言語学バーリ・トゥード: Round 1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか
- 東京大学出版会 (2021年7月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130841016
感想・レビュー・書評
-
「数の女王」を書いた方の本、というだけで、全く前知識なしに読みました。
川添愛さん、って、こんな人だったんだ(笑)。
プロレス愛と、アラフィフ世代が通過してきた時事流行ネタ、パロディに溢れた一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今まで読んだ堅めの出版会の本で一番面白い。
言葉って何だろうと思う人にとって、柔らかめの出版社から出ている本よりもこちらの方がいいと思う。
著者の好きなプロレスも音楽もよく知らないが、気持ちが伝わる文章だった。 -
言語学の本だが、論文ではない。言語学についてのエッセーのようなもの。言葉(特に日本語)について、無意識に使っている表現や隠された意味と意図、言葉の変化など、「なるほど」と思わせる内容となっている。繰り返すが、論文ではない。半分はプロレスの話だし、脱線しているところの方が多いような気もする。でも、著者の言葉に引き込まれ、しっかりと言葉の不思議を認識させてもらえる。楽しい読み物でした。特に40代から50代の人は、本書の隅々まで楽しめるだろう。この意味は読んでみると分かる。私はいたるところでクスリと笑わせてもらった。
-
〇何度もお茶を噴き出しかけた。プロレスは詳しくないのだが、観戦したくなった。めっさ、おもろかった。言語学エッセイ?プロレス?
01:「こんばんは事件」の謎に迫る
→“あいさつ”をのぞくものは、また“あいさつ”にのぞかれるのだ。言語学的に
02:AI は「絶対に押すなよ」を理解できるか
→限定的にならざるを得ないのかな?YOSHIKI さま!チラ見されてますよ。
03:注文が多めの謝罪文
→(注)で煙に巻こう
04:恋人{は/ が}サンタクロース?
→情報をどこに持ってくるか。
05:違う、そうじゃない
→タイトルでマイクを握りたくなった。言語学者あるある面白い。
・外国語に堪能だと思われる
・言語のセンスがあると思われる
・誤用や言語の乱れに厳しいと思われる
06:宇宙人の言葉
→「宇宙人の言葉は地球人の言語とあまり変わらない」…マジで?!
07:一般化しすぎる私たち
→ほんそれ。でも自分の行動も振り返らねばー。
08:たったひとつの冴えたAnswer
→TERUさん!心が大切なんですね。
09:本当は怖い「前提」の話
→怖かった…
10:チェコ語、始めました
→「そんなの関係ねえ!」秘話、いい話だ。チェコ語には近付かない。
11:あたらしい娯楽を考える
→『散歩の達人』読みたい。変な文探しも、脳に刺激入りそう。愛を持って。
12:ニセ英語の世界
→Go to トラベルは、ニセ英語界では最弱。ニセ英語邦題の雄は?
13:ドラゴンという名の現象
→レジェンド藤波辰巳さんに捧ぐ
14:ことば地獄めぐり
→言語学者は猛獣。ら抜きはムズい。フォーマルな言葉、パジャマな言葉。
15:記憶に残る理由
→聡太きゅんは四冠になったぜ。
16:草が生えた瞬間
→ヤバい。私も「」とか“”をよく使う…。ヤバい、「…」もよく使うねんw w w -
「AIは『絶対に押すなよ』を理解できるか」というサブタイトルを見て読みたくなり図書館で借り、最初から面白くて電子書籍で購入。
日本語教師時代を思い出すとともに、来年から大学生になる予定の息子にも「言語学」を履修するかもしれないと思って勧めてみました。
もともと雑誌に連載されたもので、息抜きのために隙間時間にちょこちょこ読めましたが、またじっくり読み返したいです。 -
著者の本は「働きたくないイタチ…」に続き二冊目。同書は主にAIを用いた言語認識とその限界に焦点を当てたそれなりに硬派なものだったが、本書は著者の好きなプロレスネタが散りばめられた、よりフリースタイリーで肩の力の抜けたエッセイ集。ただ、タイトルや表紙から想起されるほどプロレスネタばかりというわけではないので、プロレスファンはやや注意が必要かもしれない。
「固有名詞や専門用語を相手に配慮しつつ使用する際に生ずる文章の入れ子構造」や、「コピュラ文『AがB』と『AはB』の解釈の多義性」などは実際かなり専門的な内容だと思うが、著者の軽妙な語り口のおかげで、ライトに言語学のエッセンスを楽しむことができる。作中で紹介される昭和から平成にかけてのプロレスネタはほぼYoutubeで見ることができ、並行して視聴するとより楽しめる。個人的には「魔装番長バンガイスト」なるWeb漫画にハマってしまった。
ただ、後半になるにつれ専門性が後退、やや知的な刺激が薄れるのが残念。そもそも言語学をテーマにした読み物は、日常慣れ親しんだ言葉の持つ意外な意味を読者の眼前に突きつけるだけでもそれなりに面白いものになるので、どうしてもハードルが高くなってしまう。次巻以降により意外性ある発展を期待したい。 -
言葉に興味がある人には是非読んでもらいたい。著者(1973年生まれ)と同世代の方には刺さる話題が多いので、特におすすめである。
学術書ではないとは言え、言語学がテーマの本でこんなに笑えるとは思わなかった。本文とリンクしたイラストも秀逸。 -
日本経済新聞社小中大
記事利用について
印刷 印刷
言語学バーリ・トゥード 川添愛著 思考の過程も活字で見せる
2021/9/25付日本経済新聞 朝刊
この本は、抜群におもしろい。
いきなり筆者基準の「おもしろい」という曖昧な情報をわざわざ書くのにはわけがある。言語学や日本語学に携わる最末端の人間として私見を述べることをお許しいただけるのであれば、言語に関する書籍というのは、専門性の高いもの、あるいは専門性の高いことを簡潔で平易に説明するもの、そして「正しいか間違っているか」という規範(ほぼ幻想)を求められるものが大半である。順に単価のそこそこ高い単行本、新書、ムックという形で世に出ていて、内容が興味深くて面白いものはあるけれど、思わず笑ってしまうという意味での「おもしろい」本は皆無といっていい。エッセー風の軽妙な文章で言葉について考える書籍はすでにファンの多い大御所の先生が書くことはあるが、決して笑っちゃう読み物ではない。
ところがこの本は、研究者としてはまだ若手といっていい年齢の川添さんが(読者のなかには『数の女王』の著者として認識している方もいるかもしれない)、身の回りで目にしたり耳にしたりする言語現象をキッカケとして、言語学のこれまでの知見をするすると紹介するという形をとっている。当然、これまで川添さんが生きてきたなかで触れてきたプロレス、ゲームや芸能ネタ、歌詞などが随所に出てくるのだが、これらをご存じなくても存分に楽しめる闇鍋的なエッセーにまとまっている。
ユーミンの『恋人がサンタクロース』はなぜ『恋人はサンタクロース』ではないのか。日本語教育でも「は/が」の問題は、一筋縄ではいかない事項のひとつだ。この問題をとりあげて、川添さんはいきなり結論にはいかない。言語学者としてどう考えたのか、その思考のプロセスを活字化してくれる。専門家は理路整然と結論に向けて語り、考えた時間や思考の過程を説明してはくれないものだが、川添さんはちゃんと寄り道した跡を書いてくれる。人間味がある文章なのだ。だから楽しい。
16のトピックからなる思考の小旅行。専門家でありながら、アカデミアに染まりきらずに少し外側にはみ出した人だからこそ見える諸問題は、どんな人にでも届く力を持っている。ちなみに「バーリ・トゥード」の意味は知らなくても大丈夫です。
《評》漫才師 サンキュータツオ
(東京大学出版会・1870円)
かわぞえ・あい 73年生まれ。専門は言語学、自然言語処理。著書に『ヒトの言葉 機械の言葉』『ふだん使いの言語学』など。 -
言語学については、高校生の頃大学模擬授業で、ちびまる子ちゃんで各キャラがまるちゃんをどう呼ぶか?を紐解いていくと、キャラとまるちゃんの心理的距離感がわかる。(内容はかなりうろ覚えだが)という授業を受けて興味があったという経緯があり、本屋さんで目についたこの本を手に取った。
連載記事のまとめなので、1話1話短めで各テーマも面白いし身近な例を使いながら紹介してくれるので読みやすい。筆者のテンションもあり、どんどん読み進めることができる。個人的に好きなのはGLAYのTERUさんと氷室京介さんの対談で、TERUさんが見せた見事な返し。うまいなあっと思わずメモってしまった。
他の本も読みやすそうなので手に取ってみようと思う。 -
新聞の書評で読んでKindle購入。
そういえば言語学の授業好きだった。
いい感じのめんどくささがあり、作者をちょっと追いたくなっている。