ラブカは静かに弓を持つ (集英社文芸単行本) [Kindle]

著者 :
  • 集英社
4.17
  • (99)
  • (123)
  • (43)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 976
感想 : 126
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (288ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 想像力をかきたてられる

  • チェロの音楽教室を舞台にしたお話。主人公は生徒で、実は全著連のスパイ。音楽教室への著作権徴収に関する裁判の為にミカサ音楽教室に潜り込むことになった。そこで出会った講師の浅葉桜太郎や生徒の面々。はじめは自身の人付き合いの悪さから、2年間を淡々と過ごすだけかと予想していた主人公だが、そこでの人間関係に徐々に惹かれていき、自らの職務について葛藤していく...。「講師と生徒のあいだには、信頼があり、絆があり、固定された関係がある。それは代替のきくものではない。」物語を通じて、主人公の心境の変化を通じて、胸を撃たれるシーンが満載でした。

  • マンション本。妻が珍しく面白かったというので2日間で読む。音楽著作協会が街の音楽教室にスパイを送り込むという
    あり得ない設定だが、主人公が人付き合いが苦手になった理由が明らかにされていく過程で、闇が段々明けて行く。
    メンタルヘルスで悩む人の大多数が睡眠出来ないとの事だが、医者に通う主人公がしだいに心を開いていく過程もいい。
    楽器を機会が有ったら始めたいと思っているが、音楽には人と人との深い繋がりを得られるのではないかと思う

  •  役所の職員の1人が、全日本音楽著作権協会のスパイの一員としてチェロの奏者になるために2年ほどレッスンを受けに行くと様々なパーティーに招かれ、友人が出来離れにくく なって来るが、そんな中しっかりとレッスンを受け続けます。 やがて、正体がばれて先生と仲間を傷つけてしまったのが、嫌になりスパイと役所の職員を辞め、他の仕事に就き 暫くしてまたかつてお世話になった先生のもとで習う物語です。  深海性の動物で3年半の妊娠期間がある事からスパイ活動の象徴の魚となった事が書かれていた事に驚きました。

  • 著作権管理団体に勤める主人公橘は、音楽教室での楽曲使用実態調査のために生徒としてその音楽教室に潜入するいわゆる「スパイ」のミッションを受ける。そのような暗い任務を遂行するには仕事として完全に割り切る必要があり、橘は少年時代以来となるチェロのレッスンにも生徒同士の人間関係にも始めのうちは決して深入りしようとしない。しかしレッスンを続けていくうちにいつの間にかチェロに向き合う情熱が芽生え、仲間との交流にも尊さを感じるようになる。斯様に心が開いていく動きとスパイ任務の後ろ暗さの対比の描写が見事であり、最後まで楽しく読み進めることができた。

  • この本、ノーマークでしたが、すごくいいじゃないですか。スパイx音楽ってどんな組み合わせって思い手にした本。「ラブカ」も調べたし、「戦慄きのラブカ」って映画も調べてしまいました(戦慄き(わななき)って読めなかった(笑))。主自公はチェロを弾く。チェロを弾くと言えば「おくりびと」をイメージしちゃって、この主人公も私の中では本木雅弘さんでした(^^; 
    スパイ、著作権、裏切りなどの要素もあり面白い展開だけど、何よりもバッハの「無伴奏チェロ組曲」を流して読んでみたい1作になっています。

  • ヤマハ音楽教室vsJASRACの、JASRACからスパイで音楽教室に二年間潜った人の話(フィクション)

    ヤマハ対ジャスラックは1999年の法改正以降から、音楽教室での演奏は著作権を侵害するとのジャスラック主張にヤマハが音楽教室は公共の場ではないと主張して平行線を辿っていた。
    2017年から2019年にジャスラック側が潜入捜査し、裁判所は著作権侵害に当たると結論を出す。
    その後、最高裁までもつれこむが、結局生徒の演奏は対象外だが、先生の演奏は対象となった。

    その裏で、潜入した生徒とそれを取り巻く環境や生徒の気持ちを主眼に置いた本作。

    人間描写が凄くなされているし、音楽の描写も美しくてかなり良かった。時事ともあいまって、未来屋小説大賞の本命かなぁと感じた。

  • どうなるかと思いきや。こうなるとは。予想外。最後は、明るい感じで、終わって良かった。

  • 4.4

  • 面白かった。
    チェロ良いな。あのからだの奥底から響く感じ。
    主人公は著作権会社で働く社交的ではないイケメン。
    とある任務のため、音楽教室にスパイとして二年間通うことになる。過去のトラウマや意地の悪い同僚、謎に構ってくる美人の同僚、音楽教室の仲間、先生。
    うーん、と思うところも多少あるけど、最後に主人公が前に進もうと努力しているので、それで良いかと思った。
    映画になりそうな題材かな、でも著作権がらみなので難しいかも。生のチェロ聞きたい。バッハの無伴奏組曲は有名だけどやっぱり有名なだけあって本当に良いし。

全126件中 61 - 70件を表示

安壇美緒の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×