読了が遅れた。
日本人はバカになった。電車に乗れば、老いも若きもスマホとにらめっこをしている。本を読んでいるような人はわずかだ。別に読書が知性の証というわけではないが、スマホでゲームに興じていて賢くなるとも思えない。
民主主義は人間一人ひとりの価値を等しくするところから始まる。誰しもが平等に尊いという平等主義だ。
しかし、格差社会である。賃金の格差、年収の格差は厳然とある。それはどこから来たのか。それが知性の格差から来ていることを認めたがらないのが反知性主義で、ゆえに安易な手段を求める傾向でもある。『ファスト教養』(レジー)や『動画を早送りで観る人たち』(稲田豊史)で指摘した現代の風潮はまさにそれであろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 内田樹
感想投稿日 : 2024年1月5日
読了日 : 2024年1月5日
本棚登録日 : 2024年1月5日

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