- Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488017682
作品紹介・あらすじ
生まれついての聴き屋体質の大学生・柏木君が遭遇した四つの難事件。芸術学部祭の最中に作動したスプリンクラーと黒焦げ死体の謎を軽快かつロジカルに描いた表題作をはじめ、結末が欠けた戯曲の謎の解明を演劇部の主演女優から柏木君が強要される「からくりツィスカの余命」、模型部唯一の女子部員渾身の大作を破壊した犯人を不特定多数から絞り込んでゆく「濡れ衣トワイライト」、そして深夜の温泉旅館で二人組の泥棒とともに"いったいここで何が起こったか"を推理する力作書き下ろし「泥棒たちの挽歌」の四編を収録。聴き屋の柏木君ほか、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生作家など、文芸サークル部第三部"ザ・フール"の愉快な面々が謎解きを繰り広げる快作。
感想・レビュー・書評
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とてもおもしろかった。
表紙イラスト、この人の画、すきだなー。
みると、つい手にとってしまう。
右側の3人が柏木と川瀬と先輩、か。
聴き上手な柏木は、いつのまにやら聴き屋なるものをしている。
ただ、聴く、だけ。
「ちょっと、聴いてよ。」とやってくる友人、他人、たち。
そしてそこからちょっとした推理が始まったり・・・・という感じの短編集。
まあ、聴き屋は関係なくとも、事件に突入したり、もある。
大学内の出来事あり、殺人事件あり、の多彩なおもしろさ。
柏木のテンションがそうなのか、語り口が、なんとなく、安定感がある、
とゆーか、なんかとても読みやすい。
会話のテンポもよいし、合間に入ってくる、ちょっとしたエピソードとかが
笑えて楽しい。
フールで、作成されつつも、却下された、リレー小説、メッチャ楽しそう、読みたい。
東京創元社のこーゆー、いわゆるユーモアミステリー、というのか、は好きだな。
遊女姿で色気を振りまいていた川瀬や背後霊かくや、な先輩など、
個性派ぞろい。話にはことかかないのでは?
先輩と柏木の関係性は、色気めいたものはあるのか、ないのか?
デートか、な問いにはきっぱり否定しているけれど、微妙なとこなのかしら?
まあ、そのへんの色恋沙汰なくても楽しいからいいけど。
柏木自身は、そう突拍子もない感じはないのだが、変人ぞろいのフールの
メンバーなのだし、そうみえないだけでなかなかのくせものなのか?
優位に立てるときには立っておく、とゆーようなしたたかさもあるし。
シリーズ化するなら是非読みたい!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日芸出身の新鋭作家さんのデビュー作。
自身の学生生活がモチーフなのか、ここで
登場する人物たちも芸術学部に属する
変わった面々。 主人公は文芸サークル所属の
生粋の無害体質から、人の話をただ聴くだけの
「聴き屋」の異名をとる。そんな彼のもとに
様々な事件が持ち込まれたり、巻き込まれたり。
今作は4編が収録されていますが、日常の謎と
殺人事件の半々。大学生という設定上、やはり
殺人事件に巻き込まれるのは...さすがに
不自然であり、さらにそれに冷静に対応する
彼等には違和感が残ってしまいます。
日常の謎に絞った方が良かったような気もします。
ですが、どの事件も解決至る手法としては
ロジカルに拘った展開で丁寧かつ、会話という
手法によって分かり易く読ませてくれます。
その自体もポップで軽妙でユーモラスで
巧みに引き込まれます。さらには現代風の
学生達のキャラも厭味なく書かれていて
非常にスマートな印象。
続編も予定されてるようで...
広く受けそうで人気出そうですよ? -
生まれ持った「聴き屋」の才能を発揮して事件を解決する話。ライトな話からヘビーな話まである。 聴き屋の柏木くんをはじめ、登場人物がみんなして個性的なのが魅力。その魅力的な人物から繰り出される会話はウィットに富んでいて、労なくさくさく読み進められる。 私もこんな同級生や先輩に囲まれて学生生活を送ったら…毎日疲れそうだなぁ。良い意味で。なんて思ってしまった。
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作品全体がホッピングしているような感じ。ところどころに挟んでくるつぶやきにフフッとなってしまって、それがけっこう楽しい。会話が小気味よく、楽しい学生生活が舞台ということが良く伝わってくる。登場人物たちが個性的に描かれていて、芸術学部という設定が生きている。ダークでもなく、日常でもない、ライトライトミステリーという言い方が一番しっくり来るかな。肩肘張らずに読みたいときは、コメディタッチのこの本がオススメ。著者は、いろいろ入れすぎたと言っているが、これはこれでアリだと思う。
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誰のどんな話でも、しっかり聴くことができる。そんな大学生・柏木が「聴き屋」として、大学周辺で起こるさまざまなやっかいごとを解き明かしていく。
この「聴き屋」というのが(ミステリ作品のなかでは)大変便利な体質で、困りごとを抱えた人が自動的に彼の元に集まって、さまざまな情報を提供してくれる。なんかずるい。それはそれとして、大学の学園祭やサークル活動の描写がいい感じ。舞台が「芸術学部」ということで、超個性的な友人や、芸術系大学独特の雑然としたキャンパス内の空気がよく描かれているような気がする。主人公が探偵ではないので、事件に完全に決着がつくわけではないのでちょっともやもやした読後感ですが、それもいいかな。 -
謎も推理もあっさりなミステリー小説。
作者の手によって隠された舞台台本の結末を推理する「からくりツィスカの余命」が好き。
舞台が見たくなる。
主人公の柏木くんの聴き屋という設定はあまり楽しめなかったのが残念。
でも変人の集まったサークルというのはツボ。
登場人物がとても魅力的だからもっとサークルの話が読みたかったなと思う。
特に先輩がいい味出している。
続編も準備中ということなので次も読みたい。 -
ライトなタッチと強烈すぎるキャラ立ちでさらりと読める一方で、謎解きはかなりがっしり骨太本格。ノリの軽さに反して相当読み応えがありました。「泥棒たちの挽歌」での誰が殺したのかでも、どうやって殺したのかでもなく“どんな事件があったのか”を推理する趣向はかなり変わっていて、普通のミステリではお目に掛かれない逆転の試みなのですが、これが思った以上に上手く嵌まっていたのには感心しました。確かに、伏線から事件の存在を推理できています。最終的なオチによる、なんとも苦笑いを誘う気の抜ける読後感もまた良し。
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面白かったー。魅力的な登場人物だから、もっともっと読みたいと思った。
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軽妙。超面白い。登場人物が魅力的。続編読みたい〜。