- まぼろしのパン屋 (徳間文庫)
- 松宮宏
- 徳間書店 / 2015年9月4日発売
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今までノーマークだった作家さん。サラサラと読めてとっても爽快。人生の両面をコミカルに見せつつ、最終的には明るい面を爽やかに提示してくれる。疲れてる時にでもあっという間に読めて、軽いのに内容のあるとても好みの作品だった。から久しぶりに感想を書きたくなった^ ^
2019年9月5日
- ヘヴン (講談社文庫)
- 川上未映子
- 講談社 / 2012年5月15日発売
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意図的なのかもしれないけれど、主人公以外のアナザーサイドのエピソードがもう少し見えて来ないと補完されない内容な気がした。自分に想像力がないだけなのか。
2018年2月14日
- 芸人前夜 (ヨシモトブックス)
- 中田敦彦
- ワニブックス / 2013年11月27日発売
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とてつもなく面白かった。あっちゃんかっこいい!!正直で純粋でユーモア溢れる青春劇。デビュー当時、オリエンタルラジオは色々なことを言われてあまり良くない印象もあって、でも確かにネタには中毒性があってたくさんの人を惹きつけた。結局彼らは今も生き残ってる。 軽薄に見えがちなスタイルの裏側にたくさんの知性と工夫と努力、そして信念がきちんと備わっていたこと今、この未来の視点から気付かされる作品。
2017年11月11日
- イノセント・デイズ (新潮文庫)
- 早見和真
- 新潮社 / 2017年3月1日発売
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ものすごい不愉快になる作品だった。読み物として悪いという意味では決してなく。
結末というよりは、出てくる一人一人の身勝手さと自己欺瞞ぶりに、苛立ち続けた。
主人公の幸乃を生贄のように不幸な境遇に落とし込んでいく展開はご都合主義的で安易に思えたけれど、それを上回る、人間の行動や思考の狡さのリアリティーある描写に心動かされる作品だった。
2017年5月22日
- 空中庭園 (文春文庫)
- 角田光代
- 文藝春秋 / 2005年7月8日発売
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家族それぞれの視点で描かれる連作小説。
おばあちゃんのターンで痺れた。最後の息子ターンがエピローグ的。
2017年5月17日
- 紙の月 (ハルキ文庫 か 8-2)
- 角田光代
- 角川春樹事務所 / 2014年9月13日発売
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心臓に悪すぎるストーリーだった。思わず自分が銀行で手続きした商品の資料を確認してしまった。事件を遠くで知ることになる昔の友人や恋人の語りは出て来ても、一番近くにいた夫と若い恋人のモノローグが一切無いので、二人の本音が全く分からず、敢えて読み手に想像を委ねる作りが面白かった。
2017年5月2日
- きっと君は泣く (角川文庫 や 28-3)
- 山本文緒
- KADOKAWA / 1997年7月23日発売
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なんて夢のない話!!登場人物の誰にも全く感情移入出来ず。読後の爽快感もなく。でもひたすらにエネルギーを持っていかれる作品。プライドなんて各々がただ何とか立っていられるためだけの精一杯の杖なんだと、容赦無く現実を突きつけられるような作品だった。ちょっとミステリー風味な部分もあり。あと題名がどういうことなのか気になる。読み込み方が足りないだけか。
2017年4月28日
- 痺れる (光文社文庫 ぬ 1-1)
- 沼田まほかる
- 光文社 / 2012年8月8日発売
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一話目の林檎曼荼羅、素晴らしかった。今がいつで、過去に何があったのか、主観が曖昧になったり鮮明さを取り戻したりしながら記憶と現実を繋ぎ合わせて一つの真実にたどり着く感じ。これぞ読み物。恐ろしくて美しくて業が深い、女の物語。
2017年3月26日
- 一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)
- ジョージ・オーウェル
- 早川書房 / 2009年7月18日発売
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骨太な名作。古今東西、そして現在進行形でもノンフィクションとしてあらゆるところで支配者と被支配者のこういう構図はまかり通っていて、意識的にも無意識的にもそれを改めず、当たり前に受け入れてる人間の罪深さや、無力さを改めて思った。ある視点から見たユートピアは切り口を変えればディストピアであり、どんなに発展、進化しているように思えることでも必ず陥穽があるということでもあるような気がする。
2017年2月25日
- 蜩ノ記 (祥伝社文庫)
- 葉室麟
- 祥伝社 / 2013年11月8日発売
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なんたる不条理、なんたるやるせなさ。それなのにこの清々しさ。はらわた煮えくりかえりながら、何度も悔しくて涙しながら、渦中の人間の真っ直ぐな生き方にただ圧倒される。重いはずなのにひたすら清涼で美しい物語。文章で五感を刺激されるような素晴らしい表現力だった。
2017年1月13日
生々しい内容なのに、上品に思える文章だった。分析医という視点を使うことはそういう狙いもあったのかも。すごく読みやすい作品だった。
2017年1月12日
- 阿修羅のごとく (文春文庫 む 1-17)
- 向田邦子
- 文藝春秋 / 1999年1月8日発売
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なるほど、ひと昔前の女性が男性を立てるというのはこういうことなのか。現代の女性像とはだいぶ離れているけど、本質な強かさは変わってないのかなとも思ったり。一見保守的に見える三女が結局は一番風通りの良い新しい夫婦像を実現させていたところが面白いと思った。
2016年11月17日
- 我が家の問題 (集英社文庫)
- 奥田英朗
- 集英社 / 2014年6月25日発売
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色んな家族の爽快な短編集。全体的に女性陣強し。『夫とUFO』の奥さんがかっこよすぎて読みながらニヤニヤ。無さそうでありそうで、やっぱり無さそうな、‘’ドラマチックな平凡さ‘の作品たちだった。
2016年11月8日
『何者』の続編。最後に収録された表題作が一番ぐっと来た。否応無く何かの役割にはめ込まれていく社会という枠組みの中で、追いつけなくて無理やり何かを演じる過渡期の感覚をすごく丁寧に、でもドライに描いている。ドライに、というのがポイントで、これが情感を前面に押し出して来るやり方だったら多分読めなかったと思う。
本当はあえて物語にすることではないような風景をきちんと中身のある作品に出来るってすごいと思う。
2016年11月4日
- ものいふ髑髏 (集英社文庫)
- 夢枕獏
- 集英社 / 2004年8月20日発売
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エッセーのようなフィクションのような不思議な語り口。読み始める前は構えていたけど、意外にも読みやすかった。
2016年10月29日
- ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)
- 小川洋子
- 講談社 / 2007年4月13日発売
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題名から大体結末を予測できるから、ブラフマンが可愛らしくて、この先を見たくない気持ちで、なかなか読み進まなかった。描写や表現は素晴らしいけれど、物語自体の目指すところがよく分からないのと、好きじゃない種類のバッドエンドで気持ちが沈んだので星2つ。
2016年11月8日
- 藁の楯 (講談社文庫)
- 木内一裕
- 講談社 / 2007年10月16日発売
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もっと深いものを期待していたらとてつもなく浅かった。題名のセンスが良いし、発想自体が面白いから残念無念。個人の葛藤をもっと見たいし、それぞれの心理描写が100倍くらい欲しい。そしてそのオチは頂けなさすぎる
2016年9月28日
- グロテスク 下 (文春文庫 き 19-10)
- 桐野夏生
- 文藝春秋 / 2006年9月5日発売
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いそうでいない女たちの物語。自分が思ってるほど何かを徹底して演出出来ていない女たち(+男)の物語。私はこういうタイプ!って断言できる状態ってそれ自体が嘘くさいんだな。もっと現実の人間の行動や思考は曖昧で狡猾で限定されないものだけど、過剰に何かを表現できるのが、小説の面白さなのかも。
2016年10月2日
- 夜をゆく飛行機 (中公文庫 か 61-2)
- 角田光代
- 中央公論新社 / 2009年5月25日発売
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平凡だけど個人レベルではドラマチックな出来事もたまに起こる日々。次女が作中で書く小説が、入れ子のように家族の平凡な日々を記録する。外から眺めた時に、あれが懐かしいとかあれが転機だったとかもう戻れないとか初めて分かるものなんだろう。一歩離れたクールな視点で、誰にも感情移入させず、作品、作風自体の価値を作者が問いかけているようでもある不思議な小説だった。
2016年9月25日
- 本日は、お日柄もよく (徳間文庫)
- 原田マハ
- 徳間書店 / 2013年6月7日発売
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物語を書く人はきっとみんな、伝えたいことを自らの工夫で文章に織り込んでいく作業をしているのだろうけど、これは正に真正面から《伝える》ということそのものをテーマにしてしまった潔い作品だと思った。感動する言葉を今から言います!聞きます!という繰り返しで進んでいく物語って書き手にとってものすごくハードルが高いのでは?と思ったけど、まんまと感動してしまえるクオリティーだった。ただ、主役カップルはじめ、キャラクター立っている登場人物ばかりなのに、人物同士の心情や関係性の機微にあまり行間割けなかったのかな?という感じで、愛着わかず、感情移入しきれなかったのが残念。
2016年8月3日
- よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)
- 川瀬七緒
- 講談社 / 2013年8月9日発売
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江戸川乱歩賞の作品はいつもすごくワクワク読み進められて面白いのだけど、初めてイマイチだと感じた作品になってしまった。呪術とか民俗学とかも好きな要素なので決してそういうテーマのせいではないと思う。人物像とか前後の繋がりがわざとらしくて不自然?なのかも。真実が分かっていく感じ、謎が解けた爽快感がない。
2016年7月15日