- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087711288
感想・レビュー・書評
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芥川賞受賞時からずっと読んでる作家さんだが、表現の仕方とか、すごく変わったし、うまい文章書くな~と思いながら読んだ。
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2018.4.15
女性の短編 -
綿矢りさがこんなグチャングチャンでドロドロで私小説風な作品を!
と驚いてみたものの、よく考えてみれば外見に似合わずそんなもの書く人ではあった。
しかし特にこの短編集では脳内ダダモレ的な文体が暴走してただならぬ事態になっている。 -
【こたつのUFO】
『永遠の若さよ、我が手に! どうしたらいいの、どうしたら手に入るの、京都民らしくお膝元のわかさ生活の作るブルブルブルブルアイアイブルーベリーアイのサプリでも飲んめばいいの。』
「人間トハ、ドウイウ生キ物デスカ」
「男と女がいますね。ちなみに私は女です」
「オンナトハ、ドウイウ生キ物デスカ」
「女は…他人の噂話が好きですね」
「ウワサバナシ」
「というのも、女は同調意識が発達してるんです。不幸も、周りの人たちがほとんど不幸だったら、大体受け入れられます。逆に周りが不幸で自分だけ飛び抜けて幸福なら、きまりが悪くなって幸福の質を落としてしまうくらい、周りをうかがう性質なのです。女は一生、自分にとっての本当の幸福なんか分からずに生きていく生き物です」
『宇宙人に、人間についての偏見を叩き込むのは、なんて楽しい作業だろう。人間を知らない宇宙人は「一概には言えないでしょ」とか「極端すぎるでしょ」「あなたの偏見でしょ」などと反論してこない。黙って空中に私の言葉を書き連ねている。細長い銀色の三本の指で、見たことのない指揮棒ような筆記用具を操りながら。』
「オトコトハ、ドウイウ生キ物デスカ」
「男は…、おっぱいが好きですね」
「オッパイ」
『知らないふりを決め込めば、簡単にやり過ごせる他人の心の機微や傷つきに、立ち止まる勇気がなくなってから、もうずいぶん経つけど、走った距離の分だけ心の空白は大きい。』
『今は炬燵がmy基地だけど、いつかUFOが迎えに来たら、迷いなく乗り込めるほど身軽に生きたい。何十年生きても、老いた証拠は身体にだけ残して、心は颯爽と、つぎの宇宙へ、べつの銀河へ。可能性はいつだって、外ではなく自分の内側に埋まっている。』
【履歴の無い妹】
「"本物の" "生の"写真なんて、私はいらない。嘘っぱちでもいいから、笑顔でピースしてる写真さえあればいい。人生で残しておく思い出は、安心で、たいくつな方がいい」
【怒りの漂白剤】
『『自虐の詩』という漫画は、生まれた時から苦労続きの主人公、幸江さんが色々あって心の成長を経て、「幸や不幸はもういい どうらにも等しく価値がある 人生は明らかに 意味がある」と感じる場面で終わるのだが、なんだかすごく感動した。』
【意識のリボン】
『私はかつて、月の香りをかいだ。ゆこうと思えば、いつでも、彼方へ。私は呼び続ける、愛しい人の名前を。身体が滅びても、時を超えて、いつの時代へも。』 -
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少女も、妻も、母親も。
女たちはみんな、このままならない世界をひたむきに生きている。
迷いながら、揺れながら、不器用に生きる女性たち。
綿矢りさが愛を込めて描く、八編の物語。
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表題作のほか、「こたつのUFO] 「ベッドの上の手紙」 「履歴のない女」 「怒りの漂白剤」 「声の無い誰か」
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エッセイなのか小説なのか、一読判断がつかないようなテイストの物語たちである。作家の葛藤のようなものも書かれているが、それも著者の胸の裡とは限らない。だからこその小説の愉しみだとも言える。その辺りにあれこれ想像をめぐらすのもまた愉しい。本作に描かれている女性たちの生き方は、一般的なものとは思えないが、彼女たちの生きづらさはよく伝わってくる。なかなか興味深い一冊ではある。 -
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初めて綿矢りささんの作品を読みました。
短編小説集でもなく、これは何なんでしょう…?
不思議な世界観の読み物でした。
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短編ばかり8編、これは随筆なのか私小説なのか、徒然なるままに書いた綿谷流徒然草または草枕?しかしあくまで短編小説なのだろう。結婚して家庭の近辺でしか小説のネタが思いついかなかったのか、ごく下世話な話が多かった。最後の意識のリボンは宗教にまで達観したのかとも思ったが、そうとも思えない。創作に行き詰まっているのだろうか?