エール! (3) (実業之日本社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408551470

感想・レビュー・書評

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  • 小春日和/日明恩 ☆5
    災害救急情報センター通信員

    ラブ•ミー•テンダー/森谷明子 ☆4
    ベビーシッター

    シンプル•マインド/吉永南央 ☆3
    イベント会社契約社員

    彗星さんたち/伊坂幸太郎 ☆4
    新幹線清掃スタッフ

  • 【最終レビュー】

    予約著書・図書館貸出。

    〈6月:第1弾・7月:第2弾既読(同カテゴリにて)〉

    こうして月1で既読する中、影響を受けた度合が自分の中でかなり高かった

    〈エール!シリーズ:既読=完結〉

    ラスト・伊坂幸太郎さんの章を既読した、その瞬間

    自分でもわからないぐらい、いつの間やら

    『着飾らず、透明感のある清々しさ』

    そんな感覚を体感していたといっても過言ではないことを…

    登場人物の女性達一人一人、立場・境遇・環境・世代は全く違う。

    ―根本的に共通すること―

    紆余曲折、右往左往、遠回りながら

    『あらゆる「陰日向な場」』において

    日々、全うし、周りの人達の目線も通して見守られる中

    〈何かしら、ふっと感じた瞬間、自分にとって、大事で大切な『何かに気付くこと』〉を経て

    『自らの歩み』で、ささやかな一歩を、新たに前に歩む。

    〈いたって、ありふれてることだからこそ…〉

    『18のエピソードひとつひとつ』を通して『存分に得たもの』でした。

    最終章・特に印象深く残った内容

    6名の作家陣・全エピソード。

    ※各内容のレビューを…

    1.原田マハさん:ヴィーナスの誕生―La Nascita di Venere―

    どことなく疑問視だった『部分のひとつひとつ』の

    〈Q&A〉を大筋で、なるほど、こういうことかと頷ける内容。

    主催者=新聞社・マスコミが占める、カラクリの裏側あれこれ

    海外美術品展覧会開催までの『長期間の流れの経緯・裏側』

    美術品専用輸送に携わる『ハード、きめ細やかな「緊張感のある姿勢」』

    学芸員のあらゆる角度で携わる役割とは…

    心底から、アートの世界全般に興味津々、究極に好きでなければ、この世界はこなせないこと。

    アートのスペシャリスト=マハさんらしい『空気』が存分に詰まった内容。

    また、美術館・博物館に足を運びたいという心境に。

    2.日明忠(たちもりめぐみ)さん:心晴日和

    あまり普段クローズアップされない

    『消防・救急関連』

    男性社会の世界に女性が入っていく

    [理想と現実の狭間での葛藤。やりきれなず、どうしょうもない心情も抱え]ながら

    ある通報の緊迫感あるやりとり。

    的確に見極め、冷静沈着に対処できた時を境に以降

    『ありのままの自分の気持ちに気づいていくきっかけ』となる、新たな出会い…

    通報を受ける側の目線での

    『仕組み・システムの様々な裏側』がきめ細やかに詳細に書かれていて

    『通報する側』と『受ける側の立ち位置の違い』がかなりあること。

    このエピソードを通して、特に感じていました。

    3.森谷明子さん:ラブ・ミー・テンダー

    家庭と仕事の両立の裏側で活躍する役割を担う

    ベビーシッターに携わる女性のエピソード。

    日々普段から、自分が何を心がけないといけないかという『心構え・研鑽』

    ベビーシッターのNG要項

    ここぞということに、どう対処するかという『臨機応変な処置』

    こういった姿勢を持つことの重要性が描かれていました。

    タイトルに込められた

    『歌の持つ意味合い=主人公の女性自身への鼓舞』

    明子さんらしいなと感じましたね。

    4.山本幸久さん:クール

    最年長のお婆ちゃんが主人公。

    私的には、佐藤愛子さんを彷彿させるかのような…肝が据わり、舞台にも立ったことがあることの共通点を通して、そう感じました。

    農業を取り囲む過疎化の進行…

    現実を受け止めつつ、それにも決してめげず、前を向いて生きている間、移住してきた

    外国人の女性親子(母・娘)との交友、取材で訪れた女性アナウンサーとの出会い。

    彼女達との交友を通して、ほんの一筋の光と共に、彼女達と共に村で生きていくまでの過程が描かれています。

    [世間が知らないことを、知っている]

    お婆ちゃんのメッセージを通して、我々に投げかけられた

    [現実味という意味]がしっかりと込められていることを…

    5.吉永奈央さん:シンプル・マインド

    〈ナット・キング・コール:1954年作〉

    亡き母と主人公の女性=母娘の思い入れ深い『上記のある歌の空気』に沿うかのように

    地方都市を舞台にした

    野外コンサートイベントを巡っての

    せつなく、ほろ苦く、微妙なすれ違いを経て、その果てに、ささやかな何かを見つけていくというエピソード。

    +:イベントへの自治体からの補助金助成の切実な実状も、きちんと書かれていて

    こういう、表沙汰に決して見えない方々が携わっているからこそ、成り立っているんだということも理解できた内容。

    [笑って、つらくても、どうにかやっていける]

    今の私自身に一番とても有り難く感じ得た

    メッセージとリンクしているかのようでした…

    6.伊坂幸太郎さん:彗星さんたち

    母体には、何冊か既読していた

    羽田空港の清掃のスペシャリスト:新津春子さんの存在が背後にあったので

    掃除に関する様々な裏側のエピソード=春子さんを彷彿させつつ読み進めていました。

    世代を超えた男女が、業務に携わっていること。

    残った二割のスタッフが、創意工夫を施しながら、ひとつにまとまり業務に取り組む姿勢

    『小さなエピソードの数々』を通して、何かしらを得ていくこと。

    立派な光景そのものを、ひしひしと感じていました。

    [冷静であれ、親切であれ]

    [できる限りのことをやっているだけ]

    伊坂さんの内容を通して、一番に印象に残った『ふたつのこの「メッセージ」』

    こうして投げかていただけた「感謝」でいっぱいです。

    ―End―

    既読済の作家陣は言うまでもないですが、他の未知の作家さんの方々の内容を通しても、描写の秀逸さが感じられたりと

    〈エール!シリーズを通して〉の

    『新たなひとつの収穫』でした。

    他の作品にもチェックを入れてみようと思える著者の方もいます。後日、チェックを入れてみようと思います。

    仮レビューで書いていた既読済の作家陣の内容をそのまま、ラストに残しながら

    《エール!シリーズ―これにて『完結』―》

    ※最終章:既読済の著者の方々

    ○原田マハさん

    先月:『デトロイト美術館の奇跡』を久しぶりに既読。

    マハさんの領域・アート関連の内容。

    最近、未読だった著書数冊。今後、チェック予定(図書館予約貸出手続済)

    *デトロイト美術館の奇跡・既読レビュー(7.19)

    http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/4103317531

    ○森谷(もりや)明子さん

    久しぶりにチェックが入りました。

    図書館が舞台の著書を書かれていることを通して興味を持ち、以下の

    〈秋葉図書館シリーズ・2冊=文庫化されています〉

    自然で和やかな雰囲気に包まれた

    『図書館の描写』と『物語性』

    両方のバランスの良さが印象に残る作風。既読時=単行本で。

    *れんげ野原のまんなかで:14.2.9既読

    http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/448801710X

    *花野に眠る~秋葉図書館の四季:15.1.25既読

    http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/4488027431

    ○伊坂幸太郎さん

    森谷さんと同様、最近未読でした。

    〈物語に一番直結していた『引用著書の一冊=ノンフィクション』〉

    後日、この著書にもチェックを入れる予定。

    伊坂さんとの出会いは

    〈堺雅人さん主演映画:ゴールデンスランパー(09)・映画化原作本〉を通して。

    既読著書はありますが、ブクログ当初、レビューなし・記録のみの登録が多かったので

    最近の既読著書を紹介。

    *仙台ぐらし(エッセイ・文庫化されています)

    12.3.17~レビュー記載なし

    3.11震災当時、仙台の自宅にいた伊坂さんの生の目線を通して

    交錯する様々な想いの数々・エピソードなどが綴らています。

    伊坂さんの初エッセイ既読

    +震災当日、仙台において混乱していた生々しい様子が…

    これ以上は、表記はできません…

    *アイネクライネナハトムジーク

    14.10.17:既読レビュー有

    http://booklog.jp/users/sapphire913/archives/1/4344026292

  • 女性が主人公のお仕事小説アンソロジー第3弾。

    心が疲れた夜に、自分は運が悪い方から1万番目ぐらいかなぁ、よし、明日もがんばろうと思える物語。

    がんばってる人からがんばっている人へのエール。

  • エールという題目だけあり、どのお話も最後は頑張ろう!いいな♫と思える終わり方で読んでいて爽やか!そんな中にも自分に当てはまって感じる事もあったり。ちょっと読むのに楽しかった!2017/3/10完読

  • 書棚の都合で文庫本しか買えない私。

    しばらく大好きな原田マハさんの
    作品から遠ざかっていた。

    何冊かは出ていたが…私は彼女の
    美術作品への熱情がこめられた
    小説が好きなのだ。

    ふと見つけてしまった。ブックオフで。

    このアンソロジーのシリーズは
    もちろん知っていましたが
    手に取ったこともありませんでした。

    原田マハの名前についふらふらと。
    そうしたら…正解!

    同じゼミを優秀な成績で卒業した二人が
    ひとりはキュレーターとなり ひとりは
    美術品輸送の専門技術者となって再会し
    かつてイタリアで毎日会いに出かけた
    絵画を前に 黙して変わらぬ友情を交わす。

    この作品だけでも十分満足したのだが
    ほかの短編もそれぞれが扱う職業の「誇り」
    を丹念に描いていて秀作ぞろいだった。

    さかのぼってエール2 エール1も
    読んでみようと思う。

    ちなみに2には 
    これも大好きな作家 坂木司の作品があるのだ。
     

  • 働く女性にエールを送る短編集
    最後の伊坂さんの話だけ他の話とちょっと繋がってる。

  • 彗星さんたち 伊坂幸太郎

  • シリーズ1のあと、3を読みました。
    どの女性たちも一生懸命お仕事していて、ほんとにエールを送りたくなります。美術品輸送、災害緊急情報センター、新幹線清掃、ベビーシッターなどの、仕事の裏側を知る楽しさも味わいました。
    知らなかった作家さんとの出会いがあるのも楽しみでした。

  • お仕事系小説シリーズの第3弾。
    あまり心に響く作品がなく、かといって実力作家が揃っているだけにつまらなくもなく、淡々と読み終わった印象。

  • 6人の作家たちがお仕事をテーマに描いたアンソロジー。

    ・原田マハの美術品輸送・展示スタッフ…かつて美術を共に志した同期と仕事で再会する話。ライバルであり親友。複雑な心理がとてもリアルに描かれていた。

    ・日明恩の災害救急情報センター通信員…消防士を夢見ながらも現場の仕事をなかなか任せてもらえず思い悩む女性の話。

    ・森谷明子のベビーシッター…これは一番好きだったかな。姉妹の話。ベビーシッターを天職とする姉と、姉の背中をいつも追い、将来に悩む妹。自分の仕事に誇りを持つ女性って、やっぱかっこいいね。

    ・山本幸久の農業…今まで読んだことのないテイストの物語。夫に先立たれ、田舎で一人農業を続ける老婆が主人公。そこで起こる事件に巻き込まれるのだが、勇ましくかっこいいおばあちゃんが魅力的。

    ・吉永南央のイベント会社契約社員…イベント会社ってやりがいあるだろうな。毎回イベント毎に達成感あるだろうし。まあその分、失敗が許されないリスクを背負う仕事だけど。

    ・伊坂幸太郎の新幹線清掃スタッフ…伊坂さんの短編は珍しい。得意の新幹線がテーマ。主人公の30代の女性。喋るのがとても苦手で新幹線の清掃スタッフになったのだが、そこのスタッフたちとの不思議な妄想トークがなんとも面白い。大きな事件はないんだけど、引き込まれた。

    これ、第三弾らしい。1と2も早速図書館で予約しました!世の中には本当に様々な仕事があるんだな、と再認識できる。仕事をテーマにした小説って、疑似体験しているようで面白いね

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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