白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451580

感想・レビュー・書評

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  • 自分の知ってる自分と、他人から見えている自分は必ずしも一致しない。
    一つの自分の行為を持ってしても、そのときの自分の意思と他人が理解するその行為の認識が異なる場面は少なくないし、自身の言葉と行動もまた非なるもの。それを意識して欺くために実行していたのなら、周りの人間は何が現実で何が嘘か知り得ない。

  • 本の1/3はTwitterを彷彿とさせるSNSサイト(実際に映画化の際はTwitter社が全面協力したそう)のタイムラインや週刊誌、新聞紙のスクラップ記事をイメージした「資料」が挿入されていて、本の作りとして斬新。ゲームブックみたいな感じ。小説が苦手な人でも、口語体だからすらすら読めると思う。

    ただ読後感のスッキリしない、嫌な後味があるミステリーをさす「イヤミス」に数えられているけど、それはどうだろう。
    ・滅多刺し、放火までするパワーは女にはない?
    ・動機は結局、ストレス?衝動的すぎない?(そんな簡単に人殺す?)社内物品の窃盗(せっけん込み)をばらされそうになってむかついたから殺すってあまりにも短絡的過ぎて納得できないし、そんな犯人像を示す描写はなかった
    ・芹沢ブラザーズの事故は城野さんのオカルトパワー?ただの事故?結局、何。
    ・資料は城野さんについてのものがほとんどで、犯人についての考察は少しだけ。これだけでは犯人がなぜ犯行に至ったのかを含む経緯が不明で作品として“放り投げ”感がないか?

    気になる点はいろいろあるけど読みやすかった。

  • 美人会社員が惨殺された不可解な殺人事件を巡り、一人の女に疑惑の目が集まった。同僚、同級生、家族、故郷の人々。
    彼女の関係者たちがそれぞれ証言した驚くべき内容とは。「噂」が恐怖を増幅する。果たして彼女は残忍な魔女なのか、それとも―ネット炎上、週刊誌報道が過熱、口コミで走る衝撃、ヒットメイカー湊かなえによる、傑作ミステリー長編。
    湊かなえのスタイルは、様々な人の目線からの事実を交錯させることで、人の語る事実がいかに思い込みと真実を増幅させた当てにならない物かを描き出していく中で人間の無自覚な悪意をあぶり出していく物が多いが、今回は美人OL殺人事件の容疑者の周辺の人々の証言を積み重ねることで、事実とかけ離れた悪魔のような容疑者の虚像が作り出され、事実とかけ離れた虚像や悪意が増幅していく展開を通して、自覚しない内に無責任な噂やデマが増幅していくネット社会や現代人の浅はかさを浮き彫りにしています。
    ラストの容疑者・城野美姫の「これでようやく私は外に出ることが出来ます。温かい場所に戻ることが出来るのでしょうか?いったいどこへ。そんなところなどどこにもありません。心を殺された私は、あてもなくさまようしかないのです」という一言は、背筋が凍りついた読後感を残します。

  • 「小説に参考資料…?」と驚いたが、章ごとに資料も読んでいくのが楽しかった~
    ストーリーと資料で内容が重複する箇所もあるので気持ちだらけてしまう感じもあるが、事態が大きくなっていく様や、事件の関係者たちが混乱に陥っていく感じを追体験できたのが面白かった!

    『自分の記憶で作られる過去と、他人の記憶で作られる過去。正しいのはどちらなのでしょう。』の一節がすごく印象に残ってて…読後に「どっちが正しいのかなあ」と反芻して考えてみるなどしたので、シンプルにいい時間を過ごせたなと思う。にしても、ネットや他人の評価に縛られすぎるのはよくないな…
    自分自身も知らず知らずのうちにしているんだろうけど、"自覚のない悪意"ってこわいね…
    最終的にギルバートとアンが結婚したように、二人の仲もいい方向にいってるといいなあ。by夕子推し

  • 非の打ち所がない女性社員が黒焦げの遺体で発見される。
    その真相はそれぞれの人間のインタビューによる
    独白形式で進む。

    事件の経過、真相そのものよりも、
    人間の思い込みの怖さ、情報操作されているかもしれない、という怖さがあった。

    自分もそうなのかもしれないな。。。

  • もしもし、起きてた?
    寝てた?じゃあ、今すぐ起きて。メールで済む話じゃないの。
    で始まった第一章。
    結果彼女に振り回されて終わった。
    読み返すとさらに彼女の必死さみたいなのが見受けられて痛々しくも思った。

    噂話や人伝に聞く話の信憑性。
    自覚のない悪意。
    それって、たとえ情報化社会になっていなくとも、ずっと変わらないダークな部分だよなぁ。

  • インタビュー形式の口語文と巻末の資料を並行して読んでいく構成は、新鮮で面白かった!
    噂話が脚色・誇張を繰り返し、捻じ曲がりながら拡散されていく恐怖を上手く表現している。

  • レピュテーションリスク

  • 思い込みって怖いなぁ〜。ネットって怖いなぁ〜。
    色んな人の視点から犯人と思われる人のことが語られ、巻末に結構たっぷりと載せられてるSNSのやり取りや週刊誌記事とを前後しながら読む斬新なタイプ。
    これ、映画になってたよね、井上真央ちゃんの。見てみようかな。どんなふうに映像化されてるんだろ。
    私は犯人最後のほうまで分からなかった。でもなんで火まで付けた設定にしたんだろ。そのほうがストーリーとして初めにインパクトを残せるからかな?火をつけるほどの理由はない気が…。

  • 久しぶりの投稿。
    図書館がしばらく休館になっていたため、手持ちの本がなく、ちびちびと、ゆっくり読んでいたのだ。

    またまた湊作品。
    映画化もされた一作。

    白ゆきなる名前の石鹸で有名な某会社の女子社員が殺される。容疑をかけたれたのは、その同期の社員である城野美姫。外見にコンプレックスを持つ。前半は彼女を追う記者、赤星のメモの体裁で物語は進む。彼女を取り巻く、同僚や昔の友人、家族などのインタビューにより、事件の真相に迫っていく。
    後半は、マンマローなる、インターネットのサイトでの書き込みと赤星の書いた週刊誌の記事の体裁、という、不思議なフォーマットで仕上がった一冊だ。新鮮。淡々と、じわじわと浮き彫りになる女性達の闇。さすが湊先生だ。
    映画は綾野剛くんと井上真央ちゃんか。何だかイメージ違うような…。アマプラに入っていたら見てみよう。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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