愛おしい骨 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488195120

感想・レビュー・書評

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  • 事件が起こるまでに、どんな人のどんな心理がはたらいていたのかを追っていくようでした。
    真相が明らかになっていない状況が、人々に疑念を抱かせたり、罪悪感を持たせてしまう描写が細やか。
    なかなか登場人物が多いのですが、それぞれにちゃんと人生みたいなものがあって面白かった。
    何よりハンナが素敵。ハンナとオーレンがビリヤードをしている場面が好きです。

  • 「クリスマスに少女は還る」のオコンネルの作品。
    分類は一応ミステリではあるが、謎そのものよりもアメリカの村社会や人間関係をを描き出すことに重点が置かれているように感じた。実際、中心となる謎よりも、各人の言葉を通して語られる過去のエピソードの方が魅力的で読み進んだようなものだ。
    しかし「クリスマス~」といいこの作品といい、主人公の美貌の青年よりも、脇役の中年女性の方が生き生きとして映るのが面白い。
    オーレンのかつての恋人であるイヴリンや、中盤から出てくるサリー・ポーク。そして一番魅力的だったのは勿論"超人"ハンナ。彼女達の作中での姿が強烈で、正直オーレンの印象が薄れてしまったほど。
    あとはオーレンの幼い恋のエピソードはどれも甘酸っぱくてよかった。……ただ、その相手の現在の振る舞いには正直ひくが。

  • 17歳の兄と15歳の弟、森に二人で入り兄のみ戻ってきた過去、20年ぶりに帰郷した兄を待っていたのは夜ごと実家の玄関先に置かれてゆく、あの日失踪した弟の骨という奇妙な出来事。再び動き出した事件の謎の真相が、奇妙で奇怪な町の住人たちの証言によって光に曝されていきます。一体どれが真相なのか、誰の言葉が真実なのか。読み手も大いに揺さぶられます。ラストに向けての疾走感に引き寄せられ一気に読み進みました。だからこそその後の静けさが沁みます。鬱屈、屈折、秘密…闇抱えた者達。オコンネルの独特過ぎる人物造形に唸りました。 (2010年11月読了)

  • 20年ぶりに故郷に帰ってきたオーレン・ホッブス。20年前にオーレンと共に森に入った弟のジョシュアはそのまま行方不明に。ジュシュアの骨が帰ってくる。ジョシュアの骨以外に別人の骨も。否応なく捜査に関わることになったオーレン。オーレンのためにアリバイを証言した2人の女。オーレンと肉体関係にあったホテルの女主人イヴリン・ストラウブ、オーレンに恋するイザベル・ウィンストン。発見されたジョシュアの遺体と謎の女性の遺体。現場に残された黄色いレインコート。元警官のウィリアム・スワンの捜査。かつてスワンをはめたロス警察との裏取引を主導したイザベルの義父アディソン。保安官ケイブル・バビットと対立しながら捜査をする州捜査官サリー・ポーク。かつてジョシュア、オーレンと乱闘騒ぎを起こした副保安官デイブ・ハーディ。

  • 素人の感想で申し訳ないのだが、これは翻訳に難ありなのでは?
    非常に読みづらいです。

    誰の視点で語られているのかわかりにくい所もあるし、1人の人間に対して複数の呼び名があるのがなんともややこしい。
    主人公の父親の職業はたしかに判事ではあるが、主人公が父親を呼ぶときに判事って言うか普通?
    翻訳物を読み慣れていないせいかもしれないが、文章を追うのに精いっぱいで、話のに入り込めなかった。

    それと、作中には中年女性と年若い男性との恋模様が2組描かれていて、1組はプラトニック、もう1組は体の関係のある恋愛なのだが、これは、アメリカでは中年の女性層をターゲットに書かれた物なの?
    そのあたりが妙に違和感があった。

  • カタカナの固有名詞と翻訳特有の文章に目と頭がついていかない仕様なので、ちょっと読んでは戻りちょっと読んではだいぶ戻りを繰り返し、ようやく読み終えた。
    …あ、あれ…?
    最後まで読んだのに犯人を覚えていないのはどーして?(ヒント:仕様)

    ※★★★は、がんばって読了した自分への評価です(キリッ

  • 2011年「このミス」海外1位。『クリスマスに少女は還る』同様、主人公は過去に大きな傷を負った元捜査官。そして脇役も曲者ぞろい。本作は『クリスマスに…』に比べさらに曲者度がアップ、しかも登場人物も多く、場面転換も次から次にで物語の流れについていくのに忍耐と記憶力が必要だった。
    どんどん変わる場面設定とくせが強い脇役が大人数…とは『フロイト』シリーズにも通じるものがあるが、あちらの方が軽妙で私は好きだった。
    シリアスすぎて疲れた…。

  • 海外翻訳ものって、どうしていつも読みにくいのか?
    もっと普通に書けよ、と言いたくなるぐらいまどろこしい表現だらけだ。ミステリーとしても、平凡だがアメリカ人にはこういう田舎町の閉鎖的な人間関係というのが魅力的に見えるのだろうか。

  • 2012/09/15読了

  • 敬愛する杉江松恋氏の昨年のベストワンなので、読むことに。

    最初は文学的な香りのする文章に二の足を踏んだものの、
    徐々に暗示的な描写や台詞がたまらなく面白くて惹き込まれた。
    人物描写や人間関係が濃密に描かれているのがいい。

    この狭い田舎町にこんなに多くの奇人変人曲者達がいて、
    誰もが亡くなったジョシュに関係していて、
    誰もが異様な程怪しく、そして森に秘密が隠されているなんて、
    昔ハマった「ツインピークス」のよう。

    ひょっとしたらこれは「バ○ミス」(※)なのかと
    中盤を過ぎてもただひたすら疑念は増すばかり…。

    そんな感じで、後半までフーダニットを楽しめる。
    が、ラストでは「バ○ミス」との期待は見事裏切られ、
    ラスト100ページは場面展開も加速し、 一気にゴールへと突入する。

    ストーリーには直接関係無い小遊び的な設定も多々あり、
    暗示的な文章と共にその辺が私にとっては魅力的なポイントだった。

    それと、悪い癖で、また見つけてしまった。
    「」の括りがおかしかった箇所が1点と、
    ジョシュのカメラの機種が 「キャノンFTb」となっている点。
    (正しくは「キヤノンFTb」。)
    「キユーピー」や「シヤチハタ」、「富士フイルム」など
    発音と表記が違う企業はわりとある。

    ミステリーとしては珍しく再読したくなる素敵な小説だった。

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