短編少年 (集英社文庫)

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感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455892

作品紹介・あらすじ

人気作家陣が「少年」をキーワードに紡いだ短編作品9本を収録したアンソロジー。家族や友人との関係に悩む繊細な心情や、背伸びするいじらしさなど、少年の魅力がぎゅっと詰まった1冊。(解説/壇蜜)

感想・レビュー・書評

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  • 人気作家たちの「少年」をキーワードに書かれた短編集、全9話。

    ●伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
    最初、物語に入り込むのに時間がかかってしまったけど(私、野球が好きじゃないから)読み進めていくと涙が止まらなくなって何度も中断しました。家で読めばよかったな。「僕は、そうは思わない」思っていても口に出すのは大人でも難しい。小学生でそれに気づけることはこれからの将来きっとプラスになるんじゃないかな、と思い読んでいたらやはりそうかと納得でした。

    ●あさのあつこ「下野原光一くんについて」
    この方の本は読んだことがなかったので、新しい発見。
    学生の頃の甘酸っぱい何とも言えない青春で、身近にある話というか「私の経験話だっけ?」って勘違いするくらい情景が浮かんできて、すごいなと感じました。

    ●佐川光晴「四本のラケット」
    ●朝井リョウ「ひらかない蛍」
    ●柳広司「すーぱー・すたじあむ」
    ●奥田英朗「夏のアルバム」
    ●山崎ナオコーラ「正直な子ども」
    ●小川糸「僕の太陽」
    ●石田衣良「跳ぶ少年」

    印象に残ったものだけ感想書きました。

  • 山﨑ナオコーラさんの正直な子供
    もうさかえには、王次郎の言葉をどう受け止めたらいいか、わかるようになっていた。
    この一節がよくわからない。読解力ないのかな。

  • ⚫︎感想
    「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎
    爽やかで切ない。
    「ぼくは、そうは、思わない」とはっきりと大人に言える軸のある少年像。涙。カンニング作戦、プロ野球選手の学校訪問。すごく良かった。

    「ひからない蛍」 朝井リョウ
    児童福祉施設の話。最後の手作り家族には泣けた。

  • 人気作家陣が、「少年」をキーワードに紡いだ短編集9編。
    まずは、伊坂幸太郎「逆ソクラテス」
    読みたかったので、こちらに収録されていてラッキーです。無知の知を知らぬ逆ソクラテス教師に それを知らしめようとする小学生達。
    あさのあつこ「下野原光一くんについて」
    少年を書かせたら間違いない、あさのさん。憧れて高校まで同じにしようと頑張った少女の前から、中学卒業と同時に親の倒産で何処かに去ってしまった少年。時を経ても残像が残る。最後は、時をかける少女風。
    佐川光晴「四本のラケット」
    友人や脱サラの父親との関係に悩む清い高校生。
    朝井リョウ「ひからない蛍」
    保護施設の少年達の寄り添い方。
    ジョーカーゲームの柳広司「すーぱーすたじあむ」思うように身長が伸びなかった元エース。
    それでも彼は負けてない。
    空中ブランコの奥田英朗「夏のアルバム」
    山崎ナオコーラ「正直な子供」
    小学生って、考えてるし、わかってる。
    小川糸「僕の太陽」
    自分の感情に正直な母親と支えるよくできた息子。
    親の背中を見て育つは、死語なのかしら。こんな素敵なよくできた息子が居たら、私なら真摯に生きていきます。
    4TEENの石田衣良「跳ぶ少年」
    石田さんの書く少年達が好きなんですよね。
    この少年は、打ち込んでいたバスケを怪我で諦め、今を悩む。カメラマンに声をかけられたところから、何かが変わっていく。危うい少年から青年になっていくんだろうなあ。

    小学生から高校生まで、少年達のきらめいた時間を堪能できます。

    • 土瓶さん
      集めたメンバーが凄いな。
      聞いたことないのは佐川光晴さんくらいか。
      集めたメンバーが凄いな。
      聞いたことないのは佐川光晴さんくらいか。
      2023/11/21
    • 土瓶さん
      続編として作家を変えて「短編少女」とか出してもおもしろそうだ。
      続編として作家を変えて「短編少女」とか出してもおもしろそうだ。
      2023/11/21
    • おびのりさん
      明日は、短編少女です。
      明日は、短編少女です。
      2023/11/21

  • どこか懐かしい、逞しくも繊細な少年時代の物語集で、サクッと読めた。
    特に「ひからない」と「すーぱー・すたじあむ」にひかれた。
    70冊目読了。

  • 2022/1/3読了。

    9人の超豪華作家さんたちによるアンソロジー。
    奥田英朗さんの「リバー」を読んだ流れで手に取った。

    どの短編も秀逸。
    長編を書くのはそれはそれは苦労もあると思うけれど、短いストーリーの中に世界観を埋め込むのはまた違う力が試されるのでは、と考えずにいられなかった。

    「逆ソクラテス」が人気だけれど、私個人としては、あさのあつこさんの「下野原光一くんについて」と、
    奥田英朗さんの「夏のアルバム」、そして小川糸さんの「僕の太陽」もとても好き。

    こんな素敵なアンソロジーに出会えて幸せ。

  • めちゃくちゃ豪華メンバーの短編アンソロジー。

    「逆ソクラテス」
    めちゃくちゃいい!
    ラストまで読んでから冒頭を読み直した。
    青春だー!
    最高!
    「僕は、そうは、思わない。」
    名台詞!!
    これはいい。

    「僕の太陽」
    これはもう最低。
    信じらんないこんな母親。
    でも稀にいそうだよなー!
    こういう弱い人。
    息子が可哀想すぎる。
    いくら夫のことが大好きだからって、
    これはないでしょ。
    こういう憤りを持たせることを意図して書いた作品なのか?
    小川糸さん、つるかめ助産院とかツバキ文具店とか好きだったけど。
    いやー、分からん。
    これで何を伝えたいの?

    私が息子を溺愛しすぎなんかもしれんけど、
    一般的には夫より子どもに傾倒するのが普通じゃない?
    子育てに必死で他のこと考える余裕もないし。
    息子が可哀想すぎるよ。

  • あさのあつこ氏の短編が子の国語のテキストで取り上げられていたので読んでみた。どれも秀逸、ひたむきな主人公が繊細に描かれてる。なさそうでありそうな話。電車に揺られながら読み、途中自分事ととらえ、母と海外旅行に行ったことを思い出したり、子のわがままを甘えとして受け入れてあげられてるかと自省したり、歩みをとめて自分を振り返ることができたひととき。

  • どの短編集も、「そこで終わっちゃう?!」というほどの絶妙なタイミングでふっと結末となり、読後感が良くないものもあった。けれど、私たちの記憶の中にある小学生のときの思い出は断片的なもので、印象に残っている出来事以外は削ぎ落とされていて、そう考えてみるとこの小説はそういった昔の思い出でしか陥らない感じを掴んでいて、少年時代にタイムスリップしているような気持ちになった。まあ私は女だけど。今回は「少年」だったが、次は「少女」も読んでみようかな。

  • 逆ソクラテスが1番良かった。

  • 2022/01/28

    少年たちのお話
    どれもキラキラした男の子たちの一夏を描いてるなぁという感じで、爽やかさを感じられた。
    一番好きなのは逆ソクラテス、下野原光一くんきついて、僕の太陽、かなぁ。伊坂幸太郎、あさのあつこ、小川糸が著者なんだけど、他の短編も有名どころの方が書いてた。

    逆ソクラテスの中で,他人に何か言われても,
    僕は,そうは、思わない。
    というの,すごく心打たれたなぁ

  • 壇蜜さんの解説にエロが、みたいなことが書いてあったけど、いまいちエロはわからなかった。壇蜜さんは変化の途中、みたいな意味で使ったのかな?
    逆ソクラテスは相変わらず励まされる。

  • 「逆ソクラテス」 伊坂幸太郎
    「下野原光一くんについて 」あさのあつこ
    「四本のラケット」 佐川光晴
    「ひからない蛍」 朝井リョウ
    「すーぱー・すたじあむ」 柳広司
    「夏のアルバム」 奥田英朗
    「正直な子ども」 山崎ナオコーラ
    「僕の太陽 」小川糸
    「跳ぶ少年」 石田衣良

  • 短編〇〇シリーズ!
    いろんな作家さんと出会えて、やっぱり面白い!!
    こりゃ絶対に再読だな〜
    短編少女も気になるー!!!

  • 小川糸のおはなし、
    今回も食べ物と親子の関わりがたくさん書かれていて暖かい気持ちになった

  • 伊坂幸太郎のこの話、ええ話やったよなぁ。てか、山崎ナオコーラ、なんやこの話?

  • 『少年』をテーマに9人の作家が書き上げた短編集。それぞれに異なる物語や世界から、あらためて少年ってなんてドラマチックなんだろうと。それぞれの作家さんが挨拶がわりに書いた作風、この本の魅力のひとつ。

  • なかでも"逆ソクラテス"と"下野原光一くんについて"が
    好き。

  • 【正直な子ども】
    嘘をついちゃいけないよ
    子供の時その言葉の真意がわからなかった。

    大人こそ嘘をつくじゃないか。都合が悪くなれば「冗談だよ」て言葉を盾にできる。思ってもない言葉を述べて「お世辞」なんて違った言葉にも変えられる。
    それなのに自分に向けられた「嘘をついちゃいけない」は、なんだか損をした気分ですんなり受け止められなかった。

    ある言葉を知った
    「別に嘘をついたっていいんだよ」
    「傷つける嘘、自分を守る嘘、誰かのための嘘、救われる嘘 いろんな嘘がある。だから大人になるほど嘘が必要になる。」目から鱗だった。ほれ見ろと言ってやりたかった。
    言葉は続いた「けど、嘘をつき続けられると何が本当なのかわからなくなる」
    「自分を救うための少しの嘘で誰かが被害をうける事もある。嘘をつかれた事でその人を信じていいのか悪いのかわからなくなる。場合によっては友達を失うことになるかもしれない」
    「子どもたちにそうはなってほしくないから「嘘はついちゃいけないよ」て伝えるんだよ」と。


    今回 正直な子どもを読み、上のことを思い出した。

    自分が壊した時計を元々落ちてたことにする事も、普段作っていたキャラと違うキャラで母親と接することも、別に誰かを傷つけたりはしない。

    何も間違っていることではない。
    ただ、それだけで人は離れていく。「そういう子」として受け取め、確実に仲間は少なくなっていく。
    大人でもいるよな…そう思わせる話だった。

    たくさんスッキリする話がある中で、自分の中を読後ずるずる占めるのはこの話。


  • 『少年』をモチーフにした9人の作家によるアンソロジー
    9人のうち4人は、初読みの作家で、お得感満載

    大人から見れば、どうってことないだろうけど、子供時代には子供なりの思いやルールがあり、その中で懸命に生きている姿が愛おしい 
    少年を描く9人それぞれの切り口が面白く、どれもありだなと納得する

    私が好きな作品は、『逆ソクラテス』『4本のラケット』
    『夏のアルバム』
    『正直な子ども』の栄君も、愛おしい

    小さい頃、親に言われて一番嫌だった言葉
    「子供は、知らなくていい。黙っておけ」
    「大きくなったら分かる」

    こんな一言で片付けずに、分かりやすく説明したり、子供には子供の思いがあることをわかってほしかった

    ミニ社会を葛藤し、子供なりの修羅場をくぐり抜け、折り合いをつけながら、成長し、大人になっていくのだろう

    どの作品も共通して、少年たちに良心がちゃんと育っていること。少年なりの気遣いを見せたり、思いどどまったりするところが好ましいと感じた
    現代のいじめなどの報道を見ると、目を背けたくなることが多い
    これらの作品が書かれた頃より少年を取り巻く世界は厳しくなっているということか
    現実は、そう甘くないと言うことか

    「短編少女」は、どんなふうに少女時代を描いているのだろう。かつては少女だった私は、そちらにも興味がある

  • いまひとつ。

  • 人物一人一人がどこか気になる要素を持っている、感情移入がしやすいなど全体的に面白いと思える作品が多くてよかったです。

  • 少年をテーマに綴られた短編作品9編を収録したアンソロジー。

    お気に入りは、
    *「逆転ソクラテス」 伊坂幸太郎
    小学生の頃、理不尽に向かって「僕はそうは思わない」そう言える人がいたらヒーローですよね。展開のドキドキ感、懐かしさも感じられる作品で面白かった。

    *「ぼくの太陽」小川糸
    お母さんの亡くなった旦那さんへの喪失感と、僕の痛いほどのお母さんへの気持ちが伝わってきてきて胸が痛くなりました。
    もの悲しい雰囲気なんだけれど愛に溢れた優しい物語。希望を感じるラストも良かった。

  • ちょっと面白いかなと思えたのは、伊坂幸太郎の逆ソクラテスぐらい。

  • 少年をテーマに9人の作家の短編集
    新しい作家さんとの出会いも期待して。
    やっぱりと言ってはいけないけれど、伊坂さんの話が圧倒的に残った。安斎少年についてはそれだけで書いたのを読みたいくらい。
    後世もザ・伊坂さん!だった。

    それでもパラパラと本をめくれば、どの少年も馴染みのある少年になって楽しく読めた。
    あさのあつこ 朝井リョウ 石田衣良は違うのも読んでみようかな。
    山崎ナオコーラは期待してたより馴染まなかった。けど、やっぱり気になる人。
    新しく発見できたからよかった

  • 個人的には逆ソクラテスが特にお気に入りです。
    小学生の頃を振り返ると、個人的には目上の人の意見・考えは正しいと信じている節があったなぁと今更ながら思います。親・先生が良いと言ったら良い、悪いと言ったら悪い。
    安斎君ほど主張が強かったら疎まれるかもしれないけど、子どもの頃こそああいう強さが必要だよなと思いました。

  • 何といっても、伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」が良かった。冒頭のシーンで、テレビを消した男が何を思ったか、が気になる。

  • 「少年」にクローズアップした短編集。
    思春期で不安定な心や身体、自分一人では生きられない・自由に居られないもどかしさ、その全てがほろ苦く甘酸っぱいものでした。
    「少年の世界」をこっそり覗いてしまった……というソワソワした気持ちになりました。

    ラストの『跳ぶ少年』(石田衣良)が生々しくてとても良かった……
    少年の気だるさと苦痛、全てが色褪せてしまった感覚、そしてそれを繕うことなく裸のまま写そうとするカメラマンの女性。
    心身ともに裸になった少年は美しいだろうな。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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