- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087211580
感想・レビュー・書評
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やや難解なところも
再読しようかな -
背ラベル:151.5-イ
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伊藤さんのうつわ的利他がよかったと思います。
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以前に『借りの哲学』を読んだので、恩を受けると負債の考えが生じるというのは何となく理解してました。利他は自己満足を満たすため、というのも。震災で炊き出しをしていた某有名人に対して「偽善」、「売名か?」というコメントを思い出します。
思いやりに満ちた世界の方が良いに決まっていても、なかなか利他には難しい側面があるのは事実です。個人の意識に対する小さい時からの教育と社会の制度、インフラ設備など、みんなが意識しないほど社会の仕組みに溶け込ませることが大事だと本書を読んであらためて思いました。 -
利他という言葉を最近になってラジオで耳にし興味を持つようになりました。なんとなく自分よりも相手や周りのために尽くす意味合いかと思っていましたが、利他にも色々あるらしいです。
本の内容は全体的に難しく感じましたが、利他について考える行為自体がとても大切な事なのだと感じた。何のための利他なのか、誰のための利他なのか。
一章 伊藤亜紗さんの
・利他は自分のためになる?
・数値化によって消える利他の感情
・他者のコントロール
・信頼と安心
が良かったです。
利他的な行為を行う上で自身が気をつけること、利他的な行為を相手から押し付けられた時の考え方等自分と相手の関わりの中で客観視するヒントを貰えたように思います。本の内容の中には心理学の返報性の原理やアドラーに結び付けられる箇所もあると感じました。
中島岳志さんの
・利他は私たちの中にはない
も良かったです。自分に置き換えて考えると分かりやすい。なるべく自然体でいたいですね。普段から気負わず背負いすぎず自分らしく過ごしていけば良いのだと思いました。 -
5人の識者が利他とは何か?について語った一冊。
第一章が一番わかりやすかったが、それ以降の章は少し難しい一冊だった。それでも本を通して共通していることがある。それは「利他とは意思を持って、意図してやることではない」ということだろう。
意図的に行う利他的行為では、どうしても与える者と受ける者という構図ができる。その両者の間には様々な落差が生じる。期待する者と期待される者。支配する者とされる者。
ではどうすれば、どうなれば利他が実現するのか?この本では、自分が器のようなものになる、我をなくす、という話が出てくる。宗教的な気もする。わかったような、わからないような話。 -
伊藤亜紗の「利他」についての概論が一番よかった。
なぜ今、「利他」なのか、ということが、まず知りたかったので、ジャック・アタリの合理的利他主義や効果的利他主義についての説明がありがたかった。
中島岳志のいう「利他」は合理的利他主義とは違い、湧き起こるものであること、親鸞のいう若松英輔の「利他」は民藝の文脈からの「ウツワ」にその本質を見出すものであった。特に中島岳志に関しては、意外。ここだけではわかりにくいので、中島岳志の「思いがけず利他」もこの後読んでみようと思う。
國分功一郎の言う中動態がなぜ「利他」と繋がるのか興味があったが、なるほど「義」がそうであったか。つまりはやむに止まれぬ、湧き起こる気持ちとしての「利他」を語るには中動態で説明できるということだ。
これは腑に落ちた。
自分の中に訪れるものを受け取るということ。
中動態は依存症や同調圧力に屈するような、自分の意志を超えてしまうマイナスの面ももちろんあるが、こういったプラスの面ももちろんあるのだ。(中動態はプラスもマイナスも無いので当たり前なのだが)
「利他」の「意志」を中動態で捉えると、中島岳志のいう「利他」と相通じる。そう考えると、納得できる。
(でも、中動態の説明は難しかった…。)
磯崎憲一郎のいう「利他」は文学の書き手がいざなわれる「利他」について。
いずれも、人間は「ウツワ」であり、「意志」は自分が作るものでなく、向こうからやってくるものだ、というのが彼らの「利他」の考え方だ。
それぞれのアプローチで「利他」が書かれているが、読み終わってもなお、世に広めるのは、最初に紹介された合理的利他主義、効果的利他主義でいいじゃないかという気持ちは変わらないな。
まずは、それで動こうというコンセンサスをみんなが持つ。情けはなにより自分のため、でいいではないか。
そうでなければ、間に合わないくらい、今世界はのっぴきならない状態にあるんじゃないかと思うのだが…。
ジャック・アタリのいう合理的利他主義「情けは人の為ならず」でないと、現代社会に届かないと(私は)思う。
「利他」とはそうではない、という彼らの主張の方が正しいのか見極めたい。