愛人 ラマン (河出文庫 509B)

  • 河出書房新社
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感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309460925

感想・レビュー・書評

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  • 湿度の高そうなヴェトナムを舞台に、乾いた文体でフランス人の少女と中国人の哀しい愛が描かれている。

  • 原題も邦題もそのものずばりの題名なんですけど(笑)。映画化されたときにその内容で話題をさらった作品です。仏領インドシナで、富裕な中国人の「愛人」となったフランス人少女(著者らしい)の物語です。内容がどうというよりも、植民地に住む宗主国の人間というのは間違いなく富裕層だと思っていましたので、貧しさを乗り越える(→お金を引き出す)ためにこの関係を受け入れるというのが意外でした(フランス人はアジア趣味を結構尊ぶのですが、実は露骨ではないにせよアジア人を嫌っている側面があるので)。まぁ、「愛人」ですからそれなりの場面はあるものの(笑)、淡々とした描写が多くを占めます。結末もすとん、という感じで、かえってキレのよさを感じたものでした。話の運びとあわせて印象的なのは、冒頭の主人公のコスチュームです。よれよれのノースリーブのシルクのワンピースに、男物のベルトと帽子、ラメ入りのハイヒール(ファッション好きだから書いちゃいましたよ:笑)。ぼろっちいような、エキセントリックさをアピールしているような、やせてもかれてもフランス人な感じが印象的でした。映画では帽子や靴などがちょっと変わっていましたが、これはこれで「小生意気なフランス人の小娘」という感じが出ていてよかったです。河出書房新社さんから新訳で出ていますので(しかもサガンとカップリング)、また読んでみてもいいかなと思う1冊です。

  • 少女が女に変遷する過程を追う冷めた自意識の眼が恐ろしい

  • 流れるような文体は原文のほうがずっとすてき。まとわりつくような暑さのインドシナ、一見おだやかな水面のしたで荒れくるう大きな河、そしてかのじょの心。

  • 彼女固有の鋭さも多分にあるが、少女期特有の感受性の鋭敏さと残酷さが、ひりひりくる。しかし最近再読したら、少女にのめりこまずにいられない中国人男性の切なさに感情移入。なぜだ…。

  • 映画のイメージが先行してしまうが、小説は真面目なラブストーリー。<br>
    その時には「恋」と認めなかった。だけど、時間がたって甦る大切な思い出。<br>美しい自分と永遠の恋。

  • 18歳でわたしは年老いた―。あの青年と出会ったのは、靄にけむる暑い光の
    なか、メコン河の渡し船のうえだった。すべてが、死ぬほどの欲情と悦楽の物
    語が、そのときからはじまった…。仏領インドシナを舞台に、15歳のときの、
    金持の中国人青年との最初の性愛経験を語った自伝的作品。

  • ヌーヴォー・ロマン(ロブ=グリエ『反復』を同書店で紹介)の代表的作家デュラスによる自伝的小説。ジャン=ジャック・アノーにより映画化された。フランス領インドシナを舞台に男物の帽子を被り船の甲板に立つ十五歳の少女。その少女をじっと見つめる金持ちの中国人青年。湿度の高いインドシナを背景に全てが無になる欲情を描いた激しい性愛の物語。早熟な少女はどこか冷静に自分の性愛体験を捉えています。性に溺れても、愛には溺れないのがファム・ファタルのひとつの条件

  • 愛か恋か…恋なんかじゃない。否、恋だったのかもしれない…微妙な少女の心。遍歴多き女性ならば納得するはずの一作。若き日を省みよ。

  • 訳が日本語らしくないところ多し。ですが、淡い色が似合うステキな作品。

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著者プロフィール

仏領インドシナのサイゴン近郊で生まれる。『太平洋の防波堤』で作家としての地歩を築き、『愛人(ラマン)』はゴンクール賞を受賞、世界的ベストセラーになる。脚本・原作の映画『ヒロシマ・モナムール(24時間の情事)』、『モデラート・カンタービレ(雨のしのび逢い)』、『かくも長き不在』は世界的にヒット。小説・脚本を兼ねた自作を映画化し、『インディア・ソング』、『トラック』など20本近くを監督。つねに新しい小説、映画、演劇の最前線にたつ。
第2次大戦中、ナチス占領下のパリでミッテラン等とともにレジスタンスに身を投じ、戦後も五月革命、ヴェイユ法(妊娠中絶法改正)成立でも前線にたち、20世紀フランスを確実に目に見える形で変えた〈行動する作家〉。

「2022年 『マルグリット・デュラスの食卓』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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