トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062196079

感想・レビュー・書評

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  • トヨトミ自動車を舞台にした架空の経済小説。年明けくらいに酒の席で話題になっているのを聞いていましたが、やっと読みました。
    誰もが知っている有名企業をモチーフにしているので、実在の人物をイメージして読んでしまう。でも、フィクションの部分もあるし、そこを割り引いて読まないと。
    最後は未来予想になっているけれど、果たしてこの通りになりますか。

  • 先輩経営者に進められた本。
    購入してから既に半年近く経過しましたが、
    夏休みの課題図書に設定。
    自動車業界、これからもいろいろとありそうですね。
    建築業界はまだまだ生ぬるいのかもしれません。

  •  トヨトミ自動車のモデルであろうと推察される自動車会社の、系列の会社に勤める私の手元に、”課題図書”として回ってきたのが本書だ。今までもビジネス書が回ってくることはあったが、今回は珍しく小説本。フィクションとはいえ、モデルは容易に推察できる書き方で、書かれるエピソードも限りなくノンフィクションと推察される。
     知っているエピソード、知らなかったエピソードが入混じり非常に興味深く、ビジネスの現場を描いた小説はほとんど読まない私にも、最後まで面白く読めた。
     さて、本書を読ませようとした我社の社長の意図はさておき、乗り気のしなかった課題図書にしてはちょっと得した気分でした。

  •  ペンネームである著者名は、城山三郎を彷彿させる。企業小説より、「武田剛平」という仮名で描く「奥田碩」の物語といったところか。

     読後ネットで情報を集めてみても、かなり事実に即した内容らしく、複数の新聞記者の情報をまとめて架空の作者に書かせた趣向のようだ。
     副題に”小説・巨大自動車企業”とあるように、読みはじめていくらもしないうちに「トヨトミ」を自然と「ト○タ」と読んでいるのも無理からぬこと。むしろ、小賢しく小説の形で書き換えていることのほうが不思議なくらいだ。

     内容はトヨトミ家(=豊田家)の支配に挑みながらも、ト○タを世界一の座に押し上げたいち雇われ人の武田(=奥田)の生涯を熱く綴ったものだ。ジュニアの成長ぶりもまんざらではないが、そのあたりは現社長にも気を遣ってのことかと思うが、あくまでサイドストーリー。主人公の凄味を反面で浮き彫りにする程度のエピソードにすぎない印象を受ける。

     バブルのころから21世紀に至る自動車産業の栄枯盛衰も面白く振り返ることができるし、この先のモータリゼーションの行方にも思いを馳せることができるなかなかのエンターテイメント作品ではあった。
     容易に想像できるが、読みながら本書の登場人物、企業、事件を実際のものに当てはめて考えるという別の楽しみもあって面白かった。

     ネット検索すれば、凡その対比を記してくれている記事も容易にみつかる。創作と思える部分も裏づけとなる事実があって驚かされたりもした。

     ここまで事実に即した話なら、なぜ「奥田 碩」の話として書けなかったのかなあと、城山三郎の時代との違いに思いを馳せたりもして。城山氏がご存命なら、「祖にして野だが・・・」ではないが、そんなタイトルでも付けて、より純度の高い作品に仕上げていたのではなかろうかという思いが強い。

  • 愛知県豊臣市に本社を置く、世界ナンバーワンの自動車メーカー「トヨトミ自動車」。歴代の社長は創業家の豊臣家出身、または豊臣家の信頼を得た者のみ。言うまでもなく、そのモデルは日本の誇るグルーバル企業「トヨタ自動車」。そうした匿名でトヨタの内幕を描いた企業小説。ちなみに作者は城山三郎ならぬ「梶山三郎」という覆面作家。

    非創業家で途上国への左遷を経るも、その実力と創業家会長の信頼を得て社長にのし上がったトヨトミ社長武田に、創業家の御曹司豊臣統一が挑む。この2人のモデルは奥田碩と現トヨタ社長の豊田章男。さらにヒット商品、ハイブリッド車「プリウス」ならぬ「プロメテウス」も登場。どこまでが実話で信じていいのか、違う意味での緊張感があるストーリー。

    経営者としての実力は明らかに武田が上だが、統一にはトヨトミ一族というブランド力がある。さすがの武田もこのブランド力には勝てず。意外な裏切りもあり、ついには豊臣統一社長が誕生する。が、そこからがトヨトミの苦難のはじまりだった。こうした時代の流れはトヨタの歴史でもあり、日本の経済史でもある。

    ところで冒頭、豊臣統一が美人局に引っかかるエピソードは何かの実話を脚色しているんだろうか。

  • ★立ち位置は偏るが取材力は深い★言わずと知れたトヨタ自動車をモデルとした小説。世界に関する巨大企業をなぜ、ほとんど株式を持たない豊田家が支配し続けられるのか疑問だったが、この小説によると一種の新興宗教だそうだ。海外や東京にあれだけ広がっても、全社で三河の感覚を維持できるということなのだろうか。現在、末端までその意識があるようには思えないが、外国人や女性を極力除外する現行体制を考えるとやはりそうなのか。

    明らかに豊田家が悪者になっていて、特に豊田章男がダメ人間に描かれている。トヨタを成長させたとする奥田碩礼賛本であり、奥田氏に近い人々を取材源としているのだろう。リーマンショック後には補給線が伸びきったまま拡大路線を敷いたとして非難されたが、そこはあまり触れていない。ここまで持ち上げられると奥田氏もかえってうれしくはないだろう。

    著名ベテラン記者が書いたとも言われるが、新聞記者とのやりとりが何となく現実感がないのはあえてごまかしているのだろうか。

  • トヨタ自動車を題材にした経済小説。
    どこまでが実話に基づいていて、どこからがフィクションなのか、第三者には知りえないものの、とても面白く、あっという間に読めました。

  • 面白い!トヨタ自動車を題材にしたフィクション小説。でもところどころ実際のニュースや事実をちりばめるからどこまでが嘘で本当なのかわからなくなります。

  • 豊田自動車の内部の話。豊田家とその雇われ社長の快進撃とスキャンダルを、テンポよく描けている

  • 一気に読めた 奥田さんの頃を知らないから裏話とても興味深く これをもっと早く読めたらよかったのに!と。引退後の武田さんの叙述はフィクションなのかなあ。
    日本的な滅私奉公な仕事人礼賛で終わってる感じが少し残念だったけど。
    最後アメリカ市場への規制に対する危機感とロビーストの神対応(ここはきっとフィクション)が書かれていたけど 自動運転への技術の遅れと標準化とれてない危機感についてトヨトミがどう考えてるかにも ついでにふれてほしかった。

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著者プロフィール

経済記者、覆面作家

「2016年 『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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