菊と刀 (光文社古典新訳文庫 Cヘ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751692

感想・レビュー・書評

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  • 読むまでは「罪の文化、恥の文化」というイメージだったけど、意外に少なかった。読んでてなるほどな分析もあったけど、現代では消えてしまった価値観・文化に意識が行く。

  • 一ヶ月近くかけて読了。知り合いに大学生の必読書として紹介された内の一冊。様々な角度から語っているため内容は重複しやや退屈ではあったが、世に出てから50年がたった今でも新鮮味がある。

  • 借りたもの。
    恥を恐れ、自己鍛錬と礼を持って秩序を成してきた日本人。
    読んでいて納得してしまう。
    社会から、家庭から、今も日本の根底に流れているものを再発見し、その良い面、暗い面を想い起こす。
    日本のアイデンティティを分析した名著。同時に、アメリカのアイデンティティも垣間見る。
    ベメディクト女史は来日経験が無いという。確かに所々が眉唾だが、それでもよくまとまっている。
    当時、どういう観点からアメリカが日本の戦後処理の対応もわかる。
    とても読みやすい翻訳書。

  • 高校受験時に習った比較文化学のキーワード、「罪の文化」と「恥の文化」
    …やっと読み終わった~!!!1か月近くかかりました(^^;
    なぜなら、結構同じようなことがだらだら書かれている部分があったから。一度にたくさん読むには飽きてしまう…そういう意味で、★-1

    初版は1946年、半世紀以上も前に書かれた著作であるけれども、まったく色褪せていなかった。日本人の特性がよく表されていると思う。
    共感する部分が多々あって、自分は”THE 日本人”なのだなぁと思った。
    「ここが私のダメなところなんだよね…」とも思ったけれど、でもなんかほっこりうれしくもあった。
    これを、来日はせず書いたというのだから驚き!
    あ、あと、ルース・ベネディクトが女性であったことに驚き!←


    MEMO
    P.48・49 「敵の兵力には訓練で、敵の鋼鉄には肉弾で対抗せよ」
    「肉体がくたくたになればなるほど、我々の意志すなわち精神は高まり、肉体を超越する」
    P.243 「負けた側は、負けたことが原因となって「汚名を着せられる」。この屈辱に刺激されて、もっと努力しようと発奮する気になる」
    P.251 「日本人は侮辱によって引き起こされる憤懣を、何かを達成するための比類なき発奮材料とする一方で、それが呼び起される状況を制限している。」
    P.271 「日本人が繰り返している気分の反転がある。それは、ひたむきな努力を一方の極とし、どうしようもない停滞状態をもう一方の極として起こる。」
    P.352~354 「世間の目があるから、自重に努める。世間というものがなければ、自重する必要はないのだが。」
    「罪を犯した者は、心を打ち明けることによって安らぎを得られる。ところが、恥が主たる拘束力となっている場においては、おのれの過ちを打ち明けても心は休まらない。」
    P.478・479 「日本人の倫理は、方針転換の倫理である。日本は戦時中、「応分の場」を獲得しようと試み、そして敗れた。いまや、その方針を放棄することは可能である。なぜなら日本人は、それまで受けてきたさまざまな訓練の積み重ねにより、方針転換に応ずることができるように慣らされているからである。」「露骨な軍事力にもとづいて日本を建設しようとする努力が完全に破綻した以上、今後は平和国家の道を歩まなければならない、というわけである。」

  • 第二次世界大戦の終わり頃、アメリカでは日本の社会、文化を研究する必要が生じた。
    日本を降伏に導く方法と最善の占領政策を知るためである。
    そこで外国文化研究の専門家として知られる筆者に白羽の矢が立った。

    筆者は日本を一度も訪れることなく、文献や映像と在米日系人との面談だけを元にこの本を書いた。
    すごい学者さんだ。ちなみに女性である。

    降伏した途端に日本人が米軍を大歓迎したことは、アメリカにとっては理解不能であった。
    アメリカ人がこの事態を理解するためには、こんなにも言葉を尽くして説明した論文が必要だったのだ。

    日本人にとって当たり前のことを理屈をつけて説明されても、それが本当に正しいのかはよく分からない。
    しかし、その視点が思いもよらないものなので、面白い。

    筆者は「恩を受ける」「恩を返す」概念を、借金の返済に例えて説明する。
    ニュアンスが大分違う気がするが、アメリカ人にとって一番近いのが債務の返済にあたるのだろう。

    日本の特徴として家長父制が詳しく説明されるが、現在にはほとんど残っていない。
    むしろ日本の昔の小説を読む際に役に立つ知識を教えてもらった。

    恥、応分の場、徳目と徳目の板挟み、肉体的快楽を罪としないこと、統一的な原理原則はなく場面場面で相応しいとされる対応をすること、革命は起こらず変化はすること、自己責任、子育て、等…
    内容は多岐に渡り、とても面白かった。

  • <要約>
    終戦前後にアメリカの文化人類学者によって著された日本人の行動パターン論。

    日本人と西欧人の行動パターンの差異の原因として「社会に対する恥」が重んじられていることを挙げており、例えば身近な人物でない人からの施しを返さないことは「義理をわきまえていない」とされ「恥」である、と認識される。「社会に対する恥」をかいてしまう人物は、家庭等所属する共同体においても軽蔑される立場に置かれてしまう。このように日本人は恥をかかないこと及び名誉の獲得に心血を注ぐ傾向がある。

    このように「恥」に対して敏感であるために侮辱・中傷に関しても日本人は激しく反応し、報復が容認(時代によっては奨励まで)されている。戦前の日本に対する海軍力の制限とアメリカでの日本人移民の排斥法は日本を戦争に傾ける一助となったであろう。

    軍国主義が頓挫したため、日本は平和主義によって名誉を得る道を選ぶであろう、と締められている。

    <感想>
    現代日本社会と関連して、相違点がある一方で共通点も見受けられるように思われる。例えば相違点は、現代日本では精神主義から物質主義への転換がやや進んでいると思われる点であり、共通点には未だに「恥」の回避が重要な命題となっているように思われる点が挙げられよう。

    日本人が行動方針をドラスティックに転換する原因の一つに、教育が挙げられている。具体的には、子ども時代には恥を中心とする社会規範から比較的自由に行動するのに対して、成長期に進むにつれて恥を意識しながらしつけが行われる。が、これが原因で行動方針をドラスティックに転換することがあると言われると、ロジカルに読むことが難しい気もする・・・

  • 終戦直後のアメリカによる日本植民地化のため、日本人の精神文化を分析する依頼をアメリカ政府より受けた文化人類学者の著者による日本文化・日本人精神論。調査は丁寧詳細、分析は緻密深甚。読んで解説される日本人の精神性に「な、なるほど!」と驚かされた日本人。

  • ドフトエフスキー等の新訳で話題となった光文社古典新訳文庫発刊の「菊と刀」。

    私は日本人に生まれ育ったが、本書を読んで日本文化にカルチャーショックをうけ脳内に革命が起きた。日本人が日頃からなんとなくもやもやっと鬱うつっと感じている目に見えないものを、ルース・ベネディクト氏は実に明確に浮き彫りにしてくれた。

    ルース・ベネディクトはアメリカの文化人類学者であり、この世界的ロングセラーは第二次世界大戦中~直後に執筆・出版されたもの。よって本書の研究内容には時代考証に多少古めかしく感じるものも含まれるが、例えば現代社会問題とされている自殺は日本特有の習俗であることを、この時点でベネディクトは解き明かしてる。

    恩と恩返し、義理と義務、階層的体制、応分の場、自殺、恥、といった概念は、正確には英訳することができず、日本特有の文化・思考・習俗であるということ。欧米・アジア諸国との文化比較から、非常に明晰な文章で読み進めていくことができます。

  • 最後の解説読んで、著者、女性だったのか!と。

    もちろん、日本に来たことのない外国人が戦後に書いたものだから全てを鵜呑みにするつもりはないけど、それでもうんうんとうなずける部分がたくさんあったのも事実。

    私の、人から否定される悪い部分は古日本人的な性格ばかりで、ちょっと複雑。

  • 大学で勉強していたテーマに近い本。
    日本人がこの本を読むことによって
    得られる発見というのは少なくないと思います。
    単なるアメリカ人の日本人に対する薄っぺらいイメージとは違う。
    書かれた時期が時期だけに少し古くはあっても、
    徹底的に日本人に近づこうとした民族行動分析が行われています。

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著者プロフィール

Ruth Benedict 1887―1948。アメリカの文化人類学者。ニューヨークに生まれ、コロンビア大学大学院でフランツ・ボアズに師事し、第二次世界大戦中は、合衆国政府の戦時情報局に勤務し、日本文化についての研究を深める。晩年にコロンビア大学の正教授に任じられる。主な著書に、『文化の型』『菊と刀―日本文化の型』など。


「2020年 『レイシズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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