袋小路の男

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 894
感想 : 230
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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062126182

感想・レビュー・書評

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  • 距離感の物語か、これは。とにかく、自分が日向子の立場なら耐えられん。アーリオオーリオだけでよかったな。

  • この文体結構好きだな。俺もサプライズがない平穏な毎日が送りたいだけなんだ。少し村上春樹の雰囲気を感じた。事件はおこらないんだけど。

  • 最初の話だけだと、どうにもならない相手を思い続けるどうしようもない自分。でもそうするしかないんだ。みたいな、下手したらちょっとイタい女の話かとも思われかねないけれど、次の話があることで純愛感が出てくるというか。2人はきっとずっとこのままなんだろうけれど、それが正解なんだなと納得できました。

    3作品とも、穏やかでじんわりとしみる作品でした。

  • 「袋小路の男」絲山秋子著、講談社、2004.10.29
    166p ¥1,365 C0093 (2022.06.01読了)(2006.07.09購入)(2006.01.26/10刷)
    三つの短編が収録されています。「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」は、登場人物が一緒なので、合わせて一つの作品といいのかな、と思います。
    男女で在っても、人間と人間として色んな関係がありうるのかなと思います。だから、小田切孝さんと大谷日向子さんのような関係もありうるのかなと思います。
    「アーリオ オーリオ」を読むと、作家の方は色んな事を調べながら書くんだろうな、と思います。プラネタリウムとか天体のこと、清掃工場のこと、若者のこと、など。
    三つの作品の中では、「アーリオ オーリオ」が一番興味深く読めました。

    【目次】
    袋小路の男
    小田切孝の言い分
    アーリオ オーリオ

    (アマゾンより)
    大型新人作家による話題の川端康成賞受賞作。
    高校時代に出逢った「あなた」とは指一本触れないままの12年間、袋小路に住む男にひたすら片思いを続ける女を描き、選考委員に絶讃された究極の「純愛小説」。

  •  高1の大谷日向子は袋小路に住んでいる高2の小田切孝にぞっこん。袋小路の男は、成績優秀、彼女もいるのに、ソープランドに行ってばかり。そんな男に思いを告白。下着が増えた。小田切と会うたびに新しい下着をつける習慣がやめられない。決して見られることなどないのだが。腋と足のうぶ毛を剃る。私に色気がなかったのか。18年間、何もなかった。絲山秋子「袋小路の男」、2004.10発行。

  • ★2008年7月4日 53冊目読了『袋小路の男』絲山 秋子著 評価B

  • ??袋小路の男、小田桐孝の言い分:袋小路の家に住む男との袋小路の関係。ハンサムな小田桐に激しく惹かれた日向子だが、話したりデートはしてもらえるものの、一貫して彼女にはしてもらえず。ストレートに迫っても日向子にはわからない理屈ではぐらかされてしまう。他の男に走れば察して頻繁に連絡してくるが、戻ってくるとまた素っ気なくされる。けれどもお互いの考えてることはだんだんとわかってくる。そして、もう一編で、小田桐側の言い分、日向子からすれば勝手な言い分が語られる。最後の背中を向けたところに、長い付き合いから喜んでることを感じ取るシーンがいいな、と思う。最後まで詰まらなそうだけど、ちょっとずつちょっとずつ距離を縮めて行く感覚。以下備忘録。あなたが持っている最後の担保はカッコよさなのに、そんなのはひどい、裏切りだ/もっとも豊かな愛は時の仲裁に服するものである/おまえと縁を切るつもりはないけれど、俺は本当にいろんなことを諦めているんだ。これで答えになるのかな/けど追い詰めたりしない。しずかな気持/??アーリオオーリオ:清掃工場に勤める、理系のこと、特に星座が好きな主人公が、中学生の姪をプラネタリウムに連れていき、そこから文通がはじまり。人との関わりが苦手な三十代といろんなことに疑問を持ちストレートにぶつけてくる十代のやりとり。しつらえはほぼ違うのに、理系の父と娘のやりとり、池澤夏樹「ヤー・チャイカ」似た、涼やかな読後感。「人間は何もかも説明しようとするが、宇宙空間に言葉や数式は転がっていない。」

  • 宮下奈都さんのエッセイで、絲山作品が好きと書いてあってうれしかった。マイベストはその時々で変わるけれど、本作が今のベスト作品と書いてあって、しかも未読だったので読んだ。
    それぞれの不器用なありようがなんともせつない。切り取り方(終わり方)が潔くって、自分が置いてけぼりにされたようで、後を引くなぁ。

  • 表題作のなんとも言えない、けどなんだか皮膚で分かってしまいそうな感覚。なんなんだろう。
    一番好きなのは、最後の一遍。
    この距離感がいい。終わり方がいい。

  • なんで興味を持ったか忘れてしまったけれど、読んでみた。
    三編の短編集。二編は連作。

    表題作は題名が秀逸。
    二編目で、双方の気持ちが見えて、お相子な関係だと分かる。こういう関係はどうしようもない。
    まさに袋小路。
    本人達にもどうしようもないのだろうな。
    ここまでのことはなくても、男女関係恋愛には、どこかにこういう面がある。
    そういうところ、痛かった。

    反面、後の1編はなんだか、可愛らしかった。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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