アカガミ

著者 :
  • 河出書房新社
3.19
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本棚登録 : 788
感想 : 139
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024608

感想・レビュー・書評

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  • 不穏な感じのお話で結局どうなるのかな。。。と思いつつと読み進めていたが、最終的に、終わり方が気になる。

    恋愛に関していい感情をもっていないミツキだったが、サツキという夫に巡り合い、ほのぼの部分はよかった。私もほのぼのしてしまった。(不穏は不穏だったけど)

    ログがもっと活躍?するのかと思ったが途中でフェードアウト?してしまった。
    ハルノももっと登場してほしかったなー。女のじめじめした部分がもう少しあってもおもしろかったかも。
    いろんな人は出てくるが、微妙に出て終わる感じ。

    ミツキとサツキと子供がどうなるのか、それだけが気になる。

  • 最後の最後でタイトルの意味がわかりました…。

  • 性に興味をもたなくなった若者たちのため、
    国が始めた“アカガミ”というお見合い制度。

    介護職として働くミツキは、
    アカガミへの推薦資格をもつ
    ログと偶然出会ったことから、
    “アカガミ”に志願することになる…。

    最初から最後まで
    不気味な空気が漂うお話で、
    好き嫌いがキッパリわかれると思います。

    “アカガミ”に志願したことを称える
    施設長の様子や、
    外部を一切排除した“お見合い団地”の様子が
    とても不自然で不安になります。

    タイトルも表紙も
    不穏さをかもしだしていますが、
    まさに見たまま感じたままのお話です。

    人は本来、多様な存在で
    ひとりとして同じ人はいません。

    “アカガミ”には
    子どもが育つ環境に目を背け、
    あたり障りのいい政策ばかり通し、
    子どもの“数”だけを気にする
    “国”への批判がこめられているように
    思えました。

    それを踏まえていてもなお、
    やはり全体を通しての不気味な香りが
    とても怖く、読み進めていくうちに
    不安だけが募ったので、☆2つにしました。

  • この小説でいうアカガミの意味は?

    設定は2020年東京オリンピック以降の日本。出生率の低下に対して、若者の新たな価値観や、その対策を描く。性的な施策や描写に対し、ギリギリ気色悪くならないラインでの描きは流石の女流。個人の意思とは関係なく支配される世界観に、想像が耐え得るか。しかし、結局の所、気付かぬ管理社会で飼い殺されているのは、現実社会もさして変わらないのかも知れない。そう考えると、ゾッとする。

  • 恋愛、結婚、セックスをしなくなった若者たち。
    少子化に拍車がかかり、『アカガミ』という国が作ったお見合い制度に参加する男女たちを描いたディストピア的な小説。

    序盤から何だか不穏な空気が漂っていて、途中まではカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を読んだ時の感覚に似てるなぁと感じる。

    ただ終わり方が少し残念。
    ハッピーエンドともバットエンドとも取れるラストだったのだけれど、どうせやるならもっと極端にしてくれたらSFとして楽しめたなぁ。

  • 近未来の日本を描いた小説。SFの要素が大きいながら本当に将来の日本にこのような制度ができてしまうのではないかと感じる。
    少子化が進み、若者が異性への興味も結婚にもそして「生きる」と言うことにも興味がなくなり、若者の自殺者が多い未来の日本。
    そこに登場するのが「アカガミ」という制度。コンピュータ等により自分に最適と思われる異性を紹介され、結婚、妊娠して子供をもうけるというシステムだ。言うなれば、現代のお見合い制度や婚活産業を国が率先して行うということ。ここで出会う若いカップルの恋愛小説のように思われるのだが、終盤は…というお話である。
    若い二人の出会いと恋愛に至る初々しい感情の変化などまるで初恋物語のようである。その感情表現はきめ細やかで、恋愛小説としても文学的に卓越した文章だと感じた。
    最後に二人の取る行動はSFとはいえ、「愛」の物語の結末ともいえるものだろう。
    恋愛小説としても、SF小説としても楽しめる作品だ。

  • 読み始めたら止まらなかった。
    ミツキとサツキ、初対面で一緒に暮らすようになり、二人がすこしずつ歩み寄って、夫婦になっていくさまがとてもよかった。初々しくて、どきどき、そわそわして。ふたりの性格も好きだな。だから、ちょっと重たいお話でも読み進めれたのかもしれない。
    ラストはなかなかザワッとする感じだった。
    国がすべてサポートしてくれるけれど、手厚すぎてこわいな・・と思ってたんだよね。
    でもほんとに未来にこんなことになってしまったら・・なんて思うとほんとこわい。自殺が増えてるというのもリアルだったしね。
    いつもの窪さんとはすこし感じが違うくて、これもまた興味深くおもしろく読めた。また窪さん読みたくなってきちゃったな。。やっぱり好き。嘘がなくて。

  • ラスト7ページの衝撃。この世界がアカガミの無い世界で本当に良かった。

  • 窪さん二冊目。「アカガミ」なんて不穏なタイトルなんだ、と発売当初から思っていたけど、読み始めて、この近未来、それもとても近い近未来の味気のなさ、ザリザリした空気の感触になんだか気持ちが灰色に満たされていくような気持ちになった。
    主人公のミツキには父の不倫で心が壊れた母親と二人暮らし。若者は減る一方だけど、介護を必要とする老人は増える一方の都心。そこで介護の仕事をしているミツキは自殺をしようととあるバーでお酒と薬を飲む。しかし彼女は助かってしまう。店に居合わせたログという女は彼女に自殺をするなら人の迷惑のかからないところでするように言い渡される。そんな出会いから交流を持つようになったミツキとログ。ある日ログからミツキは国が秘密裏に行っている「アカガミ」というプログラムに参加しないかと持ち掛ける。
    他人への興味も性欲も希薄な世代のミツキ。彼女たちの世代は四十台で死んでしまうと言われていた。そのためか自殺者も多い。そんな若者たちに相手をマッチングし、つがいになる場所を提供し、そこでつがいになった二人は子供を授かると、また場所をうつし、子育てに最適な環境を提供される。このプログラムに参加していれば、住む場所、食事、家族の生活を保障される。
    ミツキはつがいに選ばれたサツキは家族を食べさせるためにこの制度に参加した。
    二人はいつしか惹かれ合い、そしてまぐあう。そして子供を授かる。大きくなっていくお腹。手厚すぎる保護を受けて、二人の生活は進んでいくが、互いに胸の内側で言い表す言葉が浮かばないような不穏を感じていた。
    そして出産のとき。
    二人には思わぬ悲劇?ーーが。

    窪さんの文章ってこんなんだったっけ、と最初は戸惑った。かなりぶっきら棒。無反応、無感動な主人公を描くのにはこれくらい色のない文章の方が自然なんだろうけれど。この無色無味の世界が、サツキとの出会いで色のあるものになっていく過程、緊張が解けていくみたいでいい。
    最後、彼はこれでよかったと心から思ってくれてよかった。ハルノさんはどうなっていくんだろう。適合だった子供はどうなっていくのか、そしてその親は?そこがかなり気になる。ログという人には罰則とかあるんだろうか。

  • 最初から、不穏な影をチラ見せさせるような描き方で、最後にとんでもないことが起こるなと思わされるストーリー。
    制度に反対する勢力があるというのも頷ける。
    最後まできちんと説明のないシステムを政府が作り出して実行することは、ままあることだ。
    それの風刺かも知れない。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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