地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

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  • 東洋経済新報社
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  • / ISBN・EAN: 9784492555989

感想・レビュー・書評

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  • 現役の経営コンサルタントです。素晴らしいの一言。「考える力」について、数多くの名著を引き合いに出しつつ、「あるある」なビジネスシーンに対して痛快に解説してくれます。

    本書はコンサルタントに限らず、全社会人にお勧めします。特に、若手2-3年目くらいの方に刺さるのではないでしょうか。逆に、5年以上のキャリアを経た人で「目から鱗」だった人は、真面目に危機感を持った方がいい。

    これだけ文字が多いのに一切退屈を感じさせないのは、まさに本書が論理的に構成されていることに他ならない。気持ちいいほどに読みやすいです。他のロジシン関連の本ほど尊大な口調でないことにも好感を持てます。現役時代はさぞ優秀なコンサルタントだったのだろうと想像します。装丁も綺麗なので、ずっと置いておきたくなる一冊。

    ---

    頭の良さは3種類
    物知り(知識・記憶力)
    機転が利く(対人感性力)
    地頭がいい(考える力)

    地頭の構成要素
    ベース: 知的好奇心、論理思考力、直観力
    3つの思考力:
    仮設思考(結論から考える)
    フレームーク思考(全体から考える)
    抽象化思考(単純に考える)

    地頭力にはひらめきを伴う右脳的な思考、「アート」とも言える直観力が必要

    回答者の目の輝きと地頭力は比例する

    狭義の仮設思考は「結論から考える」だが、「最終目的地から考える」と解釈することで適用範囲が広がる

    「情報がない」という認識が間違っている。必ず何らかの情報を持っているのにそれを使おうという姿勢がない

    「嘘でもいいから」は「現在分かっている情報だけで」の言い換え →「仮設思考してみよう」

    話が長いとは
    1. 話の内容がつまらない・分かりにくい・聞き手の興味に合ってない・趣旨から脱線している
    2. 所定の時間をオーバー
    3. いつ終わるか分からない

    ポストイットで整理して行く方法は、ボトムアップ的アプローチのため、思考の癖から脱却できず、完全に斬新なアイデアを抽出しにくい

    フレームワークでは、「その他」を作ったり、安易に改良してはならない。「その他」とは思考停止の兆候

    全体パフォーマンスはボトルネックで決まる。最終結果の精度を決めるのは「一番精度が低い」部分であり、それ以外のところは詳細に落としても精度向上に繋がらない

    選ばれたフレームワークが「専制的」になるデメリットはある。そのため、まずフリーにアイデアを抽出しつつ、並行して最適なフレームワークを選択する

    本質を理解していれば30秒で説明できる

    世の中で起きていることは、根本的な構造は全て同じになっていることが多い

    たとえ話の効用
    話のポイントを正確に把握していることを一言で表現し、それを一瞬にして相手に伝えられる
    例に出すことで、今後の対策や課題を議論しやすい

    守りの論理と攻めの直観

    知的好奇心の2種類
    問題解決に対する好奇心 Why
    知識に対する好奇心 What

    X軸で考えてY軸で行動できるのが地頭多能人

    地頭力とは、突き詰めると「離れて考えること」
    こちらから向こうへ離れるのが仮説思考
    部分から全体へ離れるのがフレームーク思考
    具体から抽象へ離れるのが抽象化思考

  • 期限を切って限られた時間を制約条件として仕事する癖付けする。
    タイムボックス。限られた時間の中で答えを出す。3分なら3分なりの、3週間なら3週間なりの答えを出す。

    少ない情報で仮説を立てる訓練。立てた仮説を検証して行く。
    手段からではなく、目的から考える。
    仮説思考
    売れないセールスマンになるな。
    自分の説明したいこと、売りたいことの説明だけの自分勝手なプレゼン資料を作るな。
    顧客にとってどんな情報が必要で、購入のための決め手は何で、顧客中心に考える。
    会議がミステリー列車になってないか。
    人生設計は自分の葬式から考える。(7つの習慣)
    本を読む姿勢もそうで、何から何まで逆説思考をすること。

  • タピオカ屋さんの年間売上高ってどれくらいなんでしょうね。。。 今度フェルミ推定してみよう。


  • ◾︎ 100字要約
    地頭力とは「離れて考える」という事である。好奇心から生まれる疑問を論理と直観で考える。そのために仮説やフレームワーク、抽象化思考が必要となる。知識偏重でなく、対人感性力と地頭力が必要な時代である。

    ーー メモ ーー
    情報量という観点からは専門家と素人の差が殆どなくなってきている。

    「コピペ族」の増幅に伴う人々の思考停止の危機

    インターネット情報への過度の依存の危機
    * 精度に疑いが残る
    * 陳腐化が激しい
    * 思考停止を招く可能性がある

    基本的な考える力のベースとなる知的能力を『地頭力』と定義した。

    「一億総白痴化」: テレビの普及に対して警鐘を鳴らした。

    具体的な訓練のツールとしてフェルミ推定を導入。地頭型多能人「バーサタイリスト」

    インターネットによる思考停止の危機を食い止める。

    頭の良さは、下記の3種類
    * X: 地頭がいい: 考える力
    * Y: 機転が効く: 対人感性力
    * Z: 物知り: 知識、記憶力

    インターネット世界の「ロングテール」現象

    旧来の会社経験で養われた「YZ平面」
    受験勉強で試される「XZ平面」
    知の触媒機能に必要な「XY平面」

    インターネット等で収集した情報、知識をこのXY平面の力で増幅させて新たな知を創造して付加価値を創出していくというのが理想的なサイクル。

    「結論から」「全体から」「単純に」考えるという三層構造

    ◾︎ 3つの思考力
    * 仮説思考力
    * フレームワーク思考力
    * 抽象化思考力
    ◾︎ ベース
    論理思考力(守り)、直観力(攻め)
    知的好奇心(原動力)

    人材育成のアプローチ
    * コンパス(個別の行動)
    * 磁石(思考回路)

    あらゆる思考の基本・土台となる考え方

    野球でいう地肩に似ている。
    ーー
    基礎な気がする、投げる動作が基本。
    Google社はフェルミ推定を入社試験から10年程経て、不採用になっている。
    ーー

    考える習慣をつける。

    バーサタイリスト(何でも屋)とは、適応力があってどんな分野でも実績を上げることができる人のこと。

    スペシャリスト、ゼネラリストらT字型人間は全て「Z軸」の特性のことを語っている。

    必要なスキルセットは知識の幅と深さではなく、「軸の転換」が重要になってきた。

    シカゴにピアノ調律師は何人いるか?
    概略計算能力(身体での空間認識能力)

    フェルミ推定とは、つかみどころのない物理量を短時間で概算すること。

    * 質問の内容が明快かつ身近なもの
    * 正解がない
    * 問題解決の縮図である

    Q 日本全国に電柱は何本あるか?
    ーー 個人メモ ーー
    人口1.3億人で1世帯4名ほど、都心はマンション中心であるため、密度は一般的な都市と一律で計算。大体3-4人に1つくらい。人口よりは多くないはず。有効数字2桁

    1.3×10^8÷4=3.25×10^7≒3.3×10^7(本)

    区分求積法の考え方も使えそう。
    基本は微分dxdy。単位面積の密度を計算して、市街地か否か(東京23区、横浜、大阪、名古屋、博多、仙台、さいたま、札幌…)を考慮して日本国土に積分。
    ーーここまでーー

    基本プロセス
    * アプローチ設定
    * モデル分解
    * 計算実行
    * 現実性検証

    日本の総面積は約38万㎢。
    (200km×1900kmの長方形でモデル化)
    合計本数は約3300万本。

    仮説思考を鍛える
    1. 仮説を構築する姿勢
    2. 前提条件を設定して先に進む力
    3. 時間を決めてとにかく結論を出す力

    フレームワーク思考力
    * 全体俯瞰
    * 「切り口」の選択
    * 分類
    * 因数分解
    * ボトルネックの発見

    抽象化思考力
    * 具体的事象→抽象化
    * 課題の本質→解放の適用
    * 本質的解決策→具体化

    結論から、全体から考えている人というのは、必ずはじめに目次を作るという行動パターンを持っている。

    情報収集の前に仮説を立てる癖をつける
    仮説に従った情報収集や、それによる仮説の修正、最終結論に至るまでの道筋を習得すべき。

    セクショナリズム?
    仮説思考とは「逆算する」こと
    ー自分からではなく、相手から考える。

    「自分が何を伝えたか」でなくて「相手に何が伝わったか」である。

    コミュニケーションにおける最大の問題は、それが達成されたという幻想である。
    バーナード・ショー

    この報告が相手にとってどういう意味があり、相手にどうしてほしいか。
    (目的の確認)

    人生設計を「自分の葬式」から考える

    どんな仮説を立てて、何のために情報収集をしようとしているのかを考える。→感度が上がってくる。

    限られた時間で答えを出す「タイムボックス」

    はじめの仮説にこだわらずに最新情報に基づいてフレキシブルに仮説を進化させる。

    フレームワーク思考力
    * 全体俯瞰力
    * 分解力

    フレームオブリファレンス
    個人ごとの「思考の座標系」
    相対座標と絶対座標

    精神的な座標系の違いといったものも同様にコミュニケーションの障害となる。

    言葉の定義の違い: マーケティング、開発

    個人の相対座標とは「暗黙の思い込み」
    絶対座標: 万人が理解できる共通の座標系

    図解すると、相手と同じ座標軸で話すことを意識しているということ。
    「同じ地図を見ながら」会話している

    ホワイトボードで座標系を合わせる。
    プロとは「その道の絶対座標」を持つ人のこと。音楽の絶対音感。
    ーー
    絶対音感があるから、プロというのはおかしいからおそらく十分条件。過程が抜け落ちている。誰でも知ってる簡潔な言葉で説明するのもこの類?
    professionalは元々宗教用語。医師や神父など高い倫理観を持つ人がベースにあったが、現代では高い専門性のみが広がっている。
    ーー
    フレームワークには死角が存在する。
    もれなくダブりなく(MECE)が原則

    同レベルの粒度を合わせる。

    フレームワークのタイプ
    * 対立概念型 賛成⇄反対
    * 数直線型 高中低
    * 順序型 起承転結
    * 単純分類型 都道府県
    * 異視点型 心技体

    KJ法は、これまでと違った切り口でのアイデア抽出や視点の抜けもれのチェックがやりにくく、普段思っていることの延長のアイデアの域を出られないという限界がある。

    株主資本利益率ROE
    ROE=当期純利益/売上高×売上高/総資産×総資産/株主資本
    =売上高当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ

    マクロからミクロへの分解。
    大分け→小分けにはヒトラーやスターリンの心がある。自分の考え方がいちばん正しい。

    スクリーニング
    キーアカウントマネジメント

    モデル化、枝葉の切り捨て、アナロジー(類推)モデル化でシンプルに考える。
    情報が意思決定を遅らせるということがあるから、枝葉を切り捨てる。

    要するにそれは何なのか?非常にシンプル。
    本質を理解すれば、30秒で説明できる。
    環境が多少変わっても人間の行動などの根本原理はそれほど変わらない。

    地頭力に一番必要な「考える」という姿勢。
    抽象化の概念の基本は、「共通点を探す」こと。

    論理と直観というのは、ある意味対比概念であるとともに地頭力のベースとして両輪とも言えるもの。

    仮説を立てるに当たっては、学者的手堅さよりも芸術的奔放さの方が大事。

    「発明は、最終的結果ぎ論理的な構造と結びついていても、論理的な思考の結果ではない
    」 アインシュタイン

    学校教育で知識を詰め込まれ、成長とともに「常識」という形で純粋に疑う心を失っていく。

    大企業病の特徴として、セクショナリズムと完璧主義がある。

    エレベーターテスト
    いつでも短時間で答えられるように頭の中を整理しておく。

    マジックナンバー3
    明確な根拠がある訳でないが、空間が三次元でできているのが何らかの形で影響しているのではないか。
    例: 守破離、心技体、走攻守

    1枚の絵で説明する「キラーチャート」
    一番端的にかつ全てを網羅する表現方法。

    夏目漱石『草枕』冒頭
    「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」

    地頭力とはつきつめると、「離れて考えること」ではないかと思っている。

  • 知識創造モデルが、情報の氾濫や検索サービスの進化により、どう変化しているのかを、考えるために一読。

    X軸:情報思考力
    Y軸:対人関係力
    Z軸:字頭力

    XYが大事であった時代から、専門知識を含め情報、知識調達のサービスが充実したことで、YZが大事な時代へとシフトしていると指摘。

    仮説思考力が問われているのに、思わずググらせて!と反応したくなるが、そこで自分の情報依存度に気づかされる。

  • なるほど、自分のことを「知的好奇心が旺盛」というのはもう辞めようと思う

    知識型(What)はクールじゃない

  • 全体から考えるフレームワーク思考力が足りないことがわかった。はじめに全体像を捉えた後で部分像へズームインの視点移動で考えられるようになるべき。
    地頭力のベースとなる3つの力は、仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力である。

    「仮説思考力」
    ・仮説思考力が必要な理由は、限られた時間の中で最善の結論を効率的に出すためである。
    ・結論から考えることで、できることではなく、やるべきことが見えてくる
    ・仮説思考のポイント ①前提条件を決めて前に進むこと。裏を返せば、課題の線引きを行い、課題を定義することになる。情報が足りなくても立ち止まらない。指示待ち族にならない。②どんなに少ない情報からでも仮説を構築する姿勢。いくら情報があっても足りないと思ってしまう。情報の洪水に溺れないようにするため。また、仮説を立てて目標感を高く持っていると、情報に対する感度が上がってくる。③時間を決めてとにかく結論を出す力。完璧ではなく、最善を目指す

    「フレームワーク思考力」
    目的は思考のクセを取り払って、①コミュニケーションを効率的に進める②ゼロベースで斬新な発想を生み出すこと。
    個人個人の相対座標と、共通の絶対座標を意識する必要がある。
    フレームワーク思考力は、大きく全体俯瞰力と分解力に分けられる。

    「抽象化思考力」
    抽象化思考力によって応用力を飛躍的に向上させることができる。
    基本プロセスは、①抽象化②解法の適用③再具体化
    必要なポイントは、①モデル化②そのための枝葉の切り捨て③アナロジーの考え方

    ・報告書は目次から作ってみる。全体俯瞰力が鍛えられる。
    ・コミュニケーションで1番重要なことは、自分が何を伝えたかではなく、相手に何が伝わったかである。

  • 考え方について。
    フェルミ推定のパートが蛇足に思えた。

  • 知識を得るための読書をやめよう。


    地頭力、ひいてはビジネス思考力を養うのに、フェルミ推定が適しているという。
    手持ちの情報と仮定を用いて、粗くもゴールまでたどり着く。ゴールまでの道のりを単純明快に、素早く示すことが重要。わからないから進めないではなく、わからないなら仮定を置いて進める。
    「できること(十分思考)」からやるのではなく、「やるべきこと(必要思考)」から考える。
    ビジネスは答えのない問題ばかり、常に情報は不足している状況下で答えを出す必要がある。

    ーアクションー
    ・ゴールまでの道のりである目次を作ってから仕事にとりかかる
    ・報告書はメインメッセージ→根拠の順番で仮置きして、あとは検証作業を進める

    ー例題ー
    ・シカゴにピアノ調律師は何人いるか?
    ・世界中で1日に食べられるピザは何枚か?
    ・琵琶湖の水は何滴あるか?

    ・日本全国にゴルフボールはいくつあるか?
    ・東京都内に駐車禁止の道路標識はいくつあるか?
    ・日本全国に郵便ポストは何本あるか?
    ・世界の1日の携帯通話時間の合計は延べ何時間か?
    ・国会図書館の蔵書数は何冊か?
    ・・・

  • 羊頭狗肉
    フェルミ推定の話は導入程度
    あとは、視点の転換とか、よくある話

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著者プロフィール

細谷功(ほそや・いさお):1964年生まれ。ビジネスコンサルタント、著述家。問題発見・解決や思考力に関する講演や研修を国内外で実施。『仕事に生かす地頭力』(ちくま文庫)、『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(共に東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『思考力の地図』(KADOKAWA)等著書多数。

「2023年 『やわらかい頭の作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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