- Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309410777
感想・レビュー・書評
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京極氏参加してたの知らなかた!偶数は幻想系が多いとの噂はほんとだったなーという感じ。山田氏の中編が面白かったです。オチがいまいちふにおちなかったけど。あとはちょっと記憶に残らなかった。。。
吸血鬼のやつはちょっと設定が面白かったけど、移民扱いなのに人格はないの?なんか矛盾してないかな、私が読めてないだけかな、と撹乱されて終わりました。なんか、惜しい気持ち。
ドラマの原作小説とかって一度も読んだことないけどこんな感じなのかしら、と思ったものもいくつかありましたん。
京極氏はいつもどおり。かと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大森望の手による書下ろしSFアンソロジー第4弾。現代日本のSF界を担う作家たちの力作が今回も集結した。
毎回特に縛りをかけずに作品を募っているそうだが、不思議なことに何となく巻ごとのテーマのようなものが浮かび上がってくるのが面白いシリーズである。うねるように進化する日本SFの蠢きを目の当たりにしているかのようだ。
今回の収録作は下記の9編。収録順。
「最后の祖父」(京極夏彦)
「社員食堂の恐怖」(北野勇作)
「ドリフター」(斉藤直子)
「赤い森」(森田季節)
「マッドサイエンティストへの手紙」(森深紅)
「警視庁吸血犯罪捜査班」(林譲治)
「瑠璃と紅玉の女王」(竹本健治)
「宇宙以前」(最果タヒ)
「バットランド」(山田正紀)
この巻の特徴は、長編化もしくはシリーズ化したら面白いのではないかという作品が多い点だと思う。大学院生が謎めいた古墳を調査していく森田季節作品は、考古学SFとして新たな分野を開墾できそうだし、吸血鬼が第2種移民として受け入れられた東京の、警視庁を舞台とした林譲治作品などは、超常刑事ものとしていろんなパターンの事件を描くことができそうだ。
※ところで話は横道だが、この林作品において、労働力として吸血鬼移民を受け入れるかどうか揺れる国内に対し、沖縄県知事が「日本のために沖縄が在日米軍基地を引き受けろと言うのであれば、日本のために東京都は吸血鬼を受け入れるべきである!」と発言するシーンはいろんな意味で面白い。現在だったら「米軍基地」の部分が「原発」になっていたかも知れないな。
その他にも大企業に生息するマッドサイエンティストが、奇抜な発想と冴え渡る頭脳で社内で起こった人間消失事件を推理する森深紅作品は、短い枚数の中にも登場人物たちの個性がよく描き込まれており、うまくシリーズ化できればミステリーファンからも人気が出るんじゃないかと思う。
また大御所の作品も熟練の技でさすがの貫録を見せている。妖怪シリーズでおなじみ京極夏彦作品は、主人公である老人の世界と個人を巡る認識の転換が恐ろしくも心地よい。変種の「終末もの」と呼べそうだが、非常に静かな終末である。
SF界では『クー』『鏡面のクー』などで知られる竹本健治の作品も民話か伝説を読んでいるかのような話としての美しさを纏う作品。シンプルで絢爛で無慈悲な語り口は、物語を語り継ぐ高揚感を感じさせる。
そしてついに<NOVA>に初登場した大ベテラン・山田正紀はNOVA史上最長を更新する中編を放つ。宇宙の命運を握るブラックホール蒸発の危機に、自分が誰かもわからないアルツハイマーの老人詐欺師が挑み、その世界をコウモリの感覚から描写するという、一つ一つの要素だけでも一冊の長編が書けそうな濃密な作品。壮大かつ奇妙な冒険を堪能できる。
他にも、不条理な中にも割とちゃんとしたストーリーがある北野作品は相変わらず独自の世界を構築し続けている。同じく奇妙な味を持ちながら読み進むうちに驚くべき世界の秘密が明らかになる最果タヒの作品は、詩人らしくそれでいてツボを押さえたSF小説である。また上方落語をもとにした斉藤直子作品はある世代より上の世代なら琴線を直撃する面白さだ。
以上、9作品をこの巻では収録しているが、過去に刊行された巻をひも解いてみる。すると1巻には11作品、2巻には12作品が収録されているが、3巻には9作品しか収録されていない。収録作品数がだんだん少なくなる傾向にあるということは、一編ごとのページ数が増えているという事だろう。別にそれが悪い事ではないのだが、掌編やショートショートの割合をもうちょっと多くして欲しい気もする。
といってもこのNOVAは、前述したように編者がそれぞれの作品に縛りを設けているものではないのでハンドリングは逆に難しいと思うが…。
4巻目にもなるとさすがに息切れくらいするかと思ったのだが、それでもまだまだパワーは衰えていないようである。現代日本SFの息遣いに直に触れることができるアンソロジーだ。そろそろアンソロジーとしてのアイデンティティも確立し始めるところだと思う。アンソロジーがジャンルに影響をあたえ、ジャンルがアンソロジーを生み出すような循環が始まるまで、もうひと押しといった感じだ。
おそらく今後刊行されるNOVAシリーズは、表にでるにしろでないにしろあの震災の影響下で刊行されていくことになる。作家の想像力があの悲劇をどう捉えなおしていくのか、その過程を記す場になる…なんてこともあるかも知れない。まあそれはまだどうなるかわからないけど、今後も引き続き注目していかざるを得ないだろう。
前巻であれだけ力入れてPRしていた東浩紀作品は今回いきなり締め切りに間に合わなくて落ちている。残念だがそこらへんも楽しみに今後待ちたい。 -
斉藤直子『ドリフター』が面白かった。NOVA1の『ゴルコンダ』も好きだったので、もっと彼女が書いたものが読みたい!次点は北野勇作『社員食堂の恐怖』グロくてくだらなくて、ああ私ってこういうの好きなんだ、と認識した。
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(2011.7)
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最果タヒさんの小説があるときき購入。
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書き下ろし日本SF短編アンソロジーの第4弾。
今回は変化球ばかりと書いてあるが、SFとは名ばかりの話が多かった感じ。
その中で、森深紅『マッドサイエンティストへの手紙』と、林譲治『警視庁吸血犯罪捜査班』の2編は好みのSFミステリなので、もう少しがんばってもらいたい。 -
全体的にトーンダウン。最果タヒ「宇宙以前」、斎藤直子「ドリフター」の二点がなかなか趣ぶかくて面白かった。
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冒頭の京極作品は久々に巧いなあと感服。絵が浮かんでくる軽妙な描写に、とある視点の提示という意味におけるSFとしては、個人的な好みにピタリとハマる。続く2作も好み。竹本健治のお伽話も妙に好きだった。
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山田正紀が剛速球の癖玉(やまだまと勝手に名付ける)をど真ん中に放ってきます。
このアンソロジーは編者の作品の並べ方が素晴らしいのですが、『バットランド』は最後にくるしかなかったでしょう。
『最後の敵』や『かまどの火』を思い出させる話。
これだけでお腹いっぱいなのに、ほかも当然おもしろい。
珠玉のアンソロジー -
最后の祖父 所収
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今回は比較的SF度は薄めかな?。相変わらずバラエティに富んだ粒ぞろいのアンソロジーで安心して読める。
お気に入りは斉藤直子「ドリフター」、森田季節「赤い森」、竹本健治「瑠璃と紅玉の女王」。