時空旅行者の砂時計

著者 :
  • 東京創元社
3.50
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本棚登録 : 956
感想 : 128
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488025625

作品紹介・あらすじ

瀕死の妻を救うために謎の声に従い、現代から1960年にタイムトラベルした主人公・加茂。妻の祖先・竜泉家の五名が殺害され、後に発生した土砂崩れで一族のほとんどが亡くなった「死野の惨劇」の真相を暴くことが、彼女の命を救うことに繋がる――。タイムリミットは、土砂崩れがすべてを飲み込む三日後まで。加茂は連続殺人事件の謎を解き、現代に戻ることができるのか!? タイムトラベル×本格ミステリで贈る、第29回鮎川哲也賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 急病で死に瀕している妻を救うため、過去にタイムトラベルして、呪われた一族の連続殺人事件の謎を解こうとする主人公。前半は読み進めるのが結構退屈なのだが、ちゃんと不可能殺人の手掛かりは残されている。タイムトラベルを使った殺人もあるのだが、その辺が新味というところかな。殺人動機はちょっと取ってつけた感がないでもない。過去を変えてしまうことによって、主人公が妻と出会うことがなくなってしまうという悲しい結末になると思われたが、そこはそれちゃんと救われていたねえ。

  • 病で瀕死の床にある妻を救うため、彼女に掛けられている『竜泉家の呪い』の原点である『死野の惨劇』の舞台である1960年にタイムスリップした主人公。謎の声、マイスター・ホラに導かれながら主人公は『死野の惨劇』を止め惨劇を引き起こした犯人を突き止めることが出来るのか。

    クローズドサークルものにタイムトラベルを組み合わせたSFミステリー。タイムトラベルという離れ業を使えるなら何でもありでは…とはもちろん行かず、タイムスリップには様々な制約がある。またタイムトラベルが引き起こすタイムパラドックスも絡んで、主人公が元いた2018年に伝わっていた『死野の惨劇』と作中進行する『死野の惨劇』とでは様相が変わるのもSF設定ならではの肝。

    現代のミステリー作家さん方は大変だなと思う。クローズドサークルものというだけではこれまでの数々の作品で設定もトリックも出尽くしていて読者にも満足してもらえない。
    だが読者も大変。こんな大変な設定に付いて行かないといけない。
    私の読解力ではなかなかついて行けない部分もあったものの、何とか食らいつきながら読み進めるとその先にはなかなか面白い真相があった。とはいえ、犯人は当初から思っていた通りの人だった(ドヤ)。

    タイムパラドックスの影響はどうなのか、という疑問はさておき、物語としてはなかなか面白かったし、遺体切断の謎としても面白かった。
    竜泉家一族のシリーズとして続編があるらしいので、ご興味ある方はどうぞ。
    私はもうお腹いっぱいになった。

  • 読みたかった本。特殊設定が思ってたより高度で、私の頭が追いつかない所もありながら読んだにもかかわらず面白かった。主人公がタイムトラベルで遡った時代や13才の少女と一緒に謎を解く所が昔のNHKの少年ドラマシリーズみたいな雰囲気で好き。

  • 過去に戻って連続殺人事件の謎を解け!鮎川哲也賞受賞のタイムトラベル本格ミステリー #時空旅行者の砂時計

    病に伏せる妻は呪われた家系の一族だった。主人公が妻を病から救うために現代から60年代にタイムトラベルする。妻の祖先にあたる家族に出会い、呪われる元になった連続殺人事件に相対することになる。主人公は事件解決と妻を病から救うことができるのか。

    良く考えましたね~、大変すばらしいです。
    タイムトラベルものと本格ミステリーを組み合わせようという発想は浮かんでも、ここまで完璧に組み立てるのはかなり骨が折れたのではないでしょうか。

    そしてなにより面白かったです!

    ストーリーとしても起承転結がしっかりしていて読み物としても優秀です。
    謎解き要素もフェアでロジカルでGOOD 細かいところまで突き詰められており、伏線もしっかりあって納得性が高いです。あっと驚くトリックも切れ味良く、読者をぐいっと惹き付けますね。

    ただ登場人物が多い割に、人物描写を膨らますなどの遊びが少ないので、理解するのに若干骨が折れました。できればもう少し余裕のある書きぶりだと、本格ミステリーとしても読み物としても楽しめる、より魅力的な作品になったのかなと思いました。

    本格ミステリーへの愛情とあくなき挑戦を感じさせていただいた本作、おすすめです!

  • 方丈貴恵さん初読み。タイムトリップものは大好きで、複数の読友さんの推薦本。加茂は死を目前にした妻を救い出すために1960年にタイムトリップする。タイムトリップ先は妻の家系の竜泉家。しかし一家のほとんどが亡くなった「死野の惨劇」と言われる事件が起こる時にトリップする。いや~登場人物が複雑すぎるわ~また竜泉家の人々のパーソナリティが好きになれず、トリックも超複雑でワクワク感がなかった。でも加茂が意外と策略家だった点は良かった。犯人は外れたけど悔しくなかった。。。加茂が戻り、妻と+αのエピソードは良かったね。

  • 主人公の妻が病気にかかり
    妻の一族の呪い(過去の連続殺人事件)を解くため、謎の人物から渡された砂時計の力で1960年にタイムスリップし事件を解決することになった主人公。

    即席の"名探偵"にさせられたため
    やや心許ない感じでしたが、記者だった経験と当時の事件に関する知識もあるためなんとか事件に挑む。

    人の多さも工夫が凝らしていて読みやすく、初特殊設定クローズドサークルにも違和感なく面白くハイペースで読み終えました。

    ただスマホの無い時代に飛び当時の事件に巻き込まれるだけではない展開を楽しみつつ、色々と気になることを整理して読んだが、全く歯が立たずに推理できませんでした…

    でも凝っているのにお腹いっぱい過ぎず大満足な読了感…このシリーズは全部読む。

    唯一気になるのは(この方の作品だけでは無いのだけれど)犯人も登場人物も「ミステリー」を意識した言動があること…トリックとしてフェア、不可能犯罪とか、あんまり普段言わない言葉だと思う。

  • 〜簡単なあらすじ〜
    妻の祖先・竜泉家のほとんどの人が亡くなった「死野の惨劇」。
    その事件の真相を解明することが、病の妻の命を救うことに繋がると言われ、加茂は1960年へ。
    閉ざされた館で起こる不可能犯罪の真犯人を暴き、無事に2018年に戻ることができるのか!?

    タイムトラベルものだからと言ってなんでもありと言うわけではなく、そこが面白くもあり、難しくもある。


    呪われた一族、惨劇の館、見立て連続殺人、本格ミステリ×タイムトラベル。
    わくわくすっぞ!と読み始めたけど、登場人物が多くみんなの顔がへのへのもへじで物語に集中出きず前半苦労した。

    こちらの動きが読まれていたのは何故か、加茂がタイムトラベラーに選ばれた理由とは…。
    どんどん絞られていく容疑者、なぜ見立て殺人を?
    不可能を可能にした方法は?
    後半は一気読み。

    現代に戻った加茂の運命。世界はどうなっている?
    何がなんでも救いたかった奥さんは?
    事件解決後の話、好き。

    • くるたんさん
      けいたん♪こんにちは♪

      読んだのね♪たしかに登場人物多いよね。見取り図と一緒にコピーして手元に置きながら読んだ記憶が。
      タイムトラベルはや...
      けいたん♪こんにちは♪

      読んだのね♪たしかに登場人物多いよね。見取り図と一緒にコピーして手元に置きながら読んだ記憶が。
      タイムトラベルはややこしくて私、理解できたかあやしいわ。

      ラストは良かったよね♪
      2020/03/16
    • あいさん
      くるたん♪

      こんにちは(^-^)/
      くるたんとこの作品の話をしていたので楽しさが倍増でした!ありがとう。
      ラストよかった(⁎˃ᴗ...
      くるたん♪

      こんにちは(^-^)/
      くるたんとこの作品の話をしていたので楽しさが倍増でした!ありがとう。
      ラストよかった(⁎˃ᴗ˂⁎) まさかあぁなるとは。
      2020/03/16
  • 時の扉を開けたら連続殺人。

    死を目前にした妻を救うために過去のあの時へとタイムトラベルをした主人公。

    時の扉を開ける感覚、早速の連続殺人にいきなり交感神経が活発に…そして見事にそれが最後まで持続する、面白い作品だった。

    竜泉家の相関図、館の見取り図はもちろん、とにかく描写が細かい印象。

    そのため読み手も登場人物の一挙一動に敏感になる。

    刻一刻と迫るタイムリミット。
    徐々に絞られていく犯行可能な人物。


    終盤は読み終えたいような終えたくないような感覚に心は板挟み。

    タイムトラベルがもたらした結末を最後までしかと見届けようやくリラックス。

    このラストシーンもキラキラ、良かったな。

    ちなみに脳内にはずっとWANDSの「時の扉」が流れていた。

    • あいさん
      こんにちは(^-^)/

      横山秀夫さん、挫折しました(笑)
      「ノースライト」くるたん読んでいるね。
      図書館で読める量じゃなかったわ...
      こんにちは(^-^)/

      横山秀夫さん、挫折しました(笑)
      「ノースライト」くるたん読んでいるね。
      図書館で読める量じゃなかったわ。
      焦って読んでも進まないし、染みてこないし、仕方ない。
      それで、何かいい作品ないかなって探していたらこの作品が目に止まって図書館にはないし購入するか迷っているところ。
      Amazonはすごい高評価。
      でもブクログはそうでもないのかな…
      くるたんのレヴュー読むと私好みと思うのだけど。
      タイムトラベルいいよね。
      2019/11/25
    • くるたんさん
      けいたん♪こんにちは♪

      ノースライトね!そっか、あれはたしかに後半まではちょっとのれないよね。

      こちらは本格ミステリだからオススメできる...
      けいたん♪こんにちは♪

      ノースライトね!そっか、あれはたしかに後半まではちょっとのれないよね。

      こちらは本格ミステリだからオススメできると思うよ。
      違和感はあまりなく楽しめたかな。
      何より黒ぶちメガネの奥様を愛する主人公ってとこがポイント高いよ♡
      表紙も綺麗だし、読後感良いし、私は好きかな(*≧∀≦*)
      2019/11/25
  •  鮎川哲也賞受賞作。この賞の受賞作にハズレなし。そしてこの作家さんは、前年に本賞の最終候補になっていたことを思い出した。

     妻の先祖・竜泉家の人々が殺害され、その後の土砂崩れで一族のほとんどが亡くなった「死野の惨劇」の真相を解明することが、瀕死の妻を救うことになる。主人公は密室殺人のトリックを解明できるのか? アルフレッド・ベスターもどきのSF設定が盛り込まれていて面白い。SF色は強めかも。そして最後はじんわりと。こういうラストは好き。

  • エンデ「モモ」の時間を司るマイスターホラやカシオペイアが登場するタイムトラベルミステリー。
    加茂冬馬が瀕死の妻を救うため,竜泉家の惨劇事件の真相解明。血生臭い事件後,呪いが解け未来がどう変わるかが見物。

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