イスラム2.0: SNSが変えた1400年の宗教観 (河出新書)

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  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309631141

感想・レビュー・書評

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  • 少しむずい。
    イスラム教を無理に理解しようとはせず、そっとしとこ。

  • anazon 2019-12-82021/09/7了

  • カリフ制とは、スンニ派イスラム法学においては、唯一のカリフがイスラム共同体を統治しなければならないという制度。
    イスラム教徒はイスラム法のみに従わないといけない。主権は神に存するとされ、人間には立法も法の廃止、改正も認められない。

  • イスラム2.0
    SNSが変えた1400年の宗教観
    著:飯山 陽
    紙版
    河出新書

    キリスト教の宗教改革が、グーテンベルクの活版印刷の聖書の普及がきっかけだったように、イスラム教の宗教改革は、インターネットの普及による情報革命に端を発する
    原理主義とは、イスラム教の原点、コーランとハディースに記載されていることを、忠実に実行にうつすことを意味する
    そして、イスラムの教えは、最後の預言者ムハマンドを通じて神の言葉として決して変更をすることを許さない教義である。そう610年にイスラム教が成立してより今日まで
    そのために、ムスリムは、周りと同化することはない。

    気になったのは、以下です。

    イスラム教徒はイスラム法によって統治される秩序の確立を目指し、彼らが正義だと信じるジハードを実行しますが、同じ価値を共有しない私たちにとっては、それはテロ以外の何物でもありません。
    彼らの正義の基準は神であり、神の下した啓示です

    インタネットの普及によって、イスラム教徒は啓示に直接アクセスできるようになり、徐々にこの共生の知恵が神の目から見ると過ちかもしれないという可能性に気づき始めました。
    コーラン、第4章144節には、「あなたがた信仰するものたちは、不信仰者を友としてはならない」と明示されています

    ジハード主義者からすれば、日本人はジハードの対象である「殺すべき敵」であり、日本は居心地のいい安全地帯であり、日本のパスポートは間違いなく使い勝手がいいのです。

    コーランは、第114章で1冊の本に収まる分量ですが、ハディースは、数十万あるとも言われるほどの膨大な数が存在するからです
    イスラム教の啓示テキストがあまりにも多いため、近代以前の一般信徒にとってイスラム法の基本を押さえることは能力的にも、また、物理的にも、まったく不可能なことでした

    インターネットは、イスラム教発祥以来、1400年間ほぼ変わらなかった、知的状況を激変させ、イスラム世界に革命的ともいえる変化を引き起こしました。
    イスラム2.0時代の到来です。

    ジハードの根拠は、コーラン第2章116節にある「あなたがたには戦争が義務付けられた」です。神はイスラム教徒に戦争を命じているのです
    異教徒には、イスラム教に改宗するか、ジズヤと呼ばれる人頭税を収めるか、それとも殺害されるかの3つしか選択肢がないのです
    イスラム支配下の異教徒にはズィンミー制というのがあり、イスラム教徒の絶対的優位に対する異教徒の劣位です

    コーランは神の言葉であり、コーランに示された啓示の正しさは、普遍的であり、その価値はどんなに時代がかわっても変わることはないと信じられています
    イスラム教徒にとっては、啓示は時代遅れという価値は全く受け入れられないのです

    ヨーロッパではイスラム教徒も数世代たてば、同化するという言葉がウソであったことに気が付きはじめています

    異教徒の女性は、議論の余地なく、売春婦とみなしています
    イスラム法では、ジハードで敵から奪った女は戦利品として戦士たちで山分けされ、自分の所有となった女は性奴隷としてよいとされています。
    同じイスラムでも、99%以上のエジブト人女性がセクハラ被害にあったことがあると回答しています。

    イスラム教徒は多産です。それは、コーランが推奨しているからです。

    学校イスラム化はトロイの木馬計画と呼ばれています。学校のイスラム化です
    イギリスを各国では、イスラム教徒が集住することで治安が悪化し、警察や当局者ですら立ち入ることができない、ノー・ゴー・ゾーンが出現している

    LGBT,同性愛者はイスラムでは違法です、姦通と同様、石打ち刑を設けているところがあります。

    イスラム教の棄教は、死刑。アフガニスタン、ブルネイ、モーリタニア、カタール、サウジアラビア、スーダン、UAE,イエメンの8カ国です

    棄教者のなかで特に深刻なのは、無神論者です。

    目次
    はじめに
    第1章 イスラム2.0時代の到来
    第2章 ヨーロッパのイスラム化とリベラル・ジハード
    第3章 インドネシアにみるイスラム教への「覚醒」
    第4章 イスラム・ポピュリズム
    第5章 イスラム教の「宗教改革」
    第6章 もしも世界がイスラム教に征服されたら…
    第7章 イスラム教徒と共生するために
    あとがき
    イスラム事件一覧
    参考文献

    ISBN:9784309631141
    出版社:河出書房新社
    判型:新書
    ページ数:272ページ
    定価:880円(本体)
    発売日:2019年11月30日初版発行
    発売日:2019年12月20日第2刷発行

  • イスラムにの教義等の説明側の著書の方がわかりやすかろう。
    ネットの発展により、これまでイスラム学者を通してしか触れることのできなかった、生の「神の言葉」に誰でも触れることができるようになって、本来の非寛容を実践しようとする世界。

    イスラムの目的は、イスラム教の元世界を征服すること。

    さらに征服された世界を描き、多様化という綺麗事のもと、イスラムと触れずにいられない世界で、余計なトラブルを起こさない方法も書いている。
    判るのだが、結局、イスラムの拡大を防ぐことが、現実の世界では不可能ということかと嘆息する。

  • イスラム教再興が面白かった為、前作のこちらも読了

    イスラム教再興に比べてイスラム教に詳しくない人でも読みやすい内容となっていた。ある程度知識がある人には物足りなさを感じる。

  • ●イスラムは平和の宗教と言う通説。これは日本の専門家たちが抱く気持ちの表明であり、客観的な論拠に基づいているわけでもなく、本質を答えているわけでもありません。
    ●イスラム教はコーラン等の啓示を絶対視し、啓示の解釈によって構築された規範体系を有する極めて論理的な宗教です。この宗教の根幹をなす啓示に立脚した学問・規範体系がイスラム法です。イスラム世界の知識人は啓示を学んだ後で必ずイスラム法を学び、それに基づいてイスラム教について論じます。
    ●彼らの正義の基準は神であり、神の下した啓示です。私たちとは違うのです。テロをしないのが「正しいイスラム教徒」だと言うのは、あくまでも私たちの都合に合わせた解釈に過ぎません。
    ● 注目すべきなのが、イスラム国やアルカイダに代表されるグローバルなジハード・ネットワークが広がりと、インターネットの普及に伴う一般のイスラム教徒の原理主義化です。
    ●インターネットの普及によって、イスラム教徒は啓示に直接アクセスできるようになり、徐々に「共生の知恵」が神の目から見ると過ちかもしれないと言う可能性に気づき始めました。コーランには「不信仰者を友としてはならない」と明示されています。
    ●バングラディッシュのテロの首謀者は、日本国籍を持つバングラデシュ出身のオザキ。日本で帰化改宗し、テロを計画。
    ●法の唯一の源は神であるという前提に立ち、イスラム法の規範の源「コーラン」か、ムハンマドの言行録である「ハディース」に示されたスンナ(慣行)、あるいは法学者たちの声である「イジュマー」に基づいていなければならない、と言う原則を8世紀頃に確立させました。
    ●イスラム2.0時代は、法学者よりGoogle先生。ネットでは、法学者が、不正な世俗権力者の犬であり、彼らにとってジハードは不都合な概念だからなど。

  • イスラム教関連のニュースをみても、どこか遠い国で行われており関係のないことだと無意識に軽視していたが、この本を読んでみて事の大きさ、深刻さを認識することができた。
    イスラム教徒、ジハード主義者はその方たちの考えを否定しても、それが簡単に受け入れられたり話が通じる相手ではないことが書かれている。
    インターネットの普及により法学者による情報独占から解き放たれ、コーランを自ら学び実践する、それらをSNSなどを通して拡散していく近代をイスラム2.0時代と呼び解説されている。
    このまま増え続けていくであろう猛威とどのように共生していくか考えさせられる。意見は偏ったところもありそうなので、色々な意見を通して考えてみたい内容である。

  • ネットの普及によりコーランの原典(テクスト)に直接あたることが容易になり、聖職者不信に陥り(原理主義)政治体制を疑う(カリフ制復活)ようになった結果、世界中至るところで聖戦が繰り広げられるイスラム2.0時代が到来した、と煽りまくって恐慌を広めようとするかの著者。例えばキリスト教にも似たような経緯があって現在の状況に到っているという歴史を踏まえるならば、今の西欧化社会を忌避するイスラム思想が遠からず世界を破滅させるという最悪な予見とはまるで異なる予想も成り立つのだが…

  • アジアに住んで、イスラミストのテロの恐怖を実感している。だが、自分はグローバリストだからイスラム教徒の友人は当たり前に身近に存在するし、彼らとも分かり合えると思ってきた。飯山陽の説明を読んでいると妙に納得する。お花畑理論ではない現実が突きつけられる。解決策がないと感じる。

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著者プロフィール

飯山陽(いいやま・あかり)
1976年生まれ。東京都出身。イスラム思想研究者。アラビア語通訳。上智大学文学部史学科卒。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。著書に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『イスラム2.0』(河出新書)、『イスラム教再考』(扶桑社新書)、『イスラームの論理と倫理』(共著、晶文社)がある。

「2021年 『エジプトの空の下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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