世界級キャリアのつくり方―20代、30代からの“国際派"プロフェッショナルのすすめ

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492555590

感想・レビュー・書評

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  • 会社に頼ることなく、個人として国際的に活躍する専門家、すなわち国際派プロフェッショナルとしての生き方を語る本。その道は厳しい、そこにたどり着くまでの膨大な努力、そこに安住することのない前向きの姿勢。それでも国際派プロフェッショナルとして日本人が一人でも多く海外に出て行くことを応援する一冊。実際、私が海外でのキャリアを志向するようになった大きなきっかけとなったもので、心に残るものが多かった。他流試合。

  • とりあえずこれを読了して思ったことは自分も精一杯やらなきゃ人生一度,もったいない!ということだ.

    キャリア本がいろいろ出回っていると思うが,これは本当に良著だと思う.というのも,著者の二人ともがダボス会議に呼ばれるほどの,まさに「国際派プロフェッショナル」であるからだ.

    具体的内容にはここではふれないが,近い将来海外で活躍したいという人には絶対的におすすめしたい.

    以下ネタバレ
    "最近の日本の議論の多くは、下位の2をどうするか、また中位の6のうち、下に近い人をどう拾い上げるかに集中しているような気がする"p10

    "チャレンジした人は、周囲から一目置かれるのがプロの世界だ。"p20

    "こうした人(世界トップクラスのプロでかつ自分の専門以外の問題にも率先して取り組む人)たちに特徴的なのは、まず自分で活動を起こすということだ。(中略)もちろんどんな分野にも評論をする人は必要だが、あら探しをするだけ、課題をあげつらうだけではいただけない。あまりに哲学がない。"p

    "保守派の人びとは、自分の領域にプロフェッショナルが登場することを疎ましがる。「出る杭は打つ」という風潮が、日本のプロの活躍を阻んできたのである。"p72

    "今は幕末と似たような状況にあると思う。若者は今こそ適切なロールモデルに出会い、感化され、これが教育となり、国際派プロフェッショナルとして世界を舞台に活躍すべきなのだ。" "若者は先生の生きざまを感じて自分の人生を探りだし、燃え立つものだ。これが教育である。"p75

    なるほど"危機"=危険+機会、なのか。世間で喧伝されている危機とは既得権益層にとって危険なだけで、新勢力にはチャンス。p77より

    "他流試合を含め、広範囲で競争しながら能力を伸ばし、また多くの人材と自身を比較し、自らの長所、短所を見極めることができる。"p89

    "将来の課題を先取りし、考えるという習慣を養ううえでも歴史観は身に付けておくべきだろう。"p169

    "ここまで道筋をつけたから多分こうなるはずだという希望的観測ではなく、詳細まで注意を払う細心の心、終わりを見届けるまではプロとして仕事を完結したことにならないという自覚が必要である。"p216

  • 久しぶりに良い本に出会った。

    中でもPart2「国際派プロになるためのキャリアステップ」は22歳でこれから社会に出るというタイミングで読むことができて良かった。

    著者のキャリアも巷のキャリア本の著者とは全く異なるもので、面白い。

    また、自身の子どもが生まれた際にも参考にすべき点が多数ある。

    オススメ。

    大学の図書館で読んだけど、買おうか迷うくらいです。

  • ◎プロフェッショナルの定義
    ①圧倒的な知識・技術を持つ
    ②自分の仕事にパッションとプライドをもつ
    ③個人で勝負する
    ④充実した生活を送る
    ⑤自分の主張・見解を明確にもつ
    ⑥仕事の完成度が高い
    ⑦安住しない
    ⑧余裕があり誰に対しても親切


    ◎国際派プロフェッショナル
    ①活動の場を日本に限定せず、常に世界を視野に入れている
    ②一般的な知名度はなくても、国内での名声を超えて、世界で知られている
    ③世界における日本の役割、世界への貢献を意識している
    ④世界のネットワークにつながろうとしている、あるいはそこで勝負している
    ⑤社会や若い世代のために各種の活動を行っている


    ◎「国際派プロ」になるメリット
    ①武器を持っているので引く手あまた
    ②どこへ行ってもプロフェッショナルと交流できる
     有益なコメントがもらえ、それがきっかけで自分の考えが進められる
    ③世界共通の「クラブ」に属する
    ④個人として認められる
    ⑤世界レベルの報酬で仕事ができる
    ⑥社会的な仕事の可能性が開ける


    ◎プロフェッショナルに共通する資質・要件・特色
    ①「個の腕」で機能する
    ②アウトプットとの明確な関係
     自分のやった仕事の成果が明白であり、その成果に対して責任の所在がはっきりしている
    ③結果の責任をとる
     結果について責任を感じ、自身の成長につなげていける
    ④開かれたコミュニティで鍛えられる
     同業の仲間と形成するコミュニティは、互いを厳しく評価する場
    ⑤「当事者意識」をもつ
     確信ある提案をし、代替案を準備している。悪い結果でもきちんと責任をとる。
     コミュニティでの議論にも当事者として積極的に発言していく。
    ⑥大局観をもつ
     世界はどううごいていくのか、自分のかかわっている分野は将来どのように変化していくかを常に考える
     
     
    ◎今は幕末と似たような状況。
    若者は今こそ適切なロールモデルに出会い、感化され、これが教育となり、国際派プロフェッショナルとして世界を舞台に活躍すべき。


    ◎ブロークン・イングリッシュでもよいから、世界の動きや課題について自分の主張をもち、それをどんな場でも表現しようという意欲・姿勢のある人に早く出てきてもらいたい。


    ◎小さな失敗をたくさんするメリットは、自分自身でリカバリーするコツを体で覚えられるからだ。
    失敗したことのない人は決して成功しないし、信頼できる人とはいえない。


    ◎旬はたいてい若いときに訪れる。どれだけ若いときに一流の人に接して刺激を受けたか、仕事をする機会があったかにより、潜在能力は同じでも、開発、発揮されるレベルが違ってくる。
    つまり、旬の時代に世界で最も優れた人たちと仕事をすることが重要だ。


    ◎チャンスは誰にでも平等に来るが、それをつかまないと過ぎ去ってしまう。逃したチャンスは二度と戻ってこない。そのときにしかないということをまず頭に叩き込み、先の見通しがはっきりしていなくてもとりあえずつかんでみる。なんでもやてみると、そこからいろんなことが開けてくる。


    ◎幸運は準備をしている人のところに舞い降りてくる。


    ◎「すごい」と思う人に出会ったら、まずその人に私の思いを伝えなければならないと思っている。ダメでもともとという精神でメールや手紙でお礼状を出す。


    ◎会社を辞めてから接触がなく、数年たってその人の話題を聞いたような場合、そのタイミングを活用して、「元気ですか、今何をしているのですか」など電話をしたり、メールをしたりする。それが結局関係の継続につながっている。


    ◎30代(キャリアアップ期)の過ごし方
    群れから距離を置き、個人として存在する、行動することはとても大切なことだ。


    ◎自己アピールの重要性①
    話し方の訓練も行う。たとえば10分間話せと言われたとき、時間内にパンチのきいたことをどうやって話すかが大切になる。そのために時間を区切ってプレゼンテーションの練習をするべきだ。


    ◎自己アピールの重要性②
    自分の武器は何かを知り、誰に対してもいやみなくアピールする。


    ◎小さくても一つの組織の長になってみる
    組織の目指す共通項目とそれを達成する時間を設定し、組織のメンバーにミッションを割り振り、目標を達成するための共同体をつくりあげる。


    ◎仕事があり、家庭があり、友人があり、人によっては地域コミュニティがあって、女性にはいくつもの役割が与えられる。
    いくつもの役割を果たすうちに、自然に多様なものの見方や価値観を身につけることができる。


    ◎30代以降の過ごしかた
    自分の専門分野だけでなく、時事問題、世界の情勢、人類共通の緊急課題など他の領域の問題も認識し、それに対して自分の考えを持つことはすごく大事だ。

    後進を育てるという意識ももつべきだ。海外のプロフェッショナルは、自分が上司や師から学んだ考え方やスキルを次世代に渡すという役割を常に意識している。

    プロフェッショナルが次の世代のメンターになることはすごく大事だ。


    ◎国際派プロフェッショナルに必要な五つの力とは、
     ①現場力…名まで体験し、耳で得た情報から判断する能力
     ②表現力…自分なりのメッセージを持ち、多くの人に伝える能力
     ③時感力…どんなかたちでも物事を達成するまで詰める能力
     ④当事者力…常に「自分」は何ができるか考え、結果を求める能力
     ⑤直観力…押さえるべき「ホット・ポイント」見出し、そこに集中する能力
     
     
    ①現場力を磨くために
    ・まず現場に行く
    ・報道と現場情報の違いを確かめる
    ・事象の背景を考える

    ②表現力を鍛えるために
    ・社説や記事に対して常に自分の意見をもつ
    ・映画などを見たら自分の感想を見ていない人に説明する
    ・子どもに自分の仕事のよさを説明する

    ③時感力を磨くために
    ・自分の一日、一週間、年度計画をつくり、実行、レビューする
    ・夢に日付をつくる
    ・Exitプランを作り、見切りのポイントを決める
    ・年末や誕生日などの区切りの時期に、自分の活動のたな卸しをする

    ④当事者力を磨くために
    ・世界的に解決されていない問題を、自分にも関係があることとして、まず関心をもつ
    ・自分の専門領域の技術が使えないか、人脈を活かすことができないか、など考える

    ⑤直感力を磨くために
    ・新しい店、レストランに行ったり、初めての人に会ったら、それを一言で知らない人に説明するために最も効果的・効率的な説明方法を考える
    ・1ページの記事のサマリーをすぐその場で言う
    ・自分の仕事を改善するとしたら、どんな指標を見るか、それはなぜかを考える
    ・自分が属する組織の長になったら、最初の3ヶ月で何をするか、それはなぜかを考える。その後自分の仕事をもう一度見直す


    ◎プロフェッショナルとして不可欠な資源に、人生に対する基本的な姿勢がある。
    ①プラス思考
    まず行動ありき、というアクション指向
    「仕方がない」ではなく、「何とかする」への転換ができる人

    ②バランス感覚
    どんな分野でも一流になるには、「この世には自分は一人しかいない、何か勝負できるもの、意味があるはず。それで勝負」と考える。

    ぶれることのない自分の原則(プリンシプル)をもっと同時に、それを守るためにはときとして朝令暮改も辞さない姿勢が必要である。

    プロフェッショナルは、常にもっと良いことが待っている、よりよい世界が開けるし、それを切り拓くのは自分という意識が強い。

  • 印象に残った言葉


    ・組織に所属していると同じ階級で、個人を分けている。
    日本はまずは、会社名、部署名、何年目か、最後に名前を名乗る
    →典型的な縦社会である


    ・一つの会社に属し、その中で上手いことのぼって来た人と、個人の力のみで戦ってきた人とは全く感じが違うのである。




    ・国際プロは自分の技能、能力によってキャリアアップする。組織や肩書に関係なく、個人で勝負できる。組織は自分の知識や技術・スキルを活かす場にすぎない。

    また圧倒的な知識と技術を持ち仕事の完成度が高い。

  • 国際派プロフェッショナルとして現在も国内外問わず活躍されているお二人のキャリア形成から現在の仕事術にまで、広範囲にわたって経験談が書かれている。他の仕事術やらなんやらの啓発本とはまた違った側面(具体的なエピソードなど)が盛り込まれていて楽しく読むことができた。いかんせんスケールが大きいので実際想像できない部分や同意できない部分もあったけれど、全体的な内容としてはわかりやすく興味をそそられるものが多かったように思う。

  • 1冊で、お2人のプロフェッショナルのお話を聞けます。企業で活躍されてきた方と医師として活躍されてきた方というお二人ですので、分野の違いからどちらも興味深く読むことができます。
    でも共通点もたくさんあります。やはり、プロフェッショナルですね。
    もちろんいきなりプロフェッショナルになることは難しいですが、お二人のようなモデルを知ることで、自分の将来も考えられるし、もっと自分を磨いていこうと感じました。

  • * プロフェッショナルとは
    - 圧倒的な知識技術を持つ
    - 自分の仕事にパッションとプライドを持つ
    - 個人で勝負する
    - 充実した生活を送る
    - 自分の主張見解を明確にもつ
    - 安住しない
    - 余裕があり誰に対しても新設
    * プロフェッショナルになると
    - 社会的な仕事の可能性が開ける
    * 20代まで(学生時代)の過ごし方
    - 成蹊中学高校
    - 子供のころから多くの人とコミュニケーションすることが重要
    - ボーディングスクール(全寮制)
    - 小さな失敗をたくさんする
    - フェリス女学院 中学高校
    * 海外へ行くメリットは自分の物差しを超えた出会いがあること
    * パッションやスキルを間近でみる
    * 一流の人に会えなければ伝記でもよい.ラーマン効果のラーマン
    * シンポジウムなどで素晴らしい人に出会ったら積極的に自分からコンタクトをとるべき
    * 30代の過ごし方
    - 群れない,個人として周囲と付き合う.独りよがりでもよくない.ケンカ別れはよくない.
    - プレゼンは自分の能力を商品として売る機会
    - ダボス会議などでは必ず誰かが,あなたの質問に対して私はこう思うなどとコメントしてくること
    - 小さくてもリーダーになる
    - アメリカではリーダーが決める.いやなら部下は好きなところに行けるから.
    - 「私も全然わからないがなんとかなる.なんとかなる気だけはある.時子音のなさを顧客に見せてはいけない」
    - コンサルティングは万人向きでなく,仕事だけになる.
    - 30代には自分の適性を知ることが大事.ライフステージに応じてどこを目指すか自分で選択する
    - 今は時間がないからこのレベル,時間ができたら上に行こう,というのもあり
    - 自分に理由をつけて納得する.人のせいにしない.夫の病気で休職した時の話
    - 日本にはこういう歴史があり,その延長線上に現在があり,今世界はこういうパラダイムで動いているから,近隣諸国とはこういう関係になっている..だから現在の日本の問題はこうで,次はどうすればいい,という話ができるとよい
    * 国際プロフェッショナルの要素
    - 現場力,表現力,時感力,当事者力,直観力
    * ケーススタディで学生に恥をかかせてはいけない,質問をしだいに高度にして,そこまでは考えなかったな,と気づかせる
    * あるアイデアが浮かんだということは世界で何十人もの人が同じようなアイデアを持っているということ.だから早く実行に移すことを考える.
    * 直観力を高めるには自分の担当以外も考え全体を俯瞰する
    * 政治も大事.どのように伝えるか,まずはリーダーに相談するなど注意を払うべき

  • 全く技術を持たない人間はどうしたらいいのだろうか

  • 本書は、グローバルに活躍できる人間になるためにはどう考え、どう仕事をしていけば良いのかを指南している。

    若い時期には多様な感性に触れ、キャリアの始まりの時期には小さな失敗を多く経験し、ある程度のキャリアが構成されてきたら、それを広いフィールドで活かす、という、ありふれているといえばありふれている内容とも言える。

    たしかに、得るものの多い本ではあるが、石倉氏の執筆部分では、非常に高いレベルのことが要求されているように感じるうえ、また、彼女自身相当なエリートであるにもかかわらず、あえて自分を卑下するような表現が逆に鼻につく。

    対して黒川氏の執筆部分には、大変考えさせられる部分が多くあった。自身がスーパースペシャリストであるにもかかわらず、グローバルに活躍する人材となるためには専門バカでいるだけではダメであると説いている。歴史や哲学、政治経済など、さまざまな分野に関心・理解を示すことの重要性を指摘している点は、非常に共感できる。

    また、日本では多くの企業経営者が「評論家」になってしまっているという指摘も面白い。人の批判をするのは簡単。建設的な議論ができる人こそ、トップにふさわしい。私も仕事をしていく中で痛感しているところである。

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著者プロフィール

1936年生まれ。東京大学医学部卒業。1969年に渡米、1979年UCLA内科教授。1983年帰国後、東京大学内科教授、東海大学医学部長、日本学術会議会長、内閣府総合科学技術会議議員(2003-06年)、内閣特別顧問(2006-08年)、WHOコミッショナー(2005-08年)などを歴任。国際科学者連合体、国内外の学会および大学の理事、役員など幅広い分野で活躍。国会福島原発事故調査委員会委員長(2011年12月‐2012年7月)で AAAS Award for Scientific Freedom and Responsibility 受賞(2012年)、Foreign Policy 紙の100 Top Global Thinkers of 2012に選出。現在、MITメディアラボ、コロンビア大学客員研究員、GHIT(公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金)、日本医療政策機構などの代表理事・会長、政策研究大学院大学客員教授、東京大学名誉教授など。

「2016年 『規制の虜 グループシンクが日本を滅ぼす』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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