- 犯罪者 上 (角川文庫)
- 太田愛
- KADOKAWA / 2017年1月25日発売
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図書館で借りて読了。
友人が「天井の葦」を読んでいて気になったのでまず一冊目のこちらを。
作者はドラマ相棒やウルトラマンシリーズの脚本を担当していた方(今もかな?)と知って驚きと納得。
構成力と引き込む力がとてつもなく、日頃読むのがあまり早くない身でもあまりに先が気になりすぎてあっという間に読み終えてしまった。
一方でメインで描かれるメンツが非常に魅力的なだけに、そしてずっと危機と背中合わせなだけに彼らに万が一のことがあったら…という恐ろしさで思わず本を閉じて休憩することもしばしば。
ストーリー立てが良くても登場人物の魅力が薄いと没入感が得られないものだがこの話に関しては憎い敵方に至るまで描かれ方が実に見事で不気味さにしろ憎さにしろ、深みを感じずにはいられなかった。
また主人公(明確な主人公はいないけれどメインの人たち)が直面する問題が片付いたからと言って終わりではなく、長い長い終章では事件との関わりで命を落とした無辜の人々の遺族の言葉を拾い上げるところも、実際にあってもおかしくないような事件、もしかしたら実際あったかもしれない似たような事件をエンタメとして消化しない姿勢を感じてとても感動した。
途中、黒幕的な政治家が語ったこの国の国民性、「信じ易く臆病で妬み深い。そして子どもらしい本能で力あるものに逆らうのは愚かのことだと心得てる、この国は皆仲良く戦前に戻って貧しく生まれたものは教育も受けられずろくな職にありつけない時代になる」というあまりにも現在の社会を表す言葉にゾッとする反面、この事件に関わったメイン格でまだ未成年の青年、修司がこの事件の中で自分に一つの得もないのに命がけで動いた人のことを「あの人は何か理不尽じゃないものをこの世に実現してみたかったんだ」と語ったのが非常に胸に刺さった。
2020年11月23日
- そして、バトンは渡された (文春文庫)
- 瀬尾まいこ
- 文藝春秋 / 2020年9月2日発売
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図書館で借りて読了(文庫になってから購入)
瀬尾さんの独特の世界観、家族観が本当に好きで…
さらりと乾いていて、それがある意味残酷でさえあるのに全体的にはやっぱり温かい。
血のつながりや一緒に暮らすことが絶対の絆になり得ないのと同じくらい、赤の他人が心ひとつでかけがえのない存在になれると軽やかに言い切る力強さを感じる。
感想を語ろうとするとすべての時間、人物に言及しそうで難しいけれどただただこの世界を知れてよかったという気持ちになる一冊
2020年11月23日
- 蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)
- 恩田陸
- 幻冬舎 / 2019年4月10日発売
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図書館で借りて読了。
映画を観た後に読みました。
映画は映画で雰囲気がよく、演奏をふんだんに盛り込んでいて良かったのですが、一度ピアノをやめまた戻って来た亜夜の感情がどのようなものだったのか想像つかず、しっかり読んでみたいと…(ただ幻冬舎不買の誓いがあるので図書館で順番待ち)
実際読んでみて良かったと思う気付きがたくさんありました。
不思議に先に観た映画で課題曲の亜夜のカデンツァでなぜか涙が出た原因を本を読んだときに「こういう感情で演奏していたなら納得…」と思ったり。
他の3人もそれぞれの事情が丁寧に描かれていて更に思い入れが深まり、過去に読んだ微SFの恩田陸作品には苦手意識があったのですがこの作品は非常に好きな一作になりました。
2020年11月23日
- 女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN 百年シリーズ (講談社文庫)
- 森博嗣
- 講談社 / 2017年1月13日発売
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図書館で借りて読了。
初森博嗣でした。
これもディストピアもの…そして3部作だったかと思うんですが1冊目読み終えた時点でこれが三部作の1作目ってこの後どのように…?と純粋に疑問に…
構成とかすごいと思うんですが今ひとつ入り込めずそこはかとなくnot for meでした
2020年11月23日
- ストロベリーナイト 警部補 姫川玲子 (光文社文庫)
- 誉田哲也
- 光文社 / 2009年11月27日発売
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図書館で借りて読了
いやエグいって。
おもしろいといえば面白いんだけどそれ以上にとにかくエグい。文字情報とはいえ耐えられるものと耐えられないものがある。
終盤はこのままどうなるのか分からないまま寝るのが気持ち悪すぎる…となって無理やり読み終えて寝ました。
あと女性刑事が性暴行された過去のトラウマを持っているというのもある意味ステレオタイプというか…それにどういう意味合いをもたせるか、何を描くかが重要だと思うのだけどこの一冊においてはただのキャラ付のような位置だったのでそういう点も不満でした。
シリーズものなので今後違う意味合いが出てくるのかもだけどとにかくエグくて読むのがつらかったのでその後なかなか続編に手が出ません…
2020年11月23日
- 小説ドラゴンクエスト5 1: 天空の花嫁 (ドラゴンクエストノベルズ)
- 久美沙織
- スクウェア・エニックス / 2000年9月1日発売
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図書館で借りて全巻読了
友達に熱烈に勧めてもらって読んでみました。
子供時代以来の久美沙織先生の本でしたがびっくりするくらい読みやすい…。
分かりやすい、という意味でなく大人の目で見ても子供向けすぎるように感じずに楽しんで読めるという意味で。
実際に子供がこれを読んだらその後の小説との付き合い方がずいぶんスムーズになるんじゃないかと羨ましく感じた。
内容はゲームでやったことのあるドラクエVの内容を非常に素晴らしく補完し、人物や仲間モンスター、敵に至るまでの背景を掘り下げてまさにあの世界をしっかり描き切っていました。
大人にも子供にもずっと勧めたいと思える本です。
(某ユアストーリー映画のことは色んな意味で許さない)
2020年11月23日
- 卵の緒 (新潮文庫)
- 瀬尾まいこ
- 新潮社 / 2007年6月28日発売
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図書館で借りて読了
「そしてバトンは~」が気になったけれど既に予約多数だったのでまずこちらを。
軽やかな文体で一つの形におさまらない家族を描く独特の筆致に驚きと面白さを感じた。
けれど二本目の「7's blood」は読み終えた時に主人公のあまりに途方もない孤独に涙が出てしまった。
そんなことを意図した内容ではなかったのかもしれないけれど、この世に一人も確たるつながりがないというのはどんな心地になってしまうのだろう…という不安で。
いや弟とのつながりはあったのかもしれないけれど、色々な意味で確たるものではなくなってしまっているようにも感じて。
後に「そしてバトンは~」を読んだとき、同じように血のつながりに囚われない家族の形を描きながらも、ここまで切り落としたままのガラスのような脆さは感じなかったので、これはこれで貴重な作品だな…と思った。
読み返す勇気はあまりないけれど
2020年11月23日
- 人類の子供たち (ハヤカワ・ノヴェルズ)
- P.D.ジェイムズ
- 早川書房 / 1993年10月1日発売
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図書館で借りて読了
映画「トゥモローワールド」の原作だというのは読み終えてから知りました。割と地味な題材では…
ディストピア大好きマンなのでそれなりに楽しんで読んだけれど、勝手な思考の登場人物が多いとそれなりにつらくなる…
しかし文字情報だけと思えないほど情景の浮かぶ描写は見事でした。
2020年11月23日
- ロミオとロミオは永遠に 上 (ハヤカワ文庫 JA オ 7-1)
- 恩田陸
- 早川書房 / 2006年7月1日発売
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図書館で借りて読了
ある程度時間が経っているというのもあって、中途半端に古さを感じるのがややキツいなぁと思いつつも独特のディストピア設定なのでどうなるのかと先を気にしつつ読んでいたら……最後がちょっと拍子抜けというか後味のいいものではなかったのがちょっと。
ただ後味が悪いだけならいいけれど投げっぱなし感を感じてしまった。
他の恩田陸作品を読んだときに抵抗を感じてこれならどうかと友人に勧めてもらったんだけど…確かに読んでいる間は楽しかったけど最後だけ残念でした
2020年11月23日
図書館で借りて読了
「蜜蜂と遠雷」を買おうかどうか悩んでまずは恩田陸作品を読んでみようと思ったんだと思う。
(のちに蜜蜂~は幻冬舎不買の一身上の都合で買わずに借りました)
すこしふしぎ系の話は好きなはずなんだけどこれはどうにも合わなかった…。あとで読んだ「ロミオと~」でも感じたけど解決しないにしてもなんらかの芯を通して終わってほしいのにただただフワっとしたものに感じてしまった。
2020年11月23日
- SHERLOCK The Abominable Bride シャーロック 忌まわしき花嫁≪英語のみ≫[PAL-UK]
- アンドリュー・スコット
- 2entertain / -
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札幌劇場で鑑賞。字幕版。
日本版DVDが出るまでの仮登録
2016年2月24日
- Martian [Blu-ray] [Import]
- Ridley Scott
- 20th Century Fox / -
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近所のシネコンで鑑賞。字幕版
日本版DVDが出るまでの仮登録
2016年2月24日
- ブラック・スキャンダル (角川文庫)
- ディック・レイア
- KADOKAWA/角川書店 / 2015年12月25日発売
- Amazon.co.jp / 本
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近所のシネコンで鑑賞。字幕版
DVD情報が出るまでの仮登録
2016年2月24日
- パディントン ムービーストーリーブック
- ジャンヌ・ウィリス
- キノブックス / 2015年11月26日発売
- Amazon.co.jp / 本
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近所のシネコンで鑑賞。吹替え版。
DVD情報が出るまでの仮登録
2016年2月24日
- わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫 イ 1-6)
- カズオ・イシグロ
- 早川書房 / 2008年8月25日発売
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図書館で借りて読了。
この本を語るのに多く使われる「静謐」という単語。
ごく淡々とした語り口や、とても残酷な運命や大切な人の死も過剰な表現無しに描かれていく様は確かにその言葉が合っている気がします。
また文字でありながら描かれるイギリス各地の雰囲気も。
けれどこの本はただ静かな話では決してなく、淡々としているのに読みながら知らぬ間に引っ掻き傷を負うような、心を細く深く抉られるような、そんな一面も確実にあるように思います。
登場する人物誰一人として共感は出来ないのに、彼らの落胆を恐れたり喪失を悼んだり。
また、些細なことなのですが 人と話しながら周りの何かに気を取られたり、何かをしながら全然違うことを考えたり…みたいな、無意識にやっていて、やっているとどこかで分かってるけど気に留めたことが無かったような事が突然ポンと描写される事があって、何故か凄く驚かされた。それに敢えて触れる人がいるなんて、とでもいうのか…。
そして読み終えてから思った事ですが、彼らは「こうありたい」と望んだり猶予を求めたりはしても、運命を呪ったり完全に逃げ出そうとはしないんですよね。
それしか無いと思い込んでる所為かとも思いましたが働く夢をみたりもするし…。
その根源は、彼らが自分を不幸と思っていないからなのかな…?と。
読者からしたら彼らは身勝手な人間が作った使い捨ての臓器保管庫。搾取されるだけの存在ですが、彼らは自分たちを「提供者」と呼びます。
つまり彼らには周りの人間こそが不幸で、その不幸な人間に分け与える大いに意義ある存在が自分たちなのでは無いでしょうか。
そんな風に思えるのも、子供の頃から自分達の生み出したものが選ばれ、どこかで高く評価され展示されている。そう信じ続けていたから…。
そう思い至った時に改めてこの作品の恐ろしさ、悲しさ、そして身近さを感じてゾッとしました。
勝手な解釈ではありますがそれも一つの感想かと…。
不思議な作品ですが読んでみて本当に良かったと思える作品でした。
2016年1月19日
- 白鯨との闘い (集英社文庫)
- ナサニエル・フィルブリック
- 集英社 / 2015年12月17日発売
- Amazon.co.jp / 本
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近所のシネコンにて鑑賞。字幕版
DVD情報が出るまでの仮登録
2016年2月24日
- シャーロック・ホームズの冒険(特別編) [DVD]
- ビリー・ワイルダー
- 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン / -
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2016年1月11日
- ラスト サムライ 特別版 〈2枚組〉 [DVD]
- エドワード・ズウィック
- ワーナー・ホーム・ビデオ / -
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中古DVDを購入鑑賞。字幕版。
公開当時は一番洋画離れしていた時期だったのと、海外が描く「サムライ」と言うとどうにもイロモノイメージだったので大ヒットにも関わらず全く内容すら知らないくらい素通りしていました。
改めて見てみて、驚くほどしっかり日本の武士道や幕末に見捨てられ行く侍達の悲哀を描いている作品だと知りました。
(途中の忍者襲撃はご愛嬌で…/笑)
そういう侍たちの中に、かつて上司の命令で意義の分からない殺戮を繰り返し、すっかり戦うことに倦んでいたトム・クルーズ演じるネイサン大尉が一応は捕虜のような形で保護される。
理解を示さない侍達もいるものの、親切な人たちにも支えられ、山奥の村でゆっくりと時間が流れ行く様子、おっかなびっくり人々の心に触れていくネイサン大尉の姿に、トム・クルーズはこういう静の演技にも十分魅力のある役者なんだよなぁ…と改めて実感。
それでいて当然、終盤の激しい戦いのシーンも見ごたえがあります。ちょっと馬が心配になってしまうくらいに…。
ラストは切なくもじんわりと良い余韻の残る映画でした。
2016年1月25日