万城目学さん作品5選!~独自の世界観がクセになる名作選~

こんにちは、ブクログ通信です。

万城目学さんは京都大学を卒業後、化学繊維会社で働きながら小説の執筆を始めました。2006年に第4回ボイルドエッグズ新人賞を受賞し、『鴨川ホルモー』で作家デビューします。その後は『鹿男あをによし』など、話題作を次々と発表し、直木賞候補にも度々選ばれました。2023年発表の小説は自身6度目となる直木賞候補作に選ばれ、2024年1月に晴れて同賞受賞を果たしました。

今回はそんな万城目さんの作品の中から、今読んでおきたい必読の5作品を紹介いたします。
現実と非日常が入り混じった独創的な世界観が魅力の万城目作品を、手に取ってみてはいかがでしょうか?

万城目学さんの作品一覧

1.万城目学『プリンセス・トヨトミ』突き抜けた非日常感を味わえる壮大な歴史エンタメ

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
万城目学『プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
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あらすじ

5月末日、大阪が全停止する——全ての営業活動、商業活動、公共機関も一切が停止する。しかし、大阪人以外はその事実を全く知らない。ことの発端は、会計検査院からやってきた個性際立つ調査官三人と、とある少年少女だった。彼らは、大阪人に連綿と引き継がれてきた、400年以上も続く秘密の扉を開けてしまうのだった……。

おすすめのポイント!

大阪を舞台にした壮大な歴史エンタメ作品です。「大阪には大阪国があり、豊臣秀吉の血を引く王女がいて、大阪の男たちが彼女を守っている」という、ファンタジックな設定が目を引きます。非現実でありながら、なぜか「もしかしたら現実にあるかも……」と思わせる奇想天外なストーリー展開が見事です。2011年に映画化され、主演は堤真一さんが勤めました。綾瀬はるかさんや岡田将生さんなど、豪華なキャスト陣も話題を集めた作品です。

胸に刺さる言葉がいくつかあった。後藤先生が大輔に向けて世の中で1番難しい事は何か?との問いかけ。ずっと、正直な自分であることや。幸一は、自分が大切やと思うものは、自分で守れ。大きな壁に立ち向かう子に向けた言葉は考えさせられるものがあった。

TAKUさんのレビュー

2.万城目学『鴨川ホルモー』謎競技に命をかける青年の恋と青春を描いた著者代表作

鴨川ホルモー (角川文庫)
万城目学『鴨川ホルモー (角川文庫)
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あらすじ

二浪して京都大学に入学した安倍は、たまたま参加した新歓コンパで早良京子という女性に一目惚れする。彼女と仲良くなるためだけに、「京大青竜会」というサークルに入会した阿部。そのサークルでは、謎の競技「ホルモー」を行っていた。鬼や式神を使って争うというその競技は、実はとんでもなく恐ろしいものだったのだ……。

おすすめのポイント!

本作の見どころは、なんといっても謎の競技「ホルモー」です。タイトルにもなっているこの競技には、万城目さんならではの独創性や豊かな想像力、表現力が詰まっているといっても過言ではありません。誰も見たことも聞いたこともない競技なのに、本作を読んでいると本当にあるような気がしてくるから不思議です。しかも、ただ奇抜な物語というわけではなく、「ホルモー」を通して育まれる友情や恋模様も丁寧に描かれています。「もしかしたら、京都では本当にこんなことがあるのかも……」と思わせる、謎めいた説得力のある作品です。

万城目ワールド満載の一作であり、この作品がデビュー作とは思えない。すがすがしいほどの青春作品であり、有限な時間で繰り広げられる不毛な日々を描写していて、読み終えたとき面白さとともに悲しさが広がった。

Forever Galaxyさんのレビュー

3.万城目学『鹿男あをによし』古都奈良で繰り広げられるコミカルなファンタジー

鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
万城目学『鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
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あらすじ

9月、ひょんなことから期間限定で奈良の女子高の教師を務めることになった「おれ」は、生徒と上手くなじめず途方に暮れていた。10月になり、奈良公園の大仏殿裏にいた「おれ」の前に、一頭の鹿が現れる。その鹿は1800年前から人間を守護しており、60年に1度行われる儀式で用いる目の「運び番」に「おれ」を任命するというのだが……。

おすすめのポイント!

奈良の名所がたくさん登場する、古代ロマンを感じさせるファンタジックな作品です。本作では、古代日本の女王・卑弥呼の神話や伝説をモチーフにしたストーリーが、厳かかつコミカルに展開します。歴史好きな人にはもちろん、神話好きな人や動物好きな人にもおすすめです。60年に一度行われるという神秘的な儀式の結末や、そこに巻き込まれてゆく「おれ」の運命はどうなるのか、ぜひご自身の目で見届けてくださいね!

思わず「や、やられたーーーーー」と思いました。あんなにたくさんヒントが散りばめられていたはずなのに……!!ぼうっと読んでたらいきなり2転3転するような展開に引き込まれました。やはり、自分は万城目さんのファンタジーが好きですね……“絶対ありえない事象”を日常に落とし込んでくる、もしかしたら私が知らないだけで、これは本当の話なのではないか?そう思わせてくれるような素敵な作品でした。

ひるねさんのレビュー

4.万城目学『とっぴんぱらりの風太郎』壮大な運命に巻き込まれゆく忍びを描いた歴史大作

とっぴんぱらりの風太郎
万城目学『とっぴんぱらりの風太郎
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あらすじ

伊賀の国の忍びである風太郎は、とある失態から国を追われるはめになる。仲間の黒弓と共に密かに京に上ったはいいが、することもなく、ぼんくらな日々を過ごす風太郎。ある日、不思議なひょうたんに出会ったことで、風太郎の運命は思わぬ方向に動き始めるのだった。豊臣から徳川へと移り行く時代の波に翻弄され、懸命に生きた一人の忍びの物語。

おすすめのポイント!

本作の主人公である風太郎は、世の中が平和になってしまったことで存在意義を失いつつある忍びです。やることもやる気もなく、国を追われてただぼんやりと日々を過ごしています。ところが、ひょんなことから壮大な運命に巻き込まれてゆくのです。少しずつ回り始める運命の歯車が、やがて大きな時代のうねりへとつながっていく様が、万城目さんの筆力によって迫力満点で描かれています。読み始めと読後では、ガラリと印象が変わる本作の面白さを、ぜひ味わってみてください。

読み始めと終わりで印象がガラリと変わる。不器用だが人間味溢れる風太郎。脇を固める人物も読み進めるに連れ魅力が増してくる。ボリュームはあるが、それに見合った内容であったと思う。

pbh23864さんのレビュー

5.万城目学『八月の御所グラウンド』第170回「直木賞」受賞作!ちょっと不思議な京都×スポーツ小説

八月の御所グラウンド
万城目学『八月の御所グラウンド
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あらすじ

絶望的に方向音痴な陸上部1年の坂東は、体調不良の先輩に代わって急遽駅伝のアンカーを任される。緊張の中迎えた本番で目にしたのは、沿道を走る奇妙な人々の姿で(『十二月の都大路上下ル』)。大学4回生の朽木は、友人に誘われて野球大会に参加することになった。チームには謎の助っ人が参加していて(『八月の御所グラウンド』)。

おすすめのポイント!

第170回「直木賞」受賞作です。京都を舞台に、スポーツを通じて描かれる青春小説2編が収められています。どちらの作品も、日常の中によくあるワンシーンを切り取っていながら、ちょっと不思議で非現実間のある独特な魅力のある物語です。京都の風景が細部まで丁寧に描かれており、登場人物たちと一緒に京都の街並みを見ているかのような気分も味わえます。万城目さんにとっては、六度目のノミネートで直木賞受賞を果たした記念的作品でもあります。爽やかな余韻の残る、心温まる一冊です。

第170回直木賞受賞作品。駅伝と草野球を題材に、何気ない人の出会いを描いた作品だが、妙に懐かしい。昭和40年代の小学校時代の、土埃で蒸々しとした夏の暑い日々をなぜか思い出させてくれる作品でした。

maoryuさんのレビュー


万城目さんの作品は、日常の中にさりげなく混ざり込む非日常感と、予想もつかないストーリー展開が魅力です。読めば読むほどハマる独特な万城目ワールドに、ぜひ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?