さよならもいわずに (ビームコミックス)

著者 :
  • エンターブレイン
3.49
  • (78)
  • (142)
  • (137)
  • (58)
  • (15)
本棚登録 : 1309
感想 : 183
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047266025

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「ああ……誰かが俺を狙撃してくれないもんだろうか」

    全ての描写が衝撃的で
    でも、決して激しいコトバや描写を使っているわけでもなく、ただただ大切なものが無くなってしまった絶望(それは井戸の無い砂漠かのよう)が伝わってきました。

    「愛する人が戻ってきてほしい」読んでいるこちらに訴えかけてくるコトバは一つも無いにもかかわらず、こちらが必死にそう願ってしまうような、そんな風に展開は重くて苦しく、でも、涙を流すほどではなかったのは、
    上野氏がすぐにまた漫画の執筆にとりかかる描写があったからではないかと思いました。
    それは、そこにどうしようもない絶望があったから故の行動だとしても、自分のプロとしての意識と、娘との生活を守り抜いたのが傍目に気持ちよかったんだと思います。


    どうでもいいんですけど、

    2012年の当時付き合ってた人が、
    わたしが買ってきて読まずに置いておいたこの漫画を読んで、あろうことか「なんだ〜夢オチか〜!」と言い、
    "まだ読んでいない"本についてのネタバレを一方的に言われたことにわたしは、どうにも腹が立ち、怒鳴り散らし、すぐに別れたという事件がありました。

    その怒りが1年立ってやっと治まってきて、
    「夢オチ…」という言葉が自らの胸のどこかに存在していることを知りつつも、重い腰をあげてやっと読み始めてみた。
    途中でやめてしまうことを恐れながら読むにつれ「夢オチってどういうことだ?」
    という風に興味が変わり、読み進めることができて、よかったです。そこまで夢オチとか、単純明快だとはどうも思えなくて。

    とりあえず、どうでもいいんだけどそいつとは別れて大正解だった。

  • 突然の妻の死による、直近の数日間と、その慌しさが終わった1年を丁寧に描いています。私も父をガンで若くして亡くしているので、なんとなく読まずには居られなかった。亡くなってからお葬式までの流れはどこもあんな感じなんでしょうね。悲しみを実感する暇があまりない。その慌しさが通り過ぎてからが本当に淋しさを感じる時なんだろうな・・・。ただ、うちは母と兄弟3人で、家族4人で乗り切りましたが。なので、この作品の中の残された旦那さんが、娘さんのことを忘れ奥さんとの思い出に没頭することがあるのはちょっと驚きでした。ただ、同じ家族と言っても、親を亡くすのと配偶者を亡くすのは違うと言うことは、自分が結婚してみてわかりました。かなりリアルな作品です。

  • 昨年、私の母が急逝したときと、
    重なることが多く、
    警察の現場検証のようすなども、
    「あれはうちだけのこと
     じゃなかったんだ」
    と思うところがたくさんあり、
    それだけでも「ああ、この本を読めて
    ほんとよかったなあ」と思いました。

    故人の「おかえり」のカットが
    たくさん出てくるシーンは、
    もう丸かぶりで…

    私は母の死以来、個人的に、
    「人生には、こんなにもつらいこと
     があって、同じ痛みを、
     多くの人が、自分と同じように
     人知れず乗り越えているのだ…」
    と初めて知るようになり、
    それは、生きる支えにもなりました。

    上野さんの悲しみは、
    同じ経験をした人にしかわからない。
    でも、いつかは誰もがこの道を
    通ります。

    ここまで克明に描こうとした
    上野さん…
    本当にマンガ家なんだな、
    すごいなあと思います。

    きっと奥さんにもまっすぐ届くと思う。
    娘さんと一緒に、これからもがんばって!!

  • 「つらい時に、つぶやける名前があるのは素敵なこと」

  • これはホント読み手を選ぶよ。

  • 別れの言葉もなく人生の伴侶を失った作家の心の痛みが徐々に広がっていく様は哀しいです。

  • 特に感想もない。とかいう感想が言いにくい題材。

  • 某ブログにて知った作品。

    著者の実体験をつづった作品だけに、
    現実感が生々しい。

    生涯のパートナーを失ったことへの
    その直前の。直後、一ヶ月後と事細かに書かれているのだが、
    日を追うごとに主人公の心の葛藤が実に人間味がある。

    冒頭にこの物語はハッピーエンドでないことを語っている通り、
    読んだからといって何かを得られるわけでもないのかもしれない。

    ただ、今まわりにいる人たちが当たり前のようにいることが、
    それだけで幸せなんだということに気づかされた。

    もう一度時間をおいてから読み直したい一冊。

  • 作者の心の内をそのまま絵に描いたような超現実的演出が、圧倒的なリアリティを持って肉薄し、心を揺さぶる。所々の作者の言葉の表現が非常に生々しい。久々に読み応えのある漫画を読んだ。

    これはストーリーではなくナラティブ。

  • 「つらい時につぶやける名前があるのは素敵なこと」
    そんな人を見つけることができただけで、人生きっと、儲けものなのでしょう。

    結局、上野さん個人の記録にしか感じられなかった私は感受性がないのでしょうかね。

全183件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

心底しょうもないネタをあらゆる技法を駆使し圧倒的なクオリティで描く、非経済的なギャグ漫画家。1983年「週刊少年チャンピオン」からデビュー。以後各誌で『朝日のようにさわやかに』『帽子男は眠れない』『ひまあり』『五万節』などを発表。2011年『さよならもいわずに』が文化庁メディア芸術祭で推薦作品に選出。1998年から「月刊コミックビーム」で『夜は千の眼を持つ』を連載中。近著に『ギャグにもほどがある』『いちマルはち』『暇なマンガ家が「マンガの描き方本」を読んで考えた「俺がベストセラーを出せない理由」 』など。

「2016年 『夜の眼は千でございます 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上野顕太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×