- Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062196079
感想・レビュー・書評
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・トヨトミはカネを作る会社じゃなくて自動車を作る会社です
・おれは絶対に無駄な投資はさせない。日本経済を牽引した家電や電機、エレクトロニクスなど大規模メーカーが衰退してきたのは生温い自己満足の投資のせいだ
・技術者が高度成長期の思考のまま、薔薇色の未来の夢を描いてバカげた投資を強行し、業績は急降下。経営者が慌てて投資を絞っても後の祭り。現場の士気はとたんにダウンし、魅力的な商品がまったく出なくなるとあう、地獄のような負のスパイラルに陥ってしまったんだな。つまり、カネと志、消費環境のバランスがとれていなかったということだ
・リーダーのあり方
ビジョン・哲学・信念
人望・ネットワーク
人使いの巧さ
度胸・勇気
迅速さ
まあ、トヨタ自動車の長いながーい週刊誌もしくは月刊経済誌をぶわーっと読んでるような感じですわな、詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自分も大きく関わったトヨタ、ではなく、トヨトミ自動車の内幕を知ることがてき、とても興味深かった
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文句なく面白い。小説なのでと事実と違うところもあるだろうし、誇張しすぎるところもあるだろう。ただ失われた20年間を高度成長期並みに成長し世界一になったトヨタの凄さが描かれている。
続編で創業家の現社長の反撃が読みたいものだ。
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やべー、面白かった。
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どこまでがフィクションで、とこからが事実なのか区別がつかないくらいであり、ほぼ当時の状況を克明に記しているのでしょう。
トントンと展開していき、小説としても、まあ読みやすく、引き込まれてしまいますね。大体の筋は想像つきますが、あの巨大企業の内幕暴露という観点でも、必読ですね。 -
全編、ファシリテーションの極意。育休で話題の「無能」ジュニアとはまた異なるJr.を支えずしては国家が傾く。これをいかんとぞせん。
リアル?フィクション?どちらの観点でも心に刺さる一冊。
「#トヨトミの野望」講談社、梶山三郎著
Day60
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トヨトミ自動車っていう架空の自動車会社を、概ね現実に即して描いた小説。
トヨタの奥田社長っぽい人が主人公的な感じで、1990年代から2000年代にかけて、奥田社長がどのようにトヨタを危機から脱却させ、急成長させたかがスリリングに描かれて大変面白い。
後半は豊田章男っぽい人にフォーカスされる。凡百のサラリーマンの豊田章男が、なぜトヨタの社長なのか、という多くの人の疑問を、アメリカであったリコール事件っぽい事件を通じて、豊田家とはトヨタにとって一体なんなのかといった側面で描かれて、それも興味深い。
日本的企業の現実を知る、自動車業界とはどういった業界かというようなことを知るという点でも大変おもしろい。 -
某巨大日本自動車メーカーの内幕。
フィクションだが、かなり事実に近いらしい。
創業一族信仰、派閥争い、世界的なロビー活動…
難しい経済書かと思いきや、ドラマチックでかなり読みやすい。
技術は勿論だけど、最終的には体力と人間性…かな。
排ガスゼロへの挑戦は続く。今後のトヨ◯社に期待。
しかし、社長には絶対なりたくないな…(なれないけど) -
某自動車のこの20年の歩みを、創業家に抗って使い捨てられた有能なサラリーマン社長を軸として描いた、渾身のフィクション。8割方は事実に基づくともいう。
ネット情報によれば、主人公の武田剛平は奥田碩氏、御子柴宏は張富士夫氏、豊臣統一は豊田章男氏、豊臣新太郎は豊田章一郎氏、豊臣芳夫は豊田達郎氏、豊臣勝一郎は豊田喜一郎氏、豊臣史郎は豊田英二氏、豊臣太助は豊田佐吉氏を、それぞれモデルにしているとのこと。
武田剛平は、有能だが群れることや妥協を嫌う剛毅な男。疎まれて長くフィリピンのマニラへの左遷されていたが、社長の新太郎に見いだされて本社に復帰、大抜擢されて社長にまで上り詰めた。野武士型の豪腕経営者にしてトヨトミの救世主として高い評価を得る。しかし、トヨトミ自動車においては、豊臣家は教祖、社員は従順な信徒。叩き上げに過ぎず役員二世でもない武田は、対外的にはトップでも、所詮は豊臣家の使用人に過ぎない弱い立場。豊臣家の影響力を弱めようと持ち株会社化を画策してあっさり退任させられる。その後、豊臣家に従順な社長を据えた新太郎は、リーマンショックの混乱に乗じて統一を見事社長に就けることに成功。だが、従順なイエスマンを抜擢する一方、武田派などの改革派を退けた統一の体制に、リコール問題など様々な危機が襲いかかる。
武田が社長として、ハイブリッド車「プロメテウス」の開発を前倒しし、併せて超低燃費エンジンの開発を凍結した経営手腕はさすが! それまでリスクを犯さない無難な車づくりを旨としていたトヨトミが生まれ変わった瞬間だった。
総じて、武田剛平に好意的に描かれているが、実際、武田にはもっと泥臭くえげつない部分はあったのかも知れない。それにしても、創業家の我が儘で世間知らずな狭量なボンボン、という統一の姿には正直幻滅。また、創業家(しかも本家)の血統を絶対視する豊臣家やトヨトミ自動車の体質には、嫌悪感というか気持ち悪さを感じる。創業家に忠義を尽くす、というタイプの古典的組織が、激動の時代に力を発揮し、生き残っていく、というのもまた一面の真実なのだろうけれども…。