俺ではない炎上

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 778
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575245196

感想・レビュー・書評

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  • 炎上、なりすまし、裏垢、誹謗中傷、虚偽、正しくない情報…分かってはいるけれど、SNSの世界は怖い。そして、自分を正当化する言葉「自分は悪くない」誰かに責任転嫁しないと息苦しい世の中。自分と同じような境遇の人を見つけては安心する。
    そんな今のネット社会のよくないところを背景にした物語設定はリアル感があって面白かったです。
    真犯人は誰なのか…。ありがちな設定なんですけど、ちゃんと騙されました。混乱しちゃった人はちょっと読み返せば大丈夫。読み応えのある一冊でした。

  • 女性が死んでいるような写真があげられた。

    まだ周知されていない、その情報を、とある青年がリツイートする。

    加速度的に写真は拡散され、アカウントから分析した結果、犯人は「山縣泰介」だと〝特定〟される。

    それが、デマであるにも関わらず。

    構成の面白い小説だった。
    あらすじの冒頭で「山縣泰介」は無実であることが判明しながらも、一方で無実であることを証明することの難しさに、頭を抱えてしまう。

    自分でない人間が、まるで自分のようになりすまし、更に陥れようと画策されたら?

    凸と称して、相手の自宅をめちゃくちゃにしていくようなことは、現実に起きている。
    けれど、それは大抵の場合、ニュースで流れるほどの事件にはならない。
    自分たちを正義とし、相手の悪を裁くために、数と力を使って、立ち上がれないほど、叩き付けてしまう。

    正直、この作品の真犯人は怖いけれど、本当に怖いのは、正義を振り翳してしまえる大多数の人間側なのだと思う。
    そして、時に私は、そちら側にいて。
    恐らく、ポッカリと口をあけた穴に足を踏み入れただけで「山縣泰介」になってしまうのだ。

  • まさか主人公が
    やなやつだったなんて!!!
    とか
    まさかこいつがこうだったなんて!
    とか
    まさかこれがここだったとはー!
    とか

    わー
    だーまさーれたー!
    やられちったよーう!
    って嬉しい裏切りがイッパイだった

    やなやつがイッパイ出てくるし
    やなこともイッパイ書いてるけど
    そういうのに
    ほんとにいいの?
    見つめ直してくんない?
    ってちょっと提言してるようで
    そうか、己を見直してみるか…
    って色々反省してみたり

    スピード感もあって
    どーなる?どーする?
    ってハラハラさせられたし
    全然飽きなかったから
    星は揺るぎなき4つ!

  • 1回目通読し、「え!?どういうこと?」
    2回目部分的に読み返し、「もしかして…そうゆうこと?」
    3回目でやっと伏線回収しながら「やられた〜」って読みました。

  • 大学生の住吉初羽馬が軽い気持ちでリポストした殺人現場らしきtweet。あっという間に拡散され、元アカウントの個人情報が瞬時に暴かれ大炎上となる。しかし殺人犯として特定された住宅メーカーの部長、山縣泰介には全く身に覚えがなく、冤罪だと主張するが誰にも信じてもらえないまま逃亡する羽目に。世間を敵に回し、警察も頼れない状態でネットに疎い泰介は冤罪を晴らす事ができるのか?ネットに簡単に踊らされる世間の怖さも十分で泰介の逃亡劇が手に汗握る。初めの小ネタが意外な所で光っていてにやり。このメインの流れだけでも面白かったけど、泰介・彼を追う刑事の堀・初羽馬・泰介の娘の夏実視点で話が進んでいくのを注意しながらつなぎ合わせて読んでいたはずなのに見事に投げ飛ばされました。ただ真犯人の動機だけが?だ。

  • 「俺ではない炎上」タイトルの響きに惹かれる(^.^)
    知らぬうちにTwitterでデマが拡散され濡れ衣を着せられるお話し、、っていったらいいのかな〜
    最後の方、「??」ってなって混乱したけどこれは過去の話しと今の話しが繋がっていたってことか?
    でも犯人が自分が思ってた人と違ってたのは驚きました(⊙ө⊙)

  • Twitterをうまく活用した小説としても面白かったけど、それ以上に二重、三重によく練られた仕掛けにビックリした。伏線もたっぷり、それも見事に回収されている。
    Twitterの文面で犯人ではないと証明されるのかなと思っていたけれど、そんなものは全くの序の口であった。
    複雑で一読しただけでは全てを理解しきれていないところはある。

    そして推理小説としても面白いけれど、一貫したテーマ「俺ではない」…自分だけが正しいと思っている、自分は悪くない、責任は負わずに口だけ…は諸悪の根源!というところも描ききっていてすごいと思った。
    タイトルもダブルミーニング。途中まで読んだところでもピッタリなタイトルだと思っていたけど、最後まで読むとなんてすごいタイトル!!

  • Twitterのやりとりが非常にリアル。事件の裏側を知らない人が情報を拡散することの恐ろしさや無責任さがよくわかる内容になっていて自分も気をつけようと改めて思った。

    それ以外のどんでん返しも、個人的には前作より好き。ただ、私は登場人物にあまり魅力を感じられなくて、どの人物にも「へぇそうなんだ」くらいの感想になっちゃった。でもストーリーや手法、現実にありそうと思わせる現代らしい展開は面白かった。

  • いや、マジで疲れた…というのが読後の率直な感想。

    殺人事件の犯人として濡れ衣を着せられ、冬の寒空の下、極限状態で走り続ける。空腹にも睡魔にも耐えながら。足は血豆が潰れボロボロになりながら。
    警察やSNSに煽られ凶器を持った一般人から。
    味方もいない。かつての部下も非協力的で、主人公の人望の無さを突きつけてくる。絶望し、孤独な上、四面楚歌。
    もう読んでて苦しく、しんどかった…。

    『六人の嘘つきな大学生』同様、本作も人の印象をこれでもか、とひっくり返してくる。真犯人は誰だ誰だと、出てくる人が殆ど怪しく思えてきて、疑いのループが目まぐるしく回る。
    ストーリーは逃亡劇がメインながらも、身の回りの人に対する謙虚さや家族との関係性、SNSの恐ろしさなども触れられており、考えさせられる。

    ラストの場面、主人公と同じく同年代の娘を持つ父親として激しく共感。クタクタながらも、奥の方から湧き上がってくる熱い気持ちと、娘への想いを感じながら読了した。

  • Twitterで女子大生殺害犯に仕立てられた住宅会社営業部長の山縣泰介(54)全く事実無根の濡れ衣で、そのうち疑いが晴れるだろうと軽く考えていた泰介だけど、あっという間にツイートは拡散され大炎上、泰介の個人情報が特定されネット上に晒され、警察、さらには私人逮捕やら突撃系YouTuberやらにも追われることに…。必死の逃亡を続けながらも自分に成りすました殺人犯を突きとめようとする泰介。果たして泰介に成りすました殺人犯は誰なのか…

    周到に張り巡らされた罠に泰介が絡めとられていく様が読んでいてつらかった。自分はみんなに慕われている、人望がある、きっと自分を助けてくれる、と思い込んでいたのに実際は嫌われていたことがわかったり、逆に苦手だった得意先の人が絶体絶命のピンチを救ってくれたり…(青江さんめちゃくちゃいいひとだった!!!)人間そりゃ誰にでも好かれる人なんていないけど、泰介は概ね善人のように思うけどな。人間どこで恨みを買っているかわからないものだなぁ…SNSは一度火が付いたらもう止まらない。一瞬で世界中が敵になる。いつ自分にも降りかかってくるかわからないと思うと、本当に恐ろしかった。そして、流れてくる情報を鵜吞みしてRT(今はRPか)してしまう人にも責任はあるんだと…肝に銘じたい。
    最後の最後までミスリードにひきつけておいてのどんでん返しは見事でした。ハラハラドキドキしながら一気読み。そして、読み終わったあと、どっと疲れた。。

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著者プロフィール

1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。『教室が、ひとりになるまで』で推理作家協会賞の長編部門と本格ミステリ大賞の候補作に選出。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』『六人の嘘つきな大学生』など。

「2023年 『六人の嘘つきな大学生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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