- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488010737
感想・レビュー・書評
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19世紀のイギリスは、世の中が今とはだいぶ違う。宗教、科学、女性のあり方など、私の常識とはかけ離れていて、人々がどう考えるかを想像するのが難しい。
だから化石の捏造疑惑の真意には驚いた。それほどの苦悩なのかと思うと、やっと少しその時代のことが分かった気がした。
フェイスの不自由さにも、それが当たり前とはいえ結構モヤモヤする。そんな中行動し、言葉にして、視野が広がり、堂々と人と接するように変わったのがとてもよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
嘘の木は人間のウソを取り込んで大きくなり、実をつけて、それを食べた人間に真実のビジョンを見せてくれるというものだが、それが本当なのか登場人物たちの思い込みなのかは結局怪しい。光に当たると発火するあたりも、マジカルで不思議な生態。
前半は時代背景と相まって、女子が学問できなかったり、軽んじられたりするシーンにムカつくことも多かったけれど、後半に行くにつれ、どんな状況であってもしたたかに計算する知恵を女性はもっているということに気づかされる。 -
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いいねをありがとうございました!
『嘘の木』は本当に引き込まれました。まるもっちーさんの感想を拝読して、自分が書いたレビューをもう一度...
いいねをありがとうございました!
『嘘の木』は本当に引き込まれました。まるもっちーさんの感想を拝読して、自分が書いたレビューをもう一度読み返しました。台風が上陸した3年前の深夜、停電にならないようにと祈りながら明け方まで読み続けたのを憶えています。大型台風だったのに怖さを全然感じさせなかった『嘘の木』でした。2023/07/23 -
コメント気づかず返信遅れてすみません!しずくさんの感想本当に頷きながら読みました。とてもいい本ですよね。私にとっても大切な一冊です。コメント気づかず返信遅れてすみません!しずくさんの感想本当に頷きながら読みました。とてもいい本ですよね。私にとっても大切な一冊です。2023/10/21
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まるもっちーさん、おはようございます!
全然OKよ。
お気になさらずに、私も気づかずに半年遅れで返信したことがありますもの(*'ω'*)...まるもっちーさん、おはようございます!
全然OKよ。
お気になさらずに、私も気づかずに半年遅れで返信したことがありますもの(*'ω'*)
私にとっても印象深い一冊だったのでついコメントしたくなったの。2023/10/23
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この作品の主人公である知識に飢えたフェイスに深く共感した。
父は“世紀の発見”と讃えられる化石の発見をした。しかし、新聞では捏造と書かれてしまい、そのため、ヴェイン島に逃げるように引っ越すことになった一家だった。
引っ越しの際中、フェイスは父の貴重品箱からこっそり「化石がまったくの偽物」と言うことが書かれた手紙を読み、手紙に指の跡をつけてしまう。
そのことを隠しながら、新しい家での生活が始まる。
父の謎の死を不審に思ったフェイスは父が秘密にしていた嘘の木の真実の秘密を解き明かす為、不思議な実を口にし、巧妙な嘘を重ね、本当の真実にたどり着く事が出来るか!?
フェイスの女性として求められているものにうんざりし、頭でっかちであることを悪いと思いながらも、もっと知識欲を満たしたい気持ちが凄くよくわかり、いつの間にかフェイスという大人になりきれない娘になりきり、物語の中で勇敢に冒険をした。 -
この本が児童書のカテゴリーにあることが信じられない。ものすごく重厚なミステリーファンタジーとも言うべき読み応えのある内容だった。
ダーウィンの『種の起源』が発表され、創造主である主の存在を否定するかのような恐怖に震えた時代。女性が自我に目覚め始める時代。科学とキリスト教。一家と島民。嘘と真実。そして娘と母親。
いくつもの対立が描かれるなか、父の死を追求する主人公フェイスが自分の中のいろんな面を曝け出していく姿に力強さとともに恐怖も感じる。
嘘を栄養とする木をめぐるファンタジーな面と、ミステリー要素が見事に融合してページをめくる手が止まらない。
本当にすごい話しだった。(図) -
ファンタジーは滅多に読まないのだけれど、たまたま図書館の新着図書コーナーに置いてあったので。
有名な博物学者で牧師の父の大発見が捏造であるという報道を受け、逃げるように人里離れた島へ移り住んできたヴェイン一家。しかし到着後まもなく、父が謎の死を遂げる。父に憧れ、密かに博物学者になることを夢見ていた長女のフェイスは、ある日、父が島で極秘に研究を続けていた「嘘の木」を発見する。その木は人間の嘘を養分にして育ち、食べた者に真実を見せる実をつけるという。フェイスはその力を利用し、父の死の真相究明に乗り出す。
女性が勉強なんて!という時代。母親や周囲の人間たちの、聡明だけれどもまだ幼さの残るフェイスへの仕打ちがなかなか辛辣で、ところどころ読んでいてげんなりした。けれども、孤立無援の中で次々に計画を練って、ときには大人たちを利用しながら真実に迫っていくフェイスの姿は、読んでいるだけで勇気をもらえるような気がした。
フランシス・ハーディング氏の「カッコーの歌」も機会があれば読んでみたい。 -
ファンタジーとして読んでも、サスペンスとして読んでも、ヴィクトリア朝の時代ものとして読んでも、14才の少女の成長物語として読んでも、楽しく読みごたえがあります。現在まで続く女性問題をヴィクトリア朝社会に生きる女性を通して冷静に描いていること、現在まで続く宗教と科学の問題、すなわち「創造論」と「進化論」を軸に据えていること、などテーマの選び方も野心的ですね。暑さを忘れて、読む楽しさに浸れるおすすめの一冊です。