- 楽園のカンヴァス (新潮文庫)
- 原田マハ
- 新潮社 / 2014年6月27日発売
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[再読]
まるで、楽園に紛れ込んだかのような、不思議な気分にさせてくれる。
ルソーが描いた『夢』をルソーの隣で見ているような.......
表現できる言葉が思い浮かばない。
描くことに、命を捧げたルソー。
ルソーが私たちを楽園へ誘ってくれる。
2020年12月1日
- 国盗り物語(二) (新潮文庫)
- 司馬遼太郎
- 新潮社 / 1971年12月2日発売
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道三の美濃強奪という、当初の目的が果たされる時が近づきつつある。
二十年がかりの大事業である。
外堀から徐々に埋め、本丸へ。
正に蝮に相応しい。
戦場での冷徹な道三と、平生の人間臭い道三のギャップが良い。
2020年11月29日
- 怒り (上) (中公文庫)
- 吉田修一
- 中央公論新社 / 2017年1月25日発売
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まだ、登場人物が、どこでどう繋がってくるのか不明な状態。
この中で、誰がどう繋がり、事件に関係していくのか、下巻が非常に楽しみ。
2020年11月21日
- つばき (光文社文庫 や 29-2 光文社時代小説文庫)
- 山本一力
- 光文社 / 2017年9月8日発売
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前作『だいこん』に続き気風の良い、つばきが主人公。
一膳飯屋『だいこん』は、浅草から門前仲町に移ったが、つばきの飯炊きは相も変わらず絶品。
読んでいて、米の甘さが口の中に広がってくる。
まだ、続編があるみたいなので、そちらも読んでみたくなる。
2020年11月19日
- シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン(2) (集英社文庫)
- 小路幸也
- 集英社 / 2009年4月17日発売
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一作目に続き、下町情緒溢れ、人と人の結び付きが感じられる物語。
軽いノリで読めるので、気軽に一気に読めてしまう。
2020年11月17日
秀忠の物語だが、改めて家康の子孫への用意周到ぶりが感じられた。
本書の中で、秀忠自身が『不詳の二代目』と言っているが、秀忠がいなかったら天下泰平二百六十年の礎はできていなかったのではないだろうか。
今まで、あまり縁のなかった秀忠のことを少し知ることができた。
2020年11月16日
人生の中で、ほんのささやかな彩りを添えてくれる絵画。
だが、その絵画に人生を変えられてしまうほど、魅入られてしまう人々。
そんな人たちの物語。
どの物語も爽やかで、胸の中に青空が広がるような読後感。
最後の物語に出てくる、地中美術館に一度でいいので行ってみたくなった。
2020年11月14日
- アントキノイノチ (幻冬舎文庫 さ 8-8)
- さだまさし
- 幻冬舎 / 2011年8月4日発売
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[再読]
この世界には、いろいろな生命がある。
自分の生命、憎いアイツの生命、愛おしいあの子の生命。
全ての生命が、懸命に生きている。
生命の重さを知った時、目の前の霧が晴れていく。
人は、こうして成長していくのだろう。
さだまさし、渾身の一作。
2020年11月11日
- 関ケ原(中) (新潮文庫)
- 司馬遼太郎
- 新潮社 / 1974年6月27日発売
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日本が東西、真っ二つに割れる中巻。
徳川方、石田方、果たして、どちらが味方を多く、持つことができるのか。
まさに、天下分け目。
両者の駆け引きが始まる。
関ヶ原の前哨戦を、非常に分かりやすく、読みやすいように解説してくれる。
2020年11月10日
- 東京バンドワゴン (集英社文庫)
- 小路幸也
- 集英社 / 2008年4月18日発売
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テンポよく進められる人情話に、ついつい惹き込まれてしまった。
この一家の続きを、是非とも読んでいきたい。
しかし、ドラマのシナリオみたいな進め方は、少し気になった。
ドラマありきの、話かなと疑ってしまう。
でも、涙あり、笑いありのいい物語。
2020年11月7日
- あばれ狼 (新潮文庫)
- 池波正太郎
- 新潮社 / 1989年3月1日発売
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全七編の短編集。
前四編は、連作短編。
後三編は、真田家もの。
ひとつひとつの物語は、池波正太郎らしさがあるが、これを一緒に収録するのは、少し無理があるかもしれない。
前四編の連作短編で一冊にしても良かったのではないだろうか。
2020年11月6日
- 魚影の群れ (ちくま文庫)
- 吉村昭
- 筑摩書房 / 2011年9月10日発売
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四編の中編からなる作品集。
中編といえども、長編のような重厚感漂う物語は圧巻。
短編や中編でも、長編と変わらぬ筆致で、読者を圧倒させる。
これだから、吉村昭を読むのをやめられない。
2020年11月3日
- 関ケ原(上) (新潮文庫)
- 司馬遼太郎
- 新潮社 / 1974年6月24日発売
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豊臣秀吉死後から、関ヶ原合戦前夜までの上巻。
徳川家の執拗な、策謀家ぶりが際立つ。
如何にして、家康が石田三成を討つか。
そこに至るまでの、プロローグのような位置付けか。
今から、四十年以上前の作品とは思えないくらい、読みやすい作品。
2020年11月1日
- 帰郷 (集英社文庫)
- 浅田次郎
- 集英社 / 2019年6月26日発売
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6つの短編集なのだが、個人的に、どれもが靄に包まれたようなぼんやりとした物語だった。
ふにゃふにゃと掴みどころのないような感じ。
もっと、芯が強くしっかりとした物語が読みたかった。
2020年10月31日
- 蝉しぐれ (文春文庫)
- 藤沢周平
- 文藝春秋 / 1991年7月10日発売
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ひとりの少年が、恋を知り、友情を知り、死を知って、成長してゆく過程を繊細な筆致で描いてゆく。
穏やかな時も、激流に飲み込まれる時も、抗わずに自分を信じて突き進んでいく文四郎の姿が、眩しく見えた。
どの時代の青春も、清々しく、淡いものなのだろう。
2020年10月29日
- ツナグ 想い人の心得
- 辻村深月
- 新潮社 / 2019年10月18日発売
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前作と比べると、やや感動が薄れている気がする。
穏やかな気持ちにさせてくれるような作品たちが、愛おしく感じられる。
優しく、温かい日差しに包まれているような気になってくる。
2020年10月24日
- 風に舞いあがるビニールシート (文春文庫 も 20-3)
- 森絵都
- 文藝春秋 / 2009年4月10日発売
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生きるのが下手で、不器用ながらも必死で、もがき苦しみながら生きている人たちの物語。
この物語の主人公たちは、自分であり、自分の周りにいる人たちだ。
だからこそ、この物語たちに惹かれるのだろう。
絶望ではなく、希望を見出すために必死に生きていこうと思える物語。
2020年10月19日
日本で、初めて報道協定が結ばれた、吉展ちゃん誘拐殺人事件をモチーフにした作品。
宇野が完落ち以降の展開が、スリリングで正に、手に汗を握っていた。
古き良き昭和の雰囲気。
そして、悪の部分が滲み出てくるようだった。
2020年10月14日
- 夜鳴きめし屋 (光文社文庫 う 15-4 光文社時代小説文庫)
- 宇江佐真理
- 光文社 / 2014年9月11日発売
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この物語には、この結末しかないというような、最高の結末だと思う。
心温まる結末のために、それまでの物語があったのだと思うと、すべての物語が愛おしく思えてくる。
出てくる人物、すべてが人情味溢れ温かい。
読んでいるこちらの心も、非常に温かくなってくる。
2020年10月10日
最後に沈黙を破るのは、誰なのか──
二転三転する、事件の鍵を握る人物は誰か。
沈黙を破らざるを得なかった理由は何か。
そして、沈黙の先に待っていた衝撃の結末とは。
2020年10月9日
親とは、出会えてよかったと思える存在なのだ。
どんな事があっても、本当の親は一人しかいないのだから。
今は、そう思えなくても、必ずそう思える時は来る。
良し悪しや、損得勘定を超えて、無条件に素晴らしい関係。
家族という、単位の物凄さが感じられた。
2020年10月6日
- 新装版 功名が辻 (4) (文春文庫) (文春文庫 し 1-117)
- 司馬遼太郎
- 文藝春秋 / 2005年3月10日発売
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律儀だけが取り柄の暗愚な国主。
本書を読んで、それ以外のイメージが湧かない。
堂々たる、千代の手綱さばきだけがクローズアップされる。
司馬遼太郎には珍しく、女性が主人公。
繊細にして、大胆な千代の性格を見事に描ききっている。
2020年10月4日
四十八年前に姿を消した父。
四十八年後に再会した時には、骨壷の中にいた父。
親と子。
その関係性さえも、曖昧になってしまいそうなほど、記憶にない父の姿。
本当の父の姿とは。
どんな親でも、血が繋がっていれば本当の親なのか。
親子の関係性を真摯に見つめた、重松清の真骨頂的作品。
2020年10月2日
- 新装版 功名が辻 (3) (文春文庫) (文春文庫 し 1-116)
- 司馬遼太郎
- 文藝春秋 / 2005年3月10日発売
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この巻でも、山内一豊は凡将の感が否めない。
だか、最後の三頁でイメージが一変。
徳川家康と石田三成。
主である家康が勝つのではない。
『徳川殿を勝たせるのだ』
この一言は、痺れた。
山内一豊は、名君である。
2020年9月28日