華氏451度〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF フ 16-7)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150119553

感想・レビュー・書評

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  • 昨今のコンテンツの消費に通ずるものがあり、途中からドキドキしながら読んだ

  • 本が禁止された世界。見つかれば、昇火士によって
    焼かれる。
    それは、どんな社会なのか?
    人々の生活がどう描かれるのか、期待して読みはじめたが…。
    ストーリーとしてはシンプルだが、心理描写、周りの状況描写がすべて詩的な表現で、わたしの頭にはすぐに入ってこない。ある意味、回りくどい表現が多くて、ようやく、最後まで何とか読了できたといった感じであった。
    ただ、難解な文章ながら、この独特な世界を味わうことはできたと思う。

  • この小説に出会うことができてよかったです。
    すくなくとも、最後の文章を読み終わった後に、また始まりの一文を読んで、感慨深いというか、涙が湧くような、すっきりしたような感情を覚えました。
    感嘆の息を吐きましたとも、はぁ……(すごいものを読めた。嬉しい。ありがたい。)といった感じの。
    文章は詩的で、はっきりといえば好みは分かれるところであるけれど、第三部からの展開には息をのむような心地で、一行を噛みしめるように読んでしまいました。

    当然ながら、聖書引用がおおく必ずしも馴染みがあるものではないのですが、何となくでも意味は分かりますし、兎も角、言葉っていうものは……伝えるためのそれらというのは……すごいんだなという……。
    引き継いでいきたいです。

    本の感想とはまた違いますが、この本を読んでいる合間に見た夢が「互いに会話はできるのに、互いに言葉が理解できていない(ような)少女と、本の話をする。それ(ただし、それというのは本に限った話ではない)はプリンシパル(なんだよ、と少女が言った)」といった夢だったので、私にとっては、心から衝撃的な物語だったのだと思います。

  • S図書館 旧作1975年発行
    20220502 100分で名著

    《著者》
    レイブラッドベリ
    1920年生まれ イリノイ州ウォーキガン出身
    父親出版社
    様々な文学賞を獲得
    アメリカの重要な SF 作家の一人
    この本は1953年著 ゴールドメダル賞受賞の主な対象、映画化

    《感想》
    「図書館戦争」は図書館法を見て著作したとのことでこの本とは関係ないらしい
    第1章は1回読んだだけでは?が浮かんだ
    主人公ファイヤマンのモンターグ
    隣人、頭がおかしい17才クラリス
    二人の会話は会話になっていない
    しかし読み進めるとクラリスはまともなことを言っている

    第2章上司のビーティは本を相当読んだようなセリフ
    それに「やるならやってみろ、引き金をひけ」死の覚悟があったのか、それとも部下に殺されるはずがないと高をくくっていたのか?
    逃走中、どうなるんだ?
    身代わりに誰かが殺され、旅が始まっていく

    モンターグが1冊本を隠し持ってきたシーン
    見つかったらどうするんだと思った矢先、実は家に20冊隠し持っていたのだ
    殺されてしまうのではないかとスリル満点だ
    どうなる、どうなると中盤からスピードが上がった
    体言止めを使ったリズムがよかった

  • 本が焼かれるのが、民衆の生活様式が主導であったのが面白い。電車に乗ると、ほとんどの人が手のひらサイズのボックスを眺めている。youtubeやTikTokでは要約、ショート動画があふれている。テクノロジーという名のファイアマンが力を持つ現代は華氏451度の世界と変わりがない。そんな世界を生きる我々は何をするべきか?改めて考えさせられた。

  •  本が悪きものとして忌み嫌われ、見つかり次第家もろとも燃やされる世界が舞台の話。情報規制による弊害は本に限らず、テレビの報道も当てはまるけど、この世界では「本を"燃やす"」となっているところに視覚的なインパクトがあると思った。本だからこそ燃やせるし、没収せずに本人の家ごと燃やすというのが余計奪われている感を強く感じさせるというか…。
     一番印象に残ったのは、フェーバーが言った「本は"ちょっと待っていなさい"といって閉じてしまえる。人は本に対して神のようにふるまうことができる。」という台詞。自分が己を支配していると感じられるのは、本特有の性質なのかもしれない。
     ただ、全体を通して表現が難しかったので、読むのには苦労した。理解できていないところも多い。何周かする必要があるかも。

  • 千夜千冊の影響でSFに触れようと思って読む。読んだ他のSF作品に比べて詩的で色彩豊かな表現が多いところが印象に残っている。誰よりレイブラッドベリをもっと読みたい。

    読んでから結構時間が経っちゃってるけど、静と動のバランスが印象的だった。変な女の子クラリスとの会話→火事、スピード感ある陰謀、電子犬、逃亡からの森の線路を歩いて本と対話する、線路が続いていく。全編に通ずる文学的表現から炎の動きや光の当たり具合、炎に照らされて頬が熱を受ける感じ、空気感、画角を感じられるところがサイコーーーーーー、スケールの伸び縮みのぐいーんって感じ大好き。ドキドキしているうちに物語が展開して引きずられる感じが自分にとって気持ちいいんだろうな。予想を超えた表現に出会えるのが嬉しい。この本はまだまだ全然遠くてこれから読むごとに新しいことがわかるんだろう。

    本禁止なんて突飛な設定でありながらそれが浮かず、言葉や書物の意義に向き合う契機になっているところ。本に「残す」こと。死んだあとに読んでもらうこと、または「読んでもらえる」と信じて死ねること。作者にとっての本の意義は死んだら終わりだが、読者にとっての本の意義は本を中心に回り続ける。同じ書物が時代によって違う意味をもつ。

  • 終盤までは食い入る様に、終盤はクライマックスだけれどゆっくり読んだ、、

    ギリギリ予想できる未来
    全てを破壊する火と、人を護る焚き火と
    都市部と田舎と、、
    最後の破壊の場面は核爆弾のイメージ

    終わりまでにクラリスもう一回出てくること期待しちゃった


    「では」夜の街のずっと彼方でページを繰る、あるかなきかのサラサラいう音。「『ヨブ記』を」

    なにか、死んだときに魂の行き場所になるような、なんらかのかたちで手をかけたものを残すのだ。〜ものにどうふれるかのちがいだ、〜

  • SF物は普段読まないのだけれど「100分de名著」で紹介されていて興味を覚えて読んでみた。(「100分de名著」も全て観ていないけど)

    約70年前に書かれた物語とは思えないほど現代の問題に通づる事柄が題材にされていて読んでいてゾクゾクする面があった。
    思考の停止、情報操作、余暇を上手く使えない現代人……etcそういった問題に真正面から対峙していく大切さも学べた気がする。

  • 面白くて一気に読み進めてしまった。TVやSNS等、情報との関わり方についても考えさせられる

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著者プロフィール

1920年、アメリカ、イリノイ州生まれ。少年時代から魔術や芝居、コミックの世界に夢中になる。のちに、SFや幻想的手法をつかった短篇を次々に発表し、世界中の読者を魅了する。米国ナショナルブックアウォード(2000年)ほか多くの栄誉ある文芸賞を受賞。2012年他界。主な作品に『火星年代記』『華氏451度』『たんぽぽのお酒』『何かが道をやってくる』など。

「2015年 『たんぽぽのお酒 戯曲版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

レイ・ブラッドベリの作品

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