令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087718218

感想・レビュー・書評

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  • 帆立さんの新刊。短編集。
    いつもとテイストは違ったけど、これはこれで楽しめた。
    そ、その先どうなった!?って、ラストが結構どれもモヤっとする。
    ワタシ的には「自家醸造の女」が一番好き。結局そうだよね、と納得の着地。
    架空六法なので第2弾もありそう。

  • 習作のようだ。

  • 「動物裁判」
    「自家醸造の女」
    「シレーナの大冒険」
    「健康なまま死んでくれ」
    「最後のYUKICHI」
    「接待麻雀士」
    の6作で構成される短編集。ある法律が追加・改変されることにより世界がどのように変化するかを最悪なかたちで表現する。どれもかなり後味悪いが、わたしにとって印象的なのは「健康なまま死んでくれ」。
    健康管理をしているアピールのためにほとんど立ち仕事の社員に毎日30分のウォーキングを課すことはナンセンスのようにも思えるが、現代社会ではそのように誰に向かってかアピールするための無駄な作業が増えた気がする。本質的な解決ではないけど第三者が評価しやすいから導入する。誰得なんだろう。

  • あり得なくもない、こんな法律が成立したら、な世界で巻き起こるディストピアな6つの物語による短編集。現状のくだらない法律や過剰な労働者保護、動物保護、広がる電子マネーなど、現代、未来への警鐘ともなっているが、しかしなんとも終わり方が、ね。

  • 日本の法律が変わるとこんな風になるというのが根底にあるテーマだが、それだけではなく、変わったことによって人々がどう動くかまでしっかり書かれていて面白かった。

    特に過労死を防ぐために制定された労働者保護法。この法律のせいで企業は度を超えた健康管理を従業員に強いてしまう。そして金銭に困る従業員も拒否できない。表面上は「保護」なんて良い言葉に聞こえるが、実際は保護どころか虐待?ぐらいに思えてくる。恐ろしいね。

    接待麻雀が合法化された世の中というのも、面白い。わざと負けることが仕事の接待麻雀士。しかし、負けたいのに相手が負けさせてくれない状況に陥ったらどうなるのか?これは全く真意が分からず最後は唖然とした。ああ、でも言われてみると対局中にもサインは出されていたんだね。
    ひとつのことに突っ走るのは悪いことではないし、主人公も別に嫌いではないのでこの展開はちょっと可哀想だったなぁ。

  • 新川帆立氏は大ファンで新刊は必ず読む。
    これは初の短編集とのことで期待したのだがも一つな感があり残念。
    SFはウソ話でありその大ウソに理屈が付いてて納得させられるから面白いのであって 設定が凝ってても納得できる理由付けがほとんど無いこの作品集はワシとしてはバツ。
    冒頭の動物裁判の話だけはかろうじて納得できるしオチも面白かったが後はねぇ。
    接待麻雀の話はただの麻雀小説としては面白かった。あと現金が忌み嫌われる話はオチが往年の筒井康隆氏っぽくって良かった。多分オマージュなのだろう。
    バーチャル空間の話はありきたりな設定でわざわざ氏が書く必要があったのか疑問。
    あ、Amazon倉庫労働者の話はわりと良かったな。

    あれ、振り返ってみたら半分くらい好きだぞ。
    でも全体としての印象が悪いのはやっぱり氏の長編が好きだからなのだろう。

  • リーガルSF短編集。ってなんだそれは、と思いました。パラレルワールドな「レイワ」の時代を舞台に描かれる、架空の法律をテーマにした物語です。もしかしたらありえたのかもしれない、のだけれど。こんな変な法律があったらたまらない気持ちもあるかも。ブラックで痛快な作品です。
    お気に入りは「健康なまま死んでくれ」。過労死防止のための法律が制定された世界の物語。というといいじゃないか、と思ってしまうのですが。結局は建前だけなんじゃないか、ってのは現実と変わらないのですよね。その中で起こった死亡事件の顛末は実にブラックなのですが。現実離れしていなくって怖いかもしれません。
    「動物裁判」は、動物にも権利が認められた世界の物語。ただユーモラスな物語だと思っていたら、かなりブラックでした。いやでもこういうの好きだわ。

  • 今までの作品とは少し趣の異なる架空世界のリーガルブラック短編集。少し終わり方に不満あるものもあるにはあるが、舞台設定とそれにあわせたワードセンスはやはり光る。「動物裁判」「健康なまま死んでくれ」「接待麻雀士」は面白かった。著者自身元プロ雀士だっただけあり描写は的確。ありあまる才能の片鱗を法律以外にも発揮した作品。

  • 全体的には「現実ではあり得ないような法律が現実になった架空の世界」という設定なのだが、最後の賭け麻雀のお話はレートやイカサマ技はともかく現実には普通に行われているだろうという一方で、かたや動物が訴訟の主人公になるお話は相当非現実側に振った話だと思うので、統一感がないというか、何だかどういう心づもりで向き合えば良いのかよく分からないまま終わってしまった印象だった。

  • 新川帆立さんの著書は初めて。
    色々な「レイワ」。

    「健康なまま死んでくれ」と「絶対麻雀士」はグイグイ読ませる感じが良かったです。
    元プロ雀士が冴え渡ってました。
    ただ、他のレイワは好みではなかったです。

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著者プロフィール

一九九一年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第十九回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、二〇二一年に『元彼の遺言状』でデビュー。他の著書に『剣持麗子のワンナイト推理』『競争の番人』『先祖探偵』『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』などがある。

「2023年 『帆立の詫び状 てんやわんや編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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