- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087211580
感想・レビュー・書評
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作為的でなく、中動態において相手が起こす不利益を受け止める(自分観点で結果をコントロールしない)という意味での信頼を前提に起こす(というよりオートマティカルに起きる)行為が利他ということかな。利己的な利他とか自己犠牲的な利他とは別モノ。中動態と責任の話は消化できてないけどもっと掘り下げて知りたいと思った。応答としての利他行為。
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様々な角度から「利他」とは何かについて書かれている。
単純に人に対して良いことをするという訳ではなく、より深く思考を進めていく。これによら、これからの世の中に必要なものの本質を見つける事ができるかも知れない。
特に中動態の考えは初めて触れるものだったので新鮮な感じがした。
意志の概念に「責任」の概念も関わっているというのは最初はピンと来なかった。しかしファシリテーションを行う際に各人に責任感をしっかり持てるかと考えた時にハッとなった。意志をしっかり持つと責任も生まれるのかと気付かされた。
利他を考えた時にお情けではなく如何に他者が変わる事ができるか、また自分自身も変われるか、倫理の問題と併せて色々と考えさせられました。 -
他社への関りはとても難しい。傍目に困っているように見えてもその人にとっては日常で、助けてもらう必要が無いと思っている必要もあります。
せっかく助けてあげようと思ったのにと、どうしても善意を踏みにじられたような、恥ずかしい思いをさせられたような気になる事もあります。
そんな他社への介在をどうやって考えていくか考えさせられる本です。 -
「利他」とは何か。
タイトル通り、利他的であることについて様々な観点から論ずる。本質的に絶対の利他は存在しうるのか、利己的な利他の点から。あるいは、利他はどこからやってくるのか。利他を民藝の観点から。意思を超えた中動態から利他を考える。そして、小説ははたして作者のものなのかという点から利他を考える。
こんな世界情勢だからこそ、今一度自信の「利他的であること」について再考したい。 -
「利他」の対義語は「利己」だが、両者はメビウスの輪のような関係性。
この世界の全てを「利己」と「利他」に分けたら、98%が「利己」で、残りの2%が「利他」、そのくらい利他というものは貴重。
「情けは人のためならず」という諺は、利他ではなく利己を表している典型的なものだと思う。ボランティアも同様。愛も。 -
利他とは、自分の都合より他者を優先すること、利己の対極と考えていたが、違う。
利他とは「うつわ」であること。
以下メモと感想、思い返したこと
伊藤亜紗さん、
耳を傾け、予測できない他者に出会い、計画倒れをたのしみ自らが変わっていく、ケアであること
中島さん
贈る、贈られるの意思のある行為ではなく、
自分の人知を越えたなにかで世界は動いていることをみつめることによって見えてくる贈与
若松さん
柳宗悦の民藝にみるような、他と自がひとつになっていることで、自他のあわいに起こる出来事としての利他
國分功一郎さん
意思によって帰責性を問うのではなく、
中動態として、加害者性、被害者性を同時に肯定する、応答としての責任の考え方
特にプリズンサークルの捉え方はとても興味深かった。tcによって、神的因果性(被害者)としての自分をみつめることが、人間的因果性(自分がやった罪)を見つめることにつながる
磯崎憲一郎さん
小説のうつわとして、存在する作家について
(最近読んだボルヘスの対話にもにている箇所があった。小説を書くことは繰り返すこと。大きな流れのなかで、さまざまな小説のなかでテーマは繰り返されていく。バベルの図書館にあるすべての本を読む必要はない。一部でいい。小説とは繰り返すことだから)
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記録
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利他とは容れ物であるというところが一番印象的。
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伊藤亜紗さんが気になって読み始めた利他に関する本。贈与とか寄付になんか変な違和感を感じてたけど、そーいうのを整理してくれた感じ。
言葉では言い表せないけど、利他について少し理解できたかなと。
若松英輔さんの柳宗主に関する見解もすごく興味深い。初めの頃は知識なくて、民藝って何だろ?って疑問に思いながらも、たまに展覧会観に行ってたけど、何度か観るうちに少しずつわかってきた感じ。
もう少し柳宗主さんについても知りたくなりました。