小倉昌男 経営学

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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822241568

感想・レビュー・書評

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  • 採算のとれない個人宅配市場への転換。デメリットをいかに対策をとるか。散発的な需要。酒屋や米屋に取次店として機能してもらい、個人→取次店→ヤマトが集荷しk、営業所に集める。三方が得をする。次第にコンビニも取次店として拡大していく。

    「個人宅配はもうからない」という常識を疑い、行政の横やりやコスト面といった諸問題を経営者自らが率先して取り組む。こうした実務だけでなく、最後には経営者としてのマインドも述べられる。

    何度も読み返したい名著。

  • ヤマト運輸の2代目社長の話

    50年前のストーリーをを20年前に書いた本

    戦術的な面は古いがその経営哲学や論理的思考は今でも通用するものだと感じた

    プロの物書きが書いたものではないので少し話が前後したりして読みにくい部分はあるが、それを補って有り余るくらい内容は充実している


    また20年前の本の中で年功序列制に対する批判、インターネット関連のベンチャーが台頭するという予測等が話題になっていて、時代の風を読む力に驚いた。

    ヤマト運輸の作り上げてきたものがそのベンチャーの台頭とともにさらに価値を生み出すと言っていたが、実際メルカリ等と提携してその通りになっている
    しゅごい

  • 経営関連では名著と呼ばれる本。
    小倉元社長がヤマトの歩みを説明する構成だが、マーケ・商品開発・設備投資・組織運営などのテーマごとに経営手法とその工夫が示されていて、300ページとは思えない読みやすさであった。
    20年前に書かれた本ではあるものの今見ても色あせておらず、世の中の不を改善しかつ儲ける方法を練り、できると思ったら腹をくくってトップダウンでやりきる、周りからの反対意見があっても屈さない、というのはまさにイノベーターの思考であり、今の時代にもそのまま活かせる経営手法だなと感じた。特に、宅急便事業構想を、既存事業のディスラプトを厭わずに実行しきったシーンなどは文章にも鬼気迫るものがあり、引き込まれた。

    評判に惑わされずフラットな気持ちで読み勧めたが。「経営学」という書名とその評判通り、経営に必要なエッセンスがたくさん詰まった名著だと感じた。

    メモ
    ・定期便配送が当たり前だった時代において、個人間配送の重要性を唱えた(当時行っていたのは郵便小包のみ)
    ・元々は何でも運べる良いトラック会社を目指していたが、吉野家の集中戦略を見て、ヤマトの得意分野である小さな荷物への集中を決意した。
    ・個人間配送に進むことのデメリットはあったが、「それを抑える方法を考え。工夫し実行するのが経営者の役割だ」という思いからリサーチ、マーケ、ビジネスモデルを考えていった。
    ・新事業のコンセプトを「宅急便開発要綱」を自分で書き、役員会で提案するなどトップダウンで進めた。
    ・主婦というペルソナにとことん合わせた商品設計。
    ・「翌日配送」という商品を作るために配送ネットワークを広げ、「最初は赤字でも流通量を増やせば黒字に向かう」というシナリオに腹を括って、既存事業をディスラプトすることも厭わずに投資を押しすすめた。
    ・旅行業界など、他業界同ペルソナの事業からヒントをえた。
    ・「サービスが先、利益は後」という考え方の徹底。PF戦略における鉄板ともいえるネットワーク外部性の醸成を、自らのセンスで進めた。サービスを提供する供給者の論理と、利用者の論理は正反対ということを理解し、利用者の論理に合わせる方法を考えた。
    ・運転手をサービスドライバーとしょうし、最も大切にする顧客に最も近い存在としてのプライドを刺激した。
    ・ネットワークを活かした次の一手を常に考え続けた。ファクタリングのサービスや、スキー便、クール便など

  • 名著だった。バランスが取れた経営者という印象。ら

  • 宅急便というサービスの企画から実行に至るまでに考えてきたことの軌跡が簡潔な文章で記されており、サービスを企画する際に参考になるヒントが散りばめらていると感じた。成功の鍵を「荷物の密度」に定めたこと、サービス開始当初は採算をトレースすることをやめ、サービスレベルとして、翌日配達の割合を設定しトレースしていったことなど、提供するサービスの本質を深く理解した上で、人を動かすために分かりやすい目標を設定することの重要性を考えさせられた。
    安全第一だけで第二がなければ意味がないということが戦略の本質である、という考え方も斬新に感じた。

  • 日本全国翌日配送なんてビジネスモデル、どうやったら儲かるの?人もたくさんいるしトラック沢山いるし配送センター沢山いるしドライバーみんな忙しそうだし。ゼロからやって儲かる気がしないぜ!って昔から疑問に思ってたので読んでみたらすごかった。小倉昌男氏、めちゃくちゃかっこいい。課題解決思考と論理的思考と戦略的思考と情熱をもってして、顧客のために社員のために行政との闘い続けサービスをつくり続けた男。宅急便は配送事業ではなく、ネットワーク事業であるなんて、大胆でクールな戦略家の発想でものすごいリーダーシップで感動した。

  • タイトルから小難しく思うが、読みやすく心にストンと落ちる名著。経営がとても合理的で宅急便への参入、荷物の積み込み方の改善、コンテナによる中継所での運用など、言われればなるほどと思うことを著者は論理的に考えていくことで様々な新しい手法を見出している。特に圧巻だったのが労働組合との対応。経営者であれば労働組合は対峙するものだと思っていたが、著者は労働組合の存在自体も会社の発展に活用している。経営者はこうあるべきと示した1冊だと思う。

  • やはりこの人は凄い。

    ヤマト運輸の小倉さんが、事業の歴史と経営理念について書いた本ですね。

    誰もが、手間ばかりで儲かるはずがないと思っていた個人宅への宅配事業に踏み込んだ理由や、どうやって軌道に乗せたのかという話を順を追って説明してくれます。

    一般的には、宅配なんて荷物を集めて、トラックで運んで、相手に届けるだけの単純な仕事と思ってしまいますが、それがどれだけの工夫と苦労と決断の上で出来上がったサービスかということがわかります。

    サービスのアイデアも流石ですが、
    何よりもこの人の凄い所は、何を優先しないかを決められることですね。
    サービス第一、利益第二なんて、なかなか言えることではありません。

    過疎地に集配所を作るとコストが掛かるがいいか?と聞かれて、コストを計算する社員の給料のほうが無駄、という所が並みの経営者じゃないよな~。

    本の構成で残念なところが、章のはじめに要約を書いておいて、その後に詳細を語るので「あれっ、これ読んだような???」と思ってしまうことです。
    それと、時系列が前後したり、話が重複する読みにくさが少しあります。

    ちなみに、私は小説版の後に読んだので新鮮な感動はないですが、やはり本人の書いたものは苦労話にリアリティがあっていいと思います。

    最近は、クール宅急便などで不徹底問題がありましたが、この2代目の理念を踏襲して、いいサービスを続けてもらいたいものです。

    amazonが便利なのも、宅配業者があってこそなので、
    今の時代だからこそ読んでおく本ではないでしょうか。

    かなり、オススメです。

  • ヤマト運輸 2代目社長である小倉昌男氏が試行錯誤した経営史が余すところなく綴られている傑作です。
    巷間では、2代目は創業者を越えられないとの俗説がありまずが、見事に事業を再定義(イノベーション)し、ヤマト運輸を日本を代表する企業に育て上げた手腕は、名経営者と言われて恥じないものです。
    プロローグの三越との確執と離反から波乱万丈の端緒が伺えます。
    長距離運送に敗れ、宅急便を開発する際の「サービス第一、利益は第二」という決意、静岡運輸に出向し、多発する事故を抑制するための「安全第一、利益は第二」というスローガン。
    これら社長の思いを表した標語は、見事社内コミュニケーションの一貫として、社内に共有されます。
    その他、労働組合との付き合い方や、新サービスの立ち上げ、大得意先でまる松下電器産業との解約など小倉昌男社長の苦悩と決断が余すところなく描かれています。
    最終章には、「私の経営哲学」として、経営リーダー10の条件が記載されており、何度でも読み返したいクオリティです。
    本書は、経営学にして、小倉昌男社長が体験した苦難と成功という半生を記した名著と言えるでしょう。

  • 宅急便を開発、クロネコヤマトを今の形に創業させた著者の語る、経営学。

    いい意味で日本企業だな、と感じた。
    同時に、経営に必要なロジカルや、潜在的な需要を掘り起こすやり方も素晴らしいと思った。
    「安全第一、営業第二」、「サービスが先、利益は後」というように、○○が第一、という標語だけが先行するのではなく、他の重要な部分との関係性を社員に理解させるというのも、論理性の最たるものだと思う。

    サービス先行で膨大な設備投資ができるのはあくまでそれだけの資金があったからだ、という批判をするのは簡単だが、その裏で対個人という不採算と思われていた分野に手を出し、多くの改善を図り、公明正大さを追求してきた著者の胆力には息を呑む。

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