空耳の森 (ミステリ・フロンティア)

著者 :
  • 東京創元社
3.70
  • (33)
  • (69)
  • (67)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 433
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488017743

作品紹介・あらすじ

まだ早い春の日、思い出の山を登るひと組の男女。だが女は途中で足を挫き、つかの間別行動をとった男を突然の吹雪が襲う。そして、山小屋でひとり動けない女に忍び寄る黒い影-山岳を舞台にした緊迫のサスペンス「冷たいホットライン」。孤島に置き去りにされた幼い姉弟の運命を描く「アイランド」。ある不良少女にかけられた強盗の冤罪をはらすため、幼なじみの少年探偵が奔走する「さよならシンデレラ」。居酒屋で男が安楽椅子探偵に遭遇する「晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)」…『アルバトロスは羽ばたかない』で一躍注目を浴びた鮎川哲也賞受賞作家の本領発揮。一編一編に凝らされた職人的技巧に感嘆すること間違いなしの、バラエティに富んだ九編を収める。

感想・レビュー・書評

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  • 「メロス、私を殴れ!」と、セリヌンティウスのように頬を差し出さなければ!
    七河迦南さんの本は、ぜひ刊行順に読むべきだ、と教えてくださったブクログ仲間さんに。

    まだたった3作しか刊行されていない七河さんの本。
    粗忽な私は下調べもせずに、3作目の『空耳の森』を図書館に予約してしまっていて
    アドバイスを戴いてから、慌てて1作目と2作目の予約を入れたのです。
    1作目の『七つの海を照らす星』はすぐに届いて読めたのですが、
    予約数の多かった、3作目のこの本がなぜか早々と届く中、
    2作目の『アルバトロスは羽ばたかない』が、待てど暮らせど届かなくて。
    やっと届いたのが、『空耳の森』返却期限が4日後に迫った日曜日。

    というわけで、中3日で2冊を読んでレビューも書かねば!と焦る私。
    無事2作目を読んでレビューも書き、この本を読み始めて。。。

    あれ?あれれ? 『アルバトロス』の続きが読めると思ってたのに
    始まったのは、なんだか冷え冷えとした雪山ミステリ。。。
    はるのんも、七海学園も、ちっとも出てこないし。。。
    こんなことなら、ギリギリまで待たないで、先にこっちを読んでもよかったんじゃ?

    そんなことを思った私は、やっぱり、メロスを信じ切れなかったセリヌンティウス。
    アドバイスをくださったブクログ仲間さんに、心の中で深く頭を垂れたのでした。

    布や石や金属や紙、さまざまな素材を集めて緻密に構成されたコラージュのように
    手旗信号、癖のついた単語帳、発音されない文字など、魅力的な謎を散りばめながら
    語り口も味わいも全く違う9つの物語を美しく繋ぎ合わせる魔法。
    本を開いたら、七河さんならではの繊細な魔法に身を任せるひとときが待っています。

    彼と彼女、ふたりだけを繋げるトランシーバでも
    心にわだかまりを抱えながら交わす一対一の会話でも
    指一本で間髪を入れず送受信されるメールでも伝わらない、人の想いが
    たどたどしい手旗信号で温かく伝わる瞬間。
    不器用でも、挫けずに想いを伝え続けた人の心を、ちゃんと受け止めていた人が
    こんなにもたくさんいたんだ!と、うれしさがこみ上げます。

    空耳は、きっと、聞こえてきてほしいと無意識に待ち望んでいる言葉。
    苦しさを抱えていても、想いを伝えようとし続けていれば、手を差し伸べる誰かがいて
    いつか空耳の森を抜け、明るい外へと駆け出す日が来る。
    鬱蒼とした森の中に、ひとすじ射しこむ春の光のような
    希望を芽吹かせる物語です。

    • まろんさん
      kwosaさん☆

      ああ!私ったら、前のコメントで白河三兎さんの漢字を間違ってるじゃない!
      と、今頃になって赤くなっている私です。
      でも、ひ...
      kwosaさん☆

      ああ!私ったら、前のコメントで白河三兎さんの漢字を間違ってるじゃない!
      と、今頃になって赤くなっている私です。
      でも、ひょっとしたら「白川三兎」で検索したから、図書館の蔵書検索でヒットしなかったのかも!
      と、いきなりポジティブになってもう一度検索し直してみましたが
      さすが田舎の図書館、やっぱりありませんでした。

      でも、そうですね! 
      今まで、読みたい本を図書館にリクエストするのって
      「私なんかのためになんだか申し訳ないなぁ」と気が引けることだったのですが
      少しでも地域のみなさんに、良い本を手に取ってもらえるように、と考えると
      とても意味のあることだったんですね。
      kwosaさんのお言葉で、目の前の霧が晴れたみたいに、気持ちが明るくなりました。
      ありがとうございます♪

      そうは言っても、やっぱりどんどん増える本の山。
      kwosaさんも、本の雪崩に埋もれることがないよう、
      万全の地震対策を講じてくださいね。
      2013/03/03
    • 沙都さん
      まろんさん

      kwosaさんとの熱いコメントの応酬にお邪魔してもいいものか、と思いつつ結局お邪魔させていただきます。

       『空耳の森』期待通...
      まろんさん

      kwosaさんとの熱いコメントの応酬にお邪魔してもいいものか、と思いつつ結局お邪魔させていただきます。

       『空耳の森』期待通りの作品でした!
       まろんさんのレビューにもある通り、最初はなぜこれが「七海学園」につながるのか、と思ったのですが、終盤に近づいてくるにつれ、「あれ、この人って……」という感覚が強くなってきて、そして最終話でのあの幕切れ。
      いやはや本当にすごいというかなんと言うか……。

       改めましてアドバイスもありがとうございました。まろんさん、kwosaさんお二人のアドバイスできっといい読書ができるぞ、と確信しながら読むことができました。そして期待通りの読書の時間を過ごせました。

       レビューや本棚これからも参考にさせてくださいね。
      2013/09/07
    • まろんさん
      とし長さん!

      お邪魔だなんて。
      いつ何時でも、お気に入りの本についておしゃべりしたくてたまらない私なので
      コメントをいただけて大感激です。...
      とし長さん!

      お邪魔だなんて。
      いつ何時でも、お気に入りの本についておしゃべりしたくてたまらない私なので
      コメントをいただけて大感激です。

      そして、最初の「あれ?あれれ?」から幕切れでの震えるような感動まで
      とし長さんが同じように味わってくださったこと、うれしくてたまりません。
      というわけで、続きはとし長さんの素晴らしいレビューのコメント欄で(*^_^*)
      2013/09/08
  • (No.13-3) ミステリ短編集です。

    内容紹介を、表紙裏から転載します。
    『まだ早い春の日、思い出の山を登る一組の男女。だが女は途中で足を挫き、束の間別行動をとった男を突然の吹雪が襲う。そして、山小屋で一人動けない女に忍び寄る黒い影・・・。山岳を舞台にした緊迫のサスペンス「冷たいホットライン」。
    孤島に置き去りにされた幼い姉弟の運命を描く「アイランド」。
    ある不良少女にかけられた強盗の冤罪を晴らすため、幼なじみの少年探偵が奔走する「さよならシンデレラ」。
    居酒屋で男が安楽椅子探偵に遭遇する「晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)」。
    「アルバトロスは羽ばたかない」で一躍注目を浴びた鮎川哲也賞受賞作家の本領発揮。一編一編に凝らされた職人的技巧に感嘆すること間違いなしの、バラエティに富んだ九編を収める。』

    これを最初に見かけたとき、今度は短編集かあ、私は長篇が好きだし連作短編ならまあ良いんだけどなとか思ってそのままにしてました。でも、(一見バラバラに見えるけど)他の七河作品を読んでたらこれを読まなければ損!とのマイミクさん情報。
    ほんと、そのとおりでした。

    しかし、つくづく思ったのは自分のなさけない記憶力。前の作品は2冊とも図書館で借りたので手元になくて、え~っと前の作品を確かめたい!と何度も思った。全部ちゃんと記憶してればそんなことはないんでしょうが。
    この一冊に限ってもあれこれ繋ぎ合わせたりして、だからちょっと読むのに疲れてしまいました。でも満足。
    気にせず読んでもそれなりに面白いはずで、そのほうが感動できたのかもしれません。でもつい気になって考えてしまうんです。
    そしてラスト、あれは希望を持って良いんですよね?作者さん。

    一番気に入ったのは「It's only love」にあった結婚式後のあれこれの話。「アイランド」の姉と弟も良かったな。
    3冊続けて読みたくなりました。

    • kwosaさん
      tokiwahimeさん
      花丸とフォローをありがとうございます。

      たしかに3冊続けて読みたくなりますよね。
      どうやら過去2作にもちゃんと伏...
      tokiwahimeさん
      花丸とフォローをありがとうございます。

      たしかに3冊続けて読みたくなりますよね。
      どうやら過去2作にもちゃんと伏線はあるようですし。

      そして、あのラスト。
      お気づきかとは存じますが、最後の手旗信号の意味は『冷たいホットライン』のレクチャーから類推すると、おそらく「H」と「R」
      『発音されない文字』の「H」と、『さよならシンデレラ』の単語帳の「R」の項目から想像して......
      希望を持って良いのではないでしょうか。
      2013/01/19
    • tokiwahimeさん
      kwosaさん、手旗信号の意味は考えれば分かるんだろうなあと思いつつ、考えないまま・・・。
      教えてくださってありがとうございます。
      これから...
      kwosaさん、手旗信号の意味は考えれば分かるんだろうなあと思いつつ、考えないまま・・・。
      教えてくださってありがとうございます。
      これからもよろしく!
      2013/01/20
  • ファン必読。
    迷っているなら、いますぐ書店に走った方がいい。

    七河迦南、待望の新作。
    物語性とミステリ的技巧が共存する九つの短篇。
    これだけテイストと趣向が違うものを、クオリティを落とさず揃えるのはすばらしい。文章も相変わらず巧い。

    『it's only love』『さよならシンデレラ』『桜前線』...その他諸々お気に入りだが、表題作は胸が熱くなる。

    新刊を発売直後に買ったのは久しぶり。積ん読を差し置いて一気読みした。そして今、また読み返している。

    • 円軌道の外さん

      フォロー&コメント
      ありがとうございます!

      コレ読みたいリスト入りしてるんやけど、
      図書館は予約でいっぱいなので
      文庫化まで...

      フォロー&コメント
      ありがとうございます!

      コレ読みたいリスト入りしてるんやけど、
      図書館は予約でいっぱいなので
      文庫化まで気長に待とうかな〜って
      思ってたところです(笑)(^_^;)

      けどレビュー読ませてもらって
      再び読みたい熱が復活しましたよ(笑)

      何としてでも読んでみたいと思ってます♪


      P.S.
      映画「キサラギ」は爆笑の連続やのに、
      後半には
      なぜか泣かされる展開で
      ホンマよくできてましたよね(笑)

      特にいちご娘役の
      香川照之さんの
      カチューシャ(ヘアバンド?)姿には
      悶絶でした(笑)

      またいろいろと参考にさせてもらいますんで、
      これからも
      よろしくお願いします(^_^)v


      2012/12/04
    • 沙都さん
      kwosaさん

      コメント失礼します

      『空耳の森』読了しました!各短編サプライズの連続でやっぱり七河さんはただものじゃないなあ、と思いなが...
      kwosaさん

      コメント失礼します

      『空耳の森』読了しました!各短編サプライズの連続でやっぱり七河さんはただものじゃないなあ、と思いながら読み進めましたが、後半に入って徐々につながりが見えてくるとまた新たなサプライズ……七河さんには底がないのかな、と思ったり思わなかったり。

       そして最終話の感動はkwosaさんにアドバイスいただいた通り刊行順で読まないと味わえないものでした。

       というわけで改めて「ありがとうございました」とお礼を書かせていただきます。いやー、ホントにアドバイスいただいてよかった(笑)

       これからもkwosaさんの本棚やレビュー、参考にさせてくださいね。
      2013/09/07
    • kwosaさん
      とし長さん!

      コメントありがとうございます。

      ついに『空耳の森』読了ですね。
      喜んでいただけて本当に嬉しいです(作者でも編集者でもないの...
      とし長さん!

      コメントありがとうございます。

      ついに『空耳の森』読了ですね。
      喜んでいただけて本当に嬉しいです(作者でも編集者でもないのに)。

      そしてあの感動はおっしゃる通り、刊行順に読んでこそですよね。
      七河迦南さんについては各所でオススメしまくっていますが、実は僕もブクログのミステリスレッドで教えてもらったのです。
      ブクログのおかげです。

      続きは、とし長さんの本棚で。
      では、おじゃまします。
      2013/09/09
  •  バラエティ豊かなミステリ9編を収録した短編集。

     七河作品は三作目ですがこれも巧いなあ。前半はたくらみに満ちた意表を突く結末の作品が続きます。雪山で遭難した男女を描く『冷たいホットライン』や孤島で暮らす姉弟の運命を描く『アイランド』は舞台設定自体が特殊ながら、それが見事なミステリに最後には昇華されます。

     過去作品では優しさの詰まった作品の多い七河さんでしたが、今回は苦い結末のものもいくつかありました。上記二作もそうですが、少年探偵が活躍する『さよならシンデレラ』もミステリとして巧いながら寂寥感の残る結末で、七河さんの引き出しの多さを感じます。

     そして終盤は七河さんの優しさも感じられる短編が多くなってきます。『晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)』は見事なハッピーエンドに思わずニンマリ。

     八話目の『発音されない文字』は過去の七河作品と結びつきさらに物語に深い余韻が生まれます。

     そして最終話『空耳の森』ですべてが結び付く感覚とともにいろいろなものがひっくり返っていきます。そして何と言っても忘れられないのは最後の数ページの感覚でしょうか。ミステリとしてのどんでん返し以上のサプライズに思わず胸が熱くなりました。

     七河さんはデビュー作の『七つの海を照らす星』の中で星座の話を主人公たちにさせています。星座は夜空にある星と星を結びつけて星座としますが、今までの七河さんの作品もそうであったような気がします。

     というのも各短編を星と例えるなら、それが最後に結びつきもう一つの大きな物語が見えてくるのも星座のようですし、デビュー作の『七つの海を照らす星』二作目の『アルバトロスは羽ばたかない』そして三作目の『空耳の森』とそれぞれの独立した作品が一つの大きな物語をつくるのも星座、もっと言ってしまえば大三角形と言ってもいいような一つの大きな物語が出きあがっているからです。

     これから七河作品を読まれる方はぜひ『七つの海を照らす星』から読んでいただき、それぞれの星が一つの線で結びついていくのを楽しんでほしいなあ、と思いました。

    • 沙都さん
      kwosaさん

      またまたコメントいただきありがとうございます。
      光の三原色という考えは思い浮かばなかったです。そう考えるとますます今までの...
      kwosaさん

      またまたコメントいただきありがとうございます。
      光の三原色という考えは思い浮かばなかったです。そう考えるとますます今までの三作品のつながりのロマンが広がりますね。

      七河さんってデビュー前から活躍されていたのですね。でもデビューからの作品の完成度をみるとそれも納得です。

      光文社の『新・本格推理』ですか……。正直初めて聞きました。僕の近所の書店ではあまりおいてなそうな雰囲気がぷんぷんとします(苦笑)今度大型書店に行くときはちょっと気を付けてみようと思います。情報ありがとうございます!
      2013/09/11
    • kwosaさん
      とし長さん

      『新・本格推理』について説明が足りませんでしたが残念ながら現在絶版です。
      ミステリ作家の二階堂黎人さんを編集長に、一般から公募...
      とし長さん

      『新・本格推理』について説明が足りませんでしたが残念ながら現在絶版です。
      ミステリ作家の二階堂黎人さんを編集長に、一般から公募した優秀なミステリを集めた文庫形体の本で、何冊か出ています。
      もともとは故・鮎川哲也さんの『本格推理』の流れを汲むようで、こちらも結構な册数が出ています。

      古本屋を巡ってもピンポイントで欲しい本が見つかることは少ないので、僕はAmazonををよく利用します。
      中古価格1円+送料250円なんて本、たくさんありますよ。
      意外に図書館にも在庫があることも多いので、オンラインを活用して検索&予約したりもします。

      でも読みたい本ばかり増えて、なかなか追いつかないのが実状。
      ご利用は計画的に、ですね。
      2013/09/13
    • 沙都さん
      kwosaさん

      追加の情報ありがとうございます。

      自分でもコメント拝見後wikipediaやamazonで調べてみたのですが、こんな企画...
      kwosaさん

      追加の情報ありがとうございます。

      自分でもコメント拝見後wikipediaやamazonで調べてみたのですが、こんな企画をやっていたんですね。『新・本格推理』で作品を掲載後デビューされた方もたくさんいるみたいで、驚きました。

      私事ですが、積読本がたくさんある状態でオンライン書店はちょっと躊躇があるんですよね……。
      積読がたまってるのに新刊の文庫も買い、図書館で本も借り、近所のブックオフがしょっちゅうやっている半額セールに毎回行ってしまうので本がたまる一方……。

      この上オンラインまで手を出したらどうなるんだ、という感じなのです(苦笑)

      まさに“ご利用は計画的に”ということですね。積読本がどうにかなったら読んでみたいですね。
      2013/09/13
  • ネタバレあり、読了、88点。

    **山で遭難した男女がトランシーバーでのやり取りを頼りに救助を待つ「冷たいホットライン」、離婚する直前の家庭不和の中で子供の心境を巧みに描いた「悲しみの子」など収録の、七河迦南久々の連作短編集**

    ネタバレ全開です。というのもこの小説、作品紹介で連作短編集です、と書いてしまうだけで、何も知らずに読んだ読者が受けるサプライズを減衰してしまうんですよね。

    短編のネタはどの作品も状況錯誤と簡単に片付けられるもので最初の3つ読んだあたりでミステリ的な期待はかなり薄れてしまいました。
    ただしお話としては、結構アクが強いというか暗いテイストが好みで楽しめていました。

    ただその段階では各短編がばらばらなのが残念と言う印象を持ってました。
    それが少々探偵団の短編と次の短編で同じ登場人物出て来てもっと続き読みたいな〜、と思っていたらさらに次の短編から怒涛の展開。

    相沢沙呼さん『午前零時のサンドリヨン』や 米澤穂信さん『二人の距離の概算』みたいな、各短編で話を纏めつつ小さなヒントを提示してラストで小説として一気に畳み込む形式が好きな僕としては非常に満足の行く小説でした。
    またラストの落ちもお話として凄く好きなのでこの点も満足。


    小説として唯一欠点があるとしたら、七河迦南さん未読の人にはお勧め出来ないことかな。
    でもこれを読んで『七つの〜』『アルバトロスは〜』読み返したくなったのでそれだけ魅力のある作品だと思います

    • kwosaさん
      mametarou77さん

      リフォローありがとうございます。

      この作品、ファンとしてはラスト2話は特に胸が熱くなりました。
      そして運良く...
      mametarou77さん

      リフォローありがとうございます。

      この作品、ファンとしてはラスト2話は特に胸が熱くなりました。
      そして運良く
      『七つの海を照らす星』
      『アルバトロスは羽ばたかない』
      『空耳の森』
      の順で読めたことは幸せでした。
      2012/12/22
    • まろんさん
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      七河迦南さんの、小さな謎を散りばめて
      最後の最後で見事に繋げてみ...
      はじめまして。フォローしていただいて、ありがとうございます!まろんです。

      七河迦南さんの、小さな謎を散りばめて
      最後の最後で見事に繋げてみせる魔法に魅入られてしまいました。
      手旗信号を見て、あちこちからこどもたちが姿を見せ
      学園へと駆けていくラスト、素敵でしたね。

      mametarouさんが、これから読みたい作家としてプロフィールに書かれている北村薫さん、
      私の大好きな作家さんです。
      mametarouさんが北村さんの本を読まれて、レビューを書いてくださる日を楽しみにしています。
      今後ともどうぞよろしくお願いします(*^_^*)
      2013/03/24
    • mametarou77さん
      >まろんさん
      初めまして。北村薫さん、未だにベッキーさんシリーズ以外はノンシリーズ数本読んだだけですので何とか頑張って読み進めたいと思ってい...
      >まろんさん
      初めまして。北村薫さん、未だにベッキーさんシリーズ以外はノンシリーズ数本読んだだけですので何とか頑張って読み進めたいと思っています。
      こちらこそよろしくお願いします。
      2013/03/28
  • まだ早い春の日、思い出の山を登るひと組の男女。だが女は途中で足を挫き、つかの間別行動をとった男を突然の吹雪が襲う。そして、山小屋でひとり動けない女に忍び寄る黒い影―山岳を舞台にした緊迫のサスペンス「冷たいホットライン」
    孤島に置き去りにされた幼い姉弟の運命を描く「アイランド」
    ある不良少女にかけられた強盗の冤罪をはらすため、幼なじみの少年探偵が奔走する「さよならシンデレラ」
    居酒屋で男が安楽椅子探偵に遭遇する「晴れたらいいな、あるいは九時だと遅すぎる(かもしれない)」
    他に「It’s only love」「悲しみの子」「桜前線」「発音されない文字」「空耳の森」など九編収録。

    七河さん、待望の新作はバラエティに富んだ短編集でした。
    えらくバラバラでまとまりのない短編集だなぁと思っていたら、なんと!
    ん~、前2作を再読していたら、より楽しめたかもしれない・・・。

    しかし今回も素晴らしい手腕。短編だからこその、この切れ味。
    ああ、これ以上書けませんが、これまで七河作品を読んできた方はぜひ!
    読まなきゃ損です。

  • この後味の悪さ、好きだわ~!!

    米澤穂信さんの「儚い羊たちの祝宴」を思い出しました。
    最後の最後で、ブラックなどんでん返しが待っているパターン(笑)

    柔らかな語り口に、途中まで安心して読み進めていくんですが、
    ある一文を境に、オセロのように一気にひっくり返される。
    あざとさすら感じさせるトリックなので、苦手な人は苦手かもです。

    個人的に、一番度胆を抜かれたのが「アイランド」。
    まだ幼い姉弟。二人は孤島に置き去りにされているらしい。
    姉は腹をすかせた弟のために狩りに行く。恐ろしい獣がいる洞窟へ。
    まさかこんな結末が待っているとはね。

    また、それぞれの短編が少しずつ繋がっていて、
    再読をしたら素通りしてしまった伏線にも気付けるような気がします。

    • kwosaさん
      nanaco☆さん

      リフォローありがとうございます。

      ミステリ、SF、漫画......
      わくわくするラインナップの本棚。
      ときどき覗かせ...
      nanaco☆さん

      リフォローありがとうございます。

      ミステリ、SF、漫画......
      わくわくするラインナップの本棚。
      ときどき覗かせて頂きます。

      『空耳の森』で七河迦南さんを気に入って頂けて未読であれば、是非『七つの海を照らす星』を読んでみてください(五月末には文庫化もされますので)。
      そして、できれば刊行順に『アルバトロスは羽ばたかない 』も。

      いやいや急にお勧めしてしまってすみません。
      ミステリがお好きそうな nanaco☆さんが、どのような感想をお持ちになるか聞いてみたかったもので。

      どうぞ、これからもよろしくお願いします。
      2013/04/27
    • ななこさん
      kwosaさん♪

      フォロー&コメントありがとうございます(*^_^*)

      「空耳の森」すごく好きなタイプの作品でした!
      こういう後味の悪い...
      kwosaさん♪

      フォロー&コメントありがとうございます(*^_^*)

      「空耳の森」すごく好きなタイプの作品でした!
      こういう後味の悪い作品は、良くも悪くもずっと記憶に残っちゃうんですよね~(笑)
      読み進めていくうちに、「今度も騙されるぞ、騙されるぞ!」と心構えをしていたにも関わらず、
      やっぱり最終的に騙されてショックを受けてしまうという、、、そういう作品でしたね~^^;

      『七つの海を照らす星』もう少しで文庫化されるとのことなので、是非読んでみたいです☆
      『アルバトロスは羽ばたかない』もチェックしてみますね。
      オススメして頂いてありがとうございます~(^○^)

      こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたします♪
      2013/04/28
  • デビュー作から読み続けている作家が、巻を重ねるごとに洗練されていくのを感じるのはなかなか楽しい。

    今回は叙事系のトリックが多いが、とにかくどの話も強烈に驚かされる。
    話の節々に養護施設の事が出てくるので、最後は例の施設に集合するんだろうな、と思っていたら、予想通りでニンマリ。
    登場人物がリンクする短編集は楽しい。

    只、前作「アルバトロスは羽ばたかない」を読んでいないと全くといっていいほど理解出来ない話が終盤に続くのは初見の人にはちょっと不親切かなと思ったので、☆1つマイナス。

  • ミステリ短編集。一見それぞれの物語は何の繋がりもないように見えたのですが。読み進むうちに、どこかしら引っかかるものが……。そして最後まで読むと、すべての物語が繋がっていることが分かりました。お見事!
    しかも七海学園シリーズだったのねこれ! 「アルバトロスは羽ばたかない」のその後の物語でもあったので、前作は先に読んでおいた方がいいです。
    お気に入りは「アイランド」。一番印象的でした。不思議に思う箇所はたくさんあったけれど、まさかそういうことだっただなんて。閉鎖された世界観が見事です。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「閉鎖された世界観が見事です」
      ふむふむ、それは良いですね。
      (ミステリ・フロンティアなのに、思い込みで勝手にファンタジーだと思ってました)
      「閉鎖された世界観が見事です」
      ふむふむ、それは良いですね。
      (ミステリ・フロンティアなのに、思い込みで勝手にファンタジーだと思ってました)
      2012/12/14
  • 日常の謎系の短編集。
    ここまで来ると上手いと言うか、もうなんかズルイ。
    何を書いてもネタばれに繋がりそうなんですが、
    前2作を読んでからこの作品を読むのがお勧め。
    読んだ人といろいろ話がしたくなる1冊。

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七河迦南の作品

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