- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004130017
感想・レビュー・書評
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歴史とは因果関係の連鎖をどのように評価、選択し、現代的問題意識から位置づけるかである。歴史家は時代性から逃れることはできないが、ある意味それでいいのだという。ポパーやヘーゲル、マルクスにも言及しながらカーの考える『歴史とは何か』が展開される。
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東大京大教授が薦めるリスト100選抜
No.69 -
我々が歴史家又は歴史学者から歴史的知識を得る時、如何に彼等からの価値観の影響を被っているかと言う事が説得力ある筆致で書かれている。我々の知識や視野が拡大、深化してゆく事で歴史的事実の因果関係に新たな解釈を生ぜしめ、それによってより広い世界観、思想を獲得出来る。ここにこそ歴史を学ぶ意味と歴史を記録してゆく価値があるのだろう。
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カーの歴史哲学(歴史そのものの捉え方)に関する主張を纏めた本。
論を縦横に何段も発展・展開させている上に抽象的な言い回しも多数ある為、まず流れを掴む事に大変苦労した。
本書のメインは「そもそも歴史って何?」という問題提起に対する持論を述べたⅠ章。歴史とは「単なる過去の連続的な事柄」ではなく、「現代の解釈によって変わりゆくイメージ」であると論じている。解釈する人や評価するその時代によって、事柄のイメージは変遷し得るものだと強調。そこで、解釈する側の歴史家の理解から研究すべし。という指摘に繋がるのが斬新だった。 -
書いてあることはよくわかる気がするのだが、古い上に誤謬を避けるあまりか表現が迂遠で言葉がややこしく感じてしまう。
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2014年1冊目
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歴史の教科書を読むことはあっても「歴史」とは何かという素朴な問いを考えることはあまりない。
未来の人間がその当時の記録をさかのぼり評価を下すことである。
ということは、つまりその評価者(歴史学者)の主観と記録に左右される。
筆者は、それを注意深く議論し歴史とは何かを丁寧に解説している。 -
歴史の考え方・見方を教えてくれる。
歴史とは単なる事実の集積ではなく、その事実を以下に解釈するかによって意味付けがされる。
また、歴史とは歴史家による解釈にほかならない。そして、その歴史家も人間である以上、彼らが生きた時代背景・環境・個人的性格に左右されることを免れない。この意味で完全に客観的な歴史はない。
では何のために歴史を学ぶか。我々人間にとって必要だから学ぶわけだが、それは環境に対する人間の理解力と支配力の増幅にほかならない。この意味で歴史は、他の科学分野を含めた研究と同質である。