スパニッシュ•ホラーの書き手の短編集。思ってた以上にグロかったけど、心に残る話が多かった。
呪いとか幽霊とかの話は、アルゼンチンの社会不安や抑圧的な風潮等に根付いている。
印象的だった作品
「どこにあるの、心臓」異常な心音にエクスタシーを感じる女性がエスカレートしていく話。欲望を追求するあまりどんどん壊れていく様が魅力的で一気読みしてしまう。
「肉」熱愛するロック•スターの死体を、墓を掘り起こして食べてしまう女性ファン。ありえないと思いつつも分かりたくもある気がする。
「誕生会でも洗礼式でもなく」幻覚に犯される少女を撮影する男。ビデオには少女以外映ってないのに、彼女は男に犯され傷つけられていると言い、腕も脚も切り傷だらけ。両親も少女を撮影した男も言葉を失うだけで何もできない。これが1番怖かった。

2024年4月30日

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読書状況 読み終わった [2024年4月30日]

1980年韓国の光州で、軍が民主化を訴えていた市民達を武力で制圧する。ただ主張を訴えてデモをしただけの10代半ばの子供や若者たちが多数殺され残酷な暴力に晒された。
作品は、殺された子どもや拷問に遭った末に生き延びた者や関係者たちが代わる代わる語り手となる連作短編集だ。語り手の1人が言っているが、何故人はここまで残酷な行為ができるのだろう。この事件に留まらず日本でも世界でも同じようなことは起きている。語り手たちの声があまりにも痛ましくて、なかなか読み進められなかった。現代の高度に発展した韓国にこんな時代があったなんてなかなか信じられない気持ちだが、一方でいつ何時韓国も日本も再び権力が暴走する時代がやってくるか分からないし、果たして自分は絶対に暴力を振るう側の人間にならないと言い切れるのかとも考えてしまう。
社会の中で大きな声を挙げられない市井の人々の心の内を、丁寧に簡易な表現で的確に読者の心に訴えているこの作品に出会えて本当に良かった。少しずつ、ハン・ガンの他の作品も読んでみたい。

2024年4月21日

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読書状況 読み終わった [2024年4月21日]
カテゴリ 外国文学

何度目かの再読だけど、何故かこれだけ記録してなかった。
男子寄宿学校で副校長の妻が死体で発見される。レイプされた上に殺されたようだ。ロイドやジュディが関係者に話を聞くが、皆彼女がレイプされた事に驚く。生前複数の男性と関係を持つ色情狂とみなされてた彼女を何故レイプするのか。夫である副校長を初め学校関係者複数に、動機があり供述も信用できない。捜査を進める中で、初めの見かけとは全く異なる観点で事件を眺めた時にようやく真相にたどり着く。作者が自然に読者に思い込ませていた事を、クライマックスで一気に覆して驚かせる手法がとても上手。また忘れた頃に読み返そう。

2024年4月10日

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読書状況 読み終わった [2024年4月10日]

1960年代アメリカで化学者として研究所に勤めるキャサリン。女性が男性と同等の能力があり仕事ができるとみなされていなかった時代、彼女は大学では教授から酷いセクハラに遭い、研究所でも一人前のとして認められていない。運命の恋人と出会い仕事も上手く行きかけたところで、恋人も仕事も失った上に妊娠に気付くのだ。生き抜くためにキャサリンは料理番組の司会者となるが、男が押し付ける方法ではなく徹底的に彼女のやり方を貫く。料理が女性がやる単純労働などでなく非常に高度で重要な仕事である事、女性もなりたいものに挑戦する権利がある事、そしてそれを追求する勇気をテレビを通して伝えたのだ。
こういったひどい差別の時代に戦ってくれて女性たちがいた事で、今の私たちの時代がある事を改めて感謝したい。それに犬も可愛い。

2024年3月26日

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読書状況 読み終わった [2024年3月26日]
カテゴリ 外国文学

今作はポール・アトレイデスとチェイニーの子どもレトとガニーマ兄妹の物語。前作では、ポールは未来を予知できる能力に苦しみ、自分を神のように崇める民衆に背を向ける。だが息子のレトは、自分の中の祖先たちの声を全て取り込み、あえてヒトではないものになる事で自らを神格化し人類に平和をもたらそうとするところで話は終わる。宗教的哲学的な問答が多く話についていけない所もあるが、絶対的な指導者を必要とする平和は理想的とは言えないのは確かだろう。母にも兄にも見捨てられ、自分の弱さから破滅してしまうポールの妹アリアが哀れでならない。強者しか生き残る資格はないというメッセージなのだろうか。

2024年3月20日

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読書状況 読み終わった [2024年3月20日]
カテゴリ SF

スペインの田舎町テラ・アルタで富豪の夫婦が惨殺される。元犯罪者の経歴を持つ刑事メルチョールは捜査グループに任命され捜査するが、手がかりは何も見つからない。
所々でメルチョールの過去も語られるのだが、彼は刑務所で読書に目覚め『レ・ミゼラブル』に感銘を受け警察官を志すのだ。
一方、テラ・アルタの事件は解決されず捜査は終わってしまうが、メルチョールは納得がいかずに周囲から反対されながら密かに調べ続ける。そこで思いもよらない悲劇が起きる。
メルチョールの生い立ちがたっぷり描かれるが、それは事件とは関わりはなく、アンバランスな印象を受ける。また最後に犯人が動機を語るシーンがあるが、正直事件の残虐さに比して軽く感じてしまった。
モヤモヤが残る読後感だけど、それが新鮮に思えた。

2024年4月1日

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読書状況 読み終わった [2024年4月1日]

オーストラリアのある田舎町で、牧師が銃で5人を殺害するというショッキングな事件が起きる。事件から1年後の町の様子を記事にするためにやってきた記者のマーティンが主人公。事件は発生当時に公表された事の裏に何か隠されてるのではないか。町の住人たちに話を聞いても、人によって語る事が違っていて誰を信用すればいいのか分からない。さらに牧師の事件の少し前に行方不明になっていた観光客の死体が見つかる。果たして、この観光客も牧師が殺したのか。謎が深まる中、マーティン自身も自らの過ちで苦しい立場に追い込まれる。
牧師の過去を始め色んなネタを詰め込んで、ちょっととっ散らかった印象。合間にマーティンの独白で整理してくれてるけど、それも説明調で流れを妨げてる感じ。マーティンのトラウマとか人としての成長とか、もっとテーマを絞って書いた方が良かった気がする。

2024年3月6日

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読書状況 読み終わった [2024年3月6日]

大学生の時に同じ家で暮らした4人の女性。卒業して数年後、そのうちの1人リディアの葬儀に残りの3人オードリー、ベス、レイチェルが集まる。著名なギタリストのサルバドールと結婚していたリディアは少し前に夫を亡くし、今度は自分が転落事故で死んでしまったのだ。
オードリーとベスは、葬儀の後サルバドールの母親から邸宅に招待される。不穏な空気を感じつつもそれに応じた2人だが、家の中はさらに異様な雰囲気だった。
葬儀後の現在と4人の学生時代を行ったり来たりし、視点も4人が交錯するが、キャラをしっかり書き分けてるので混乱する事はない。4人それぞれの若い女性であるが故の悩みや希望や嫉妬等を丁寧に描いていて上手いなと思う。後半のサルバドールの母親のモンスターぶりは笑っちゃったけど、少なくとも前作のようなモヤモヤ感はなく読み終わった。『飛蝗の農場』よりは全然面白いと思うけどな。

2024年3月3日

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読書状況 読み終わった [2024年3月3日]

訳者や解説でも書かれているが、何だこれ?って感じるのはラストのせいかも。
ひさびさに再読したが、内容はきれいさっぱり忘れてた。これもひさびさのサイコものだったけど、犯罪者の異常さよりも被害者?の不安定さに、読む方も影響される。時間の流れも前後するし、主要人物が複数の名を使うので初めは何が何だか分からない。主要な登場人物じゃなくてもみんなどこかしらおかしくて、誰も信用できない。
真実が徐々に明らかになる後半でようやくそういうことか!と思えるけど、そもそも犯人?がここまでする動機がよく分からないし、どうしてそこまでできたのか理由が何も書かれない。せっかくこんな凝った構成にしたのなら、最後はもう少しスッキリさせて欲しかった。

2024年2月26日

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読書状況 読み終わった [2024年2月26日]

主人公は林ちひろ。両親が「あやしい宗教」を信じている。両親は信仰にのめりこんでいて、他者から見ればおかしな行動をとったり仕事もろくにしない貧乏生活。母の弟が何とか目を覚まさせようとするけどできなくて、ちひろの姉は愛想をつかして家を出た。それでもちひろは両親の事を大事に思っていて、両親もちひろを心から愛している。(そもそも信仰のきっかけは、ちひろの病気だった)
ちひろは周りから奇異の目で見られようと、何も感じないかのようにひょうひょうと過ごす。友達や周囲の大人たちの関わりで自分の状況を客観的に見られるようになっても、両親には反発しない。そのこと自体が、今後のちひろの辿る人生を考えるととても切ないのだ。イヤな予感しかしないがどうなるかは描かれていないラストの場面は、何を暗示しているのだろう。

2024年2月26日

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読書状況 読み終わった [2024年2月24日]
カテゴリ 国内小説

グラスゴーで少女失踪事件が起きる。だがハリー・マッコイは、いつも守ってくれる上司が長期休暇で不在で臨時の上司が彼を嫌っているので捜査から外される。仕方なく街のホテルで不審死したロックスターの事件を担当。さらに複数の未解決強盗事件も任され、休暇中の上司からは家でした姪を探して欲しいと依頼されるし、親友のギャングのクーパーがヘロイン中毒になってしまう。
いわゆるモジュラータイプの構成で、場当たり的にあちこちの事件を調べていくうちに少女失踪事件との以外な関連性を見つける。
ハリーはギャング達とも付き合うし、独自の倫理観で行動するので必ずしもきっちり法を守らない。その危うさが魅力のひとつでハラハラさせられて読む手が止まらない。順調にこの先も翻訳されるといいな。

2024年4月14日

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読書状況 読み終わった [2024年4月14日]

大戦争を人間の代理で戦って、その後宇宙を彷徨うロボット。ある砂漠の都市にやってきた理由は、以前共に戦いひとつの都市を滅ぼした戦闘ロボットの復活のためだった。
壮大なスケールで作られた物語世界が楽しいし、巻末の用語解説だけでワクワクする。ロボットがあまりに人間的すぎるのは好きじゃないけど、叙情的というかこの物語には合ってるのかもしれない。

2024年4月1日

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読書状況 読み終わった [2024年4月1日]
カテゴリ SF

ペレス警部のシリーズは続くのに、何故最初の4冊が『シェトランド四重奏』と名付けられたんだろうと疑問に思ってたけど、最後まで読んで理由が分かった。
今回はペレスの故郷フェア島で起きた殺人事件を、たまたまその時故郷に婚約者フランを連れて帰っていたペレスが捜査にあたる。殺されたのは島のフィールドセンターで野性の鳥の観察を行っていたアンジェラ。センターの責任者でメディアにも頻繁に出ている有名人だった彼女が殺されて大騒ぎになる。他から孤立しているセンターの立地条件等から、早くから容疑者はセンターの内部の人間に絞られる。彼らにはそれぞれ秘密があり、ペレスは両親やフランの助けも借りながら地道に話を聞き捜査を進める。
前3作と同じような展開で、最後はスリリングな場面があっても一件落着で終わるのかと思いきや、衝撃のラストに変な声が出た。この後ペレスはどうなっていくのか。気になって仕方ない。

2024年3月6日

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読書状況 読みたい

シェトランド四重奏の3作目。今回は、ペレス警部の部下サンディの故郷ウォルセイ島で事件が起きる。サンディの祖母が、散弾銃で撃たれて死んでいるのが発見される。どうやらサンディの親戚の男が狩の途中に誤射したようだ。捜査にやってきたペレス警部はおそらく事件性はないと思いつつも、故人の家族や地元民、故人の敷地で発掘作業をしていた学生などに丁寧に話を聞く。濃い人間関係に潜む秘密が明らかになるにつれ、ペレスは違和感を感じるようになる。そして第2の悲劇が起きる。
今回は頼りなかったサンディが大活躍。彼の家族の話であるから、逃げたくても逃げられない。勇気を出して向かい合おうとするサンディを、ペレスと一緒に後押ししてあげたくなる。4作目ではどうなるのかな。

2024年2月18日

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読書状況 読み終わった [2024年2月17日]

シェトランド島を舞台で起きる事件をペレス警部が捜査するシリーズ第2弾。今回島の外れにある小さな集落で、身元不明の首吊り死体が見つかる。偶然その前日に当該人物と接触していたペレスは、再び本土から応援に来たテイラーと共に捜査を始める。だが小さなコミュニティに長年住み続けている住民たちにはそれぞれ人に言えない秘密があり、容易に全貌がはっきりしない。ペレスのとても慎重でじっくりと考えるスタイルは、捜査にも恋人との関係にも影響していて好ましい。テイラーのスピード重視でガンガン物事を進めていくやり方と対照的だけど、だからこそ良いコンビなのかも。この後、テイラーの登場はあるのかなあ。

2024年2月3日

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読書状況 読み終わった [2024年2月3日]

イギリスの地方の古い一族アシュビー家。数年前に失踪してしまった長男の代わりに、近々次男が家督相続するという時に長男パトリックを名乗る人物が現れる。その人物とは、パトリックの従兄弟に唆された孤児のファラーだぅた。ファラーはその従兄弟から様々な事を教え込まれ、嘘がバレないよう綱渡りの生活を始める。
登場人物たちが皆いきいきと描かれる他、田舎の生活の描写やファラーの馬に対する情熱も魅力たっぷりで、悪人のはずのファラーをつい応援したくなる。
パトリックの失踪の真相は予想通りだったけど、真相が明らかになった後が駆け足で簡単にハッピーエンドとなり納得いかなかった。

2024年1月28日

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読書状況 読み終わった [2024年1月28日]

今回は、作家ホロヴィッツが脚本を書いた演劇を酷評した劇評家が殺される。警察が捕まえた容疑者は何とホロヴィッツ。身に覚えがないのに不利な証拠まで出てきて、やむなく彼はホーソーンに救ってくれるよう依頼する。
演劇がどのように成り立ってるのかとか、俳優たちやプロデューサーの振る舞いとかが実に楽しい。殺人の被害者があまりにも悪人過ぎて、周囲の者全員に動機があるのも笑える。さりげなく散りばめられた伏線もきっちり回収されるしお見事といった感じ。
相変わらずホロヴィッツにあまり好感持てなくてイラッとするけどまあそこは好みの問題なんだろう。あと、真犯人はそんなに身バレを怖がってたならそもそもその職業に就くかなあと思った。

2024年1月8日

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読書状況 読み終わった [2024年1月8日]

1953年のある朝、公園で顔を砕かれ胴体を切り裂かれた女性の死体が見つかった。地元のけいしつしのダナハー警部は、署長や市長のプレッシャーに負けずに部下を叱咤して捜査に当たらせるが死体の身元さえ分からない。だが推理力のあるマロイ刑事がある事を思い付き、身元判明につながる。
この作者の作品らしく、事件の発端から捜査の過程を余すところなく綿密に描写し、それが非常にスリリング。パワハラ全開だけど捜査の手腕は一流のダナハーと、若くて頭が切れるが経験の浅いマロイのコンビがひとつひとつ真実を明らかにしていく過程がとても面白かった。

2024年1月3日

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読書状況 読み終わった [2024年1月3日]

植民星パラダイス1の調査に派遣された警察官サシャはパイロットのサム、医者のジャンと共に宇宙船に乗込み、すぐに冷凍睡眠に入る。だが目的地の近くに着いた途端攻撃を受け、ロボットのラプスカリオンに助けられながら反撃して攻撃船に乗り込む。そこで待ち受けてたのは、強烈な飢餓感に取り憑かれた人間たち、その狂気は船を支配するAIも侵していた。
おぞましくてゾッとする描写の連続でサイコーにゾクゾクする。話が進むにつれてその星系には漂流している宇宙船がたくさんあって、それぞれ別の狂気に侵されているのだがどれも致死性のものだと分かってくる。AIまでもが感染するというのがとにかく恐ろしい。
後半は絶体絶命の中サシャたちが生き延びる為に戦うのだが、大活躍するのがラプスカリオン。クールでユーモアがあって、文句たれながらも人間たちのために頑張ってくれる愛すべき存在。3部作の一作目らしくて謎は全然解明してないけど、ラプスカリオンは引き続き活躍して欲しいな。

2024年2月24日

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読書状況 読み終わった [2024年2月24日]
カテゴリ SF

この作品も、『私の名前はルーシー・バートン』のルーシーが語り手。題名のウィリアムとは、ルーシーの最初の夫。彼と別れた後、ルーシーは再婚するがその夫に死なれてしまう。ウィリアムは、再婚、再々婚してたが、3人目の妻に逃げられてしまう。
そんなルーシーとウィリアムや周辺の人々の話。頭に浮かんだ言葉をぽんぽんと文章にしてるような軽やかな文体だけど、妙に心に残る。親から満足できる愛情をもらえなくて、大人になって親の気持ちを考えられるようになって仕方がなかったんだって思えるようになっても、やっぱり悲しくて辛かった気持ちは残ってしまう。それでも自分自身を見失わず、人と関わりながら生きているルーシーが愛おしくてならない。この本の最後でルーシーは、故郷から逃れてきて出会ったウィリアムをずっと頼りに思ってきた気持ちがスッと消える。初めて彼を自分と対等に思えるようになったのだ。本当に人って分からないものだし、だからこそ関わらずにいられないのだろう。

2024年1月8日

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読書状況 読み終わった [2024年1月8日]
カテゴリ 外国文学

話の内容はともかく、読むと京極夏彦すげえってなるよとオススメされて読んだ。全くその通りの感想。そういう点ににこんなに熱意を込める作家もいるんだなと素朴に思う。

2023年12月23日

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読書状況 読み終わった [2023年12月23日]

賞金稼ぎのコールター•ショウのシリーズ。今回は教会で落書きをし銃を撃ったあげくに逃亡中の2人の若者を探すところから話が始まる。2人はすぐに見つかるが、1人はショウの目前で自殺。最期に放った言葉が気にかかるショウは、若者が直前に参加していた謎のカルト団体のキャンプに潜入する。
もはや賞金稼ぎとは関係ないし、ショウが何やってんだかよく分からないけど、カルト団体への潜入場面はよく書けてるし、どうやって秘密を暴いて無事に生還できるのかハラハラして楽しめた。ショウがヒーロー過ぎて鼻白らむし好きな話ではないけど。ディーヴァーはやはり合わないけど、なんとなく読んでしまう。

2023年12月23日

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読書状況 読み終わった [2023年12月23日]

以前読んだ時は、地味な話だなくらいの感想しかなかった気がするが、今回はしみじみ良かった。イギリスの北の果ての島シェトランド島で起きた10代の女子高生殺人事件。少ない人口のために良くも悪くも濃密な人間関係の中で、いったい誰が犯人なのか。被害者の友人だった女子、被害者の第一発見者の女性、周囲から犯人だと決め付けられている老人、そして捜査にあたるペレス警部。4人の視点で交互に語られるが、事件について以外にもそれぞれが苦悩や不安を抱えていて、とても身近に感じる。特に偏見に耳を貸さずに粘り強く捜査にあたるペレス警部がとても良い。シリーズ2作目も読んでみたい。

2024年1月22日

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読書状況 読み終わった [2024年1月22日]

インドで刑事だったカミル・ラーマンは、今はロンドンの父の友人が営むレストランでウェイターをしている。ある時大富豪の誕生日パーティーで給仕の仕事をするが、その大富豪が殺される事件が起きる。容疑者は被害者の妻だが、彼女はレストランオーナー一家の知人であったことから、カミルが調べることになる。一方でインドでカミルが携わった事件についても語られるが、だんだんと二つの事件の共通点が明らかになっていく。

家族や友人関係がとても濃密で、義理人情がたっぷり関わってくるのがインドっぽい。富豪の殺人に関して最後に明らかにされるカミルだけが気付く大事な点があるが、いくらなんでもロンドン警察だって気付くはずだと思う。法律よりも友人を優先して良しとする考え方は、最近多い気がするけど何だかもやっとする。そうするなら、もう少し葛藤して欲しかった。まあ、もっと軽く読めばいい作品なんだろうけどね。

2023年12月12日

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読書状況 読み終わった [2023年12月12日]
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