2024年4月19日読了。2020年度から始まった「大学入学共通テスト」、それを踏まえ2022年度から教育を受けた高校生たちが受ける2024年度の大学入試、それが目指す理想と現実を解説する本。特に英語の領域などで「迷走している」としか見えない教育・入試の改革だが、国がいかに日本の教育に危機感を抱いているか、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」といった方向性を打ち出してこれからの若者に求められる要素を定義しようとしているか、ということは痛いほどわかった。一方、現場の教員たちが自分たちの受けたことのない・やったことのないICT活用や双方向の授業などを求められ、ただでさえ要求が多く・時間外労働を求められ・社会から隔絶された特殊な環境で業務に励み簡単には変わることはできない、ということもよく分かった。国は変えようとしている、当事者である学生や保護者の我々も真剣に、子どもと日本の将来を考える必要があるのだな。

2024年4月19日

読書状況 読み終わった [2024年4月19日]
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2024年4月15日読了。産業医を務める著者が、「きついけど今の会社はやめられない」と考え苦しむ人に対し立ち止まって考えること・うまく充電すること・今の仕事をやめてもかまわないことをやさしく伝えてくれる本。まあ、気力が充実しているときに読んでも「何を生ぬるい」と思うかもしれないが、追いつめられるとホントに人は思考力をなくすし、「環境を変える」ことに思い至らなくなるもんだよなあ…。苦しんでいるとき自分でアクションを起こさないと会社は助けてくれないが、助けを求める先は産業医や家族、周囲の人など色々あるし、自分を守ってくれる法律も色々あるものだ…。知識を持つこと、状況を俯瞰で見ることは大事だね。

2024年4月19日

読書状況 読み終わった [2024年4月15日]

2024年4月13日読了。1993年に富士通が全社に導入した「成果主義」がいかに働かず、富士通を内部崩壊させたかを元本社人事部に在籍した著者が語る本。名前は聞いたことがある20年近く前のベストセラー、読んでみて思ったのは「人間は過ちを繰り返すもの」ということ、富士通と同じことをやろうとしている会社って実際ある。富士通ほどの大企業でなく、現場の裁量で成果主義でない働き方をしているからうまくいっているだけであって、システムとして厳格に成果主義を導入・運用したらやっぱり会社としてはうまくいかないのではないか?富士通が入れ込んだ制度設計に根本的に欠陥があったことが本書を読めば分かるわけだが、実施前に現状を予見できた人はいなかった(警鐘を鳴らす人はいたようだが)わけで、そもそも本部の失敗を認めない・現場のフィードバックを取り入れられない文化と体制が失敗の原因であり、それは富士通に限った問題ではないのだと思う。「前任者の顔に泥を塗るつもりか」って発言が出るような組織では働きたくないものだ。

2024年4月14日

読書状況 読み終わった [2024年4月13日]
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2024年4月8日読了。中学受験体験母の視点から、神オヤジ・ダメおやぢあるあるを挙げる本。まー本書想定読者は母親のほうであろうこと、文章が好みでないことなどあまり気持ちのよい読書体験ではなかったが、まあ自分の身にも覚えのある指摘も多い点は肝に銘じないといかん。「中途半端にかかわらない」「母親や受験当事者の子どもの気持ちに寄り添う」「金と車を出す」あたりができれば少なくとも受験による夫婦仲の危機は訪れない、のだろうが、それができていない家族が多いのだろうなあ…とは思う。所詮長い人生の中の一回のイベントに過ぎず、家族総出のイベントでもあるのだから「結果はどうあれ努力したことが大事、楽しんでいこう」ととらえて子どもを励ましつつ乗り切っていきたいものだ。

2024年4月9日

読書状況 読み終わった [2024年4月8日]

2024年4月7日読了。2019年刊の「アフターデジタル」の続編。本書は2020年刊だが、前作の反響と情勢の変化などから早期の刊行を決めたのだとか。前作同様中国での事例が多いが、スピード・利便性重視でシェアを伸ばした「ラッキンコーヒー」が失速し、「スターバックス」のブランドを生かした高品質のデリバリーがシェアを奪還しつつある、という筆者自身の体験も交えたエピソードが興味深い。(むしろこれが本書執筆のスピード感の最大要因なのでは?とも思うが)「データを集めることで覇権を握れる」という考えは単なる幻想であること、「リアルの顧客をどうデジタル誘導するか」というレベルは過ぎて「デジタルの中にリアルチャネルがある」という状態を実現したとしてもそれを持続性のあるビジネスにするためには顧客のペインポイントを理解し解決する仕組みを作らねばならないこと。日本が中国と同じようになるわけではないが、日本企業がやるべきことはまだまだ山のようにあるものだ…。大丈夫かね。

2024年4月9日

読書状況 読み終わった [2024年4月7日]
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2024年4月7日読了。図書館で見かけて読了。東京都第二位の広さを持つ世田谷区、5つのエリアを「独立国家」とみなしそのキャラクターの違いあるあるを解説する本。区民の実からすると、区にある程度の面積があって電車・バスなどで生活空間が分かれる以上、別に違いがあるのは当たり前じゃん、と思うのだが…「港区女子」とか言うくらいだから、区外の人からすると区には均質な性質を持つ集団が生息している、と考えがちなものなのかもしれない。1個1個のあるあるトピックには面白いものもあるが、いかんせん文章のレベルが低く世田谷を揶揄するような文章に全く面白さがないのは残念。もっと面白く書いてくれるなら、他の区の同様の本も読んでみたいものだが。

2024年4月7日

読書状況 読み終わった [2024年4月7日]

2024年4月6日読了。商社・証券会社・銀行と12社を渡り歩いた山崎元が、「ダメな会社とダメ男は似ている」という理論のもと、ダメ会社あるある・ダメ会社の見分け方を説く本。本書中で何度も強調されるが、どんな会社にもダメなところはあるし、ダメな部分を利用したり改善するポジションにいる人にとっては「やりがいのあるいい会社」になるわけだし、結局のところ自分の心次第、自分がこの会社にいてやりがいを感じられるか?に尽きるということか。著者の銀行・銀行員に対する視点が極めて厳しく感じるが、まあ銀行員って世間の常識からすると異常な存在ではあるよね…。会社員経験のないというくらたま氏の存在感は希薄に感じるが、「付き合ってみないとわからない」「ダメさが愛おしいこともある」「完璧・隙のない相手を愛せるとは限らない」というあたり、確かに会社と恋人は近しいものなのかもしれない。

2024年4月7日

読書状況 読み終わった [2024年4月6日]

2024年4月5日読了。トヨトミ本家の血を引く息子・翔太への世襲に向け準備を進める統一と、後継者問題に揺れる「織田電子」の内情とは。尾張発の日本を代表する企業「トヨトミ自動車」の興亡を描くサーガ完結編。まあ1作目、2作目に比べると準備・取材期間も短かったのか、著者自身の考えも変わったのか、本作が一番フィクション味が強く著者の抱くロマンが溢れ出している印象を受ける。「織田電子」の話は興味深いが、トヨトミ自動車と全然関係ない話をさんざんされた上に「世襲」のキーワードでとってつけたように話をまとめられたような気もする。今勢力のある組織は、当然いずれも過去に強烈な成功体験があるわけだが、それを否定して新しい価値観・戦略を樹立しなければ衰退は必然である、ということなんだと思う。「創業家」だって天皇家じゃあるまいし、後生大事に拝み続けるようなもんじゃないだろう。しかし「第二のシリコンバレー」のコンセプトはさびしい、「親殺し」というくらいなんだからシリコンバレーを過去の遺物に追いやるような大きな野望は抱けないものか。

2024年4月7日

読書状況 読み終わった [2024年4月5日]

2024年4月3日読了。数々の苦難を乗り越えた「トヨトミ自動車」創業一族の社長・豊臣統一、EV化の怒涛の流れ・米国の圧力・組織の衰退が強まる中その孤独・苦悩は深まり…。話題の「99%ノンフィクション」小説の第2弾、前作よりさらに「現在」に距離が近い話で読んでいて没入感が半端ない。大企業の社長や芸能界のドンとか、まともな精神でその地位にいて判断をし続けることはできないものなのかもしれない、その人が優秀であってもなくても。モーター会社の社長と自動車業界外の「悪魔」が統一と対比される存在として登場し、彼らの描写が好意的すぎるようにも感じるのは気になるが…彼らのほうが統一よりすぐれているとも素晴らしいとも、何とも言えないのは難しいところ。「自分の地位」はもちろん「会社の存続」を考えてもそれがかなうかどうかは外部環境依存になってしまう、自分や会社を超えた「パーパス」を本気で設定することがやはり会社にとっては生死にかかわる重要なポイントなのだと思う。

2024年4月3日

読書状況 読み終わった [2024年4月3日]

2024年4月1日読了。小中学生の読者向けに、「『正しいを疑う』とはどういうことか?」について説明する本。結局、「正しいを疑う」が一番できていないのは今の大人たちなので本来は本書を読むべきなのは大人なのだろうが、それは言っても仕方ない。難しいテーマではあるが語り口はやさしくわかりやすい。自分の正しさは人類普遍の正しさではない、身近な家族であっても「正しさ」をすべて共有しているわけではない、など分かってはいるのだが自分でもついかっとなったり相手のことを「頭が悪い」と決めつけてしまったりすることはよくあること…。若者たちが柔軟に、生きやすい世界を作っていけるよう、自分も常に健全な疑問を持ちつつ、アタマやわらかく生きていきたいものだ。

2024年4月4日

読書状況 読み終わった [2024年4月1日]

2024年3月31日読了。男子御三家と言われる都内の進学校、開成・麻布・武蔵の学校と生徒の特色を比較・まとめた本。一言で「秀才・奇才・変人」とは言いえて妙。学校の特色・文化はその学校で教える教員や学ぶ生徒ら「人」が作っていくものだから、やはり歴史のある学校ほど濃厚な面白みが出てくるものなのだろう。全員が全員そうなのではないと思うが、集団の序列や規則に敏感な処世術に長けた開成生や「自由」を最重視し権威や押し付けられたルールにいちいち食って掛かる麻布生には、自分や自分の息子は合わないだろうなあ…と感じる。女子の御三家や神奈川の御三家など御三家にも色々あるし、早慶だのGMARCHだの、まとめて一くくりにして比べてみることが人間は大好きなものだ。

2024年3月31日

読書状況 読み終わった [2024年3月31日]

2024年3月29日読了。東日本大震災の被災地・仙台で野犬に餌をやった和正。野犬・多聞は和正の人生を変え、やがて…。第163回直木賞受賞作。読み終わって『すずめの戸締り』とイメージが重なった。猫好きな自分ではあるが、犬が人間に寄り添う・人間を癒す、というのはどういうことなのか、が少しわかった気がする。「新宿で犯罪や殺し合いをする小説を書く人」というイメージしかなかったが、それらしい乾いた犯罪描写もあるが、震災があり、犯罪者たちにもそれぞれの生い立ち・背景があり物悲しいし切実。犬も自分も、この世に生きる大勢の人たちにとっては一瞬交わってすれ違うだけの存在ではあるのだけれど、それでもその時間が相手にとって価値あるものであり、その後の人生に良くも悪くも影響を与えるものであることを願いたいものだ。

2024年3月31日

読書状況 読み終わった [2024年3月29日]

2024年3月27日読了。密室で発生した不可能犯罪に唯一無二の論理的な解決を与える探偵∑の活躍(?)を描く表題作など、メタ世界・仮想現実・量子論などをベースにしたSF短編集。グレッグ・イーガンのような生真面目なSFもいいが、この著者のような「誤ったロジカル」というようなすっとぼけた感覚もこれはこれで唯一無二のものではあるまいか?どの短編も意外とロジカルで不条理には感じず面白いが、ありがちなコンタクトSFと見せかけてひねってみせる『囚人の両刀理論』の展開と畳みかけるオチがとても好み。『探偵助手』の短編ならではの仕掛けの面白さや、ラストの『予め決定されている明日』の、真面目なんだかアホなんだか、笑えばいいのかゾッとすればいいのかわからない読後感もいい。充実の短編集。

2024年3月28日

読書状況 読み終わった [2024年3月27日]
カテゴリ ミステリ小説
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2024年3月27日読了。「学校しぶり」、親から見ると唐突に思える子どもの「学校行きたくない」宣言にどう対応するか?をまんがを交えて説明する本。学校しぶりの原因は一つではないがいくつかの要因の複合が考えられ、子どもは自分の考えを正しく伝えられるとは限らないことを念頭に置いたうえでよく話を聞き、学校の先生や同級生・保護者や配偶者とも「誰が悪いのか?」という対立関係を作らず、協力してこの事象を解決するという体制を構築することが重要ということか…。まず家庭が円満で保護者に子どもの話を聞く余裕があること・子どもにとって「安心できる場所」があることが大前提ということか、「学校しぶり」はある意味潜在する問題が表に出ただけで、この事象だけを解決しようとするのではない根本解決が必要ということか…。とはいえ、世間体や子供の将来への恐怖もあり、親として対応するのは難しい。自殺だの非行だのもっと悪いケースもありうるわけだし、「親に言ってくれてよかった」と思ってことに当たる必要があるな。

2024年3月28日

読書状況 読み終わった [2024年3月27日]
カテゴリ まんが

2024年3月25日読了。中学受験に取り組んでいると気になる「都立中高一貫校」の歴史と実態について、白鷗で教員を務めた著者が解説する本。「学校群制度」という悪名高い受験制度により没落した都立中高の地位の復権、というテーマと「受験競争の過熱を抑え、ゆとりを持った6年間の教育を行いたい」という教育委員会の希望と「高い大学進学実績を持つ学校にしたい」という周囲の野心が噛み合わず矛盾を引き起こしているのが都立中高一貫校、ということか…。タダに近い授業料で質の高い教育を受けられる、といいことずくめに見えるが、公務員に近く低い給与の教員に半端ない残業を強いて離職率も高い、など、永続的な仕組みではない・学力のある子どもはいいが授業についていけなくなったとき適切なサポートが受けられない懸念がある、ということは非常に気になる。いまの社会では、資本主義に乗らない仕組みはうまく働かないんだよな。あとがきの著者の養護学校でのエピソードには希望を感じる。

2024年3月26日

読書状況 読み終わった [2024年3月25日]
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2024年3月24日読了。灘・開成・武蔵などの名門中学校・高校に取材し、「名門校とは何か?」を探る本。名門校を形作る要素として「自由」「ノブレス・オブリージュ」「反骨精神」が挙げられるが、確かにそう思う、厳しい受験を潜り抜けてきたプライドや「単に東大合格するだけじゃない」「『普通』とは違う人間でありたい」という自負、またそれらがあっても傲慢にならず社会貢献できる存在を目指す感覚、それらはプログラミング教育やアクティブラーニングをやったところで身につくものではなく、創立の理念や苦難の歴史、綺羅星のようなOBOGといった長い年月をかけて熟成された秘伝のタレなくして醸成されるようなものではないのだろう…。

2024年3月25日

読書状況 読み終わった [2024年3月24日]
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2024年3月23日読了。「御三家」と言われる難関の中高一貫校・武蔵の校風、教育方針について、教員・OBや在校生へのインタビューなどから迫る本。雑木林や川が流れヤギや野生のタヌキが闊歩する校内、のユニークさは承知していたが、「武蔵らしさとは何か?」という点、答えのない問いに対し考え続けるということを何十年もやり続けてきたという校風は非常にユニークに感じる。まあ時代錯誤と紙一重と言う気もするが、全部の学校がこうなる必要もないし、こういう学校があってもいいんじゃない?と思う。まあ入ろうと思っても問題の難しさ・偏差値や倍率が高すぎて誰でも入れる学校ではないのだが…。第二外国語コースに教員も参加して一緒に学ぶ、という点に非常に武蔵のすごみを感じた。答えのない問いを、教員もまた探し続けるという覚悟があるのだな。

2024年3月24日

読書状況 読み終わった [2024年3月23日]

2024年3月23日読了。漫画『二月の勝者』の名台詞・名場面集に著者がコメントする、100件の中学受験生と両親向けのメッセージ集。漫画のシーンは台詞と結びついておらず、「え?このシーンを選ぶの?普通に台詞吹き出しのあるコマでよくない?」と思うものもあるが、元となる漫画のクオリティや解像度の高さについて改めて認識することはできた。中学受験って過剰でゆがんだ競争ではあるけれど、そうでない「ちょうどよくて健全な競争」って実際世の中にはない気がするし、試験の点数のみで合否を判定する中学受験というシステムはある意味めちゃくちゃフェアで公正な制度、という黒木や塾業界側の主張もわからんでもない。両親側としては、受験をするのも学校に行くのも、すべて決めるのは子どもなのだ、ということは忘れないようにしたい。

2024年3月24日

読書状況 読み終わった [2024年3月23日]
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2024年3月22日読了。日本を代表する大企業「トヨトミ自動車」社長の武田が直面する創業一族たちと本家のプリンス・統一の野望とは。「生々しすぎる」として各界騒然・名古屋の書店から撤去されたと話題になったという企業小説。武田社長の剛腕ぶりが凄すぎ・トヨトミ一族の描写が「華麗なる一族」そのもの・日米関係はそんな単純なものじゃないだろう、など全部が全部真実ではないとは思うが、名古屋・豊田の描写や人物たちの関係性、時代背景などから来る迫真性が半端ない。統一はひ弱でねじ曲がった財閥の御曹司そのものだが、記憶に新しい「修羅場」を乗り越えて自らの血の力に目覚める、というストーリーは使い古された表現だが「事実は小説より奇なり」と言うしかない…いや本書は小説だが。続編もあるようで楽しみ。

2024年3月23日

読書状況 読み終わった [2024年3月22日]

2024年3月21日読了。いわゆる「大姫入内」、鎌倉に派遣され源頼朝・政子の娘・大姫の帝との婚姻を進めるミッションを担った大江広元の娘・周子。彼女が出会う政治の闇と母娘の哀しさ。『鎌倉殿の十三人』で予備知識があると人物・時代背景がわかる上に北条家・比企家の確執など大河ドラマ以上に深く読み込める部分もあり面白かった。冒頭の「女人入眼」の話、女官桂が周子に問うた一言、終盤の碁盤のエピソードなど印象に残るとてもいいシーンもいろいろあるが、主人公周子はいかんせん鎌倉で大姫にべったり付いているだけなので、多くの事件を伝聞で知ったり人から聞いたりで、主人公がドラマを引っ張っていくという感じが薄いのが不満と言えば不満。まあ「世の無常」みたいなことがテーマなので、主人公がスーパーヒーローではいかんわけだが…。

2024年3月21日

読書状況 読み終わった [2024年3月21日]

2024年3月20日読了。映画『この世界の片隅に』の小中学生向けノベライズ本。ノベライズ本をたまに読むことがあるけれど、「映画からビジュアル・スピード感・わかりやすさを低減してただテンポ悪くしただけ」みたいな本が多く、かといって「小説独自の解釈」を入れられても映画と同じストーリーを求める読者には刺さらないし(あえて挑戦した成功例は色々あると思うが)難しいものだよなあ…。本作の場合は原作がこうの史代の漫画なので、原作の小エピソードを取り込んで映画と原作のいいとこどり、とする手もあったとは思うが、普通。まあ映画をもう一度見ようとすると準備も時間もかかるし、あのお話を気軽にぱらぱら読んで再体験できるのはありがたいものだが。

2024年3月20日

読書状況 読み終わった [2024年3月20日]

2024年3月19日読了。Google Chromebookの学校教育・校務支援への活用方法を紹介する本。全ページカラー・画面などの図が豊富でかなり初級者向けの本の印象だが、まあITの専門家でない学校の先生がいきなり「Google for Education」と言われても何をどうしたらいいかわからないだろうから、こういう本は必要だろう。タブレットPCを渡されて「なんにでも使えますよ、やり方次第で」と伝えても相手は混乱するだけ、「こんな便利な事例がありますよ!」といくつか紹介したうえで、「普段の教育に感じている課題・実現してみたい夢はありますか?」とインタビューし、そこからGoogleの機能活用にもっていく、というのが正しい進め方なのだろう、人が主でツールは従であるという認識は忘れないようにしたいものだ。

2024年3月20日

読書状況 読み終わった [2024年3月19日]
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2024年3月18日読了。奇妙な隔離施設で集団生活する老人たち、自身のあいまいな記憶と「協力者」からのメッセージに気づいたサブロウは脱出を計画するが…。『約束のネバーランド』のような舞台設定で始まる話だが、「記憶を失い施設に戻る」という状況が「どうループを抜け出すか?」という要素も生み出していて興味深い。「百歳を超える老人」と記述されてはいるが、人物たちの描写・行動・発言に老人感がないためちょっと咀嚼しにくい、が、途中明かされる世界の真実と、さらにその裏を行くいくつかのツイストがあり、「そのまま絶望トゥルーエンドに突入するのか」と思いきや、これ以上ないすがすがしいラストにつながっていくことに驚いた。面白かった。著者のこういう小説をもっと読みたかったものだ。

2024年3月18日

読書状況 読み終わった [2024年3月18日]
カテゴリ ミステリ小説
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2024年3月15日読了。地下アイドルの河野ささらが突然打診された有名企業・レトロフューチュリアの社外取締役の地位、だが会社は創業父子に支配されており…。SF要素なし・グロ要素極小(ちょっとはあるが)の著者には珍しい、極端な池井戸潤的な企業小説。まあ、著者は研究者でもあるので書こうと思えば書けたジャンルなのだと思うが、アイドルを社外取締役にしたのも「結局は思いつき」だし、彼女がアイドルならではの異能を発揮して会社を立て直す、というストーリーでもないし、結局謎のテクノロジーの正体は明かされないし、研究員たちの努力は報われないし、なんとも尻切れトンボ・不完全燃焼に思える…。やる気がなくなって放置した中途の小説に無理やり落ちを付けたんじゃない?と思うくらい。創業父子による会社の私物化、無茶な目標の従業員への押し付けやその狂ったロジックなどはいつも通りの誇張された戯画的表現なのだが、いや実際こんな感じで「GAFAを追い越せ」的なことを言いつつ、「結局は精神主義かい」という経営者って、実在するんだよね…。

2024年3月15日

読書状況 読み終わった [2024年3月15日]
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