- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101240589
作品紹介・あらすじ
丕緒の鳥は、小野不由美さんが描く人気シリーズ十二国記の最新刊です。今までの作品の世界観を活かしながらも、王の視点ではなく民の視点で描いた短編集であることが特徴です。そのため、王や国といった大局的な視点よりも、人間そのものに焦点を当てていると言えます。今までの作品であまり描かれなかった人々の姿を描写し、新たな魅力をシリーズに与えた作品です。
感想・レビュー・書評
-
十二国各国の王や麒麟が、自国の為、どの様に引き継ぐか、立て直すか、といったメインストーリーの内側で貧困や政治の混乱に苦しみ悩む、官吏や市井の人々が描かれた短編集。
「丕緒の鳥」
大射と呼ばれる、陶製の的を射る儀式。その陶工が、彼の望む国を、苦悶しながら、表現する。その想いは、王に伝わる。
この儀式が、よく考えられていて、鳥のように飛ぶ様子が想像できた。
「落照の獄」
死刑制度の是非について問う。
傾きかけた国、政治に興味を失った王。そこで司法を司る官吏の苦悩。
「青条の蘭」
新しい樹木の疾患による森の崩壊を防ごうとする男達。最後の希望の苗を、王に手渡す為、何人もの人物が走り続ける。人の為、国の為、行動できる気持ちが、成し遂げるもの。
森の話になると、明治神宮の、100年を見据え設計された森のプロジェクトのことを思い出してしまいます。あれも、奉仕団の活躍があったんですよね。
「風信」
女性排除という異常な政令に苦しむ民。その為、全てを失った少女が、暦作りをしている家で奉公を始める。周囲の状況に左右されず、統計を取り続ける。なんだろうねえ、こういう研究者が存在したから、歴史が伝わっているんだろうなあ。
四柱推命とか算命とかの統計は、中国の古代から作られていた戸籍を元にしてるとか。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
十二国記【丕諸の鳥】EP5
1→4→2→0→8→3→5の順番で読む。
変な順番ですが理由あります(^^)
丕諸の鳥…、4つの短編集。
じっくり読み応えがあり涙がでた。
国と民を守る為、懸命に使命を貫く無名の英雄たちに心震える!
丕諸の鳥
落照の獄
青条の欄
風信
んー、【落照の獄】はちと私には難しかったです。
柳国が傾いている状態で、殺刑(死刑)を復活してもいいかどうか。それは殺刑の濫用につながるのではと、司刑の瑛庚(エイコウ)が悩むお話。
特に好きだったのは【丕諸の鳥】と【風信】。
【丕諸の鳥】
「大射」という国の儀式を担う丕諸(ヒショ)さんのお話。読後の表現できないじんわりとした感動!
【風信】
暦を作る人達のお話。泣きましたぁ(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
各話に出てくる登場人物は十二国ならではの、国のお仕事に携わる人達。
作者が創り出す十二国の世界は、設定は細やかで世界観は壮大で言葉じゃ表現できないんです。
うーん、読んで体感してるって感じ。笑!
あと漢字がやっぱり…、むずかしぃー^^;
タイトル【白銀のオカ】が
漢字検索で出てこない!笑笑
まだまだ十二国の世界たのしみますっ
次はエピソード6【図南の翼】へGO!
-
ひろみっ、コメントありがとう(*´∇`*)
んとね、最初は言葉、漢字、国の地図やシステムが難しくて調べてばかりだったんだけど、少し慣れてきた...ひろみっ、コメントありがとう(*´∇`*)
んとね、最初は言葉、漢字、国の地図やシステムが難しくて調べてばかりだったんだけど、少し慣れてきたみたいっ。ヤッタァ(^^)
十二国記ガイドが買ったばかりなのに、付箋だらけで、使用感が凄い事になってきたよ(^^;
でもね、すごく面白くて、
十二国記温泉温泉にどっぷり浸かってます♪2022/10/18 -
松子さん、おはようございます。
「オカ」は、Wikipediaに出ている単語をコピペして使いました(^_^;)。松子さん、おはようございます。
「オカ」は、Wikipediaに出ている単語をコピペして使いました(^_^;)。2022/10/20 -
くまさん、おはようございます(^^)
Wikipediaからコピペ(゚ω゚)
なるほどっ!ありがとうございます
やってみますねっくまさん、おはようございます(^^)
Wikipediaからコピペ(゚ω゚)
なるほどっ!ありがとうございます
やってみますねっ2022/10/20
-
-
シリーズ中、屈指の読み応えであった。全4編を、主人公を説明することで順に批評する。
「丕緒の鳥」
丕緒(ひしょ)。慶国の祭祀吉礼において催される射儀を司る責任者。官吏なので仙籍に入り、歳を取らない。悧王以降4代に仕える。陶製の鳥を射て、美しい音を立て華やかに砕ける事を愉しむ儀式を司り、そのためだけに存在する。鳥とは鵲(かささぎ)でなくてはならない。丕緒は自問自答する。
ーーいったい何のためにこんな儀式があるのか。
百数十年生きても、尚わからない。蓋(おもうに)「極める」とは斯くの如しか。
「落照の獄」
瑛庚(えいこう)。柳国の国府(最高裁判所)の司刑(裁判長)である。法治国家の体裁を採り、合議制で結審する。殺罪などの大罪に対する刑罰の最重刑は死刑つまり「大辟(たいへき)」と云う。調べると、この言葉は四書五経の中の言葉だった。しかも、始皇帝の焚書坑儒により、大半の原典は我々の世界では喪われている。柳国では活きている。この短編には、その頃の専門用語が多く出てきて、その分瑛庚の決する最終刑はわかりにくい。しかし1番のカギは、主上(王様)が「大辟を用いず」方針に責任能力を持たなくなったことにある。我々世界の問題(死刑是非論)とリンクしているようで、実はリンクしていないことは留意すべし。古代漢字を現代小説に用いるために、著者は、奄奚(げなんげじょ)、豺虎(けだもの)、殺刑(しけい)、刑案(うったえ)、徒刑(ちょうえき)、刑徒(しゅうじん)等々と翻訳してみせる。不亦面白乎(またおもしろからずや)。
「青条の蘭」
標仲(ひょうちゅう)。一転、この短編の主人公は、最初からずっと移動し続けていて、ラスト近くで倒れて仕舞う役割。わかりやすい。下級役人の1人で、新しい植物や鳥獣を集めるのが仕事である。何処の国の話かは、最後の最後にヒントのみ与えられる。シリーズファンならば直ぐ判るだろうという憎い演出である。はっきりハッピーエンドか、バッドかは描かれていないが、ファンならば判る。また、王様の長きに渡る不在とは、つまりは国が滅亡に近い処までいくことなのだと、この短編により、よく判るのである。
「風信」
蓮花(れんか)。最後の少女は、不老不死の役人でさえもない。標仲も蓮花も、2013年の文庫書き下ろしらしい。シリーズが始まって、20年以上が経っているのに、つい最近始まったかのようなこの瑞々さは何なのだろう。物語は、正に「月の影影の海」「風の万里黎明の空」の時間軸と慶国内の出来事で物語られる。景麒も陽子も微かにも出てはこない。その中で、正に十二国ならではの出来事で、蓮花は希望を見出すのである。
この本で、年表に新たに付け足す事はなかった。
-
-
2019/11/23
-
2019/11/23
-
-
裏舞台を描いた、一冊。
これまでは国と王という表舞台が描かれていたけれど、今作は民という裏舞台に焦点をあて描いた作品。
実にどっしり、内容は濃い。いつの時代もいつの世界も、民が願うことはただ一つ。
全ての民が安寧に暮らせ、全ての民が救われること。
その思いを王に託すこと。
一人一人が己の場で出来ることを思案し全うする姿は胸を打つ。
一人一人の小さきチカラが国の未来に繋がる…自然と今の世の中に重ね合わせてしまった。
四つの短編、どれもラストの余韻がこれまた良い。
そしてこれはどこの国だろうと思いを巡らせるのも楽しかった。 -
十二国記のシリーズ5作目。
と今ならわかるが、これを読んだ2020年当時は恥ずかしながらシリーズものという認識がなく、しかも短編集だったため、よくわからなかったのが正直なところ。
今再読すれば、違った楽しみ方ができるのだろうな。機会があれば。 -
本編では描かれない、官吏たちの姿を描いた4つの物語が収められています。
景王即位の儀式で使用する的を作る陶工。
職務と感情の狭間で葛藤する裁判官。
希望を託した荷を背負い雪道を急ぐ地方役人。
地域にあった暦を作るため季節の移ろいを観測する男たち。
短編なのですが、どれも1冊の本を読み終えたかのような密度と広がりがあって、満足の溜め息がこぼれました。
国と民のあいだで苦悩しながらも、自身に課せられた役割を果たすためにもがく姿に涙が滲みました。
著者がどれだけ緻密に十二国の世界を創り上げているのか、本書でより鮮やかに感じることができました。
改めて、十二国記の凄さを実感し、静かに興奮しながら読了。 -
十二年ぶりの十二国記シリーズ『丕緒の鳥』。
十二になぞらえずにもっと早く刊行してほしかったな〜w
十二年も経っているのに、待つことを諦めていなかった。
それほどまでに十二国記シリーズは私に強い影響を残していた。
会社に入って(なんで俺だけこんなに忙しいんだ...もっと働くべき人が働いていないのに...)とはグジグジしていた時に「十二国記シリーズ」を読んだ。
景王陽子が王たることを悩み立っていく姿を通し自分の働き方の哲学を見つけた。
それほどまでの影響を残したシリーズ。
十二年ぶりの『丕緒の鳥』はまさに十二国記だった。
無慈悲な現実を突きつける。
立場の違いによる考えを突きつける。
苦悩し、苦悩し続けた先に自分の解を見つける。
それが正しいのかわからない。
しかし歩んでいく。
4編、すべてに残るものがある。
その中でも特に、『丕緒の鳥』、『落照の獄』が私に響いた。
『丕緒の鳥』
なぜ本作をタイトルにしたのか。
丕緒が王に伝えたかったこと、丕緒が気づいたことを刻む本編は、小野不由美さんが読者に伝えたいこと、気づいてほしいことと重なっているのではないかという気がした。
大いになる「希望」とともに。
『落照の獄』
「父さまは人殺しになるの?」で始まる。
死刑制度とは何かと本当に考えさせてくれた。
「けだもの」を単純に切り捨てることは簡単である。
国の視点、民の視点で苦悩する様はズキズキとする。
「十二国記シリーズ」は異世界ファンタジーである。
異世界という姿を通し、現実にある正解のない世界で生きていく民の物語。
最後まで読みきりたい。
最後にすべてを読み返したい物語。 -
読み忘れてたのに気が付いて、2年越しにやっと読んだ今巻!
久々のこの世界…良かったぁ
直接王と関わりのない市井の民の話、4篇の短篇集
どの物語も印象深いものであった
王に何を思うか
国に何を思うか
たぶん民からしたら、上の者がどうこうよりも、ただただ生きるために生活しているだけだ
だから国が傾いた時、王の不当な令が試行された時、民の心や民の生活をここで窺い知る
私はこの中だと特に青条の蘭が心に残る
自然の残酷さと生きることへの渇望が美しいなって -
3.4
4つの短編集
タイトルになっている丕緒の鳥と最後の風信は良かったが、他はちょっと難しかったですね。
特に三つ目は難しくなかなか進みませんでした。
サイドストーリー的な話なので、設定を把握するまで時間がかかりました。
また違う心情の時に読めば印象も変わるのかも知れません、暫く置いて再読したいと思います。 -
ここにきて突然短編集を突きつけられて、読み始めは少々戸惑った私。
でもどの話も必要なもので、もしかしたらこれまでのメインの話よりも毎回すごく考えさせられた。しかも日本の現実とリンクさせながら。
覚えている範囲で各短編の感想を。
丕緒の鳥
直接は国政に関与しない仕事につきながら、国の行く末を憂い、自分の作品にその想いを託し王に伝えようとする主人公の姿勢に胸を打たれた。いろんな伝え方があるんだなと。相手によっては全く届かないこともあるが、通じ合える相手に出会えたときの喜びは格別のもの。
丕緒の鳥はとても美しかった。
落照の獄
司法に纏わるお話。これはもう後味が悪かったけど、実際難しい問題。この頃ちょうど障害者施設を襲った犯人の死刑判決が決まる頃だったから余計考えさせられた。人が人を正しく裁くというのは本来できないような気もするけど、それを誰かがやらないと社会は成立しないし私達は安心して暮らせない。何が正しいことなのか、どうすべきなのか、自分の中で堂々巡りのまま今に至る。
青条の蘭
完全にコロナウイルスの現状と重ねて読んだ。出てくるのは山毛欅が侵されていく疫病でウイルスとは違うけど、この得体のしれないものにじわじわと、しかし確実にやられていく様が完全に重なった。
その疫病を食い止めようとする役人のお話。
今も医療現場ではたくさんの方々が文字通り命をかけて闘っている。
私ができる唯一のことは、外出を控えて絶対に感染しない、させないこと。
ウイルスと最前線で闘う人たちの努力が報われるためにも、それだけは守らなきゃと読みながら思った。
風信
大学の研究者のように、日々自然観察を行って世界の法則を見つける仕事をしている人たちに纏わる話。
この世界には本当に様々な仕事がある。
他人が一見すると役に立たないと思われるものもあるが、他人にどう思われようとその仕事の意義を捉え、真摯に取り組んでいる人々はやはり尊い。
自分もありがたいことに職にはついているので、この仕事の意義を自分の中で明確に持ち、職責を全うしていきたい。 -
引き続き図書館が閉まっているので家の在庫を読む。
十二国記の短編集を4作。
麒麟も王も出てききません。
市井の人々の物語ってやつです。
3作目は走れメロス、4作目は天地明察的な。
ファンタジーが好きな人はもひとつな感じに思うと思いますが
私には結構よかったです。
今日Yahooニュースで
緊急事態宣言下でも一部制約付きで図書館が開館する
と知りました。よかったよかった。 -
十二国記シリーズの五作目は、四つの短編集でした。苦しい時代に己の信じる正しきことを全うするために奮闘する人々の作品集だった。ファンタジーの世界だが、読者に訴えてくるメッセージが強烈に存在していると感じた。十二国記の世界観を広げてくれる一冊。
-
今作は麒麟や王が出てこず、王に使える役人達(王に謁見できないくらい低い位)のお話。4編集録。
「丕緒の鳥」
祭礼の際に陶鵲(とうしゃく)という鳥に模した陶製の的を打ち上げ、それを射る儀式を司る男の話。彼の思いは新王に通じるのか?
→まつりごとには関与できない役職の男が国への思いを陶鵲に託し、それに真剣に向かい合う姿が良かった。
「落照の獄」
僕らの世界でいう死刑制度をテーマにした話。司法が担うべき役割とは?
→物語を通してテーマをうまく掘り下げてあって面白かった。
「青条の蘭」
ブナが原因不明の病気になり、どんどん拡散する。しまいには山がダメになり、結果として村が、民が死んでしまう...。山を知る男達が原因究明に乗り出し、奇跡の治療薬を見つけるものの、役所が腐敗しておりどこで情報を握りつぶされるかわからない。主人公は命をかけて奇跡を運ぶ。
→過酷な描写が良かった。主人公がたどった景色が映像に浮かぶよう。ラストの描写もとても美しい書き方で良かった。
「風信」
蓮花は目の前で家族を殺されるものの、自身は何とか生き残ることができ、働く場所を見つける。そこでは俗世間の喧騒も感じさせず、役人達は暦を作るためにひたすら研究とデータ採集の日々。研究バカの役人、そこのお気楽な雰囲気に怒りを感じる蓮花であったが...
→ラストでその評価がガラッと変わっていくのが良かった。どんな仕事でも意味や意義はあるってことだよね。 -
この作品は、十二国記の本筋とは直接の関係を持たない短編集であるが、全四編のうちの一つである「落照の獄」とういう作品にとても考えさせられたので、他巻を差し置いて先に考えを纏めずにはいられない。
舞台は柳国、主人公は最高裁判所の裁判長である瑛庚(えいこう)。
幼い子供や無力な老人を無作為に殺害した、ある殺人犯が捕らえられ、判決を待っている。
瑛庚は、人を裁く職として、とても強い責任感を持っており、正しい判決を下すためには、感情的にならず、あくまでも冷静に且つ客観的に判断しなければいけないと考えているが、子を持つ一人の親として、犯人には死を下すべきなのではないかという個人の感情と葛藤していた。
目についた弱者を、恣意的に殺害し、それを反省する様子を見せない犯人に対して、妥当な判決は死刑なのか。
犯人を死刑にしてくれと叫ぶ被害者の家族と、裁判官としてあくまでも死刑の妥当性を探り続ける瑛庚。
彼は、「家族を殺された悲しみの果てに犯人の死を望む親としての感情」も、理屈を超えた人としての反射であり、「たとえ相手が殺人犯だとしても直接死刑の判決を下すことに躊躇してしまう気持ち」もまた、人とのしての反射なのだろうと結論づける。
今の世の中でも、様々な事件が起き、実際に死刑になる人がいる。
現代の死刑存廃問題と、直接は関係づけることができないと思うが、人の死に関わるということにおいて、学ぶことはとても多いと感じた。 -
こちらもまたオリジナルの短編集、4編。
自分が期待している、陽子さんや楽俊や、泰麒のその後ではなく、
全く知らない人たちの4編。
十二国記の最初の方は、あっという間に一冊を読み終えてしまったが、短編集は相変わらず苦手で、随分時間を要してしまった。。。 -
今までの十二国記は支配層側から見たあちらの世界に対し、4編いずれも市井の側視点なので、より一層世界観に奥行き深みが感じられるようになりました。どの話も現代の事情とあまり変らない。人は間違っては正す事の繰り返しなのかな。「丕緒の鳥」「落照の獄」はヨムヨムで既読。「青条の蘭 」:どこの国の、いつ頃の話なのか不明だったのが、最後クライマックスに来て『そうか!』となるのが、明るい確かな未来を約束されたような興奮となって訪れました。「風信」:熊蜂が薔薇の花から蜜を集めるのを蓮花が見るシーンが好きです。