花咲舞が黙ってない (中公文庫 い 125-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • / ISBN・EAN: 9784122064492

感想・レビュー・書評

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  • 時代が銀行合併直前。合併することに緊張感を覚えているなかで、銀行員として正しい道を進もうとしている人たちの話でした。花咲舞と相馬が銀行の闇に踏み込み揉まれていきます。そんな中、要所で出てくるチーター(半沢直樹)の存在はとても面白かったです。
    本全体として読みやすかったです。

  • これはもう痛快!というしかない!ドラマも楽しく観た。

  • ノンフィクションみたいで面白い

  • 花咲舞、いいキャラです。半沢直樹、出てきた時の安心感。さすがです。
    やはり、池井戸潤先生は読みやすいですね。

  • 池井戸潤らしい勧善懲悪の結末。
    繋がりのある短篇で、読みやすいし、面白い。
    半沢直樹も登場して、半沢直樹シリーズを読んだ人には感慨深いものがある。

  • 「池井戸潤」が銀行の臨店指導グループの活躍を描いた痛快連作集『花咲舞が黙ってない』を読みました。

    「池井戸潤」作品は、昨年11月に読んだ『民王』以来ですね。

    -----story-------------
    あの人気キャラクターの最新作 。
    花咲舞が黙ってない

    『読売新聞』好評連載がいきなり文庫に!
    東京第一銀行の跳ねっ返り行員「花咲舞」は、己の信じる正義のもと、空気は読まず、時にブチ切れながら、問題支店や勘違い行員の指導に奮闘している。
    そんな中、ひょんなことから「組織の秘密」というパンドラの箱を開けてしまい……このままでは我が行はダメになる!
    歯を食いしばり行内の闇に切り込む、痛快連作短篇
    -----------------------

    日本テレビ系ドラマ『花咲舞が黙ってない』放送終了後の2016年(平成28年)1月17日から10月10日まで『読売新聞』朝刊に連載された作品、、、

    本作でもヒロイン「花咲舞」のパワフルさは健在… 仕事に対する真摯な姿勢は相変わらずかっこよく、彼女の快進撃にぐいぐい引き込まれ、毎日仕事を頑張っている会社員をはじめ、あらゆる人に元気を与えてくれるお仕事小説です。

     ■第一話 たそがれ研修
     ■第二話 汚れた水に棲む魚
     ■第三話 湯けむりの攻防
     ■第四話 暴走
     ■第五話 神保町奇譚
     ■第六話 エリア51
     ■第七話 小さき者の戦い
     ■解説 ―花咲舞の物語、東京第一銀行の物語― 村上貴史


    『たそがれ研修』は、取引先の飲食店レッドデリの内部情報が、競合他社の喰らうど亭に漏洩した事件を巡る物語、、、

    「花咲」と「相馬」が事件を追うと、業務統括部の副部長「畑中康晴」に辿り着き、情報が漏れた理由が明らかになる… 数十年、必死に銀行のために働いてきた管理者が、銀行に裏切られたと感じたときの気持ちはわからなくもないけど、共感はできないな。

    タイトルの『たそがれ研修』は、シニア管理者向けの、銀行に頼らず第二の人生を切り拓くことを求められる研修です… 確かにモチベーション下がるかもしれませんね。


    『汚れた水に棲む魚』は、新橋支店の主要取引企業アクアエイジとの小切手の資金化問題を巡る物語、、、

    「花咲」と「相馬」は、アクアエイジの銀行口座の不自然な資金の流れに疑問を持ち、反社会的勢力のマネーロンダリングに使われていることを明らかにする… でも、その反社会的勢力をアクアエイジに紹介したのは、元新橋支店の支店長だった。

    清濁併せ呑むと言えば聞こえがイイですが… やはり不正は許せないですね。


    『湯けむりの攻防』は、別府の老舗旅館白鷺亭への融資問題を巡る物語、、、

    黒川温泉や湯布院などのライバルとの競争力をつけるため、白鷺亭は別府温泉の町おこしを目的に10億円の追加融資をメインバンクの東京第一銀行にお願いするが、なかなか融資が決まらず、「花咲」と「相馬」は打開に向けた力添えを依頼される… そんなタイミングで東京第一銀行と産業中央銀行との合併を突如発表され、同じ頃、産業中央銀行が白鷺亭へ融資することがすんなりと決まる。

    その陰には、産業中央銀行の若手ホープ「半沢直樹」の巧妙な策略が… これにより合併後の別府支店統廃合では、産業中央銀行の方が優位なポジションに立つことができたのだ、、、

    うーん、ここで「半沢直樹」が登場するとは… 驚きましたね。


    『暴走』は、四谷支店で住宅ローンを断った人物が暴走事故を起こした事件から企業不正が明るみになる物語、、、

    ミキサー車運転手の「富樫研也」は、東京第一銀行に住宅ローンを断られた後、世の中への不満を理由に新宿駅東口繁華街で三十人超の重軽傷者を出す暴走事故を起こす… その頃、四谷支店の主要取引先で150億円の新規融資をした直後だった舟町ホームの手抜き工事による不正が発覚し、融資が回収不能となるが、東京第一銀行と同じく舟町ホームに融資をしていた産業中央銀行は、不正が発覚する直前に150億円の融資を全額引き上げていた。

    「花咲」と「相馬」は、この謎を調べるうちに、暴走事故と舟町ホームとの繋がりが明らかになっていく… 自らの成果のために不都合な真実を隠そうとするなんて、許せないですねぇ。


    『神保町奇譚』は、寿司屋で隣り合わせた年配の女性の亡くなった娘さんの通帳のお金が数千万円単位で動いていたという事件を巡る物語、、、

    娘さんは、医療系のベンチャー企業バイオテクスに勤務していたが、娘さんの死後に倒産… 社長の「平岡秀紀」は東京大学で研究をしていた優秀な人物だったが、倒産後、行方をくらましていた。

    「花咲」は意外なところから「平岡」がバイオブレインという医療系のベンチャー企業を立ち上げ、上場予定だということを知る… 他の作品とは趣が異なり、心が温まるような作品で、本作品の中で一服の清涼剤のような役割を担っていましたね。


    『エリア51』と『小さき者の戦い』は、二話で本書全体の4割程度を占める内容で、大手電機会社の東東デンキが巨額の粉飾決算をしていたとスクープが出た事件を発端に、東京第一銀行内に潜む闇が暴かれる物語、、、

    東東デンキへの融資を担当していた東京第一銀行の第3営業部は、東東デンキの不適切会計を事前に知っていたが、問題を黙認するだけでなく、東東デンキに対し隠蔽を指示… 「花咲」と「相馬」は真相に近付くが、彼等の報告書は社内の圧力により葬られる。

    いずれ隠蔽工作が暴かれることくらいは想定できた第3営業部が、なぜそのような判断をしたのか… 異動した(左遷された)「相馬」が融資課長を務める希望ヶ丘派出所に臨店指導に赴いた「花咲」は、クセのある所長「小安」が直々に取り扱っていたシマタニ不動産への3億円の運転資金融資が東東デンキの株式投資に使われ、インサイダー取引により巨額の利益を生み、その金は東京第一銀行会長「高橋」が懇意にしている民政党幹事長「石垣信之介代議士」の政治資金となっていたことに気付く、、、

    真実を知った「花咲」は再度報告書を仕上げ… 『湯けむりの攻防』に続き、産業中央銀行の若手ホープ「半沢直樹」が登場し、事件の解決に一役買うという展開でした。

    物語のラストを飾るに相応しい重みのある二篇でしたね… 物語のテンポも良いし、個性ある登場人物一人ひとりが存在感があるし、それに「花咲舞」の啖呵の痛快さが加わり、愉しく読める一品でした、、、

    続篇を期待したいですね。



    以下、主な登場人物です。

    「花咲 舞(はなさき まい)」
     東京第一銀行 事務部本臨店指導グループ。相馬健は代々木支店時代の上司。

    「相馬 健(そうま けん)」
     東京第一銀行 事務部臨店指導グループ調査役。
     優秀な融資係だったが、課長代理として栄転した赤坂支店で当時の副支店長と衝突し出世コースから外れた。
     代々木支店時代の部下が花咲舞だった。
     優秀なテラー(窓口担当者)で、代々木支店時代は人気の花形テラーだった。

    「芝崎 太一(しばざき たいち)」
     東京第一銀行 事務部次長。

    「辛島 伸二朗(からしま しんじろう)」
     東京第一銀行 事務部長。

    「昇仙峡 玲子(しょうせんきょう れいこ)」
     東京第一銀行 企画部特命担当調査役。

    「紀本 平八(きもと へいはち)」
     東京第一銀行 企画部長。

    「吉原 俊二(よしわら しゅんじ)」
     東京第一銀行 営業第三部長。

    「菊川 春夫(きくかわ はるお)」
     東京第一銀行 専務取締役。

    「羽田 重康(はた しげやす)」
     東京第一銀行 副頭取。

    「牧野 治(まきの おさむ)」
     東京第一銀行 頭取。

  • 【東京第一銀行】
    花咲舞
    事務部臨店指導グループ。

    相馬健
    事務部臨店指導グループ調査役。花咲舞の上司。

    芝崎太一
    事務部次長。

    辛島伸二郎
    事務部長。執行役員入りが確実視されている。

    奥平光彦
    赤坂支店長。

    鳴沢宏樹
    赤坂支店融資課長。

    八代
    赤坂支店。レッドデリ担当。

    佐竹
    新宿支店副支店長。

    畑仲康晴
    業務統括部副部長。

    手嶋
    融資部担当調査役。花咲舞と同期。

    紀本平八
    企画部長。牧野頭取の腹心。

    昇仙峡玲子
    企画部特命担当調査役。

    小倉哲
    業務統括部部長。元銀座支店長。

    西原清孝
    銀座支店長。

    皆川隆一
    銀座支店営業課長。

    坂野元
    銀座支店融資担当。アクアエイジの融資担当。

    前浜規男
    別府支店長。相馬の大学の先輩。

    牧野治
    頭取。

    三宅翔太
    四谷支店ローン担当者。

    仲下小夜子
    四谷支店融資課。相馬と舞がよよぎしてんに勤務していた頃の同僚。

    埜村康一
    四谷支店長。

    川村尚之
    四谷支店舟町ホーム融資担当。

    菊岡
    神保町支店債権回収担当。

    木口憲吾
    営業第三部調査役。玲子と同窓同期。

    杉下未玖
    虎ノ門支店のベテランテラー。舞が中野支店に勤務していた頃の先輩。

    横川
    虎ノ門支店長。

    吉原俊二
    東京デンキを担当する営業第三部長。

    丸太芳彦
    元京都支店長。刺殺された。

    高橋
    会長。

    林田
    常務。

    羽田重康
    副頭取。

    上野
    広報部長。

    菊川春夫
    専務取締役。

    小安明
    希望ヶ丘出張所所長。

    舟木翔太
    希望ヶ丘出張所。

    木村恵理香
    希望ヶ丘出張所。

    園山敏幸
    希望ヶ丘出張所営業課長。

    高本
    東京デンキ担当チーム調査役。

    入江
    シマタニ不動産融資担当。融資部部長代理。



    【産業中央銀行】
    景山
    頭取。

    半沢直樹
    企画部企画グループ調査役。

    小牧健次郎
    四谷支店融資課長。

    【その他】
    室井不動産

    キッチンデリ

    喰らうど亭

    王様キッチン

    アクアエイジ
    田沼社長
    井本友康常務

    シンバシサービス
    佐藤完爾

    八坂
    老舗旅館の白鷺亭社長。

    瀬戸
    ホテル鶴菊専務取締役。

    福田
    老舗旅館金鱗荘。

    野本昭
    老舗旅館を経営。

    富樫研也
    暴走事件の犯人。

    舟町ホーム
    大手の建設業者。
    津山浩紀社長。五十四歳。

    かと勘
    神保町の寿司屋。

    老婦人
    麹町の方で金属の専門商社オオタニ産業を経営している奥様。五年前に娘を亡くした。

    大谷奈保子
    ベンチャー企業バイオテクスに勤務中、脳の病気で亡くなる。

    平岡秀紀
    バイオテクス社長。

    桝岡佳奈
    舞の学生時代の友人。大手薬品会社大京製薬の研究職に就いていたがベンチャー企業のバイオブレインに転職。

    室岡絵美
    舞の学生時代の友人。通信系の中堅企業に入社。

    船越澪
    舞の学生時代の友人。証券会社で営業をしている。

    市村
    東東デンキの元経理課長。

    梶田貴一
    東東デンキ副社長。

    堀江育生
    東東デンキ取締役経理部長。

    島谷
    シマタニ不動産社長。

    石垣信之介
    代議士。民政党幹事長。

    浜岡
    東京第一証券。






  • ■ Before(本の選定理由)
    ドラマにもなったメジャータイトル。

    ■ 気づき
    臨店班、という舞台とキャラ設定が魅力。
    池井戸潤らしい銀行エンタメ。

    ■ Todo
    続編もあるのかしら?
    花咲舞が主任に上がるくらいの話も読んでみたい。

  • すごく面白かったです。
    不祥事を先に読むべきだったのかもしれませんが、、、ドラマの影響でこちらをとってしまいました。
    後追いで読んでみたいと思います。

  • 半沢直樹が出てくる展開に胸が熱くなった。銀行合併前の話であるが、とても面白い。

  • 最後の2話の躍動感が凄い
    最初の方は正直そんなに心踊る感じではなかった
    どこに行ってもそれなりにやっていくのは大変な事だ

  • 東京第一銀行と産業中央銀行、合併前の話。
    半沢直樹シリーズの前段階のようなもので
    凄く引き込まれました。
    半沢直樹シリーズ、もう一度読み直したくなりました。

  • 花咲舞シリーズの2弾目。

    半沢直樹が出てきた時点で若干冷めたと
    いうか、
    半沢が出る必要ないくらいに面白いと
    思ってましたが、

    出たら出たで、半沢シリーズに続く形で
    面白かったですねー。笑

    でもこのコンビ復活してくれないかなぁ。

  • 前回の不祥事の続編。相変わらずテンポ良く不正を暴いていく花咲舞が痛快。半沢直樹の登場はやはりテンションが上がった。
    ここまで競争意識のある環境ではないもの、この本を読むと仕事を頑張ろうって気になれる。

  • 花咲舞シリーズ第2弾!
    サラリーマンは、ツライなぁ〜特に銀行は、「出世!出世!出世!」みたいやし。
    自身が、そんな出世コースみたいなのから、大きく外れて生きてるから、「そこまでして、しがみつかんでも…」って思ってまうわ。
    そんな出世命の銀行で、不正とか調査する2人。花咲舞、相馬健。
    そら、やり難いわな。
    あかんもんは、あかん!と潔い花咲さんのようにはなれんのか…
    更に切れ者の企画部特命担当 昇仙峡玲子さん。銀行合併というしんどい仕事。こっちのあかんの事を綺麗にするか、無かった事にするかとか、汚れ作業的な…
    合併先にはあの切れ者バンカーが!
     半沢直樹!
    有名どころが、出てくると誰が主役か分からんようになる…
    こんなドロドロな銀行内に正義はあるのか…
    やっぱり、あかんもんは、あかんし、いずれは…
    自分の仕事に誇りを持って生きてくれ〜

  • ラストまで勢い落とさず読めました。
    「不祥事」の続編だけど、これだけでも十分楽しめます。花咲、相馬はじめキャラが粒だっていてストーリーも追いかけやすいです。

  • 1に続く銀行ミステリー。池井戸潤の世界でお馴染みの東京中央銀行が誕生したときの話。二つの銀行それぞれの派閥や軋轢がひしめく中を奮走する花咲舞はかっこいい!

  • テレビも小説も面白いですね。
    他にも銀行を舞台の小説はあるけど池井戸潤が1番面白いと思います。
    続きが読みたいですね。

  • まあ、現実にはこんな展開は無いけど、あったら良いな、と期待はしてしまう。

  • リアルさが面白かった。置かれている環境、状況によって正義も変わるのか。

著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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