怪物はささやく

  • あすなろ書房
4.02
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感想 : 200
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751522226

感想・レビュー・書評

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  • YAものってひさしぶりに読んだ。
    毎晩見る悪夢、母はまだ起きてこずひとりで学校に行く支度をする少年……窓から見える丘とそのまわりをとりまく線路、丘の上にある教会と墓地、その中に一本そそりたつイチイの木……
    イギリスらしい暗さのある描写と、おどろおどろしい挿絵というにはもったいないモノクロの絵。
    とってもわくわくしちゃう。

    しかしながら話の運びはちと拙速にすぎたのではないかと思う。ゆとりを持って淀み歪みを膨らましていく感じで……そうしたらシヴォーンの原案からもっと出汁が出たのではないだろうか。

    少年の見る悪夢とはいったい……というのがやはり気になるところだが、これは何も捻ったところがない。
    そうなってくると物語自体の面白みというよりかは、ユング派のパンフレットのような気がしてくる。

    物語って本当にこういうもんかな?
    なんか安直に解しすぎている気もする。

    あーでも破壊の場面好きだな。怒りや破壊衝動をおさえないでいいんだよって……考えてみれば子供にしか許されないよな、そんな言葉もったいなくって。怒りの動機や怒りそのものの性質に可愛げがあれば大人も可。

  • 厳しい境遇におかれた少年が、怪物に導かれて成長していく姿を描いた作品。
    真実を話すのは、勇気がいることです。

  •  少年の罪と罰と救済の物語。オススメをお探しならこれを推すッ。息苦しいほどの苦悩と暗闇からの解放に激しく魂が揺さぶられました。

    『難病を患った母と二人暮しの少年・コナー。ある真夜中、彼の家にイチイの木の姿をした巨大な怪物が現れる。怪物は言う。
    「これから3つの物語をおまえに聞かせる。そのあと、お前は4つ目の物語をわたしに聞かせるのだ。おまえの真実の物語だ」
    そして怪物は語り始める……』

     読書感想文の課題図書に選ばれた児童書です。外見通り、挿絵に温かみはなく、陰鬱。さらに、いじめや家族との軋轢が描かれていて、失望感が増すばかり。本当に課題図書なのか、と疑いたくなるほどです。
     それでも読み進めてしまうのは、怪物の正体や物語の真意など多くの気になる点があるから。最大の謎は「少年が隠そうとする真実とは何か」。ある種ミステリーとも言えるため、終盤まで呼吸を忘れて一気読みでした。
     しかし、もう一つの魅力は真実を知った先。少年が本当の真実に向き合った瞬間、暗闇に光がさすような感覚を味わいました。ぜひこのラストシーンを体感していただきたいです。私は泣きました。
     久し振りに全力でオススメできる名作です。

  • ああああ。
    すばらしい物語だった。
    残酷な癒しの物語だった。
    ほんとうは、みんなわかっているんだ。
    これを課題図書に選んだ人センスあり過ぎじゃないの…

  • 表紙と中の挿絵と雰囲気が物語に合っている。
    ちょっと…つらい本ではあった。

  • ”物語はこの世の何より凶暴な生き物だ。怪物の声がとどろく。物語は追いかけ、噛みつき、狩りをする。”

    素晴らしかった。本を読んで涙が止まらなくなったのは本当に久しぶりだった。浄化、或いは昇華の涙だった。わたしに物語が必要だということは誰よりもわたしの魂が知っている。それを改めて突きつけてくれた本だった。

    許すことと許さないこと。そして、許せないこと。
    自分を許すことはほんとうはすごく難しいことなのかもしれない。

  • 怪物つながり

    怖い話かなーと思ったら泣ける話だった。
    母子家庭で、お母さんが癌になっちゃって
    学校ではハブかれて・・
    って話

    主人公かわいそう

    思ってたのとちがったけどいい話だった。

  • 切ないなぁ…それが怪物か…。
    主人公の少年の母は病で死に近く、離婚して外国に住んでいる父には新しい家族がいて少年の居場所はない。
    訪ねられる場所にいる祖母ともそりが合わず、学校でも孤立している。
    これが一昔、二昔前の児童文学であれば、最後には家族や友人が少年の心を救っただろう。
    しかし現代では、誰も当てには出来ない、ということを読者である子供が既にわかっている。
    自分を助けるのは自分しかいない。
    そこで、フィクションというのは大きな役割を果たす。
    フィクションそれ自体が救うことはないけれど、使い方次第でクッションにしたり足がかりにしたりすることは可能だ。
    色々と自分の好みに引き寄せた解釈かも知れないけれど、私は「怪物をささやく」はそれを上手く描いた作品だと思っている。

    でも、甘すぎると言われようと、やっぱり私は自分を救えるのは自分だけではない、と信じていたい。

  • 装丁がスゴイ。そのせいか、頁をめくると、スッと世界に入れる。迫力あるなあ。
    ガンの母親をもつ、主人公の少年コナー。ある日、庭のイチイの木が怪物になって話しかけてくる。3つの物語を話す、と木は言う。
    その間にも、母親の具合が悪くなっていってー
    人間は矛盾した生き物だ。

  • 私には難しかった。
    全てを理解することはできなかった。
    けれどもコナーの気持ちは痛いほど理解できた。
    愛する人なのにその存在が自分自身を苦しめる、
    いなくなれば楽になれるかな。そう考えてしまう。考えた後に酷く後悔して自己嫌悪に陥る
    また考える。それの繰り返しで答えなんで出なくて怖くなる、苦しくなる。
    イチイの木はコナーにとってきっと
    恐怖であり救いでもあったと思う。

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