短編少年 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455892

感想・レビュー・書評

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  • タイトル通り、いろんな作家さんの、少年絡みの話を集めた短編集です。

    なんかこうスタンドバイミー的なジュブな気持ちになれたら良いな、と思って手に取ってみた次第ですが、やっぱ、一番面白かったのは伊坂さんの ”逆ソクラテス” ですかね。

    朝井さんの ”ひからない蛍”は、いろいろあって養護施設で暮らすことになった少年の話で、”桐島~” 以来ご無沙汰だった朝井さんでしたが、やっぱり良い感じだったので、他の作品も読んでみようか、と密かに思いました。

    他は、名前は知ってるけど読んだことない作家さんでしたが、柳広司さんの ”すーぱーすたじあむ” が良かったですかね。
    まぁ、高校野球は反則だよーとも思いましたが、いよいよ満を持して、噂の ”ジョーカーゲーム” を読むときが来たか、と思いました。

  • 「少年」がテーマのアンソロジー。
    小学生から高校生までいろんな少年がいました。
    伊坂幸太郎の安斎少年の鋭さと、
    あさのあつこの光一少年の親しみやすさとギャップのミステリアス感、
    小川糸の薫少年の利発さやさしさ、
    が、とても好みでした。

  •  少年を主人公とした短編集。未完成であり、常に変化をしている少年をどのように描くかは作家の腕の見せ所だ。売れっ子作家の共演であるので読んでいて飽きない。それぞれの作家が少年をどうとらえているかが分かる。偉そうなことを言えばどれもが一面をとらえているが、どれもが嘘っぽい。壇蜜のあとがきも秀逸。

  • どの話もすごくおもしろかったのだけど、なかでも好きだったのは
    山崎ナオコーラさんの「正直な子ども」と小川糸さんの「僕の太陽」
    前者はこうも子どもというか、人間の卑しさを正直に書くかと感嘆したほど。後者は涙があふれた。喪失と再生、そしてやはり小川糸さんが描くベルリンは魅力的。
    あとどこかで読んだ気がするけど伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」これはオチがすき。あのヒーローの安斎の描かれなかった苦悩。
    再読だったけど朝井リョウくんの「ひらかない蛍」は何度読んでも泣ける。

  • 伊坂幸太郎の”逆ソクラテス”があまりに良かったので、
    新刊の”ホワイトラビット”も読みたくなった。
    この少年の聡明さは加害者(父親)の息子という状況からきているのか…。クラスメートの男子が(先生にも軽んじられてる頼りない子)がプロの野球選手に誉められてほんとに野球選手になれたのはこの少年の講じた策が効いたのだろうし。
    ラストにすべてが集約されていく感じが好き。
    でもチンピラにはなっていたというのはほんとなんだろうか…。
    奥田英明の”夏のアルバム”も良かった。
    ナオコーラと石田衣良はいまいち入れなかった

  • 「どこにでもいるんだよ。『それってダサい』とか、『これは格好悪い』とか、決めつけて偉そうにするやつが」

    「自分が正しいと信じている。ものごとを決めつけて、それをみんなにも押し付けようとしているんだ。わざとなのか、無意識なのか分からないけど」

    図太くないうえに、誰かに上手に責任転嫁できるほど器用でもない。でも、しょうがない。これが、わたしだ。
    不器用でも、生真面目でも、融通がきかなくても、わたしはわたしを生きるしかない。

  • 集英社文庫2012年5月「あの日、君とGirls」7編中1編、「あの日、君とBoys」9編中4編、6月「いつか、君へBoys」7編中4編の計9編を集めて、2017年5月集英社文庫刊。よくできた話が多いが、既読が多かったのが残念。

  • デジャヴかと思ったら、昔のアンソロジーの再編集だったようだ。
    甘酸っぱかったり、ほろ苦かったり、etc…

  • 一冊の本で色々な作家と出逢い、そこから好きな作家の本を読む事を勧めてみようという思いがあったのですが、同じ作家の作品でも短編と長編はテイストが違いますね。
    でも、こういう形の本でたくさんの作家を知るのはありかな?

  • いろんな作者の作風が味わえるので良い。
    内容はどれも浅いけど。
    1話15分もあれば読めるので、通勤で読むのに適しているでしょう。

  • 少年をテーマにしたアンソロジー。好きな作家さんが多くて嬉しい。私は女なので、少年というと雑で優しくて危うくてアホで可愛い…という一般的な印象で捉えがちですが、男性が読んだら感傷的な気持ちになるのでしょう。女は生まれたときから女だ、というのはよく引用される言葉ですが、少年期は獣から哲学者へと変動していく。女性より成長の変化の大きい男という生き物を、物語として興味深く観察させていただきました。どれも面白かったです。手元に「短編少女」があります。さて私も感傷的になってみるか。

  • 短編少女より可愛らしい印象。成長していく少年たちがいじらしい。

  • 逆ソクラテス: ピグマリオン効果、俗に言う教師期待効果の話。 教師に期待されない草壁くんと、転校生の安斎くんと、そのことを思い出しながら語る主人公の話。 短編なだけあって大きな事件が起きるわけではないが、伊坂さんらしい物語運びに感動。 自分も教師として子どもに期待したいし、見下す雰囲気を作りたくはないなと感じた。 きっとこんな子はリアルにいないだろうけど、そんなのは関係ない。 短編で伝えたいことがしっかり、しかも面白く伝わってくるのはいいね。「ぼくはそうは思わないな」 使っていきたいね。 心の中でもいいから、受け入れちゃダメなことは受け入れないんだ。
    下野原光一くんについて:どこから来たのか。不思議な光一くんのお話。
    四本のラケット:中学生男子のテニス部の話。グーパーじゃんけん。 短いけどすっきり。
    正直な子ども:小学2年生のデブの栄と転校生の話。両親が教師で学校ではオネエキャラで変なことをしちゃう転校生。 家庭のねじれが学校で出るねって話??
    飛ぶ少年: ケガでバスケを挫折して心を閉ざした高校生のお話。(きっとイケメン!そしてそこはかとなくエロい) 短いし、根底には仄暗さがあるのに、絶妙なエロさと少年の歯痒さがまぜこぜになって、読みながら硬くなるようなステキな読書体験でした。

  • 「短編少年」
    少年をテーマにした短編9編を収録したアンソロジー。


    伊坂幸太郎。あさのあつこ。佐川光晴。朝井リョウ。柳広司。奥田英朗。山崎ナオコーラ。小川糸。石田衣良。それぞれがそれぞれの視点で少年を切り取ってます。佐川光晴は、初めてであり、柳広司の少年ものは読んだことが無かったので、良かったなと。


    ▪️逆ソクラテス
    個々のキャラクターから滲み出てる伊坂幸太郎風は変わらず。彼らは、大人と子供が共存する中で、どちらに傾く訳ではない絶妙なバランスの下、ふらふらと揺れている。また、伊坂幸太郎は、必ずと言って良いほどこれぞというキャラクターを用意しています。今回は、安斎。物語をリードし、最後はさっと悲しみと不思議さを残すやつ。


    ▪️下野原光一くんについて
    バッテリーのあさのあつこ。小学校から高校にあがるまで煙突と呼ばれていた円藤が、密かに見つめてきた光一くん。少年がテーマに見えて、女子視点のラブストーリー。青春らしい甘酸っぱく最後はかなしいやつ。


    ▪️四本のラケット
    佐川光晴という作家さんを初めて知りました。太二の中学テニス部では、昼休みにコートをぶらしがけする作業があり、それを伝統のグーパーじゃんけんの少ない方がやる。そんな作業でとある不穏な空気が(ま、普通に考えられる)。それを解決する太二に、父親の影響が出てほっこり。少年がテーマなアンソロジーなはずなんだけど、父親にぐっときました。


    ▪️正直なこども
    城之内栄。小学二年生。ぽっちゃり。今苦手なマラソン中だ。山咲王次郎。今朝転校してきた小柄な男子。開口一番の挨拶でAKBに入ることが夢という、くねくね女子見たく振る舞う。マラソン一位。出だしからすると友情を育むのかなと思いきや、何か後味がぞっとしました。本作の中で一番の味。


    と前半3篇と一番印象に残ったコーラさんのを書いてみました。小川糸さんのやつも、心がじーんときます。

  • 今人気の作家さんが少年をテーマにした
    短編作品のアンソロジーということで、
    どれもそれぞれに個性が出ていて、
    少年をあらゆる角度から描かれていて楽しめました。

    どの作品に共通していえることだと思うのですが、
    少年はどれも青春の甘酸っぱさが出ていて清々しく思えました。
    女性は幼い頃から既に独特な世界があるので、
    余計に少年の方が爽やかさが残ったのが印象的でした。

    特に印象的だった作品は「逆ソクラテス」、
    「四本のラケット」、「夏のアルバム」、「僕の太陽」でした。

    少年をまるでその側で見ているかのような心境になったり、
    心が揺らいでくじけそうになっている時には
    思わず励ましたくなったりと学生時代にタイムスリップしたみたいに
    きゅんとした心にもなれました。

    「夏のアルバム」ではストーリーが少し深刻だった
    ということもありますが、少年だけでなく、
    一緒にいる子ども達がとてもいじらしい気持ちが
    繊細に描かれていたので読み終えた時には涙がこぼれそうな切なく
    悲しい気持ちで一杯になりました。
    この夏の出来事がきっとこの少年は一生忘れられないのだろうかとも思えました。

    クラスに一人はいそうな男子、少年に出会えた気がして
    様々な気持ちにさせられました。
    また懐かしい幼い記憶と並行しながら読めるので、
    楽しく青春の一ページをめくったような思いにもなれたので
    こうゆう短編集も良いなと思います。

    読んだことのない作家の作品もここで読めたので、
    これをきっかけに他の作品も読んでみたくなりました。
    どの作品も読みやすいので男女問わず、世代を問わずに読めると思います。

  • 逆ソクラテス:伊坂 幸太郎
    下野原光一くんについて:あさの あつこ
    四本のラケット:佐川 光晴
    ひからない蛍:朝井 リョウ
    すーぱー・すたじあむ:柳 広司
    夏のアルバム:奥田 英朗
    正直な子ども:山崎 ナオコーラ
    僕の太陽:小川 糸
    跳ぶ少年:石田 衣良

    九人の少年。ちょっと??なところも有るけれど、男の子だねぇみんなそれぞれに ウン。

  • 短編集。
    少年独特の考え方、その自体の考え方。

  • 人気作家たちの「少年」をキーワードに書かれた短編集、全9話。

    ●伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
    最初、物語に入り込むのに時間がかかってしまったけど(私、野球が好きじゃないから)読み進めていくと涙が止まらなくなって何度も中断しました。家で読めばよかったな。「僕は、そうは思わない」思っていても口に出すのは大人でも難しい。小学生でそれに気づけることはこれからの将来きっとプラスになるんじゃないかな、と思い読んでいたらやはりそうかと納得でした。

    ●あさのあつこ「下野原光一くんについて」
    この方の本は読んだことがなかったので、新しい発見。
    学生の頃の甘酸っぱい何とも言えない青春で、身近にある話というか「私の経験話だっけ?」って勘違いするくらい情景が浮かんできて、すごいなと感じました。

    ●佐川光晴「四本のラケット」
    ●朝井リョウ「ひらかない蛍」
    ●柳広司「すーぱー・すたじあむ」
    ●奥田英朗「夏のアルバム」
    ●山崎ナオコーラ「正直な子ども」
    ●小川糸「僕の太陽」
    ●石田衣良「跳ぶ少年」

    印象に残ったものだけ感想書きました。

  • 山﨑ナオコーラさんの正直な子供
    もうさかえには、王次郎の言葉をどう受け止めたらいいか、わかるようになっていた。
    この一節がよくわからない。読解力ないのかな。


  • 「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎
    「下野原光一くんについて 」あさのあつこ
    「四本のラケット」 佐川光晴
    「ひからない蛍」 朝井リョウ
    「すーぱー・すたじあむ」 柳広司
    「夏のアルバム」 奥田英朗
    「正直な子ども」 山崎ナオコーラ
    「僕の太陽 」小川糸
    「跳ぶ少年」 石田衣良

  • 小川糸のおはなし、
    今回も食べ物と親子の関わりがたくさん書かれていて暖かい気持ちになった

  • いまひとつ。

  • 少年をテーマに9人の作家の短編集
    新しい作家さんとの出会いも期待して。
    やっぱりと言ってはいけないけれど、伊坂さんの話が圧倒的に残った。安斎少年についてはそれだけで書いたのを読みたいくらい。
    後世もザ・伊坂さん!だった。

    それでもパラパラと本をめくれば、どの少年も馴染みのある少年になって楽しく読めた。
    あさのあつこ 朝井リョウ 石田衣良は違うのも読んでみようかな。
    山崎ナオコーラは期待してたより馴染まなかった。けど、やっぱり気になる人。
    新しく発見できたからよかった

  • 期待していたけど、それぞれに面白いがまぁまぁだった。

  • +++
    人気作家陣が「少年」をキーワードに紡いだ短編作品9本を収録したアンソロジー。家族や友人との関係に悩む繊細な心情や、背伸びするいじらしさなど、少年の魅力がぎゅっと詰まった1冊。
    +++

    少年がキーワードと聞いただけで、魅力的だと思えてしまうのはどうしてだろう。少女にも少女にしかない魅力があるのだが、少年というものは、さらに純粋で一途で幼くて、背伸びしたがりで、単純明快で、屈折している。おそらく大人になって振り返ると、ばかまるだしで赤面する以外ない年頃なのではないだろうか。そんな少年にも、さまざまなパターンがあり、本作にもそんな彼らがぎゅっと詰まっている。愉しくて、微笑ましくて、きゅんとする一冊である。

  • 【収録作品】「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎/「下野原光一くんについて」 あさのあつこ/「四本のラケット」 佐川光晴/「ひからない蛍」 朝井リョウ/「すーぱー・すたじあむ」 柳広司/「夏のアルバム」 奥田英朗/「正直な子ども」 山崎ナオコーラ/「僕の太陽」 小川糸/「跳ぶ少年」 石田衣良 
     

  • 伊坂さんの逆ソクラテスが好き。
    短編少女に比べて、短編少年は幼さがある感じがする。

  • 話の数だけ少年たちが居て、背景も性格も年齢も違う。けれど全話に共通して、少年時代特有の純粋さや不安定さ、それぞれの出来事をきっかけに彼らが成長していく様が楽しめた。
    短編ではあるが、一話一話に心が動かされた。
    軽い気持ちで手に取った一冊であったが、しばらく、ふとした時に内容を思い出してしまいそう。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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