「怒り」がスーッと消える本―「対人関係療法」の精神科医が教える

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  • 大和出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784804761848

感想・レビュー・書評

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  • 怒りがなぜ起こるのか?
    を紹介して、その対処方法や考え方の助言です。
    怒りを感じた時や、怒っている人に対しての考え方などが書かれていて参考になりました。

  • ○怒り=悪い感情 ではない
    熱いものを触ったとき反射的に手を引っ込めて火傷を防ぐことと同じように、怒りを感じることは「何らかの対処が必要な問題がある」ことを教えてくれる機能。したがって、怒りを感じたときにするべきことは問題に対して適切な行動をとることだけ。なぜ、自分が被害にあって怒っているのに適切な対処までしなきゃいけないのか?と思うのは当然だが、怒りによって損をするのは相手ではなく自分なので諦める。腹が立って仕方がない!という時には「誰が悪いのか」ではなく「自分は何に困っているのか」を考える。

    ○人を怒らせない
    相手に対する「評価」は怒らせる原因となるので絶対にしない。改善してほしいことがある場合にはその「行動」だけに焦点を当てて話す。反対に、自分が評価されて傷ついたときや怒りを感じたときは受け流す。評価とは所詮相手の領域の中で勝手に下されたもの。「ふうん、そう思うんだ」と言っておけばよい。また、例えばデートの約束をドタキャンされたとき、「埋め合わせは必ずしてもらうからね」「ドタキャンはこれで最後にしてよね」と「要求」するのは危険。相手までムカッとしてしまう。相手の領域に侵入して行動をコントロールしようとする発言はやめ、「近いうちに会えると嬉しい」と自分の気持ちだけを伝える。

    ○怒らないコツ
    「おまえが俺を怒らせた」などという人がいるが他人を怒らせることなどできない。きっかけを与えることはあっても、あくまでも怒っているのは本人。「粗末な扱いを受けた」と感じても、実は自分が勝手にそう思い込んで怒りを感じているだけかも?被害にあったと感じたときは「そう断言できるほどの証拠がそろっているか?」と考える習慣を身につける。確信できることなどほとんどないのに勝手に相手の行動の意味を想像して勝手に怒っていることも多い。

    ○怒りを感じにくい生き方
    人生全般を「やらされている」という被害者モードで生きていると怒りを感じやすい。机を整頓するとか靴を揃えるとか、ちょっとのことができないくらい気持ちに余裕がなかったら注意。散らかった環境の被害者になるのではなく、「まあすぐには綺麗にならないけど使ったものくらいは片付けよう」と主体的に生きている感覚を取り戻すと、人生を自分でコントロールできていると感じ、怒りを感じにくくなる。

  • 「怒りは困ってしまった自分の心の悲鳴」
    「怒りで損なわれるのは相手の人生ではなく、自分の人生であって、相手の対処を待つというというのは相手に主導権を委ねてしまっていること」
    「自分がとっさの怒りに囚われたときには、「単に自分の予定が狂ったから困ってるのだ」と考える」
    「人の言いがかりは、相手の心の悲鳴」
    などなど、短いながらも含蓄のある言葉が散りばめられている。

    著者は対人関係療法の専門家でもあり、その考え方をベースにしている。近年ではアンガーマネジメントのセミナーも増えているが、アンガーマネジメントがあくまでも「スキル」に特化しているのに対し、この本は、「怒りが生じた対人関係の現場において、それぞれの心に何が起きているか」に着目し、根底から怒りの意味付けを解体することを目的としている。

    語り口は柔らかで、卑近な例(夫が家事をしてくれなくてイラつく、自分のことを決めつけられてムカッとする)を用いている。可愛らしいイラストも添えて非常に読みやすいのだが、その実かなり高度なところまで踏み込んでいる。

    すべてを実践できないとしても、
    「相手を変えようとしない」
    「あなたを主語にするのでなく、あなたの行動で、私がこのように困っているというように伝える」
    「自分は状況をコントロールできる、という感覚を取り戻すと、被害者から脱して怒りを手放すことができる」
    といった実践的なアドバイスも多い

  • 怒りを抑えなくては…と抑圧して怒っていないふりをしてストレスをためて悪循環を生むのではなく、どうして怒りを感じているのか原因を知り対人関係療法によって怒りを手放していきましょうという内容でした。

    相手の領域と自分の領域をしっかりと区別して自分を主語にして話して要求ではなく依頼する、正しさにこだわらず今に集中するという感じでした。

    嫉妬と怒りの本を立て続けに読んでみたけど読んでる間中、自分が受けた不条理さを思い出してめっちゃしんどかった…。
    もっとハッピーな感じのアプローチの本が読みたい。。

  • この本を読んで、怒らない人になれるのかというと、難しいです。
    書いてあることは、怒りの事象に対する自分の受け取り方、見方を変えることになっている。
    小さな怒りに対するなら可能でしょう。本書に書かれている電車内で化粧をする事例とかなら。
    しかし、恨みのように何年も残ることには対応不可だと思いました。

    怒りの沸点が、もともと低い方向けの本です。
    私には合いませんでした。

  • 怒りが生じるメカニズムを分析し、生じさせないようにするための対処法が書かれている。
    自分は何に怒りを感じていて、どうすればよいのかがわかって気持ちが少し楽になった。

  • 怒りがスーッと消えるまではいかないが、ムッとなった時や怒りを感じた時に自分はなぜその状態になっているのかを一歩引いて考えるようにはなりました。お陰で以前より態度に出さなくなってきた気がします。また、他人の怒りや攻撃、批判との付き合い方も変わりそうです。

  • この本は引越しの掃除をしている最中に見つけて読んでみた。
    最近心が落ち着かないことが多かったので身の回りの整理整頓を心がけて、心穏やかに生きようと思っている時にはタイミングがいい本でした。
    すぐに読み終わるし、誰にでもどこかしかはひっかかるものがあるのではないでしょうか。

  • 水島広子さんの本が好きな理由は、わかりやすいから。

    それはもう、本当にこれ以上ないくらい理解しやすく説明してくれている。

    怒りはどんな時に起こるのか。
    私たちはどうしてそれを怒りと感じるのか。
    怒りを手放すためにはどうしたら良いのか。
    (なるべく)怒らないで生活していくことは本当に可能なのか。
    そして、相手にキレられたらどう対処すれば良いのか。

    水島広子さんは最初から最後まで、
    私の気持ちに添ってくれる。

    だから理論が腑に落ちる。

  • 各章ごとに「まとめ」があり、読みやすく、振り返りやすい本でした。

    ちょうど「怒り」を抱えた状態で読み始めたのですが、読み進むにつれて、ふわーっと緩み、ほどけ、主体性を取り戻す感覚を味わうことができました。

    水島広子先生の本、私には向いているようです。
    他の本も読んでいこうと思います。

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著者プロフィール

水島広子【みずしま ひろこ】

慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、対人関係療法研究会代表世話人、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン代表。主著に『自分でできる対人関係療法』『トラウマの現実に向き合う』(創元社)、『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』(紀伊國屋書店)、『怖れを手放す』(星和書店)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)、『自己肯定感、持っていますか?』(大和出版)、『「毒親」の正体』(新潮新書)などがある。

「2022年 『心がスーッとラクになる 世界の美しい文様ぬり絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

水島広子の作品

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