彼方の友へ

著者 :
  • 実業之日本社
4.30
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本棚登録 : 1755
感想 : 267
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408537160

感想・レビュー・書評

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  • でぃあ はつこ しんしありい ゆあず

    自分もその世界に生きているかのような臨場感で、度々涙腺が緩んだ。惹きつけられる力がすごくて、紡がれている言葉がとても素敵!他の作品も読みたくなった。

  • 尊い。
    悲しくもあるけど困難な時代に一人の女性が必死に生き抜いたお話。
    ハツがピュアで一生懸命だからこそ、それを妬む美蘭の気持ちもよくわかる。
    読んでよかったと思える作品でした

    2018.11.24

  • 2018/10/24
    高ぶった。
    途中「戦争は嫌だなぁ」と心の底からの声が出たので反戦にはこういうのを使えばいい。
    最後の有賀主筆からの贈り物は泣いた。
    ちゃんと生きてハッちゃんに言ってあげてよ。
    でも次の生で必ず巡り合えるよ。
    私も志高くちゃんと生きようと思った。

  • 久々に、読み終わるのが惜しいと思った本でした。
    雑誌「乙女の友」の熱心な読者だった波津子が、憧れのその雑誌の出版社で働くことになり、荒波にもまれながらもへこたれず、戦前戦中戦後と駆け抜け、少女から大人へと成長していく物語。そして、戦時中の言論規制の中で戦った出版社の歴史の物語でもある。
    出征した有賀から波津子への電話、そして最後のメッセージ…泣きました。美蘭の有賀への燃えるような想いや、純司の秘めた想いも……皆それぞれが仕事に恋に、懸命に生きる姿に胸を打たれました。
    時代を越え、最上のものを受け取りました。本当にいい本だったなぁと読み終わってからもしみじみしてしまった。あまり小説の実写化は好きではないのですが、この作品はNHKの朝の連ドラとかで見てみたいなと思った。

  • 少しずつ読もうと思って手に取ったら,その後の家事をほったらかして,夢中で読み終えました。

    この著者らしい,前向きで人間へのやさしさがあふれた物語でした。
    最後の有賀さんの短い恋文に落涙。
    また,敗戦後のそれこそ毎日の生活もままらないうちに,全国から本屋さんが,復刊された「少女の友」を読者に届けるため,出版社に列をなすところに,人間の尊さと逞しさを感じました。

    惜しむらくは,主人公の父の仕事,親戚を名乗る下宿人,謎の男装の麗人の扱いが,中途半端な印象が否めませんでした。また,そもそも,誰がどういう目的で有賀さんを監視していたのか,これまで召集されても職場に復帰していた有賀さんが,急に入営することになったのが,そこまで戦況が悪化しているゆえなのか,はっきり掴めなかったことと(自らの意思のように読めないこともない),召集された後の有賀さんの仕事が(スパイと思いましたが)曖昧で,これらの設定を生かして,戦争の暗闇も書き込んだ方が,物語の深みも増して,より傑作になったのではないかと思いました。
    これまでの著者の傾向とは異質ではあるのですが…。

    著者は,結構,多作だと思いますが,どの作品もはずれがありません。
    次回作も楽しみです。

    • ありが亭めんべいさん
      やっぱりオジサンもオバサンも泣かされてしまいますねぇ。
      やっぱりオジサンもオバサンも泣かされてしまいますねぇ。
      2018/08/26
  • 心が震える本だった。
    朝ドラにして欲しい。
    戦前から始まる乙女の友という雑誌を作る人たちの話。
    「友へ、最上のものをー。」

  •  雑誌「乙女の友」に関わることになった主人公・波津子と編集者をはじめとする人々の息吹が伝わってくるような素晴らしい本でした。
     主筆の有賀や挿絵画家・長谷川淳司などはモデルになったであろう人物を想ってニヤリとし、作中の時代がよく表れた言葉遣いや暮らしぶりの描写を楽しみ、一人の女性として成長してゆく波津子の心の動きに気持ちを揺さぶられ、私も遅れてきた友だ、と心の中で呟いてみる。
     勿体ないのは、話の影に軍関係(特殊任務?)がチラついている部分があるのですが、結局最後までハッキリした事が分からず話が終わってしまったこと。尤も波津子は殆ど与り知らぬことなので仕方ないといえば仕方ないのかも。

  • 良かった。
    読んで良かった。

    この時代のお話が大好きなんですが
    そうと知らずに手に取りました。
    得した気分です。

    切なくて愛おしいお話。

    美蘭さんはズルいです。

  • 乙女心を持つ熊系男子としてはこの表紙で既に胸キュン。柔らかくて優しくて、作り手の伝えたい気持ちが前面に出ていると思います。題名もいいですよね、会えないけれど会いたい友達など色々な意味にとれるこの言葉、とてもイイです。
    冒頭のハツおばあちゃんの回想から始まる瑞々しい乙女の一代記。大事に大事に雑誌が読まれていた美しい時代が見たこともないのに目の前に広がります。
    煌びやかな人々に気圧されて身をすくめるハツに心を痛め、必要とされていない出版の世界の中で、なんとか自分の居場所を作ろうと必死な姿に心の中で声援を送り、雑誌作りに奮闘しながら、彼方の友(読者)たちへ素晴らしいものを届けようとする姿に胸を熱くして読みました。
    過ぎ去りし日々の暖かな光は、過ぎてしまうと切なさが伴うけれど、思い出す光が有るという事は本当に幸せな事です。創作ではあるけれど、戦争前後を乗り越えてそれでも人々に色々な希望を届けたであろう出版という仕事は本当に尊いです。
    ハツが作中で書く「フルーツポンチ大同盟」読んでみたいですね。

  • はじめのうちは、朝ドラ感がすごくてうーん、、と思っていたが、半分位読み進めたあたりからすごく面白くなって引きこまれた。心に残る本です。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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