y_iwamotoの教育・コミュニケーション関連の本棚

好著「世界の学力格差」で有名な著者が、さらに重要と思われる内容を加えて21世紀のイノベーターとして必要な環境を考察している。

やや具体例に終始していて、その普遍性については若干疑問が残るものの、イノベーティブな人間の成長に必要な要素を「コラボレーション」と「自主的な経験」としており、その重要性を改めて浮き彫りとしている。

さらにこの本を読んで改めて感じることは、改めて前時代的な学校教育だけで成功できる可能性はもう無い、ということ。

著者は言う。親にも「変わった親」になる勇気が必要だ、と。
親としての自分の直感、判断、価値観を信じてアクションする。
子供を信じる。

書いてみると基本的に感じることだが、実践は難し、か。

2014年6月1日

読書状況 読み終わった [2014年6月1日]
カテゴリ 教育

新しい時代を生きるのに必要とされる、人間としての歩み方について、現時点で日本語に訳されている中でかなり核心を突いてまとめられています。

「3+1」の「3」は比較的多く語られている、考える力・進化する力・共創する力。

そのコアになってそれらをドライブするのが、「自分の目指したいものは何か」です。

この取り組みが大切で、既にこの教育目標の実現に世界が動き出している。
その実感を得られるのもまた本書です。
そうなのか。負けてはいられない。

次世代スキル関連の本の多読の整理にはうってつけの良書です。

2014年5月27日

読書状況 読み終わった [2014年5月27日]
カテゴリ 教育

実際に行動することの大切さと、そのための準備の大切さ。
そしてその周辺の心構えを、著者の経験的視点から語りかけてきます。
「行動する勇気」を広めたいという著者の熱い信念が伝わってくる文章で、とても読みやすい本です。

行動する勇気の何が大切か、を私なりの理解でいうと、「個」の形成ができていない人にはその「個」の形成の助けになるし、「個」が形成されている人にはその人の人生の流れを作っていく原動力になる、ということだ。

もちろん未来に向けて勇気をもって行動せよ、という著者の立場を手放しに賞賛する訳にはいかないでしょう。
未来に向けて自分を成長させる、という「時間」の概念の古代における形成が、今日の人間社会の不条理を生み出していることは理解されるべきです。

だがそれらをも超えた境地へ自分を持っていくには、やはり「行動する勇気」が必要なのであって、その価値は高く評価されなくてはいけないですね。

読むと何か行動したくなる。そんな本でした。

2014年6月10日

読書状況 読み終わった [2014年6月10日]
カテゴリ 教育

本書はインフォグラフィックをビジネスコミュニケーションに利用する際のアプローチ方法を示したもの。
データの分析結果が、どうしたらうまく相手に伝わるか?というテーマのもと読んでみた。

まず結論として、現時点で有用と思えたのはデータの見せ方についてのデザイン例、さまざまな視覚効果に対する改めての整理、実例を通しての受ける印象リサーチ結果などだ。

本書では、ビジュアルの見せ方を探索型(シンプル)とナラティブ型(よりグラフィカル)に分け、それぞれどんなシーンに向いているかを整理している。

そのうえで、実際の効果や各シーン別のアプローチ方法などを詳述している。

特にデータ分析結果を見せる、ということに関して言えば、「その分析結果をどう見せたいのか?」という志向によって採るべきアプローチが変わってくるなと感じた。

単にバイアスを設けずその結果を議論したいのであればよりシンプルに見せるべきで。
何か特定のアクションに繋げたいのであれば、それを喚起するようなグラフィカルなものにすれば、より実現可能性が高まる。

どこまでやるのかはその重要性やリソースにもよるけれども、データアナリストとしては一つの選択肢として引き出しに持っておいて損はないはず。
特にシンプルなグラフの見せ方はかなり参考にしたい。

2014年5月3日

読書状況 読み終わった [2014年5月3日]

おはようございます。
午前2時前からの朝活で、ようやく読破しましたので書評を書いてみます。

といっても、本書の内容に関しては非常に前提知識如何で解釈が異なるので、何か突っ込むことはできません。
内容の紹介・感想にとどめます。

本書は、広島に投下された原子爆弾の原理を確立し、アインシュタインとも共同研究を行っていた物理学者のデヴィッド・ボームと、南インド出身の孤高の知識人クリシュナムルティが、1980年に行った対話集です。

「時間の終焉」というタイトル通り、人類が辿ってきた区別や分裂、葛藤や闘争、破壊の歴史は、そもそもどこかで人類は進路を間違えてしまっており、その一つの原因が「時間」の認識を創ってしまったこと、またそれによって人がよりよい何かに「なる」「なりたい」という発想の根拠を与えてしまったことにある、と説いてます。

そしてそこから派生して、人間の性質・個人と社会の関係・思考・死・洞察力・宇宙秩序に対して全く新しい解釈を進めていきます。

その中心となっている問題意識は、世界が「共生」していける可能性はあるのか、自己中心的な活動パターンを打破することはできるのか、できるとして、それを広めていくことはできるのか、ということで、まさにグローバル化があらゆる議論に影響を与えている現在に不可欠な示唆を与えてくれていると思います。


直近で特筆すべきと思うのは、ボームがこういった研究の果てに世に出した概念の「ダイアローグ(対話)」が、原理的にはいくつかのチャネルで引き継がれ(たように見え)、違う名前ではあるが徐々に影響力を増している(ように見える。自分には)ことです。

例えばベストセラー「最強組織の法則」「出現する未来」で知られるピーター・センゲは、その著書の中で対話の有効性を高く評価しているし、共著者のジョセフ・ジャウォースキーは、別の主著「シンクロニシティ」にも書いている通り、その研究中で実際にボームに会い、重要な示唆を得たシーンを事細かに記述している。センゲとの関係も、ジャウォースキーがボームに影響を受けてスタートさせたリーダーシップグループに参加して以来のことでした。


本書は「どうすれば~になれるか(至れるか)」という発想自体を否定することを主張しているため、読んだからといって何かのセオリーが得られるものではありません。
ですが、この発想にまでは至っておかなければこれから先始らない、という気にさせてくれます。
とても頭の良い、本当に人類の行く末を案じた2人だから
こそ進められる議論を楽しみましょう。

ボームとクリシュナムルティはこう説いています。
『人々は、日常生活の中で彼らに実際に影響を与えるものこそが、本当に必要なものなのだと感じているのです。彼らは、「こういった退屈な一般論にはまったく関心がありません」と言うのです。
私たちが話しあっていることは日常生活で間違いなく役立つのに対して、日常生活の中にいるかぎり、その多くの問題を解決することはできないのです。

問題を解決するためには、個別的なものから一般的なものへと移行する必要があるのです。』

2014年5月6日

読書状況 読み終わった [2014年5月6日]
カテゴリ 教育

今日はビブリオバトルで初めてプレゼンする日。
ということで、準備も兼ねて夕方にオアゾ丸善へ行きました。

最近の売れ筋棚を見ながら、スマホの買いたいリストを開くと、目に一番に飛び込んできたのがこの本。

おもむろに自己啓発の棚から本書を取り出しレジへ。
そのまま丸善を出たところのベンチで一気に読みました。


そもそもこの本を読みたいと思ったきっかけは、FBの友人から紹介を受けて知ったブログ記事です。

著者同様、私も30代中盤で5社を渡り歩き、悪く言えば器用貧乏とも取られかねない状況。
個人的には「レア」キャリアだと思っていても、どこかひとりよがりな感は否めませんでした。

ところがこういった本が1冊できるだけで、私のようなキャリアの人間としては大きな後ろ盾ができた気分です。
著者のバックグラウンドが良く分かる記述も最初に含まれていて、内容に重みを持たせています。

ドラッカー同様、元米労働長官のライシュも既に1992年の時点で現在の状況を見通し、著書の「ザ・ワーク・オブ・ネーションズ」で示しており、私自身その発想をベースにキャリアを歩みました。

そうしたキャリアを歩む上で無くてはならないのが、このプチスキルという概念を持って、戦略的に学び、実践することだと思います。

現在の上司も元GEの方でMBAホルダーのため、同じような発想で指導を受けたこともあり、馴染みやすかったです。


ただ1つ本書に無い内容で個人的に不可欠だと思っているのは、当人の遺伝的パーソナリティを生かした「コアスキル」を生かすこと・コアスキルが何かをはっきりさせる意思を持つことです。

言い換えると、何に対してチクセントミハイの言う「フロー」を感じられるか、ということは相対優位を作る上でとても重要だと思います。

自分の「フロー」に関連した分野のスキルは、習得にかかる時間が他スキルと比べてかなり少なくすむため、より優位を作りやすくもなるし、そもそもフローに入ることができる業務は優れた結果を生みやすい印象です。


とはいえ、学び続けなければ生き残れないがために「つらい」「厳しい」という悪評も多い知識社会において、ひとつの解決策を提示している良書だと思います。

2014年5月1日

読書状況 読み終わった [2014年5月1日]

これを望まない人はいないのでは?という「幸せ」。
その幸福感はどのようなメカニズムで得られるのかについて、第一線のロボット工学博士前野氏があらゆる角度から科学的に考察。
従来の幸福学とは違った、普遍的な幸福理論の導出に成功し、その内容を解説した書です。

その理論には、中心となる4つの因子があるといいます。
「やってみよう!」因子
「ありがとう!」因子
「なんとかなる!」因子
「あなたらしく!」因子

これだけ聞くとなんかピンと来ない印象です。私も実際そうでした。
ですがそれぞれの因子の解説を読むと、まさにいまいろいろな自己啓発書に書かれている内容のエッセンスがちりばめられていて、「ああ、あの内容は幸せに関係があったのか」と何度も気づかされます。

具体的には、
・自分の得意なことを伸ばす
・多くの友人より多様な友人
・そこそこで満足する

など。
ただしこの本の良さは、とにかく読んでみて感じていただきたいです。
本当に、あらゆる友人・知人に勧めたい現代の良書です!

2014年6月1日

読書状況 読み終わった [2014年6月1日]
カテゴリ 教育

2007年発行の「分析力を武器とする企業」で、アナリティクスをビジネスの意思決定に利用することの重要性についてアピールしたトーマス・ダベンポートの新刊。

本書では実際にアナリティクスを活用するためのフレームワークを提案しており、かつインテルやシスコ、メルくなどでの事例をそのフレームワークに沿って紹介し、より実践に近い内容となっている。

【定量分析の6ステップ】
1、問題認識
2、過去の知見のレビュー
3、モデル化
4、データ収集
5、分析
6、結果の説明と実行

もちろんそのフレームワークの進め方もかなり有効で実践に値すると思うし、いくつか紹介されている統計の参考書にもぜひあたってみたい。

また本書では分析のステップ以外における創造力を強調する。
例えばGoogleで従業員のどのような特徴が仕事ぶりに関連があるかを調べるため、従業員を対象に300問のアンケート調査を行った事例が掲載されている。

具体的には、社内でよく犬を見かけるので犬を飼っている人は仕事が良くできるか、など。。
実際に犬は関係無かったらしいが、何らかの世界記録や国内記録を樹立していたり、非営利団体・クラブを創設していた人は入社後の業績との関連があり、面接に利用しているそうだ。


分析することそのものも確かに楽しいけれど、データ分析、分析結果を「現場の施策に落とし込む」ことはとても奥が深いし、エキサイティングな分野だと思う。

2014年5月3日

読書状況 読み終わった [2014年5月3日]

2014年4月26日
今日はGWの連休初日ということでしたが、天気も良く暑いくらいで、各地の観光地はかなり盛況だったみたいです。
私も子供を連れて近所の公園に行こうと、午前中から出かけたんですね。

で、公園に近づくと急に娘が、
「あ、こいのぼりだ!見に行こうかー」
と指をさしました。

確かに指の方向には大きなこいのぼりが、公園を横断するようにたくさん並んでいたんです。

ですが、もうひとついつもと違う光景がその方向にはありました。

公園は車道から少し広めの歩道の先、少し高台になってるんですが、その高台と道までのあいだに、フリーマーケットができていたんです。
たくさんの中高年のおばさんが、黒い塊になって群れてました。

きっとこの人たちがここへ来るときには、ほとんどこいのぼりが目に入った人はいないんじゃないか…とか、目に入ったとしても何も感じないんじゃないか…と、勝手に想像してしまいましたね。


まあそのよく言われることですが、ひとつの物事に対する認識の度合いというか、深さみたいなものは、それぞれの情報の受け手の色々なパラメータに依存しますよね。
これ自体は特に異論は無いと思います。

それを逆手に取ると、自分とパラメータの近そうな人が受けた印象は、自分も似たような印象を受ける可能性が高いってことですよね?

もっと進めると、同じようなパラメータの人で自分より年長者がどのようにある物事を感じているかということが分かると、ある程度自分の将来の物の見方が予知できるかもしれないんです。

例えば「もっと若い時にこうしておけば良かった…」みたいなことを感じたことを自分の会社の先輩が言っていたとします。

仮に自分とは部署も能力も似たようなものとすると、それはつまり数年後の自分が言っているのと同じことのような気がしませんか?


この本は「読書好き」、それもかなりハイレベルな人が歳をとってから「読書」について語っています。
ショーペンハウエルが語った内容を、さらに渡部昇一が語っています。

例えばこんな感じ。
「作家の作品を読むことによって、その作家の特性まで身につけられるものではない。
けれどもわたしたちが同様の特性を既に素質として、つまり可能性として所持している場合には、読書することによって内部のその特性を呼び起こし、意識へと上らせることができる。」

多読のメリットの一つを示唆してますよね。

まあそういった視点で読むと面白い本だと思います。

2014年4月27日

読書状況 読み終わった [2014年4月26日]

まさか謎解き本が出るほど人気がある本とは思わなかった。読んでいて退屈するほどつまらないストーリーであるが、最後の2行にはかなりの衝撃が走る。確かに始めてミステリーを読んだ人間にとって、このトリックはすごいと感じた。

これは観覧参加したビブリオバトルで知ったのだが、ビブリオバトルで紹介される本には自分が好きなジャンル問わず「読みたい!」と思わせられる力が宿る。なぜだろう?

そのナゾを引き続き解明していきたい。

2014年4月21日

読書状況 読み終わった [2014年4月21日]

読書とその紹介を通じて得られる効果について、ほぼ私の意図する内容が紹介されていた。
が、自我の発達について直接的に言及はされておらず、2007年というやや古さを感じずにはおけない内容。

関連の新書などよりは内容も濃く、ビブリオバトルを知るには有用な本だ。

2014年4月21日

読書状況 読み終わった [2014年4月21日]

ニーチェの趙訳本を著した著者による、独学をする際の心得集である。

一般の教養至上主義の論調の本に比べ、著者独特の感覚から独学に対するよくある誤った姿勢をスパスパと切っているいるので読んでいて心地よい。

聖書や哲学書は必読としているところはやはりそうかという感じだが、知識ではなくあくまで考え方を学ぶのだという姿勢には全面的に賛成したい。


ちなみにエーリッヒ・フロムは全て重要な書、としていたところを読み、積読から引っ張り出したい衝動にかられたのでこれはこのくらいに。。

2014年4月7日

読書状況 読み終わった [2014年4月7日]
カテゴリ 教育

先端の科学によって知られている脳の機能の限界、唯物主義に対して、豊富な実証実験に基づきその限界を超えた心、精神機能の可能性を示唆する本。
神秘主義として片付けられていた数々の噂話が実は現実に確かに存在すると主張される。

心による病気の治療や神秘体験などは現実にある。
そう主張するには理論的なバックボーンに乏しいところもあるが、事例集として読むぶんには及第点だろう。

私も長らく科学主義者であったが、近年のこの分野の成果に接し、また自分でもシンクロニシティを体験するに至り、考えを変えざるを得なくなった。
引き続き動向に注視が必要な分野だろう。

2014年4月7日

読書状況 読み終わった [2014年4月7日]

ウォーターゲート事件で大統領を提訴したことで知られる弁護士の息子である著者が、この事件がきっかけで「社会性のあるリーダーを育てる」というライフワークに目覚め、その後の人生において起こる様々な「シンクロニシティ(共時性)」と、そこから派生するこの世界についての様々な示唆を著した本。

この内容に「シンクロニシティ」を感じたことが無い読者が接したとき、果たしてどのような印象を持つだろうか?

偶然、自分が望んだような結果が次々と起こる…これはかなり神秘主義的に捉えられることが多いのではないか。

しかし本書では学術的な立場からこの現象を研究している人物も数多く登場し、皆一様にこの現象の重要性に賛同し、また導かれているとも言う。


理論的にはユングに端を発してはいるが、はるか以前から認識されていたこの現象に至るための条件は何か?
本書ではその分野に関する知識についてはまだ石器時代にあるとされているが、「この世界に関する無意識の前提を崩す」「一心に求める」などいくつか得られる示唆はある。

シンクロニシティを得てこの本に出会い、日々シンクロニシティを感じている自分としては、ライフワークである「自己実現・自我の確立」とこの概念は切っても切れないものであると確信している。

また出典は示されていないが、バーナード・ショウの以下の言葉はまさに至言で、人生を賭けるに値する目的であるといえよう。

「これこそが人生におけるほんとうの喜びである。それは、自分自身がほんとうに価値があると思う目標のために全存在を傾けること。」


参考書籍:
「東の大富豪」の教え
 シンクロニシティベースで生きることが人生の成功に繋がることを示した本。やはりこの発想は重要です。

2014年4月7日

読書状況 読み終わった [2014年4月7日]
カテゴリ 教育

ダーウィンが考えた「進化論」の特に自然淘汰と性淘汰に基づいて、遺伝子(DNA)が人の心の動きにどのような影響を与えている可能性があるか、をまとめた本。

この角度から人の心を見ると、人はやっぱり「生物」なんだということがとてもよくわかる。
例えば閉所恐怖症の「適応的起源」を、狭い密閉空間は逃げづらいし襲われやすい、という理由で説明していたりする。

実際に証明するのがなかなか難しい分野なので評価は分かれると思いますが、何かの人の行動の原因とコントロール方法を探ろうとするうえでは色々なヒント満載の本です。


参考文献:
「遺伝マインド」「遺伝子の不都合な真実」「新学問のすすめ」

2014年4月5日

読書状況 読み終わった [2014年4月1日]
カテゴリ 教育

慶應SFCで異言語・異文化コミュニケーションを専門として研究、教育を行っている著者の、実際の講義を書籍化。
「自分再生」体験授業と自ら評すごとく、他者とのコミュニケーション・ワークを通して自己を再発見し、自分らしく人生を生きられる力を育む。

特に印象的なのは、「やりたいことをカタチにするチカラ」のすべてとは、初めて出会った”わたし”と”あなた”の間に、何かを生み出すこと、と喝破しているところだ。

まさにそのチカラとは、私の探求している自己実現・自我の発現をするための力と言い換えることもでき、ひとつの有力なアプローチを得られたと思う。

また「本当のコミュニケーションとは、「情報」ではなく「人間性」をやりとりすること、とも言い、昨今の自己啓発本にはない視点を与えてくれる。


ワークの内容も新しい。ぜひ勉強会を開催して実践してみたいと思っている。

2014年4月4日

読書状況 読み終わった [2014年4月4日]
カテゴリ 教育

アメリカの元牧師、思想家エマソンが著した自己啓発書。

外の世界の価値基準を自己評価軸から排し、自分のことは自分が評価すれば良い、という現代の相対化された時代に適った思想をベースとする。

自己信頼の状態になると恐れるものがなくなる。
自己を評価するのは自分だから。
これはまさに自我・自立・共時性などという概念に非常に似ている。

後半に記載があるが、結局はこの境地に達したときの、宇宙からの意思に導かれるような感覚が真の幸せへ導かれるとする。

まるで大いなる何かに導かれる感覚というのが、自己信頼を確立した人の感じている世界だ。

まだこの境地に達していない人向けの本。

2014年4月11日

読書状況 読み終わった [2014年4月11日]
カテゴリ 教育

一口にクリティカルシンキングと言っても、その性質は様々である。ビジネス、心理、哲学などの各系統のクリシンについてを体系的にまとめつつ、その本質を追究していく書である。

各系統のクリシンの性質を、比較しながら理解できる本は今のところこれしか見当たらない。その点で、何かの道を追求していこうとしている人は一度は目を通しておくべきだ。

本質的に、クリシンは自己の体験の中でしか物事を考えられない人間同士がコミュニケーションをする上で「お互いに」必要な技術であり、民主主義国家においては義務教育で学ぶのが理想的である。
古代ギリシアにおけるアテネでも、クリシンの一種とされる修辞学を修めた人間でなければ政治に参加することはできなかったとされているほどだ。

オススメできる本である。

2014年4月13日

読書状況 読み終わった [2014年4月13日]
カテゴリ 教育

人生の「流れ」を感じることができるフロー体験について、その定義と効果、実例を紹介する。そしてそこからフローに至るための条件を検討し、実際にエクササイズにまで落とし込んでいる実践の書。

一見トンデモ本・スピリチュアル系と間違うが、その本質はチクセントミハイの「フロー体験 喜びの現象学」でも説かれているようにニューサイエンス寄りで、人間の本質追究と実践に迫った良書である。

ただしエクササイズはやや根拠に欠け、ヒント程度にとらえたほうが良い気がする。

フローに至るには自分が集中して取り組める活動を探し、それに没頭する時間を多くすることだと個人的には感じる。
それはいわゆる自己実現に近い。
その時間が多くなってくると、この本でいわれるシンクロニシティ(共時性、意味のある偶然の一致)が起こり始める。

その意味では、エクササイズは自己実現のためのヒント集だともいえ、その利用法に私は意味を感じる。

2014年4月15日

読書状況 読み終わった [2014年4月15日]
カテゴリ 教育

アメリカの教育・心理学などの関係者で組織された使節団が、戦後日本のあるべき教育政策について提言した内容をまとめた報告書の全訳である。

まず読むと驚くのは、この内容に沿って現在の日本教育が作られていれば現在の教育衰退の論調は出てくることは無かったであろう、と思われるほど現在の日本における教育とはかけ離れて優れた提言であることだ。

解説にもある通り、この報告書は政治的な事情を超えて本音で日本の将来を考え、あるべき民主主義教育の姿を提言してくれている。
現在の教育改革議論は、まずこの提言内容さえ実現できていない原因を追及しそれを取り除くところから始めねば、歴史の繰り返しとなるばかりであろう。


具体的に優れている点は、教育を受ける側の独創性・自主性・多様性を尊重し、画一的な教科書教育を否定しているところだ。
良いカリキュラムは「生徒の興味」から出発する、とも言っており、現在の最新の教育改革案にかなり近いものがある。


もちろんその実現に向けての具体的な方法論は様々な考え方があると思うが、教育改革の根拠となる思想のひとつの基盤として引用されるべき示唆に富んでいるといえよう。

2014年4月3日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2014年4月3日]
カテゴリ 教育

本当に「伝える」ために、「文章での」コミュニケーションについての貴重で本質的なノウハウを示している本。
そして巻末で、著者が本当に伝えたいことである「人生のテーマ」を見つけることに言及。
何かを伝えるためには、自分が本当に伝えたいのが「何か」、人生のテーマともいうべきものに気づくことが大切ということ。


私のライフワーク上でも「伝える技術」「伝わるとはどういうことか」「認識論」は必要不可欠でこの本を読んだが、思わぬところで「ライフワーク」の発見が大切という主張にめぐり会い、この本の評価を上げた。


やはりライフワークの発見、言い換えると自己実現や自我の発見、シンクロニシティとの出会いというのは人生にとって大きな意味を持つ。
翻ってよりよい未来の構築には、この境地に辿りついた人々の連携、場の共有が不可欠だと最近は確信するようになった。

「何か自分も本を著してみたい」という気になった方には是非一読をお勧めしたい。

2014年4月7日

読書状況 読み終わった [2014年4月1日]
カテゴリ 教育

「気」を利用した頭の休ませ方を、2~3ページに1つずつ紹介していきながら、最終的によりよい生き方を提案していく本。

ロジックを重視する私としては、こういったそもそもの原理がはっきりしない「スピリチュアル」というのが苦手で、その内容がまったく頭に入ってこない。

…のだが、あまりに脳疲労がひどかった時期があり、その疲労回復になるのなら、と藁をもつかむ思いで購入してしまった。


確かに「気」という存在は得体が知れないが、多読をしてきた身としてはある程度方向性としては間違っていなそうだな、という疲労解消法も載っており、無碍にはできないのである。

効果はまぁ、偽薬程度にはあるかもしれない。
脳が疲れている女性にオススメ。

2014年4月10日

読書状況 読み終わった [2014年4月1日]

二項対立に明け暮れる現代の教育改革議論に対し、<よい>教育とは何かを根本から世に問い直す著者の、一般向けとしては2014年初現時点での代表作。

議論を進めるにあたり共通の了解を得るための土台に現象学を据え、規範主義や相対化といった教育議論が陥りがちな落とし穴を飛び越え、近年再評価されているというヘーゲル理論から<自由>の概念を教育へ適用。
その教育の本質と正当性の原理を確かなものとしたうえで、現実の教育がどのような原則を持って行われるべきか、まで示唆している。

その議論の緻密さと明快さは、広くこの書のアプローチの有用性と、共通了解を得られるのかどうかを世に問いたい意思となって溢れ出る。
一般読者が様々に想いを巡らせるにはまさに格好のバイブルであろう。
教育者、特に単に教育業界に従事している「ワーカー」には成り下がりたくない意識の高い人々にとっては、最近出版された氏の「教育の力」と共に必読の書である。

その緻密な論の進め方のため、にわか教育論者の私がどうこういうところもない。

直近の私の環境を交えていくつかの論点について感想を述べるとすると、まずこの議論はグローバルで共通して進めてこそ価値をなすものであると強く思う。

本書では多くを語られていないが、本書の<自由>の相互承認という発想を実効化するためには、すべからく世界の人々にこの意思を育てることが必要なのではないか?
中村清が『国家を超える公教育』で語っている「グローバル時代の公教育」としてのエッセンスも、相互に取り入れる必要があると感じる。


またその実践において語られる「学び(探求)の方法」では、できる・わかるの育みと共に本書で多くを語られていない「自己」「自我」の育みが必要と思われる。
自らの教養を身につけるためには、おそらくだが高度に発達した自我が必要条件になると想像する。
十分に自分の軸を意識できなければ、他人の軸に結果的に引き込まれることが多かったり、欲望の調整が適切にできないであろうからだ。
この軸の発達は教育の目的としては否定されているが、集団としてはまだまだ利用の価値がある。
(コールバーグ理論の『学校における対話とコミュニティの形成』
荒木寿友
『学習する学校』ピーター・センゲ)


私はこれらの議論から得た示唆をもって、労働者としての教育を受けさせられたが既にその役割を果たすべき社会が無くなってしまった「取り残された社会人」に対して学び直しの機会をもってもらいたいと思う。
守島基博が言う(http://www.recruit-ms.co.jp/research/2030/opinion/detail10.html)ように、取り残された社会人に対しては、asapでなおかつ極力低コストで個の確立を得るための教育を施す必要がある。

ミンツバーグの言うIMPMに近いのかもしれないが、このような先進の研究の示唆をもって社会人教育にあたりたいと思うのである。

2014年4月1日

読書状況 読み終わった [2014年4月1日]
カテゴリ 教育

ウォーターゲート事件で大統領を提訴したことで知られる弁護士の息子である著者が、この事件がきっかけで「社会性のあるリーダーを育てる」というライフワークに目覚め、その後の人生において起こる様々な「シンクロニシティ(共時性)」と、そこから派生するこの世界についての様々な示唆を著した本。

この内容に「シンクロニシティ」を感じたことが無い読者が接したとき、果たしてどのような印象を持つだろうか?

偶然、自分が望んだような結果が次々と起こる…これはかなり神秘主義的に捉えられることが多いのではないか。

しかし本書では学術的な立場からこの現象を研究している人物も数多く登場し、皆一様にこの現象の重要性に賛同し、また導かれているとも言う。


理論的にはユングに端を発してはいるが、はるか以前から認識されていたこの現象に至るための条件は何か?
本書ではその分野に関する知識についてはまだ石器時代にあるとされているが、「この世界に関する無意識の前提を崩す」「一心に求める」などいくつか得られる示唆はある。

シンクロニシティを得てこの本に出会い、日々シンクロニシティを感じている自分としては、ライフワークである「自己実現・自我の確立」とこの概念は切っても切れないものであると確信している。

また出典は示されていないが、バーナード・ショウの以下の言葉はまさに至言で、人生を賭けるに値する目的であるといえよう。

「これこそが人生におけるほんとうの喜びである。それは、自分自身がほんとうに価値があると思う目標のために全存在を傾けること。」

(旧版と同レビューを仮に登録)

2014年4月7日

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