歴史とは何か (岩波新書 青版 447)

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004130017

感想・レビュー・書評

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  • 歴史とは因果関係の連鎖をどのように評価、選択し、現代的問題意識から位置づけるかである。歴史家は時代性から逃れることはできないが、ある意味それでいいのだという。ポパーやヘーゲル、マルクスにも言及しながらカーの考える『歴史とは何か』が展開される。

  • 東大京大教授が薦めるリスト100選抜

    No.69

  • 我々が歴史家又は歴史学者から歴史的知識を得る時、如何に彼等からの価値観の影響を被っているかと言う事が説得力ある筆致で書かれている。我々の知識や視野が拡大、深化してゆく事で歴史的事実の因果関係に新たな解釈を生ぜしめ、それによってより広い世界観、思想を獲得出来る。ここにこそ歴史を学ぶ意味と歴史を記録してゆく価値があるのだろう。

  • カーの歴史哲学(歴史そのものの捉え方)に関する主張を纏めた本。
    論を縦横に何段も発展・展開させている上に抽象的な言い回しも多数ある為、まず流れを掴む事に大変苦労した。
    本書のメインは「そもそも歴史って何?」という問題提起に対する持論を述べたⅠ章。歴史とは「単なる過去の連続的な事柄」ではなく、「現代の解釈によって変わりゆくイメージ」であると論じている。解釈する人や評価するその時代によって、事柄のイメージは変遷し得るものだと強調。そこで、解釈する側の歴史家の理解から研究すべし。という指摘に繋がるのが斬新だった。

  • 読むことは、書くことによって導かれ、方向を与えられ、豊かにされます。書けば書くほど、私は自分が求めているものを一層よく知るようになり、自分が見出したものの意味や重要性を一層よく理解するようになります。p37
    ➡︎インプットはアウトプットがあって、はじめてインプットになる。
    http://ryohsblogtakk.blogspot.jp/2014/04/2.html

    〈Ⅰ. 歴史家と事実〉
    歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります。p40

    マルクス「歴史は、何も行わず、莫大な富も所有せず、戦闘もしない。すべてを行うもの、所有するもの、戦うもの、それは人間、現実の生きた人間である」p68-69

    トルストイ「人間は意識的には自分のために生きながら、人類の歴史的な普遍的な目的を達成するための無意識の道具になっている」『戦争と平和』p71

    【歴史の二重機能】
    歴史というのは、この言葉の二つの意味で―すなわち、歴史家が行う研究という意味でも、歴史家が研究する過去の事実という意味でも―一つの社会過程でありまして、個人は社会的存在としてこの過程に入り込んでいるのであります。社会と個人との架空の対立は、私たちの思考を混乱させるための陥穽に過ぎません。歴史家とその事実の間の相互作用という相互的過程―これは前に現在と過去との対話と呼んだものですが―は抽象的な孤立した個人と個人との間の対話ではなく、今日の社会と昨日の社会との間の対話なのです。ブルクハルトの言葉を借りますと、「歴史とは、ある時代が他の時代のうちで注目に値すると考えたものの記録」であります。過去は、現在の光に照らして初めて私たちに理解出来るのでありますし、過去の光に照らして初めて私たちは現在をよく理解することが出来るのであります。人間に過去の社会を理解させ、現在の社会に対する人間の支配力を増大させるのは、こうした歴史の二重機能にほかなりません。p77-78

    歴史家は事実と解釈との間、事実と価値との間に立たされているものです。彼はそれを切り離すことが出来ません。静止した世界なら、みなさんは、事実と価値との分離を宣言する義務があるかも知れません。しかし、静止した世界では、歴史というのは無意味なものです。歴史はその本質において変化であり、運動でありー古風な言葉に御反対ならー進歩であります。p197

  • 書いてあることはよくわかる気がするのだが、古い上に誤謬を避けるあまりか表現が迂遠で言葉がややこしく感じてしまう。

  • 2014年1冊目

  • 歴史の教科書を読むことはあっても「歴史」とは何かという素朴な問いを考えることはあまりない。

    未来の人間がその当時の記録をさかのぼり評価を下すことである。
    ということは、つまりその評価者(歴史学者)の主観と記録に左右される。

    筆者は、それを注意深く議論し歴史とは何かを丁寧に解説している。

  • 歴史の考え方・見方を教えてくれる。

    歴史とは単なる事実の集積ではなく、その事実を以下に解釈するかによって意味付けがされる。


    また、歴史とは歴史家による解釈にほかならない。そして、その歴史家も人間である以上、彼らが生きた時代背景・環境・個人的性格に左右されることを免れない。この意味で完全に客観的な歴史はない。


    では何のために歴史を学ぶか。我々人間にとって必要だから学ぶわけだが、それは環境に対する人間の理解力と支配力の増幅にほかならない。この意味で歴史は、他の科学分野を含めた研究と同質である。

  • 実はG・ソロスと言っている事は非常に近い部分がある。再帰性という概念は本書の中でも繰り返し登場する。
    本書を読む限りにおいて、著者は歴史家としてモダニストに分類されると思う。この本に出てくる歴史家たち(あるいは自然科学者を含めて)の歴史認識のタイプを分類するだけでもかなりトレーニングになるだろう。
    1950年代にしてすでに「進歩」という概念についても極端に負のイメージがついてしまっていることに驚く。

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