ちゃんぱるの「遅読日記」

読書状況 読み終わった [2012年3月11日]

最終巻。高尾滋独特の、極端な愛情や恋の描き方がちょっとくどくて読みづらく感じた。
愛情そのものを描くのではなく前作「てるてる少年」の頃のように、しっかりしたストーリーラインがあったうえで描かれる愛や忠誠心による関係性のほうが鮮烈でいいと思う。
次回作を楽しみにしている。

2012年3月11日

読書状況 読み終わった [2012年3月11日]

春男がお母さんに会いにいくエピソードが辛い。一途な彼の様子にじーんとしてしまう。

Sunnyを読んでいると、心が子どもの状態に戻ってしまうようですこし怖い。
子どもの頃、広くない世界の中で悲しかったこと寂しかったこと怖かったこと思ったほど遠くへいけなかったこと、思い出す。
頼りない気持ちに戻される。
「マンガにおける子ども」の表現を超越して、読者の心を読者自身の子ども時代に誘うような描写。
松本大洋やっぱりすごい。

2012年3月11日

読書状況 読み終わった [2012年3月11日]

男性の方にオススメするではないが、
私は川上弘美さんの小説が大好きでして
この度も忙しい中にあってもじっくり読み進められ大変満足です。

妻が、ある電話により夫の浮気を知らされてから
2年ほどのグラグラした時間を追う物語です。

川上さんの作風の中では極めて現実的な内容といえます。

主人公の”のゆり”さんは、大人しい女性で
あまり自分の意見をハッキリ口にするでもなくぼんやりしており、
流されるままに生きてきたような女性です。
状況的に「そうも言ってられない」立場なのにも関わらず
すぐに心が折れそうになるし、哀れな有様です。

なにかを決定づけるような言動や行動をしないのは、
のゆりさんの夫・その浮気相手・のゆりさんの叔父、
その他とりとめのない登場人物たちも同じで、
気持ちも事象も解決しないまま時間が過ぎていってしまうことを
読みながらにして体感します。

世の中にはいろんな喜怒哀楽の発露傾向を持つ人がいて、
日々驚かされたり傷つけられたりもしますけれど、
特に日本人は声を荒げたり容易く暴れたり泣き叫んだり、
咄嗟にはできず、
押し寄せてくる強い感情に内心でアタフタしているくせに
「んーこれはどういうことなのだろう?」と落ち着こうとする。
そしてあとから自分がどんなに傷ついていたかを思い知ったりします。

そんなふうに描かれた人物たちの
「なんのためでもない」行動や言動により、
「風花」の時は過ぎていくわけです。

ゆっくり崩壊したとも再生したとも取れる結末も見事でした。

2012年2月7日

読書状況 読み終わった [2012年2月7日]
カテゴリ 2012/02

運命に翻弄され、心が折れそうになったり強い恨みや憎しみの心に飲み込まれそうになった人間に漬け込むのが「組織」の手口らしいということがハッキリした最新巻。
個人的に11巻の見所は、師匠たちの本気の戦闘シーン。アラジン・アリババ・モルジアナ3人を助けに来てくれます。
しっかり師弟の絆が築かれていたのですねー

2012年1月21日

読書状況 読み終わった [2012年1月21日]
カテゴリ 2012/01

この本の恐ろしいところは、「町田さんはほんとうに猫さんが好きなのねー文体から町田さんの猫さんへの愛が伝わってくるわー」などと余裕ぶっこいていると、実は猫を愛していたのは他でもない己だったのだ、ということを思い知らされる点です。

町田さんの文章は相変わらずレロレロと楽しく、私にはそれがわかりよいわけですが、その猫への愛でもって書かれた文章を読みながら猫の姿・仕草・態度を明瞭に、あまりに鮮やかに思い浮かべているのは、これまた己自身の猫への愛なのです。
結果、私は自分で思う以上に猫を愛していたことを思い知らされ、町田さん宅の猫が亡くなるような時の描写さえ容赦なく、私を刺すのです。

わざわさこんなものを読んで、猫を愛でたり可愛そがるようなことは悪趣味と言われるかもしれませんが、オススメしておきますね
猫だぁい好きん!

2012年1月16日

読書状況 読み終わった [2012年1月16日]

【1〜6巻既読】一見なんの変哲もない少年が、ある日美少女のつくも神と出会い、添い寝・混浴しながら次第に強く成長していくというお話。その他ロリ系神様や巨乳巫女、貧乳幼馴染など。

…という要素だけ書くと昨今どこにでも転がっているハーレム式萌え設定の漫画だと思われるだろうし、実際サービスシーン満載でその通りなのだけど、なぜ私はこれを楽しく読めるのだろうか?
その理由のひとつがアクションシーンだと思う。戦闘シーンの作画が格好いい。動いて見える。それをただ見ていたいと思わされるだけの「動」のうまさがある。
それとまたひとつは、先に書いた「サービスシーン」がちゃんと「サービス」として描かれていて楽しい。整合性も大義名分も持たせずにただただ「サービス」をしてくれる。やはりとても上手い絵で。

物語的には少しだけ新展開。学校にお悩み相談室を開き、怪異に関わる事件をいち早く調査し、大事にならぬうちにすそを祓おうということになった。
謎も残っているしまだまだ楽しく読めそうである。

2012年1月15日

読書状況 読み終わった [2012年1月15日]
カテゴリ 2012/01

「オノナツメ先生は、あの特徴的な絵柄を太い線でズズイと描いてくださる、その骨太な感じがいいのであって、画集のようなものを手元に置いて、細部までペロペロ眺めるようなチミチミした魅力とはちょっと違いますもんねー」
などと思ってみましたが、
思いの外安いしちょっと眺めてみやすかね、と思って、買ってみたら本当によかったです!

読んだまま読みっぱなしだったはずの「さらい屋五葉」の世界が胸に蘇ってきて「ああそうだった、この人はこうだった」と”感じ”が思い出され、切なくなってしまいました。

オノ先生の絵は、あのザクザクした線で、なかなかどうして、人間の深いところまで描いちゃうんだからすごいです。

五葉ファンは迷わず買ってよしですよー

書き下ろしマンガ満載!付録とポストカードもついてますっ!

2012年1月13日

読書状況 読み終わった [2012年1月13日]
カテゴリ 2012/01

オノナツメ先生の新作はまたしても江戸時代もの!

オノナツメプレゼンツ江戸版「相棒」といったところだろうか?…でもふたりは岡っ引きではなく泥棒だけれど。(だからルパンみたい)

読み味は「さらい屋五葉」とそんなに変わらないのだけど、今回のほうがエンタメ的。(あとちょっと色っぽい)

旅の道程、立ち寄る町で出会った厄介ごとを
ふたがしらが夜陰に紛れて解決。
(するような、しないような…)

先生の気が済むまでとにかく思う存分江戸を描いてほしいと思います!

2012年1月13日

読書状況 読み終わった [2012年1月13日]
カテゴリ 2012/01

男が、なんだか騙されているような感じで、女の子に「あちこちに出かけぬいぐるみの写真撮影をする」という仕事に付き合わされる話。

展開も読めるし、少し緩い。
設定はどんな方向にも転がる可能性を孕んでいるのだから、自分の知っている感情へ落ち着かせずに思い切って風呂敷を広げてみてもいいのでは?
もしささやかな気持ちを読ませたいのだとしても。

作者は、サイトで毎日更新一コママンガをやっている方なので、なんとなくコマ運びが一コマ単位のカメラワーク。それが独特でもあり読んでて息つぎが短い感じ。

これからの人。

2012年1月9日

読書状況 読み終わった [2012年1月9日]
カテゴリ 2012/01

久しぶりにバクマン。楽しかった!

最近は新しい障害や敵が出てきても、「漫画」でバトルすることに限界を感じてマンネリ化していたけれど、最新巻は「マンガ」でちゃんとバトルしていた。
エイジの衝撃の行動で、レギュラーメンバーが各々の武器を活かして誌上で競い合うようになる。
漫画家はみんな苦労して描いているんだし、絶対的な悪意や敵は描きにくい。だからこんなふうにみんなが熱くなって競い合えるなら、少年誌のマンガとしてとてもいい展開だと思った。

みんなの情熱に火をつけたエイジ、ありがとう。

2012年1月7日

読書状況 読み終わった [2012年1月7日]
カテゴリ 2012/01

動機は極めて人間的で、なんていうか普通。だけど「チープな動機はさておいて、如何にしてそれがなされたか」というトリックが解けた途端に物語を結ぶ仕業は鮮やか。潔くて、ともすれば残酷。森先生のフォーカスはきれきれです。
というわけで今回は真賀田四季の影が薄いわけだが「この事件も彼女が関わっているやも?」と思うだけで、登場人物と同じく身を硬くできるのが、シリーズを読む原動力である。

2012年1月3日

読書状況 読み終わった [2012年1月3日]
カテゴリ 2012/01

読書状況 読み終わった [2011年12月28日]
カテゴリ 資料

読まないといけなくて読んでたんだけど、だんだん切なくて、泣きながら読んでしまってる。登場人物たちの心の矛盾が辛い。

忘れてほしい
忘れてほしくない
忘れたくない
忘れられない
忘れられたら

2011年12月28日

読書状況 読み終わった [2011年12月28日]
カテゴリ 資料

花屋を経営する未亡人に片思いする若い男が、その未亡人の亡くなった旦那の幽霊が見えてしまうという、いたってシンプルな物語。

意地悪な目で読めば、FEELYOUNG的な「結句女性の願望よな」という部分もチラホラあるけれど、不思議とあっさりしていて品がいい。絵も、いい。
ヒロインの未亡人はふわふわしていつつも女性のズルさをちゃんと持ち合わせており、また幽霊の旦那や片恋してくる若い男も物語に都合よくは動かないので、このバランス感覚がいいのだと思う。

2011年12月28日

読書状況 読み終わった [2011年12月28日]
カテゴリ 資料

少し時間がかかってしまったけれど、町田康当然レロレロ楽しく読めた。
町田康の文章はなんだかレロレロしている。眠くなるときもある。謎めいてもいる。だんだん、万年床で康さんと懇ろになっているようなそんな気持ちで読み進む。

まるでミステリかのように、謎が散りばめられていて、主人公たちの道中で次第にそれが紐解かれていくのかと思いきやそんなことはなく、レロレロと事態は二転三転反転横転…していくのである。
主人公たちは、本人なりにはよく考えてもいるし、一丁前に危機回避センサーもついているくせに、今ひとつ軸のぶれた人間なので、
気付くと「事態にのまれている」…
その感じがまるで人生という迷宮そのもの。

でも初めて読んだ「告白」が素晴らしすぎたので、こちらは星3で恐縮ですー

ちなみに表題作の「くっすん大黒」よりも同時収録の「河原のアパラ」という作品が気に入りました。

2011年12月26日

読書状況 読み終わった [2011年12月26日]
カテゴリ 2011/12

読書状況 読み終わった [2011年12月23日]
カテゴリ 2011/12

今年もいくえみ綾の刊行物がたくさん発行されました。このペースでこのクオリティ…どれも素晴らしかった。みなさま少女漫画はいくえみ綾から始めようね。
最新作のプリンシパルも三巻目です。
概要は「親の再婚により一つ屋根の下で暮らすことになるヒロインと男の子」というなんともわかりやすい「ママレードボーイ」形式なんだけど「ハイハイこうなるんでしょ?」と思っていると「そうはならない」。
「え!まさかそこが両想いなんですか…」これでは完全にヒロインが蚊帳の外になるけど、この後いったいどうなるんだろうね?続巻待つ…!
人も展開も捻れていて、予想もタイミングも裏切ってくる、少女漫画的なご都合主義な展開がない。だけどトキメク!だけど切ない!思わぬ地味なシーンで胸を打たれて涙する!
それが、いくえみ綾の漫画です。
ほんと「ちはやふる」とかどうでもいい。

2011年12月22日

読書状況 読み終わった [2011年12月22日]
カテゴリ 2011/12

陽大の雛への憎悪が明らかになったり…
まさか陽大とゴスロリちゃんが付き合ったり…
静かに淡々と語られるけれど、衝撃の展開と人物達の根の深い気持ちが露顕した第三巻。

登場人物が、なにを考えて・感じて・行動しているのか、まるで幾重にもヴェールがかかっているように読者にはハッキリ見えない。気持ちの端を掴んだかと思うとすり抜けてしまう。追いかけてやっと見せてくれた彼らの気持ちは、思いがけないほど純度が高くて、いつもかけがえがない。

くらもちふさこのマンガは、迷路であり文学。読んでいると、少女漫画というものが、少年漫画や青年漫画とは全く違う進化を遂げていることに気付きゾクリとする。
読む度に姿を変え、決して物語の全容を見渡すことはできない。作者の意図にも思索にも触れることは叶わない。人智を、超えている。

2011年12月22日

読書状況 読み終わった [2011年12月22日]
カテゴリ 2011/12

読書状況 読み終わった [2011年12月22日]
カテゴリ 2011/12

読み終わった、というか眺め終わった。

AKBの人気メンバーのメガネファッション写真集。
これまでアイドル写真集としてどうしても私の眼鏡に適わなかったAKBですがついにやってくれた…!という感じ。
写真もスタイリングもオシャレで、みんなとってもかわいいです。
そしてこの一冊1000円。買って損なし!

2011年12月19日

読書状況 読み終わった [2011年12月19日]
カテゴリ 2011/12

現状BLの作家さんなんだけど、他の作品が結構面白かったのでこちらも読んでみましたが、まぁ普通のBLでした。
オシャレな絵柄です。
興味のある方は「椿びより」「椿だより」というシリーズをオススメしておきます。

2011年12月19日

読書状況 読み終わった [2011年12月19日]
カテゴリ 2011/12

【1〜10巻既読】言わずと知れた人気漫画なので特筆することもないけれども今回も笑いながらたくさんキュンとして、一枚一枚一コマ一コマ大切に読んだ。
よつばも少しずつ成長しているみたいで、お蕎麦屋のちょっと愚直な親父さんに気を使ったりするところなど微笑まし。

2011年11月27日

読書状況 読み終わった [2011年11月27日]

直木賞受賞作品。
フェティッシュ!桜庭一樹は今ではすっかり文壇の人って感じだけど、ラノベ時代から一貫して(大雑把に言うと)「少女性」というようなテーマがどの物語の根底にもあると思う。無垢で、残酷で、透明で、少しだけ特別だったがために、思春期前後になにか人間として超えてはならない一線を軽やかに飛び越えてしまう少女たちを描き続けている。文章や物語の構成が、どんどん上質で巧みになっていっても、このテーマが変わらず、さらに研磨されて提供されることは読者としてうれしい。

物語は2008年〜1993年へと章を追うごとに遡っていく。淳悟と花の父娘がどこから来て、なにをして、今ここにいるのかを、私たちは知ることになる。彼らの悲しみに深く共感する章もあれば、まるで異形の獣のように、彼らを嫌悪する章もある。

まぁ、男性よりは女性にオススメしたい作品です。

2011年11月25日

読書状況 読み終わった [2011年11月25日]
カテゴリ 2011/11
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