気になる部分 (白水Uブックス 1087)

著者 :
  • 白水社
4.06
  • (181)
  • (166)
  • (118)
  • (7)
  • (6)
本棚登録 : 1462
感想 : 178
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560720875

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  スティーブン・ミルハウザーやニコルソン・ベイカーの翻訳で知られる岸本佐知子女史のエッセイ集。
     1993年から1999年にかけて、色々な雑誌に掲載されたものを集めたとのこと。
     テンポがよく、押しつけがましいところがなく、とにかく面白い。
     ちょっと話を盛っているなと思えるもの、虚実が入り混じっているもの、それどころか虚しかないもの、と内容は色々だが、どれをとっても面白い。
     この方の好きな作家や好きな作品などが、僕の嗜好と重なることが多く、まるで昔から知っているちょっと変わり者の女友達と会話しているような気分にさえなった。
     この方の他のエッセイもぜひ読んでみたいと思う。

  • 岸本さんのエッセイ、やはりツボです。
    本気で、真面目に、突拍子もないことを書いている感じがとても好き。
    けらけら笑って読みつつも、心の奥にじんわりと不安な部分(でも決して嫌なものじゃない)を残していく感じも。

    童謡(?)『一週間』の歌詞は、私も小さい頃から不思議だったのですが、岸本さんが真剣な目で「月曜日に風呂をわかしておきながら火曜日に入るとは尋常ではない」と語っている顔が浮かんでしまって、笑いを我慢できませんでした。
    また、名前も知らない映画の一場面や雑誌で何気なく読んだ漫画、印象的なCMソングなどをエバーグリーンとして挙げるシュールさに笑いつつも、気付くと何度も頭に浮かんでいるものってそんなものだよなぁ、と妙に納得もしてしまいました。

    岸本さんの翻訳した本にも俄然興味がわきました。
    ニコルソン・ベイカー作品を読んでみたいです。

  • あ…
    このエッセイは、今読んでる、『本のおかわりもう一冊』、『必読書150』、『小川洋子の偏愛短篇箱』とつながってる…
    本の世界も案外狭いのかもしれない。

    本というのは、各人それぞれに、いろいろな食べ物や飲み物に例えることができると思うが、私にとって岸本佐知子のエッセイは、鰻の肝焼きのポジションに近い。
    日本酒をちびちびとやりながらいただく肝焼きと、夜寝る前にお酒を飲みながら、あるいはベッドに横になりながら岸本佐知子のエッセイを読む時間というのは、共にとても嬉しくて、ただし、毎日味わうのはちょっと厳しいかな…と感じるポジションのものだ。

    毎日は要らないけれどたまに欲しい…だなんて、とても人間らしくて贅沢な欲である。

    2013.05.16 再読

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「鰻の肝焼きのポジションに近い。」
      上手い喩えだ!
      「鰻の肝焼きのポジションに近い。」
      上手い喩えだ!
      2014/06/20
  • 岸本佐知子さんのエッセイ集。

    どんなに一般社会で上手に生きられなくても、人は一芸に秀でていれば世の中生き抜いていけるんだなぁ、なんて思ったり…。

    「社長がどんなことを言おうが、怒ろうが笑おうが、ホクロはいつも超然としてそこにある」
    電車の中で読みながら、必死で笑いをこらえた。

  • 本を読んでこんなに笑ったのは初めてです。

  • さいしょのエッセイ集だろうか
    面白いネタが多く
    結果おもしろいエッセイ集になっている
    女性版穂村弘というにふさわしい

  • 小川洋子『とにかく散歩いたしましょう』に出てきた本。
    それまで存じ上げなかったけれど本業は翻訳家。
    翻訳業の前はサントリー宣伝部勤務という変り種の経歴。

    翻訳家ということもあるけど世界に対する感覚が敏感で独特。
    こういう思考大好きだなあと思う。

    幼少期から社会人生活、翻訳家生活のエピソードや思考のぐるぐるをネタとしたエッセイで、たまにファンタジーのような内容が出てくる。
    なかなかここまで振り切れた人はいないだろうと思い、多少のフィクションはあるだろうと思いつつも、いや、本当にぶっ飛んだ人かもしれないと思う。

    冒頭の「空即是空」に書かれている、
    「数学心のないひとは1+1=2の大前提を心のどこかで信じていない人」という記述でもう私の心は鷲掴みである。

    ユーモラスで突拍子もない。
    小川洋子の本で出てきた、というバイアスを除いても、小川洋子の小説世界に近しいものを感じた。

    http://www.horizon-t.net/?p=655

    • mirutanさん
      > nyancomaruさん
      コメントありがとうございます。
      岸本さんの翻訳本は未読なので近いうちにチャレンジします。
      言葉の世界の深さを感...
      > nyancomaruさん
      コメントありがとうございます。
      岸本さんの翻訳本は未読なので近いうちにチャレンジします。
      言葉の世界の深さを感じさせてくれる稀有な人だと思います。
      2012/12/26
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「近いうちにチャレンジします」
      お節介ながら此れがお薦め!と書こうと思ったのですが、、、やっぱり癖が強くて。。。
      ミランダ・ジュライ「いちば...
      「近いうちにチャレンジします」
      お節介ながら此れがお薦め!と書こうと思ったのですが、、、やっぱり癖が強くて。。。
      ミランダ・ジュライ「いちばんここに似合う人」、ジャネット・ウィンターソン「灯台守の話」、リディア・デイヴィス「ほとんど記憶のない女」くらいを挙げておきます。
      2013/01/08
    • mirutanさん
      > nyancomaruさん
      お勧めありがとうございます!
      偶然本屋で『ほとんど記憶のない女』に出会ったので、これから始めています。
      …確か...
      > nyancomaruさん
      お勧めありがとうございます!
      偶然本屋で『ほとんど記憶のない女』に出会ったので、これから始めています。
      …確かに、かなり濃いですね。
      2013/01/21
  • タイトル通り、岸本さんの気になるところがたくさん。読みながら笑い出すので、電車で読むのは要注意!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「電車で読むのは要注意! 」
      ホント。。。噴出すのを抑えるために、顔が歪んでしまいました。
      「電車で読むのは要注意! 」
      ホント。。。噴出すのを抑えるために、顔が歪んでしまいました。
      2012/12/08
  • 無限に広がる妄想世界に、笑えて仕方ありませんでした。電車とかカフェとか、人がいるところで読むと、一人で笑って怪しい人になってしまいますので要注意です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「怪しい人になってしまいます」
      仕方ないですね、 岸本佐知子のエッセイを読むような人は、それだけで充分怪しいですから、、、
      「怪しい人になってしまいます」
      仕方ないですね、 岸本佐知子のエッセイを読むような人は、それだけで充分怪しいですから、、、
      2012/10/17
    • dailyharperさん
      えっ、そうなんですか?クラフト・エヴィング商會の「おかしな本棚」に載っていたので、知らずに読んだのですが…怪しい人間になってしまった…
      えっ、そうなんですか?クラフト・エヴィング商會の「おかしな本棚」に載っていたので、知らずに読んだのですが…怪しい人間になってしまった…
      2012/10/17
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「クラフト・エヴィング商會の「おかしな本棚」」
      クラフト・エヴィング商會を読まれるところからして、、、
      最高ですよ!
      「クラフト・エヴィング商會の「おかしな本棚」」
      クラフト・エヴィング商會を読まれるところからして、、、
      最高ですよ!
      2012/10/19
  • とても頭のよいことが読んでいても分かるのに気弱でとんでもない思考回路をもつ翻訳家・岸本佐知子さんのエッセイです。

    もうすごく面白かった…!

    ねにもつタイプもおもしろかったけどこっちは本当に声に出して笑ってしまいました。
    電車やバスでは読んではいけない本。

全178件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

岸本 佐知子(きしもと・さちこ):上智大学文学部英文学科卒業。翻訳家。主な訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、ニコルソン・ベイカー『中二階』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、リディア・デイヴィス『話の終わり』、スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』、ショーン・タン『セミ』、アリ・スミス『五月 その他の短篇』。編訳書に『変愛小説集』、『楽しい夜』、『コドモノセカイ』など。著書に『気になる部分』、『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)、『なんらかの事情』、『死ぬまでに行きたい海』など。

「2023年 『ひみつのしつもん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岸本佐知子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×