- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309024608
感想・レビュー・書評
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最後の最後でタイトルの意味がわかりました…。
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性に興味をもたなくなった若者たちのため、
国が始めた“アカガミ”というお見合い制度。
介護職として働くミツキは、
アカガミへの推薦資格をもつ
ログと偶然出会ったことから、
“アカガミ”に志願することになる…。
最初から最後まで
不気味な空気が漂うお話で、
好き嫌いがキッパリわかれると思います。
“アカガミ”に志願したことを称える
施設長の様子や、
外部を一切排除した“お見合い団地”の様子が
とても不自然で不安になります。
タイトルも表紙も
不穏さをかもしだしていますが、
まさに見たまま感じたままのお話です。
人は本来、多様な存在で
ひとりとして同じ人はいません。
“アカガミ”には
子どもが育つ環境に目を背け、
あたり障りのいい政策ばかり通し、
子どもの“数”だけを気にする
“国”への批判がこめられているように
思えました。
それを踏まえていてもなお、
やはり全体を通しての不気味な香りが
とても怖く、読み進めていくうちに
不安だけが募ったので、☆2つにしました。 -
この小説でいうアカガミの意味は?
設定は2020年東京オリンピック以降の日本。出生率の低下に対して、若者の新たな価値観や、その対策を描く。性的な施策や描写に対し、ギリギリ気色悪くならないラインでの描きは流石の女流。個人の意思とは関係なく支配される世界観に、想像が耐え得るか。しかし、結局の所、気付かぬ管理社会で飼い殺されているのは、現実社会もさして変わらないのかも知れない。そう考えると、ゾッとする。 -
恋愛、結婚、セックスをしなくなった若者たち。
少子化に拍車がかかり、『アカガミ』という国が作ったお見合い制度に参加する男女たちを描いたディストピア的な小説。
序盤から何だか不穏な空気が漂っていて、途中まではカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を読んだ時の感覚に似てるなぁと感じる。
ただ終わり方が少し残念。
ハッピーエンドともバットエンドとも取れるラストだったのだけれど、どうせやるならもっと極端にしてくれたらSFとして楽しめたなぁ。 -
近未来の日本を描いた小説。SFの要素が大きいながら本当に将来の日本にこのような制度ができてしまうのではないかと感じる。
少子化が進み、若者が異性への興味も結婚にもそして「生きる」と言うことにも興味がなくなり、若者の自殺者が多い未来の日本。
そこに登場するのが「アカガミ」という制度。コンピュータ等により自分に最適と思われる異性を紹介され、結婚、妊娠して子供をもうけるというシステムだ。言うなれば、現代のお見合い制度や婚活産業を国が率先して行うということ。ここで出会う若いカップルの恋愛小説のように思われるのだが、終盤は…というお話である。
若い二人の出会いと恋愛に至る初々しい感情の変化などまるで初恋物語のようである。その感情表現はきめ細やかで、恋愛小説としても文学的に卓越した文章だと感じた。
最後に二人の取る行動はSFとはいえ、「愛」の物語の結末ともいえるものだろう。
恋愛小説としても、SF小説としても楽しめる作品だ。 -
ラスト7ページの衝撃。この世界がアカガミの無い世界で本当に良かった。
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最初から、不穏な影をチラ見せさせるような描き方で、最後にとんでもないことが起こるなと思わされるストーリー。
制度に反対する勢力があるというのも頷ける。
最後まできちんと説明のないシステムを政府が作り出して実行することは、ままあることだ。
それの風刺かも知れない。