俺ではない炎上

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 778
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575245196

感想・レビュー・書評

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  • まさに現代ならではのミステリー。
    平凡な会社員が女子大生殺害の犯人に仕立てられた。
    SNSの大炎上。追い立てるユーチューバー。
    一瞬にして失われた日常。
    会社も友人も家族も、誰一人味方がいない世界。
    必死の逃亡を続けながら事件の真相を探っていく。
    知らないところで事実無根の噂が広まっていく恐怖。
    知らないうちに恨みをかっているかもしれないという恐怖。
    テンポよく話が進んでいき、怖いが先が気になって仕方がなかった。
    誰もが自分は悪くないと思っている。自分だけの正義。
    気づかないうちに誰かを傷つけているかもしれないということは常に心に留めておかなくては。
    事件の真相に近づくほどに悲しすぎる結末が予想されたが、見事に裏切ってくれて、そこにはホッとした。

  • 時代を捉えて 、S N Sによる不用意な無責任な多数の投稿の所為でまったく身に覚えの無い殺人事件の犯人にされた 人生の勝ち組と自負していた50歳になる男性の葛藤と逃走劇はなかなか良く出来ている。

    真犯人はこれかあれかと迷わせてくれるのは良いけれど、ちょいと残念なのは作者が仕込んだ仕掛けがよーく考えないと不自然な時系列のストーリーになっていてン?ン?と思いながら読んでしまうことでした。

    それでも一気読みで面白く読み進めることの出来る上手く出来たエンタメ推理作品であることは間違いない♪

    以前読んだ「六人の嘘つきな大学生」も著名企業の最終面談での事件という設定がナイスだったけれど、著者のセンスが良いなと感じます。

  • 「六人の嘘つきな大学生」が面白かったのでこちらもAudibleにて。

    まんまと騙されました。
    違和感に気付いてからもえ?どういうこと?ちょっと待って…と頭が追いつきませんでした(笑)
    こういう時、紙の本ならペラペラと戻ってみたりできるのにー!ともどかしくなりました。

    騙された気持ちよさはありますが、事件の真相などすべて読み終えてスッキリ!とはならず、ちょっとモヤモヤが残ったのが残念。

  • ある日Twitterに書き込まれた一件の残酷な殺人の告白の書き込み。その書き込みは恐るべき勢いで拡散されていき、アカウントの持ち主もハウスメーカー勤務のエリートサラリーマン・山縣泰介とネット上で特定される。

    一方、泰輔は一切身に覚えのないところで自分が炎上していることを知り、驚き、なんとか無実を証明しようとするが──

    ※※※

    おーもしろかった!
    なんというか、すんごいイマドキのテーマを扱ったミステリ。この前読んだ「屍人荘の殺人」とはまた別の意味で斬新!

    そして、めちゃめちゃうまーく作者に誘導された感ある。
    ラストへの怒涛の驚きの展開には参りましたありがとうございます、と各方面に頭を下げたくなります。

    冤罪による逃亡シーンは少し伊坂幸太郎さんの「ゴールデンスランバー」を彷彿とさせるところも。
    あれは当時まだ架空だった監視社会への批判を描いた作品だった記憶が(すみません、若干うろ覚え)あるんですが、考えてみたら現代のSNS社会も形を変えた監視社会ですよね。

    本書のように一度写真がネット上で拡散されてしまうと、本当にそこらの人たち全員から監視されているのと一緒。おー怖…

    ところで、何か事件が起きたときに被害者に落ち度を探したり犯人の生い立ちや何かを責めたくなるのは『自分はそうじゃない、だから自分は事件には巻き込まれるはずがない』と考えたくなる一種の防衛本能なんだと聞いたことがあります。

    まさに『俺ではない』やん!!

    でも、そんなことをしても守れるものなんて結局何ひとつないんだよね…と、そんなこんなを考えさせられる一冊でした。

  • 面白かった〜!
    「六人の嘘つきな大学生」よりこちらの方が好き。

    ざっくり言えば、SNSのなりすまし被害に遭い、殺人事件の犯人に仕立て上げられた男の逃走劇といった話。
    ドキドキ、先が気になって仕方なかった〜。

    SNSの威力ってすごい。
    あっという間に拡散されて炎上。
    身近で手軽なツールなだけに、実際に誰の身に起きてもおかしくないよな〜と恐ろしくなった。
    誰もが被害者にも加害者にもなりうるって事に改めてゾッとした。

    そしてこのトリックには気づけなかったな〜。
    後で読み返すと、ちょっと、え〜と思うまぎらわしい表現あったり、上手いことミスリードされてた。笑
    読み返し必至だなぁ〜!面白かったです\♡︎/




    • 1Q84O1さん
      mihiroさーん♪
      3回目のリターンにはならず無事読まれましたかw
      私もこのトリックはお手上げでした…w
      みなさんのレビューを参考にさせて...
      mihiroさーん♪
      3回目のリターンにはならず無事読まれましたかw
      私もこのトリックはお手上げでした…w
      みなさんのレビューを参考にさせてもらいました(^_^;)
      2023/05/23
    • mihiroさん
      チーニャさ〜ん、こんにちは(๑˃̵ᴗ˂̵)
      おもしろかったですね〜♪♪
      それだけじゃなく、SNSの怖さや無自覚に人を傷つけてるかも知れない恐...
      チーニャさ〜ん、こんにちは(๑˃̵ᴗ˂̵)
      おもしろかったですね〜♪♪
      それだけじゃなく、SNSの怖さや無自覚に人を傷つけてるかも知れない恐怖も改めて感じれたし、、
      でもあんな動機で犯人に仕立て上げられたりしたらたまったもんじゃないですね〜><՞ ՞
      トリックは全く気づけませんでした〜笑
      私もどんでん返しとか大好きなので、騙されて大満足でした〜笑♡♡
      2023/05/23
    • mihiroさん
      1Qさ〜ん、こんにちは(๑˃̵ᴗ˂̵)
      1Qさんの投稿のおかげで、3回目はリターンせずに読みました〜✌︎(๑˃̶͈̀◡︎˂̶͈́๑)✌︎
      ...
      1Qさ〜ん、こんにちは(๑˃̵ᴗ˂̵)
      1Qさんの投稿のおかげで、3回目はリターンせずに読みました〜✌︎(๑˃̶͈̀◡︎˂̶͈́๑)✌︎
      トリック、あれは難しいですね〜笑
      ドキドキハラハラ、とっても面白かったです!!
      ありがとうございました\♡︎/
      2023/05/23
  • 抱えたくなる一冊。

    ごく平凡な日常が突然崩れる出来事。

    雪だるま式に転がるネット拡散に主人公と共に頭を抱えたくなった。

    なりすましあざわらっているのは誰?

    見えない展開に付き纏う恐怖、一刻も早く真相へと心は走り続ける。
    と、いきなり道がぷっつり消えた。

    やられた。
    作者の落とし穴にはまった。

    頭の回線が繋がるまでまたまた頭抱えた。

    カチッと無事に全てが繋がった瞬間、称賛で次は本を抱えたくなる見事さを味わう。

    自分は正しいという絶対主義、相手への勝手な思い込み、立ち止まって周りを見渡す大切さも盛り込み背筋をも正されたミステリ。

  • テンポが良くて読む手を止められませんでした...
    SNSの怖さは勿論だけれど、この小説を読んで思ったのは自分の正しいは誰かにとっては正しくないし、誰かの正しいは自分にとっては正しくないことが日常にたくさんあることを改めて考えさせられる内容でした。

  • なんか軽くハラハラしたいなーと、B級映画を見たい時の心理に近い状態で手にとったこちらの本。
    舐めてました。表紙からは想像もできない感情にさせられました。
    そういえば「六人の嘘つきな大学生」の時も想像していたものとは違う感情を引き出されたことを思い出した。浅倉秋成さん、好きな作家さんの一人になりそう。

    仕掛けも、犯人も全く予想がつかず一気読みでした。アカウントを作った者とその理由がわかったところと、最後日常に戻り主人公の傲慢さが顔を出しそうになった時、思い直し自分の非を他人の前で認められたところがめちゃくちゃ良かった。
    自分は誰かに恨まれるような人間ではない!と私も自信を持って思っていたが、果たして本当にそうなのだろうか?とヒヤリと考えさせられた。
    あとなにより青江さん惚れるわ…。冷静に他人の本質を見れる人。出来そうでこれが意外と難しい。周りからの情報や噂でその相手を見る目はいとも簡単に歪んでしまう。そして自分の都合のいいように解釈してしまう。好き嫌いが絡むと余計に。そんな中、自分の持ってる相手の情報のみで信用できると判断した彼みたいな冷静な人に自分もなりたい。

    正義感は強すぎると悪い方に傾いた時やっかいなものだというテーマはよくあるが、犯人の幼少期の純粋な正義を見ていた読書としてはなんとも言えない切なさが残った。

    「みんな『自分は悪くない』ってことしか呟いてなかったんだよ。自分は悪くない。自分の価値観だけが正しい。ねぇそうでしょーって。そういう呟きしか存在してなかったんだよ。だからそういう人間になっちゃ駄目だなって、すごく思ったんだ。みんな、ものすごくみっともなかった。僕はああならないように、きっと気をつけなくちゃ」

  •  『六人の嘘つきな大学生』に続き、展開にぐいぐい引き込まれてしまった。これも、著者独自の設定・展開と伏線回収の仕方の力量なのだろう。
     Twitterによる巧妙な「殺人犯」情報拡散、ネット民も周囲の人間もそれを鵜呑みにし、信憑性を疑わない状況のリアルさが恐ろしい。また、登場人物のほぼ全員が「自分は悪くない」意識をどこかにもっている。これらは、悲しいかな誰もがもつ自分可愛さと人の弱さをズバリ指摘しているし、この風潮が社会に蔓延していることを誰もが知っているが故、刺さってくる。
     ただ個人的に、面白かったと思うものの、(鮮やかな結末を期待し過ぎか?)モヤモヤした読後感が否めなかった。人物の視点の変化、過去の出来事等の時系列の複雑さが絡んでいるせいか、それぞれの人物像の輪郭が明確に結ぶのに時間を要した。

    • 長野しおりさん
      はじめまして。
      全くの同感過ぎてはじめてコメントしています。
      面白かったですけど、最後モヤモヤ感が残りますよね。
      はじめまして。
      全くの同感過ぎてはじめてコメントしています。
      面白かったですけど、最後モヤモヤ感が残りますよね。
      2022/09/08
  • SNS上で身に覚えのない殺人犯に仕立てあげられてしまった主人公の逃亡劇。本人、家族、警察官など様々な人の視点で物語が進んでいく。

    ストーリーに素直に心を委ね読み進めていたら、ラストでまさかの急展開。
    思わずページを遡って散りばめられた伏線や緻密な構成を確認し、これが「叙述トリック」というやつかと実感。
    欲を言えば真犯人の動機やトリックなどまで読みたかったなぁというのが正直なところ。
    でも考えさせられるテーマがいくつかあって面白かった。

    一つは情報リテラシー。正しく情報を読み解き、正しく情報を発信することの難しさ。
    ひとつの間違いも、誤って発信され続けそれが複数集まれば正当性を高めてしまう。まさにこの小説で「誤った情報を正しさだと見誤ってしまう錯覚」に陥ることで学んだ視点。

    二つ目は「自分の価値観だけが正しい」と思いこんでしまうことの怖さ。自分の正義を貫くこと=「正しさ」とは限らないんだなぁと感じた。

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著者プロフィール

1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。『教室が、ひとりになるまで』で推理作家協会賞の長編部門と本格ミステリ大賞の候補作に選出。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』『六人の嘘つきな大学生』など。

「2023年 『六人の嘘つきな大学生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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