菊と刀 (光文社古典新訳文庫 Cヘ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (545ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334751692

感想・レビュー・書評

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  • アメリカ人と仕事をすることが多く、自分の行動原理や観念的な素地がそもそも米国人と違うことを日々感じていた。
    ただそれを言語化できず認知できていなかった今の自分に必要な本だった。

    本稿の中でベネディクトの示す「恩の貸借」の概念はとても納得感があった。
    また「日本人の特性を子育てから見る」くだりも、なるほど全く同じではなくとも伝統的に親から受ける教育には戦前戦後共通項があり、それが日本人らしさに還元されているという考えは私たち20代にも共感できる部分があったと思う。

    方法論的にもコロンビアのフランツ・ボアズから受け継いだ比較論がとても興味深かった。

    国外に向けて仕事をする人は、まず日本をよく知るべきだと思いここ数年は「日本」について考えることが多かったが日本人としての自分の視座は「当たり前」の範疇を客観的に特性として認識できなかった。
    だから、ベネディクトの米国人からみた日本人という客観性は非常に有益だと感じた。
    訳者があとがきで述べる『アメリカで借金の返済に向けて強制力が作用しているのと同様に、日本では恩返し(義理を果たすこと)を促す力が働いている。その強制力とは「恥」である。義理を果たさないと、恥を知らない人間として世間の嘲笑を買う。だから、日本人は義理を尽くす─』という要約は、端的かつベネディクトの意を簡易的に汲むにはすばらしい要約。

  • アバタロー氏
    1946年出版
    米国戦時情報局から依頼され調査した日本人論

    《ベネディクト》
    1887年 NY生まれ
    作家あきらめる
    1921年 アメリカ人類学の父、ボアズが指導者
    文化は対等という「文化相対主義」という考えを引き継いだ
    1934年「文化の型」を発表
    外国文化を研究する文化人類学者として名が知られるようになった
    情報局から依頼されルーマニア、ドイツ、大日本帝国を担当
    現地調査できなく賛否が分かれる作品

    《内容》
    ・恩を重く受け止める
    例 忠犬ハチ公、そのような物語が多い
    米は恩でなく愛
    フロム作品にあるように愛とは与えること
    自分にとって大切なものを自由に与える行為 であって義務でない

    ・異常なほど恥を恐れる国民
    日本は恥の文化
    物事の評価、判断基準が世間に設定されている文化
    多くの日本人は、世間の前で恥をかかないこと、 笑われないこと、 仲間はずれにされないことなどを過剰に意識しながら生きることになる
    米では本人が侮辱だと認めない限り本気で受け止めることはない
    罪、道徳基準に従う文化、キリスト教がバックボーン
    懺悔すれば良心の呵責から解放される

    ・日本人の矛盾した性格の謎
    幼少期:5歳甘やかし、6歳厳しいしつけ
    恥をかいてはいけない考え
    壮年期:束縛がピーク
    極端な時期があって2面性になったのか
    米は幼少期は厳しいが壮年期で独立

    《感想》
    戦争時で現地調査をしていないとは言え、日本人をよく捉えた調査結果だと思う
    他のアジア人はどうなのか関心がある

    日本人から見たら他国も十分面白い
    良い行いを心がけているとはいえ、悪いことをしても神の前で懺悔すればよいという考えもおかしいと思うけどね

  • 冒頭、異なる文化の人間を理解することは難しい、分析も難しい、真に理解し合うことは困難だ、という言い訳が長々と続く。

    次からは日本人に対する分析が始まる。
    内容については賛否あると思う。
    よく言われる恥の文化というのはピンと来ない。

    著者は日本で取材せずにこの本を書いたと聞く。
    今で言うコタツ記事。

    何かと言うと引き合いに出される本だが、日本人が気にするべき内容ではないのでは?外国人が日本を知ろうとして読むのは自由だが…

  • ・高校時代から読みたい読みたいと思っていたが、なかなか読めていなかった本。

    ・第2次世界大戦中にアメリカ人民俗学者から見た日本人の価値観、物の見方などが描かれている。

  • おもしろかった!

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/22895

  • 原題:The Chrysanthemum and the Sword
    著者:Ruth Benedict (1887-1948) 文化人類学者
    翻訳:角田 安正[つのだ・やすまさ](1958-) ロシア地域研究、防衛大教授。
    ※ 底本は『The Chrysanthemum and the Sword』マリナー・ブックス版(Mariner Books,2005)
    ※ 角田氏による日本語訳(本書)の問題点が、Ruth Benedict研究者から指摘されている。
     →『日本人の性格構造とプロパガンダ』(ミネルヴァ書房 2011年 刊)を参照。

    【版元の内容紹介文】
     第二次世界大戦中、米国戦時情報局の依頼を受け、日本人の気質や行動を研究した文化人類学者ベネディクト。日系人や滞日経験のある米国人たちの協力を得て、日本人の心理を考察し、その矛盾した行動を鋭く分析した。ロングセラーの画期的新訳。
    http://www.kotensinyaku.jp/books/book68.html


    【目次】
    凡例 [003-004]
    目次 [005-007]
    謝辞(ルース・ベネディクト) [011-012]

    第1章 研究課題――日本 013
    第2章 戦時下の日本人 043
    第3章 応分の場を占めること 078
    第4章 明治維新 126
    第5章 過去と世間に負い目がある者 156
    第6章 万分の一の恩返し 183
    第7章 義理ほどつらいものはない 213
    第8章 汚名をすすぐ 230
    第9章 「人間の楽しみ」の領域 281
    第10章 徳目と徳目の板ばさみ 309
    第11章 鍛錬 362
    第12章 子どもは学ぶ 398
    第13章 敗戦後の日本人 468

    解説(角田安正) [504-527]
      生きがいを求めて
      予想外のベストセラー
      文化相対主義
      日本人の不可解な行動を解く鍵――恩という概念
      日米の文化はどのように比較されているか
      C・ダグラス・ラミスの批判は妥当か
      『菊と刀』の今日的意義
      参考文献一覧
    年譜 [528-535]
    訳者あとがき [536-545]

  • 新書・文庫  389.1||ベネ

  • 文芸ではないですね…

  • ひどい愚書・・・。
    高等生物(=欧米人)が、下等生物(=日本人)を、自分たちに都合のいいように使えるよう調教するためにその習性を理解しようとする過程を書いた本。動物実験の研究書を読まされているようで非常に不快。
    日本人、ひいては有色人種を人間とも認めない雰囲気がそこかしこから漂っている。
    とにかく、アメリカを礼賛し、日本を徹底的に貶める本。日本文化に理解を示しているような文章も時折見られるが、それは白人によくある建前の博愛主義すぎない。結局は日本人を人間とも認めないという本音が滲み出てしまっている。
    原爆投下を正当化するような文章、すなわち、知能の低い生物=日本人の暴走を止めるために、世界の正義として原爆を投下したかのような文章にもアメリカ人の傲慢さが出ていて噴飯もの。
    愚書の中の愚書。

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著者プロフィール

Ruth Benedict 1887―1948。アメリカの文化人類学者。ニューヨークに生まれ、コロンビア大学大学院でフランツ・ボアズに師事し、第二次世界大戦中は、合衆国政府の戦時情報局に勤務し、日本文化についての研究を深める。晩年にコロンビア大学の正教授に任じられる。主な著書に、『文化の型』『菊と刀―日本文化の型』など。


「2020年 『レイシズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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